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職員会議
しおりを挟むああ...私の天使、唯一の癒し...。
蒼依の一言で、仕事に対してのやる気が満ち溢れるなんて自分でも単純だと思うが、その後脅威の集中力で小テストを完成させた。
16時
分かってはいたが、結局神崎は登校せず「明日行く」とだけ連絡が入っていた。
この甘ちゃんめ...私は甘いかもしれないが、社会はそんなに優しくないんだぞ。
と、言うか...私は神崎に連絡先を教えていたかな...?
ぼんやり考え事をしていると、職員室に3-Bの生徒がやって来た。
職員室に入るなり、スカートの短さを碓氷に指摘されて渋々スカートを直したかと思うと、若王子の元へ駆け寄る。
「若王子せんせー」
「ん?」
作業していた手を止め、彼女の方を向く若王子は柔らかく微笑んだ。
...やっぱ、ちょっとだけカッコイイ。
「進路の相談したくて...この後って時間ありますか?」
「あー...この後、職員会議あるんだよね。終わるのも遅いし、明日でも良ければ時間作るよ」
「本当?じゃあ明日の放課後にお願いします」
目を輝かせる女子生徒。
「オーケー。空き教室取るの面倒だから、16時に化学準備室まで来てくれる?」
「分かりました、ありがとうございます」
頭を下げて職員室を後にする女子生徒を見ては、何だか胸が痛んだ。
「若王子先生って、なんだかんだ言って女子人気高いですよね~」
若王子に聞こえないくらいの声で喋りかけてきた石井に愛想笑いを浮かべ、手元のパソコンに視線を落とす。
女子生徒があまりにも可愛かったからなのか、誰にでも優しい若王子に腹が立ったのか...何だか無性にモヤモヤして、前髪をくしゃりと握った。
その15分後に職員会議が始まったのだが、どうにも身が入らない。
一体どうしてしまったんだ、何がそんなに気に入らないのか...。
自分でもよく分からず余計にモヤモヤする。
「て、ことでお願いしてもいいですか?姫神先生」
「えっ、はい...!」
「ああ、良かった!」
え、何。
まずい、全然聞いてなかったぞ。
普段の職員会議は寝ててもいいレベルの薄い内容なのに、今日に限って何かを依頼された...何てタイミングの悪い。
「下見はどの先生も2、3回は経験してて正直飽きてしまってるんだよねぇ...。まあ、毎年同じルートですし、うちの修学旅行はお堅くないので、夏休み中に旅行感覚で下見をお願い出来ればと思います」
..........は?
「でも流石に1人だと何かあった時に困るから...、若王子先生にもお願いしていいですか?」
「ええ、もちろんです」
いつになく満面の笑みを浮かべる若王子。
「!?え、わ、私も行きます!」
「おやおや、姫神先生は人気者ですねぇ。どうせなら3学年の4人に下見に行って貰いましょうか」
...............は?
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