辺境男爵三男坊 平穏、常識、自重を投げ捨てる。スローライフってそういう意味じゃない。

さもえど

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第一章

女神との再会

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 ほの暗い長いトンネルと抜けるとアズファルドだった。

 異世界の第一声は「うぉっ、まぶし」か「見知らぬ天井だ」と思ってたが残念ながら、「おぎゃあ」だった。生まれたばかりでぼやけた視界の前には金髪の男性と赤髪の女性が涙を流しながら僕を見ていた。事情を何も知らない僕は両親は感激屋さんなのかなとその時は思っていた。

 「初めまして、私の坊や。お母さんのルイーズよ。生きてくれてありがとう。」僕を腕に抱きながら涙声のお母さんが僕に話しかける。
 「俺はセオドア。お父さんだぞ。お前の名前はアーウィン。アーウィン=グレンだ。」お母さんの対面にいたお父さんがそう言った。
 「だあだあ」良かった言葉が分かる。安心で表情がゆるむ。

 「アーウィンが笑ったわ、あなた。」
 「いい名前だろ?。気に入ったみたいだな。」
 「黒髪、黒目は珍しいわね。この辺りでは目立つかも。」この辺りでは金髪茶髪赤髪で青や緑の目の色が多い。黒髪、黒目は東部にいるものの北部では珍しいのだ。
 「ルイーズ、疲れただろう。もう休んだ方が良い。」セオドアは心身ともに疲労している妻を気遣う。
 「わかったわ。坊やに母乳を飲ませたら少し眠るわ。」
 「それが良い。また後で来る。」そう言ってセオドアは部屋を出ていった。

 セオドアが部屋を出て行った後、ルイーズはアーウィンに母乳を飲ませゲップをさせ直ぐに眠ってしまった。
 アーウィンもお腹が膨れたのか急に眠むたくなり、コテっと電池が切れたように寝てしまった。

 
 「恭弥さん、起きてください。」心が落ち着くような女性の声が耳元で聞こえる。
 「おはようございます。」目をこすりながら僕は体を起こす。体を確認すると僕は赤ちゃんの姿から死ぬ直前の姿になっていた。
 きょろきょろ周囲を見回すと飾り気のない豆腐部屋に白い円卓のテーブルが1卓と椅子が4脚置かれており、そこにはリーアナの他にマッチョ中年の男性とローブを着た白い髭を生やした老人が座っていた。
 「こちらに来て座ってください。」リーアナは男性二人の間に座ると恭弥に自分の正面に座るように促した。
 「失礼します。」恭弥は3人の神様に対して一礼して着席した。
 「恭弥さん、無事転生できましたね。私も転生が上手くいって安心しました。」
 「こいつか?、リーアナを助けたという男は?」マッチョな中年が恭弥を睨みながら言った。
 「そうみたいじゃの。儂らからも礼をいうぞ、恭弥殿。」軽く頭を下げながらローブを着た老人が礼を言った。
 「地球に受肉して降臨したは良いものの、美食だショッピングだのに浮かれて隙を見せるとは言語道断。厳しく鍛え直す。」マッチョな中年の男は怒り心頭といった具合。
 「あーあー、聞こえない。」リーアナは耳を塞ぎながら呟いた。
 「初めて地球に行ったのなら少々浮かれるのは、やむを得まい。まあ、油断大敵じゃの。」ローブを着た老人が助け船を出す。
 「そうよね、わかってるわねローガン爺。楽し過ぎてちょっと浮かれちゃったのよね。次は油断しないわ。」
 「甘い、ローガンはリーアナに甘すぎる。」ベイルは椅子から立ち上がり激昂しかけた。
 「ベイルも地球に降りた時・・・・。」ローガンは遠い昔を思い出すかの如く何かを言いかけた。
 「わかった。みなまで言うな。」ベイルは乱暴に椅子に座ると押し黙った。
 蚊帳の外に置かれていた恭弥は仲が良いなと思いながら3神を見ていた。
 「自己紹介がまだじゃったの?。儂はローガン。魔法を司る神じゃ。」
 「武神ベイルだ。」
 「初めまして地球では水月恭弥、アズファルドではアーウィン=グレンです。よろしくお願いします。」
 「あとは豊穣の神、商業の神、職人の神、魔人の神とか色々いるけど、今日は呼んでないわ。」
 「どうしてですか?」
 「一言で言うと面倒だからかな?。」可愛く首をかしげる。
 「お前が気にすることではない。」ベイルは恭弥を睨みつけた。
 「はい。これ以上は聞きません。」
 「それが良いぞ。地球の言葉で好奇心は猫を殺すというじゃろ。」ローガンは笑っているが眼が笑っていない。
 「ベイルもローガン爺も恭弥さんをあまり脅かさないで。でもあまり聞いてほしくはないかな。」リーアナの言葉に恭弥はうなづいた。

 「今日呼んだのは恭弥さんに授けるギフトの件とあなたの体質に関する説明を二人にしてもらうためです。」
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