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箱
しおりを挟む「そ、んなこと...」
「妬けるんだけど」
項を軽く吸われて身震いする。
それでも手を休めることなく食器を洗い終えた私を壁へ押しやった彼は、顎を掴み深く口付けた。
「ふっ、...ん」
逃げようとしても、押し返そうとしてもキスが気持ち良すぎて力が入らない。
腿と腿の間に脚を割入れられ、両腕も壁に押さえ付けられれば、抵抗することも出来なくなった。
舌が擦れ合う度、腰からゾクゾクとした感覚が沸き起こる。
「あ、...んんっ、ん...ぅ...っ」
気持ち...頭ボーッとする...。
とろんとした目で前髪から覗く彼の瞼を見詰めていると、名残惜しいことに唇は離れてしまう。
「もう、若王子とはそういうことしないって...約束しなかった...?」
「、ごめ...でも...」
「気持ちいいから?我慢できないからセックスしちゃうの?...そんなの、俺がいくらでもシてあげるのに...」
首筋に舌を這わせ、そのままキツく皮膚を吸いあげれば、鬱血の痕が残った。
「か、神崎...」
「だから、ね...俺の身体、先生の好きにしていいよ...?」
「っ...」
私の手を神崎の大きな手が包んだかと思えば、そのままするりと彼の服の中へ滑り込ませる。
すべすべな肌。
触れると掌に吸い付くような弾力。
程よく筋肉のついた靱やかな身体に、ゴクリと喉を鳴らした。
「っ、私からすれば...君も魔性の男なんだけど...」
「そう...?」
薄く色付いた乳首をわざとらしく掠め、彼はピクリと眉を動かす。
「...か、んざき...手、離して...」
触られている側じゃないのに、こっちが変な気分になりそうだ。
こんな綺麗な男が目の前で、「好きにして」と言いながら身体を触らせてくるなんて誰が想像しただろうか。
乳首も、縦に割れた腹筋も、下半身へと繋がる臍も...高校生とは思えない色気ダダ漏れのその顔も、全てが心臓に悪い。
「せんせ...」
「だ、だめ!今日はえっちしないって決めてて...!」
「...危険日なの?」
違う。
神崎の拘束から解放されると、彼は「風呂」とだけ口にして、バスルームへと消えて行った。
「もう...調子狂うな...」
部屋に1人残された私は、辺りを見渡す。
ジロジロ見るのは悪いと思ったが、1度高まった好奇心を今更抑えることは出来ない。
無数の写真は神崎が撮ったものだろうか。
夏の風景を写した写真から、秋、冬、春と季節に沿ったもの。
人物が写ったポートレート写真なんかもあったが、夜空や朝焼けを写した写真が1番多かった。
「綺麗...」
デスクの死角にはアコースティックギターが飾られており、天板には楽譜が散乱している。
神崎は多趣味なんだな。
バイクも好きで写真も撮ってギターも弾いて、ほぼ無趣味の私とは大違いだ。
上質なソファーに腰を掛け一息つくと、姿見に反射してベッドの下に箱があることに気付く。
「ん...?なんだろ」
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