3 / 40
初対峙
しおりを挟む
1
ネコパンチは車のワイパーが左右するのをしばらくぼーっと眺めていた。
ワイパーがどんなに往復しても、降り続ける雪のせいで視界は白く染まってゆく。
「ねぇヨーコ」
ヨーコと呼ばれた女性は明らかにイラついた表情でタバコをふかしながらハンドルを握っている。
「ねぇってば!ヨーコ」
「1回呼んで無視したら、口を閉じてろってルール忘れたの?」
「そうだけどさ、あなたの能力でその、天気変えられないのかな…って」
ヨーコは新しいタバコに火を付けながらだるそうに答えた。
「さっきの連発でエネルギー不足。以上」
ネコパンチは納得したかのように帽子を深々とかぶり、眠りに入ろうとしたその瞬間、
彼のお腹にヨーコが箱をポンと乗せた。なにかと思い、つかむと。
彼女愛用のタバコだった。中には2本、タバコが入っている。
「これが無くなくなる前に店を見つけられなかったら、あんた外出て探しなさいよ」
「ちょ、ちょっと待ってよ!この吹雪でポストマンも外には出れないはずだから落ち着こうよ、ね?」
彼女は無言で走り続けた。
ネコパンチも無言になり、車内は静寂につつまれた。
気を紛らわす為にラジオを付けようとも考えたが、とてもそんな気分じゃなかった。
2
吹雪がやむ気配はなかった。
どんなにワイパーを最大出力でかけても、雪が張り付いて視界は狭まり、徐行運転で行くほか道はない。
車内暖房も焼け石に水状態で、おまけに電気量メーターも「E」に近づきつつあった。
「もう色々限界だよぉ~!」
その時である。店の明かりがぼうっとではあるが、左手にかすかに付いている。
「宿屋でありますように宿屋でありますように」ポストマンはもう神に委ねるしかなかった。
幸い神はポストマンを見放さなかったようだ。
3
よろめきながらポストマンが扉を開けると、テーブルとイスに3人の酔っ払いが大声を上げ酒を飲んでいた。
2人組と、1人。
周囲の人数を数えるのはAAAの癖でもある。カウンターには背筋をピンと正した老婆がおり、
「大丈夫?こんな吹雪の中で…」とタオルを渡してくれた。声も大きく、10歳以上若く見えた。
「さすがにこの吹雪で泊まり客がいなくてねぇ」
「そうですか。僕は吹雪が止むまでお世話になります」
老婆はにっこりとした。
「あ、あと自動車用の電気充電機はあります?」
「ありますよ。」
助かった…。どんなに面倒でも小さいズダ袋は絶対に手からは離さなかった。
「じゃあこの台帳に指紋をお願いしますね。」
「はいはい」
指紋を付けることで、暗号化されカードに情報が入り、そのカードでドアが開く仕組みになっている。
こんな小さな宿屋でも導入されているんだなぁと思っていると、老婆が帽子に付けた身分証を見て
「テッド・ロスって言うんだねぇあなた。AAAなんて観たことないよ。うちに来るのはCくらいで…」
と、途端に3人の男たちが一斉に自分の方へと視線が集まる。
帽子に身分証を付けるのは郵便屋絶対のルールなのだ。
「AAAなんか、あんた」
2人組のうちの一人が立ち上がった。合図のように皆立ち上がる。
「大統領命令の書類だろ…売れば10年は酒飲めるぜ」
「あんたたち…」老婆の声がゴングであるかのように4人が一斉に銃を取り出す。
当然ポストマンの初動がケタ違いに早い。一番近くの1人をヘッドショットし、その殺した男を盾に
した。相手が弾が切れるまでその盾を使い、1人は弾が無くなり、もう一人はジャミングしたところで
郵便屋が2人をヘッドショットし、酔っ払いの掃討はあっけなく幕を閉じた。
所詮相手は酔っ払いである。郵便屋はゆっくりとガンホルダーに銃をしまった。
老婆が身動きできないほど驚いていると、ポストマンはにっこりしながら言った。
「こいつら全員外に埋めておきますね」
4
よろめきながら2人組の客が入ってくる。
カウンターには老婆以外、誰もいない。
背筋をピンと正しており、10歳以上若く見えた。
老婆は微笑みながら言った。
「大丈夫?こんな吹雪の中で…」とタオルを渡してくれた。
「いらない」女性客は跳ねのけた。片頭痛を呼び寄せるでかい声にうんざりしてる様子を隠そうともしなかった。
「僕はいります、ありがとう」カウンターギリギリのもう一人は、小さすぎて顔も見えなかった。
「自動車用充電器とタバコある?」
「ありますよ。タバコは1種類でショートとロングしかありませんが」
チッ。舌打ちしたが、無いよりは断然ましである。
指紋認証をすませ、手早くカードとタバコをもらうと2階へと上がっていった。
と、小さい少年が床の染みに気づいたが、とにかく眠りたかったので無視をした。
「早く風呂風呂」
女性と少年はフラフラしながら、2階の奥へと消えていった。
ネコパンチは車のワイパーが左右するのをしばらくぼーっと眺めていた。
ワイパーがどんなに往復しても、降り続ける雪のせいで視界は白く染まってゆく。
「ねぇヨーコ」
