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─ 第二章 ─
3.嵐の日常
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※何行か下からセンシティブな内容(集団による暴力シーン)があります!
苦手な方はブラウザーバック願います。
読まれる方は自己責任でお願いします!
~~~~~~~
父を亡くし、その喪失感も消えない中で騎士養成所に入所した。
その年に開催された大会の対戦相手とその身内との事件だが、相手側が養成所に『親の権威を笠に着たとんでもない乱暴者がいる』と抗議してきたらしいが、双方から話を聞いた所長達は呆れた。
なんせ多勢に無勢。
しかも年下の男児に多勢で暴力を震った挙げ句、自分達が怪我を負った責任を取らせようとしたのだから。
あの後、腕に罅が入り、肋骨が折れているのに気付いたらしい。(自業自得だ。)
けれど、其奴らの腹いせか分からないが、その事が噂となりやたら絡まれる発端となった事は間違いない。
疾渡と疾天をマスターしていた俺は、所内や帰り道等での待ち伏せに、ほぼ足捌きと手捌きだけで対処できていた。
だから俺の中に慢心もあった事は認める。
そしてそういった輩達は、その事が殊更面白くなかったというところまでは百歩譲って分かるというか分かろうとした。
だからなるべく相手にしないように挑発などに乗らないようにしていたつもりだった。
だがそれだけでは駄目だったのだろうか?
全寮制の生活。
大人達の目の届かない場所でそれは起こった。
ある日、寮内のシャワールームで訓練後の汗を流していた。
頭を洗っている時、背後に人の気配を感じた。
振り返る間もなく腰を掴まれて転倒させられそうになり、蹈鞴を踏む形で簡易扉に相手を押し付けるように仕切られたシャワースペースから二人一緒に転げ出た。
腰を掴んだ相手とタイル床に倒れ込んだ瞬間に腰の腕が解けた。
と同時に飛び退くと何人かの男達が未だ倒れている男の上に伸し掛かったのが見えた。
が、目を開けていられたのはそこまでだった。
頭を洗うのに使用した石鹸の泡が目に入り、痛くて目を開けていられない。
「くっ!?」
途端に腕を引かれ、足を取られて転倒しかけるも、何とか回転を加えながら相手の腕を引き、その反動で自分の体勢を立て直した。
此方に来たらしい誰かが、俺に引き倒された相手に躓き転んだようだ。
目を瞑ったまま相手の気配を探る。
感じた気配から、残る人数は三人だと思われた。
だが、油断は出来ない。
そのまま距離を詰められないように出口があると思しき方へじりじりと移動する。
ガチャッ!!
「「「「っ!?」」」」
一斉に息を呑む。
「ん?お前ら…何をやっている!!」
怒鳴りつける声に驚いたらしく、目の前にあった気配が風のように走り去った。
助かった…のか?
いや、まだ分からない。
警戒したまま出口にある気配に目を瞑ったまま殺気を向けた。
「ちょっ…ま、待て…待て待て待て!」
「………。」
何も言わずに声がした方へ体ごと向き直った。
「俺だ、俺!指導教官の…!」
「…ああ、フェルナー教官…ですか?」
ホッとして体から力が抜けた。
何故なら彼は叔父の元学友(悪友とも言う)だからだ。
「…まさか!?目が見えないのか?」
「いえ、これ…は泡が目に入って…。
」
「分かった。もう大丈夫だから目を洗って来いよ。話は後で聞く。」
「ありがとうございます。」
そう言うとシャワースペースに戻り、大急ぎで頭の泡を流して目を洗った。
まだ少し痛いが、目を開けていられないほどではなかった。
シャワースペースから出て来ると、フェルナー教官は倒れていた男二人を後ろ手に拘束していた。
「で?コイツらは?知っている奴らか?」
開口一番に質問してきた。
拘束された二人の顔を見たが、見知った顔ではなかったのでそう答えた。
「何があったのか、きっちり聞かせて貰おうか。早く服を着てお前も来い。」
そして俺達は教官室へと向かったのだった。
そこで二人から聞き出した話は、随分身勝手で何とも胃がムカムカとする腹立たしい話で、俺を襲った奴らの計画が上手く行っていたらと想像しただけで吐き気がした。
フェルナー教官の憐れむような顔が暫く忘れられなかった。
~~~~~~
*超遅亀更新&不定期更新にも拘わらず、いつもお付き合い(お読み)いただきありがとうございます!
