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項
しおりを挟むネイビーのズボンが、床に落ちるとその下着が露になる。
恥ずかしさでワイシャツの裾を引っ張りフロント部分を隠そうとするが、当然隠れるはずも無い。
「先生...」
「わ、わ...こっちに来るな...!」
じりじりと近寄ってくる神崎を前に後退り、ギュッと目を瞑るが、彼は呆気なく私を抱き締め髪に鼻を寄せた。
「...本当、俺の奥さんになって欲しい...一生大事にしてずっと愛してあげたい...」
「っ...」
この前父の発言を思い出したばかりだ。
愛なんて、そんな言葉を優しく囁かないでくれ...。
「...布面積少なくて、お尻丸出しで...今日1日この下着を穿いてるって思うと...」
もっこりと強調されたフロントに、彼が腰を押し付ける。
先程達したばかりだと言うのに、神崎のソレは勃起していた。
「授業中でも勃起しちゃいそうだよ...」
下着越しに伝わる熱さと、硬さに思わず生唾を飲む。
デカい...食べたい...。
いや、いかん、何を考えているんだ私は。
「も、いいだろ...スラックスを履かせてくれ...」
「残念だな」
私に背を向けた彼が、上に着ていたTシャツを脱ぎ捨てる。
綺麗な背中に視線を送りながら着替えていると、ある事に気付いた。
「ん...?んん?」
「え、なに。どうしたの」
ワイシャツを羽織る彼の項に顔を寄せる。
「これ...」
「なになに、なんかついてる?」
「タトゥー...?今まで項が隠れてたから気付かなかったけど...」
なんだ、それか。とつまらなそうに口にした彼の項には横文字のタトゥーが彫られていた。
髪を下ろして、ワイシャツを腕捲りした神崎はソファーに腰掛け、スマホを弄り始めてしまう。
「タトゥーなんて痛そうだなぁ」
「いや、気持ち良かったよ」
ああそうだね、君はそう言う奴だよね。
珈琲を飲みながらトーストを食せば、7時50分を過ぎていることに気付く。
ああっ...朝からあんなことがあったせいで、もうこんな時間だ。
急いで鞄とジャケットを抱え、優雅にスマホを弄る神崎を家から追い出す。
「遅刻しないようにね」
「ん。今日何時に帰ってくんの?」
「うーん、20時くらい?っ、やばい朝礼に遅れる!また後で!」
手を振る神崎に見送られながら私は車へ乗り込み、学校へ向かった。
「ねえねえ、若王子先生って甘いもの好きって本当?」
「その顔で甘いもの好きなのヤバくない?」
帰りのホームルーム後、またしてもうちのクラスの女子生徒に捕まった若王子を目撃。
「なに、その顔でって...」
面倒そうに受け答えする声を聞きながら、教室の植物に水を与える。
「今日ね、調理実習でクッキーとマドレーヌ作ったの!良かったら食べて欲しいなぁ」
「私のも受け取って若様!」
「...それ僕のこと?恥ずかしいからやめてくれる?」
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