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── 第一章 ──
25.父と息子【第一章・完】
しおりを挟むミハイル・ローエングリン。
俺とルイーゼの息子。
見た目は俺に似てしまった。だから、不安になってしまう。
健康面に於いて、身体が弱い俺に似てしまったら…と。
だが、今のところその心配は無さそうだ。元気で風邪一つひいた事がない。
と言っても、まだ2才にもならないから、この先の事は分からないが…。
外に出て遊び出すようになったら、病気になったりしやすいらしい。
サラサラでまっすぐな、プラチナシルバーの髪に、赤紫の瞳。
ルイーゼは金髪で、アメジストのような紫の瞳だ。
髪の色は俺と同じ。瞳の色は二人の色を混ぜた色になる。
黙ってじっとしていたら女の子に見える。幼い頃はどちらかと言えば、大人しい子供だった。
が、6才の時にある出来事があって、それ以降は女の子に見られる事が余程嫌だったのか、かなり活発な子供になった。
何より、それまで以上に剣技の練習に打ち込むようになり、親バカで何なんだが、剣の才能は同じ年齢の子供達の中では一番だと思う。
6才の時の出来事と言うのは、俺の弟ウルリッヒの子供、従弟のコンラートが遊びに来ていた時に起こった。
ミハイルを女の子だと思っていたコンラートに、頬にキスされたのが、物凄くショックだったようだ。
そして、コンラートにとってもショックだったらしい。ミハイルが男の子だった事が……。
ただ、俺とルイーゼの体格に似た所為か、太マッチョなボディーにはならなかった。
が、豹を彷彿とさせるような引き締まった体格で、瞬発力に秀でていた。
俺と同じ双剣使いになりたかったのか、幼い内から普通のロングソードだけでなく、双剣の練習もしていた。
体格には恵まれなかったが、瞬発力に秀でていた事が幸いしたのか、颯渡をマスターするのが早かった。
おまけに、手先が器用だったのも手伝って、颯天での双剣の扱いは見事で、俺にもその剣捌きの手の動きは見えなかった。
そして、健康な身体を持っている……。
息子の能力や才能を見て誇らしく思う反面、羨望の眼差しで見る事が多くなってきた。
日を追う毎に、自分に残された時間が少ない事を思い知らされる。
寝込む事も増えてきた。
まだ生きたい!
そして、剣の道をもっと極めたい!
強く渇望している自分が身の内で叫んでいる。
しかし、どれ程渇望しようとも、叶わない。この身に残された時間が尽きようとしている事を…嫌でも自覚させられる毎日に、泣き喚きたくなる。
そんな心の内が、ルイーゼにはバレているのだろう。
最近は、公爵夫人としての仕事だけでなく、当主の仕事も引き受けて忙しい筈なのに、俺の傍に居る時間を設けてくれている。
最後まで、幸せな笑顔のままで居て欲しかった。
なのに、悲しい思いをさせてしまう事を申し訳なく思う。
でも……最後まで傍に居てくれる。その事が嬉しい。幸せだと思ってしまう俺を許して欲しい。
いや、許してくれなんて言えない。
ルイーゼ、君を悲しみの中に置き去りにしてしまうのだから……。
君を置いて逝くのが分かっていて、傍に居て欲しい。
俺は何て我が儘なんだろうか……。
「君を最後まで幸せにしてやれなくてすまない。」
そう言うと、
「あなたと結婚して、あなたの子を産めて幸せだったわ。残りは次に会った時に、その分も纏めて幸せにしてくれるんでしょ。」
微笑んで言う君には参ったよ。
「…ルイーゼ……ありが…とう……。」
願わくは……また…会おう……そして…次…こそ……しあ…わ……せに……。
アルフォンス・ローエングリン、享年40才。
息子が騎士養成所に入る前の年の事だった。
大人になるまで生きられないと医師から言われていたが、40才まで生きた。
穏やかで物静かな見た目に反して、ストイックなまでに剣の道を極めた人生だった。
そして、伴侶を得る事が出来ないと、自分でも思っていたが、ルイーゼと出会い、結婚して子供まで授かり、全てではないが、我が子の成長を、その才能を見る事も出来て、幸せな人生だと思えた一生だった。
妻ルイーゼは夫の死後、再婚する事は無かった。
そして二人の子であるミハイルが、国内最強となるのだが、それはまた別の話である。
── 第一章 ──
【完】
~~~~~~
*読んで下さった方々、本当にありがとうございました。
そして、しおりやお気に入り登録して下さった方々、本当にありがとうございました。
皆様方が居て下さったお陰で、第一章【完結】する事が出来ました。
しおりやお気に入りして頂く度に、励まされたように思っていました。
とても嬉しくて、有り難かったです。
本当にありがとうございました。m(_ _)m
次は、第二章でお会い出来たら嬉しいです。
では、(。>ω<。)ノ また
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