ヨーコと呼ばれた女性は明らかにイラついた表情でタバコをふかしながらハンドルを握っている。
「ねぇってば!ヨーコ」
「1回呼んで無視したら、口を閉じてろってルール忘れたの?」
「そうだけどさ、あなたの能力でその、天気変えられないのかな…って」
ヨーコは新しいタバコに火を付けながらだるそうに答えた。
「さっきの連発でエネルギー不足。以上」
ネコパンチは納得したかのように帽子を深々とかぶり、眠りに入ろうとしたその瞬間、
彼のお腹にヨーコが箱をポンと乗せた。なにかと思い、つかむと。
彼女愛用のタバコだった。中には2本、タバコが入っている。
「これが無くなくなる前に店を見つけられなかったら、あんた外出て探しなさいよ」
「ちょ、ちょっと待ってよ!この吹雪でポストマンも外には出れないはずだから落ち着こうよ、ね?」
彼女は無言で走り続けた。
ネコパンチも無言になり、車内は静寂につつまれた。
気を紛らわす為にラジオを付けようとも考えたが、とてもそんな気分じゃなかった。
2
吹雪がやむ気配はなかった。
どんなにワイパーを最大出力でかけても、雪が張り付いて視界は狭まり、徐行運転で行くほか道はない。
車内暖房も焼け石に水状態で、おまけに電気量メーターも「E」に近づきつつあった。
「もう色々限界だよぉ~!」
その時である。店の明かりがぼうっとではあるが、左手にかすかに付いている。
「宿屋でありますように宿屋でありますように」ポストマンはもう神に委ねるしかなかった。
幸い神はポストマンを見放さなかったようだ。
3
よろめきながらポストマンが扉を開けると、テーブルとイスに3人の酔っ払いが大声を上げ酒を飲んでいた。
2人組と、1人。
周囲の人数を数えるのはAAAの癖でもある。カウンターには背筋をピンと正した老婆がおり、
「大丈夫?こんな吹雪の中で…」とタオルを渡してくれた。声も大きく、10歳以上若く見えた。
「さすがにこの吹雪で泊まり客がいなくてねぇ」
「そうですか。僕は吹雪が止むまでお世話になります」
老婆はにっこりとした。
「あ、あと自動車用の電気充電機はあります?」
「ありますよ。」
助かった…。どんなに面倒でも小さいズダ袋は絶対に手からは離さなかった。
「じゃあこの台帳に指紋をお願いしますね。」
「はいはい」
指紋を付けることで、暗号化されカードに情報が入り、そのカードでドアが開く仕組みになっている。
こんな小さな宿屋でも導入されているんだなぁと思っていると、老婆が帽子に付けた身分証を見て
「テッド・ロスって言うんだねぇあなた。AAAなんて観たことないよ。うちに来るのはCくらいで…」
と、途端に3人の男たちが一斉に自分の方へと視線が集まる。
帽子に身分証を付けるのは郵便屋絶対のルールなのだ。
「AAAなんか、あんた」
2人組のうちの一人が立ち上がった。合図のように皆立ち上がる。
「大統領命令の書類だろ…売れば10年は酒飲めるぜ」
「あんたたち…」老婆の声がゴングであるかのように4人が一斉に銃を取り出す。
当然ポストマンの初動がケタ違いに早い。一番近くの1人をヘッドショットし、その殺した男を盾に
した。相手が弾が切れるまでその盾を使い、1人は弾が無くなり、もう一人はジャミングしたところで
郵便屋が2人をヘッドショットし、酔っ払いの掃討はあっけなく幕を閉じた。
所詮相手は酔っ払いである。郵便屋はゆっくりとガンホルダーに銃をしまった。
老婆が身動きできないほど驚いていると、ポストマンはにっこりしながら言った。
「こいつら全員外に埋めておきますね」
4
よろめきながら2人組の客が入ってくる。
カウンターには老婆以外、誰もいない。
背筋をピンと正しており、10歳以上若く見えた。
老婆は微笑みながら言った。
「大丈夫?こんな吹雪の中で…」とタオルを渡してくれた。
「いらない」女性客は跳ねのけた。片頭痛を呼び寄せるでかい声にうんざりしてる様子を隠そうともしなかった。
「僕はいります、ありがとう」カウンターギリギリのもう一人は、小さすぎて顔も見えなかった。
「自動車用充電器とタバコある?」
「ありますよ。タバコは1種類でショートとロングしかありませんが」
チッ。舌打ちしたが、無いよりは断然ましである。
指紋認証をすませ、手早くカードとタバコをもらうと2階へと上がっていった。
と、小さい少年が床の染みに気づいたが、とにかく眠りたかったので無視をした。
「早く風呂風呂」
女性と少年はフラフラしながら、2階の奥へと消えていった。
0
あなたにおすすめの小説
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)
MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
愛しているなら拘束してほしい
守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる