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厄
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「…抱えても大丈夫だったのに」
呟きながらシートベルトをしたのは今北だった。
由多花はやんわり、結構です、と言って、仲良しさんに肩を借りて車に乗り込んだ。ごめん、と彼女は手をかざす。彼女は由多花と今北が付き合っていたことを知ってた人なので。
――仕方ない。総務課長が会議入っちゃったんだし、あがるところだった同じ部署のヤツに頼むことくらい――。
車という狭い空間にいることくらい、我慢出来るわ と由多花は息をついた。
今北は心持ち緊張していた。
毎日、顔合わせているのに、なんだ今更。
由多花はこの小心ぶりはなんだ、と軽く苛立つ。
近くの病院に連れて行ってもらって、念のためレントゲンを撮ったが骨には異常なく、ただの打ち身であったことにホっとした。
くるくると巻かれた包帯が痛々しいが、湿布も もらってあとは安静で済むので、由多花は元気に処置室を出た。
すると、出たところにまだ今北がいた。
「…もう、大丈夫ですよ」
「びっこ、ひいているじゃん。送るよ」
「いえ、駅まですぐですし」
「送る」
ぐいっと腕を引かれて、車まで連れて行かれた。
病院内で争うのもナンなので、とりあえず由多花は大人しく送ってもらうことにした。
――今日は厄日だわー。
タワーの駐車場まで辿りつくと、入り口まで少し歩くので仕方がない、ここまでなら呼び出しても支障ないだろうと思って由多花は携帯を取り出すが、送ってくれた人物に問題あること、忘れていた。ゴメン、松岡さん。
松岡さんは今北が嫌いだろうし、こいつも松岡さんが嫌いだろう。
なので、多少距離はあるが 歩くことにした。
シートベルトを外し、お礼を言って降りようとしたが、ドアにかけた手を止めるヤツがいる。
「――待って。少し話したい」
「私はないです。誤解を避けたいので、明日、会社で話してくれませんか?」
即答。
当然だ。
「……由多花ちゃんはあいつと……いつから付き合っていたんだ?」
はぁ? と大声が出た。それに今北はビクリとする。由多花の顔が今まで見たことないくらい、嫌悪で歪んでいたからだろう。
落ち着け、と由多花は自分に言い聞かせる。
「……今北さんに振られたあと、夕食とるために入った居酒屋で知り合ったんですよ」
言いたかないが、松岡さん二股説が闊歩しすぎる。当事者たちくらい、真実を知っていた方がいいだろう。
「でも、林さんは…松岡さんに裏切られたと思っているよ」
はー、と大きくため息。
「松岡さんの別れ方も悪かったかもしれません。林さん、今北さんとのこと、告白したそうです。それで、松岡さんは、彼女と連絡断ったんですよ」
え、と今北が驚く。どういう話になってんだろう? 今更ながら、気になってくる。
「私と出会った時、既に松岡さんは林さんとは連絡していませんでしたよ」
なんせ、引越しと同時に姿消したんだからな、ヤツは。
……そう考えたら、浮気を告白されてから一週間経っていないのか……。行動早い。林さんは、ほとぼりの冷めるまで、とか思ったのかな。そんな甘いやつではなかったのよ。
「…今北さんは彼女と付き合うってあの日言っていましたよね…。今北さんの思い込みだったんですか?」
違うよ、と混乱した今北が呟く。
「あの日は、本当に付き合いを始めよう、と話して…。ただ、俺は彼のこと、どうするのかとは聞いていないけど…。あのあと、彼と連絡取れなくなった、と聞いた。自分のせいだって。だから、彼のところ、戻るって…。だけど、すぐに由多花ちゃんと付き合っているのを知って、林さん、こんな急に新しい彼女が出来るなんて思っていなかったみたいだ。自分が好きなのは、やっぱり、彼だって――言っていた。だから、俺もてっきり、随分前から由多花ちゃんと その、林さんの彼が付き合っていたものだと…」
そーか。随分、調子いいな。
由多花は白けた気分で爪を見た。入力の仕事をしているので伸ばせない。短い爪にやすりをかけて、いつもパールピンクのマニキュアをする。たまに、もっとお洒落しようかな、と思った。
「あの人、そんな人じゃないですよ…。私も大事にしてもらっています…。林さんがどうだろうと、寄りを戻すのは不可能だと思います。多分…私たち、今のままなら結婚すると、思う…」
諦めて、と願った。
「…そうなんだ…」
今北はハンドルにつっぷす。
「あー、…俺、バカだった!」
――なにを、今更。恋に落ちたんだから、仕方ないでしょ。今なら、それくらい同情してあげられますよ。
「……俺、本気で……由多花ちゃん、好きだったよ」
「そうですか。降ります。これ以上は聞きたくないので」
本気で報復しとけば良かった、と由多花は思った。ここまでアホどもだったとは。
由多花がドアを開けようとしたら、影が落ちた。
カシャとシャッター音がする。
なに? と見上げると乱暴に開けられた車の扉から、ずる、と力一杯引きずり出され ルーフに音立てて頭を押し付けられた。……今北が。
「――松岡さん!!」
松岡さんが今北を後ろ手に締め上げていた。車から飛び出して走り寄る――つもりだったが、よろめいて由多花は車のフロントに手をついた。今北はその名前に瞠目している。
「お前、そいつになにしようとした?」
松岡さんは聞いたことない低い声でそう言うと 今北の頭をぐい、と押す。痛いやめろ、と今北が小さく悲鳴をあげた。
「ちょ、ちょっと、送ってもらっただけですよ!」
「膝を触ろうとしたのが見えたぞ」
え、まじで?
今北を見ると視線を外された。
「うわ…。サイテー…」
思わず呟く。もう、本気で明日 人事に相談するわ。セクハラで。
松岡さんは今北の頭をゴン、と強く叩いた。そして釘を刺すのを忘れない。
「写真撮っといたからな。自分が可愛かったら二度とするな」
そして、地面に向かって、今北をドサと投げつけた。
それから、由多花を抱えてマンションに戻った。
さすがに重いだろうとマンションのエントランスに入ったところで、由多花は松岡さんに降ろしてくれ、と言った。
松岡さんは大丈夫だから、と言うが由多花が ほぼ座りっぱなしの生活の彼の腰の心配をするのも仕方ないと思う。
「…すごい絶妙なタイミングだったね」
正直すごいびっくりした。今も動悸がやまないもの。
「お前の会社の 経理の子が家電に電話くれた。怪我しているから、会社の人間が車で送ったって。心配していたぞ」
さっきより少し声音が優しくなっている。由多花に怒っていないことを示してくれたのかもしれない。
エレベーターに乗ったところで松岡さんがようやく降ろしてくれた。
そして、さっき撮った写真を見せてくれた。
うわぁ、と由多花は声を出す。呆れるやら、腹立つやら。
――己が痴漢にあう直前なんて見たくなかったわ。
「まあ、先に人事にかけあってから、どうしても今北さんがしつこいようなら これ、労務に出します…」
情報課は居心地が良かったが仕方ない。でも、最初から由多花は経理に所属希望だったんだから、出来るならそちらの方に移動させてもらおう。
「――甘くないか?」
と、松岡さんは渋い顔をしたが 実際、触ってはいないので言い逃れが出来そうなんだもの。
「触るまで待ってくれても良かったかも」
そう言ったら松岡さんが、思い切りこちらを睨んだ。
「そこまで寛容な男がこの世にいるのか!?」
……ごもっとも。
呟きながらシートベルトをしたのは今北だった。
由多花はやんわり、結構です、と言って、仲良しさんに肩を借りて車に乗り込んだ。ごめん、と彼女は手をかざす。彼女は由多花と今北が付き合っていたことを知ってた人なので。
――仕方ない。総務課長が会議入っちゃったんだし、あがるところだった同じ部署のヤツに頼むことくらい――。
車という狭い空間にいることくらい、我慢出来るわ と由多花は息をついた。
今北は心持ち緊張していた。
毎日、顔合わせているのに、なんだ今更。
由多花はこの小心ぶりはなんだ、と軽く苛立つ。
近くの病院に連れて行ってもらって、念のためレントゲンを撮ったが骨には異常なく、ただの打ち身であったことにホっとした。
くるくると巻かれた包帯が痛々しいが、湿布も もらってあとは安静で済むので、由多花は元気に処置室を出た。
すると、出たところにまだ今北がいた。
「…もう、大丈夫ですよ」
「びっこ、ひいているじゃん。送るよ」
「いえ、駅まですぐですし」
「送る」
ぐいっと腕を引かれて、車まで連れて行かれた。
病院内で争うのもナンなので、とりあえず由多花は大人しく送ってもらうことにした。
――今日は厄日だわー。
タワーの駐車場まで辿りつくと、入り口まで少し歩くので仕方がない、ここまでなら呼び出しても支障ないだろうと思って由多花は携帯を取り出すが、送ってくれた人物に問題あること、忘れていた。ゴメン、松岡さん。
松岡さんは今北が嫌いだろうし、こいつも松岡さんが嫌いだろう。
なので、多少距離はあるが 歩くことにした。
シートベルトを外し、お礼を言って降りようとしたが、ドアにかけた手を止めるヤツがいる。
「――待って。少し話したい」
「私はないです。誤解を避けたいので、明日、会社で話してくれませんか?」
即答。
当然だ。
「……由多花ちゃんはあいつと……いつから付き合っていたんだ?」
はぁ? と大声が出た。それに今北はビクリとする。由多花の顔が今まで見たことないくらい、嫌悪で歪んでいたからだろう。
落ち着け、と由多花は自分に言い聞かせる。
「……今北さんに振られたあと、夕食とるために入った居酒屋で知り合ったんですよ」
言いたかないが、松岡さん二股説が闊歩しすぎる。当事者たちくらい、真実を知っていた方がいいだろう。
「でも、林さんは…松岡さんに裏切られたと思っているよ」
はー、と大きくため息。
「松岡さんの別れ方も悪かったかもしれません。林さん、今北さんとのこと、告白したそうです。それで、松岡さんは、彼女と連絡断ったんですよ」
え、と今北が驚く。どういう話になってんだろう? 今更ながら、気になってくる。
