7 / 36
── 第一章 ──
6.兄弟
しおりを挟むオトフリートは準士官候補生になると同時に近衛騎士団への配属(準騎士)が内定していたが、例の騒動を起した為、近衛騎士の適性無しとして、その配属の内定は取り消された。
しかし、ライテンバッハ公爵家の嫡男である彼の将来性と、騎士になりたいという本人の希望を考慮して、準士官候補生で王国騎士団の第5小隊小隊分隊長(軍曹)での配属(準騎士)を打診された。
オトフリートの場合は、準士官候補生なので、小隊・分隊長(軍曹・準騎士)での配属は王国騎士団の規定通りの階級である。
当初、近衛騎士になりたかったオトフリートは、その配属を不服そうにしていたが、騎士の道を選ぶなら、それ以外の道は無いと周囲から諭され、渋々、その打診を受け入れた。
王国騎士団と近衛騎士団では、入団資格が異なる。王国騎士団は、平民でも入団できる。ただし、平民での(正式)入団は、ずば抜けて優秀(準士官候補生)でもない限り、一兵卒からのスタートである。
平民は、士官(少尉)候補生にはなれない。
だが、民意が反映される“英雄”にはなれる。そして、立てた功績によっては、爵位を授けられる。
近衛騎士団は、貴族である事と、士官(少尉)候補生又は準士官候補生で準騎士としての任務(実務)に就いた経験がある事、素行に問題が無い事が入団資格になっている。
そんなこんなで、例の騒動から2年が経ち、養成所を卒業。正式に王国騎士に任官されると同時に、第5小隊隊長(中尉)に昇格した。
オトフリート本人は、その階級でも不満だったようだが、それでも、2年で小隊分隊長(軍曹)から、小隊隊長(中尉)に昇格するのは、同時期に入団した者の中では早い昇格だった。(とはいえ、ライテンバッハ家への忖度があったからとも考えられる。)
オトフリートは、自分が近衛騎士になれず、養成所で王国騎士としての準士官候補生・準騎士での階級が、軍曹(小隊分隊長)だったのに対して、ウルリッヒが、王国騎士としての士官(少尉)候補生・準騎士での階級が、少尉(小隊隊長)だった事に腹を立てた。
アルフォンスといい、ウルリッヒといい、兄である自分よりも出来の良い弟など、目障りなだけだった。
後に、一回り以上年下のウルリッヒと階級が並ぶと、早々に王国騎士団を退団した。
当初の予定よりも早かったが、騎士を辞めた人間を遊ばせておく訳にもいかず、ジークフリートは仕方なく、オトフリートに家督を譲り、公爵家当主の仕事を任せたのだった。
ジークフリートも、ヴィルヘルムも、行く行くはライテンバッハ家の家督をオトフリートに継がせる予定だった。
その為に領地運営や、書類処理に明るい文官を多く輩出している侯爵家の娘と結婚させた。
オトフリートの書類処理能力が武術より低かったからである。
そして彼は22歳の時に、文官を多く輩出している、エーベルハルト侯爵家の長女ヘレーネと結婚した。
(この時はまだ爵位を継承していない。)
**********
**********
話は、アルフォンスの王立学園時代に戻る―
アルフォンスであるが、兄の養成所一般課程修了式後のトラブルがあった後は、王都の邸から王立学園に通っていた。
休む日も多かったが、成績はトップクラスだったので、何とか無事に卒業する事が出来た。
けれど、昔に比べれば熱を出して寝込む事も殆ど無くなったが、騎士団に入団する事が出来ない為、当時ライテンバッハ公爵家の当主だった父、ジークフリートの書類仕事を手伝っていた。
縁談は、学園に通っていた時からあったが、病弱を理由に全て断っていた。
何より、アルフォンス本人が、結婚するつもりは無いと公言していたからだ。
けれどいくら断っても、ライテンバッハ公爵家と姻戚関係を結びたい武門の家系である貴族からの縁談はかなり多かった。
そして月日は流れ、末弟のウルリッヒが、騎士養成所に入所した年、夏の休暇中に“武者修行”と称して、『友人のトリスタンが、実家のあるビュルテンベルク辺境伯領に帰省するから付いて行く。』と言って、辺境伯爵家の邸で長期間お世話になった。
後日、『その時のお礼に、年末に王家主催の舞踏会に出席する友人達を王都の邸に招待したい。』と言うので、許可した。
その後、ライテンバッハ家に来たのが縁で、次女オデットが22歳で、三女フィアーナが20歳で、四男ウルリッヒ18歳での結婚が決まる事になったのだが…。
ヴィルヘルムや当主のジークフリートとその補佐をしていたアルフォンスは頭を抱えた。公爵家の令息、令嬢が立て続けに結婚するのである。その費用の合計額たるや…とんでもない額であった。
ヴィルヘルムもジークフリートも、顔色が青いのを通り越して白くなっていた。
幸い、二人とも妻の実家から幾許かのお金を援助して貰えたので、事なきを得た。
後日、ジークフリートは子供達に、作る子供の数を考えるようにアドバイスしたのは言うまでもない。
0
あなたにおすすめの小説
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)
MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる