【R18】願わくは…

雫喰 B

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── 第一章 ──

6.兄弟

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    オトフリートは準士官候補生になると同時に近衛騎士団への配属(準騎士)が内定していたが、例の騒動を起した為、近衛騎士の適性無しとして、その配属の内定は取り消された。

    しかし、ライテンバッハ公爵家の嫡男である彼の将来性と、騎士になりたいという本人の希望を考慮して、準士官候補生で王国騎士団の第5小隊小隊分隊長(軍曹)での配属(準騎士)を打診された。

    オトフリートの場合は、準士官候補生なので、小隊・分隊長(軍曹・準騎士)での配属は王国騎士団の規定通りの階級である。

    当初、近衛騎士になりたかったオトフリートは、その配属を不服そうにしていたが、騎士の道を選ぶなら、それ以外の道は無いと周囲から諭され、渋々、その打診を受け入れた。

     王国騎士団と近衛騎士団では、入団資格が異なる。王国騎士団は、平民でも入団できる。ただし、平民での(正式)入団は、ずば抜けて優秀(準士官候補生)でもない限り、一兵卒からのスタートである。
    平民は、士官(少尉)候補生にはなれない。
だが、民意が反映される“英雄”にはなれる。そして、立てた功績によっては、爵位を授けられる。

    近衛騎士団は、貴族である事と、士官(少尉)候補生又は準士官候補生で準騎士としての任務(実務)に就いた経験がある事、素行に問題が無い事が入団資格になっている。   

    そんなこんなで、例の騒動から2年が経ち、養成所を卒業。正式に王国騎士に任官されると同時に、第5小隊隊長(中尉)に昇格した。

    オトフリート本人は、その階級でも不満だったようだが、それでも、2年で小隊分隊長(軍曹)から、小隊隊長(中尉)に昇格するのは、同時期に入団した者の中では早い昇格だった。(とはいえ、ライテンバッハ家への忖度があったからとも考えられる。)

     オトフリートは、自分が近衛騎士になれず、養成所で王国騎士としての準士官候補生・準騎士での階級が、軍曹(小隊分隊長)だったのに対して、ウルリッヒが、王国騎士としての士官(少尉)候補生・準騎士での階級が、少尉(小隊隊長)だった事に腹を立てた。
    
    アルフォンスといい、ウルリッヒといい、兄である自分よりも出来の良い弟など、目障りなだけだった。

    後に、一回り以上年下のウルリッヒと階級が並ぶと、早々に王国騎士団を退団した。

    当初の予定よりも早かったが、騎士を辞めた人間を遊ばせておく訳にもいかず、ジークフリートは仕方なく、オトフリートに家督を譲り、公爵家当主の仕事を任せたのだった。

    ジークフリートも、ヴィルヘルムも、行く行くはライテンバッハ家の家督をオトフリートに継がせる予定だった。

    その為に領地運営や、書類処理に明るい文官を多く輩出している侯爵家の娘と結婚させた。
    オトフリートの書類処理能力が武術より低かったからである。

    そして彼は22歳の時に、文官を多く輩出している、エーベルハルト侯爵家の長女ヘレーネと結婚した。
(この時はまだ爵位を継承していない。)

                         **********
    **********

話は、アルフォンスの王立学園時代に戻る―

    アルフォンスであるが、兄の養成所一般課程修了式後のトラブルがあった後は、王都の邸から王立学園に通っていた。

    休む日も多かったが、成績はトップクラスだったので、何とか無事に卒業する事が出来た。

    けれど、昔に比べれば熱を出して寝込む事も殆ど無くなったが、騎士団に入団する事が出来ない為、当時ライテンバッハ公爵家の当主だった父、ジークフリートの書類仕事を手伝っていた。

    縁談は、学園に通っていた時からあったが、病弱を理由に全て断っていた。
    何より、アルフォンス本人が、結婚するつもりは無いと公言していたからだ。
    けれどいくら断っても、ライテンバッハ公爵家と姻戚関係を結びたい武門の家系である貴族からの縁談はかなり多かった。

    そして月日は流れ、末弟のウルリッヒが、騎士養成所に入所した年、夏の休暇中に“武者修行”と称して、『友人のトリスタンが、実家のあるビュルテンベルク辺境伯領に帰省するから付いて行く。』と言って、辺境伯爵家の邸で長期間お世話になった。

    後日、『その時のお礼に、年末に王家主催の舞踏会に出席する友人達を王都の邸に招待したい。』と言うので、許可した。

    その後、ライテンバッハ家に来たのが縁で、次女オデットが22歳で、三女フィアーナが20歳で、四男ウルリッヒ18歳での結婚が決まる事になったのだが…。

    ヴィルヘルムや当主のジークフリートとその補佐をしていたアルフォンスは頭を抱えた。公爵家の令息、令嬢が立て続けに結婚するのである。その費用の合計額たるや…とんでもない額であった。

    ヴィルヘルムもジークフリートも、顔色が青いのを通り越して白くなっていた。

    幸い、二人とも妻の実家から幾許いくばくかのお金を援助して貰えたので、事なきを得た。

    後日、ジークフリートは子供達に、作る子供の数を考えるようにアドバイスしたのは言うまでもない。
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