「私と出会った時、既に松岡さんは林さんとは連絡していませんでしたよ」
なんせ、引越しと同時に姿消したんだからな、ヤツは。
……そう考えたら、浮気を告白されてから一週間経っていないのか……。行動早い。林さんは、ほとぼりの冷めるまで、とか思ったのかな。そんな甘いやつではなかったのよ。
「…今北さんは彼女と付き合うってあの日言っていましたよね…。今北さんの思い込みだったんですか?」
違うよ、と混乱した今北が呟く。
「あの日は、本当に付き合いを始めよう、と話して…。ただ、俺は彼のこと、どうするのかとは聞いていないけど…。あのあと、彼と連絡取れなくなった、と聞いた。自分のせいだって。だから、彼のところ、戻るって…。だけど、すぐに由多花ちゃんと付き合っているのを知って、林さん、こんな急に新しい彼女が出来るなんて思っていなかったみたいだ。自分が好きなのは、やっぱり、彼だって――言っていた。だから、俺もてっきり、随分前から由多花ちゃんと その、林さんの彼が付き合っていたものだと…」
そーか。随分、調子いいな。
由多花は白けた気分で爪を見た。入力の仕事をしているので伸ばせない。短い爪にやすりをかけて、いつもパールピンクのマニキュアをする。たまに、もっとお洒落しようかな、と思った。
「あの人、そんな人じゃないですよ…。私も大事にしてもらっています…。林さんがどうだろうと、寄りを戻すのは不可能だと思います。多分…私たち、今のままなら結婚すると、思う…」
諦めて、と願った。
「…そうなんだ…」
今北はハンドルにつっぷす。
「あー、…俺、バカだった!」
――なにを、今更。恋に落ちたんだから、仕方ないでしょ。今なら、それくらい同情してあげられますよ。
「……俺、本気で……由多花ちゃん、好きだったよ」
「そうですか。降ります。これ以上は聞きたくないので」
本気で報復しとけば良かった、と由多花は思った。ここまでアホどもだったとは。
由多花がドアを開けようとしたら、影が落ちた。
カシャとシャッター音がする。
なに? と見上げると乱暴に開けられた車の扉から、ずる、と力一杯引きずり出され ルーフに音立てて頭を押し付けられた。……今北が。
「――松岡さん!!」
松岡さんが今北を後ろ手に締め上げていた。車から飛び出して走り寄る――つもりだったが、よろめいて由多花は車のフロントに手をついた。今北はその名前に瞠目している。
「お前、そいつになにしようとした?」
松岡さんは聞いたことない低い声でそう言うと 今北の頭をぐい、と押す。痛いやめろ、と今北が小さく悲鳴をあげた。
「ちょ、ちょっと、送ってもらっただけですよ!」
「膝を触ろうとしたのが見えたぞ」
え、まじで?
今北を見ると視線を外された。
「うわ…。サイテー…」
思わず呟く。もう、本気で明日 人事に相談するわ。セクハラで。
松岡さんは今北の頭をゴン、と強く叩いた。そして釘を刺すのを忘れない。
「写真撮っといたからな。自分が可愛かったら二度とするな」
そして、地面に向かって、今北をドサと投げつけた。
それから、由多花を抱えてマンションに戻った。
さすがに重いだろうとマンションのエントランスに入ったところで、由多花は松岡さんに降ろしてくれ、と言った。
松岡さんは大丈夫だから、と言うが由多花が ほぼ座りっぱなしの生活の彼の腰の心配をするのも仕方ないと思う。
「…すごい絶妙なタイミングだったね」
正直すごいびっくりした。今も動悸がやまないもの。
「お前の会社の 経理の子が家電に電話くれた。怪我しているから、会社の人間が車で送ったって。心配していたぞ」
さっきより少し声音が優しくなっている。由多花に怒っていないことを示してくれたのかもしれない。
エレベーターに乗ったところで松岡さんがようやく降ろしてくれた。
そして、さっき撮った写真を見せてくれた。
うわぁ、と由多花は声を出す。呆れるやら、腹立つやら。
――己が痴漢にあう直前なんて見たくなかったわ。
「まあ、先に人事にかけあってから、どうしても今北さんがしつこいようなら これ、労務に出します…」
情報課は居心地が良かったが仕方ない。でも、最初から由多花は経理に所属希望だったんだから、出来るならそちらの方に移動させてもらおう。
「――甘くないか?」
と、松岡さんは渋い顔をしたが 実際、触ってはいないので言い逃れが出来そうなんだもの。
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