*投票して下さった方々本当にありがとうございます!!
*お気に入り、しおり、エールやいいね等もありがとうございます!
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父を亡くし、その喪失感も消えない中で騎士養成所に入所した。
その年に開催された大会の対戦相手とその身内との事件だが、相手側が養成所に『親の権威を笠に着たとんでもない乱暴者がいる』と抗議してきたらしいが、双方から話を聞いた所長達は呆れた。
なんせ多勢に無勢。
しかも年下の男児に多勢で暴力を震った挙げ句、自分達が怪我を負った責任を取らせようとしたのだから。
あの後、腕に罅が入り、肋骨が折れているのに気付いたらしい。(自業自得だ。)
けれど、其奴らの腹いせか分からないが、その事が噂となりやたら絡まれる発端となった事は間違いない。
疾渡と疾天をマスターしていた俺は、所内や帰り道等での待ち伏せに、ほぼ足捌きと手捌きだけで対処できていた。
だから俺の中に慢心もあった事は認める。
そしてそういった輩達は、その事が殊更面白くなかったというところまでは百歩譲って分かるというか分かろうとした。
だからなるべく相手にしないように挑発などに乗らないようにしていたつもりだった。
だがそれだけでは駄目だったのだろうか?
全寮制の生活。
大人達の目の届かない場所でそれは起こった。
ある日、寮内のシャワールームで訓練後の汗を流していた。
頭を洗っている時、背後に人の気配を感じた。
振り返る間もなく腰を掴まれて転倒させられそうになり、蹈鞴を踏む形で簡易扉に相手を押し付けるように仕切られたシャワースペースから二人一緒に転げ出た。
腰を掴んだ相手とタイル床に倒れ込んだ瞬間に腰の腕が解けた。
と同時に飛び退くと何人かの男達が未だ倒れている男の上に伸し掛かったのが見えた。
が、目を開けていられたのはそこまでだった。
頭を洗うのに使用した石鹸の泡が目に入り、痛くて目を開けていられない。
「くっ!?」
途端に腕を引かれ、足を取られて転倒しかけるも、何とか回転を加えながら相手の腕を引き、その反動で自分の体勢を立て直した。
此方に来たらしい誰かが、俺に引き倒された相手に躓き転んだようだ。
目を瞑ったまま相手の気配を探る。
感じた気配から、残る人数は三人だと思われた。
だが、油断は出来ない。
そのまま距離を詰められないように出口があると思しき方へじりじりと移動する。
ガチャッ!!
「「「「っ!?」」」」
一斉に息を呑む。
「ん?お前ら…何をやっている!!」
怒鳴りつける声に驚いたらしく、目の前にあった気配が風のように走り去った。
助かった…のか?
いや、まだ分からない。
警戒したまま出口にある気配に目を瞑ったまま殺気を向けた。
「ちょっ…ま、待て…待て待て待て!」
「………。」
何も言わずに声がした方へ体ごと向き直った。
「俺だ、俺!指導教官の…!」
「…ああ、フェルナー教官…ですか?」
ホッとして体から力が抜けた。
何故なら彼は叔父の元学友(悪友とも言う)だからだ。
「…まさか!?目が見えないのか?」
「いえ、これ…は泡が目に入って…。
」
「分かった。もう大丈夫だから目を洗って来いよ。話は後で聞く。」
「ありがとうございます。」
そう言うとシャワースペースに戻り、大急ぎで頭の泡を流して目を洗った。
まだ少し痛いが、目を開けていられないほどではなかった。
シャワースペースから出て来ると、フェルナー教官は倒れていた男二人を後ろ手に拘束していた。
「で?コイツらは?知っている奴らか?」
開口一番に質問してきた。
拘束された二人の顔を見たが、見知った顔ではなかったのでそう答えた。
「何があったのか、きっちり聞かせて貰おうか。早く服を着てお前も来い。」
そして俺達は教官室へと向かったのだった。
そこで二人から聞き出した話は、随分身勝手で何とも胃がムカムカとする腹立たしい話で、俺を襲った奴らの計画が上手く行っていたらと想像しただけで吐き気がした。
フェルナー教官の憐れむような顔が暫く忘れられなかった。
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