辺境男爵三男坊 平穏、常識、自重を投げ捨てる。スローライフってそういう意味じゃない。

さもえど

文字の大きさ
4 / 5
第一章

ギフト

しおりを挟む
  
 「お前は特殊な体質で生まれてきた。その説明をするぞ。」
 
  「わかりました。よろしくお願いします。」

 「まず、儂からじゃの恭弥殿。アーウィンの体内にある魔力器官が未発達での5歳まで魔法は使えないのじゃよ。」ローガンがあごひげを撫でながら言った。

 「それは何故ですか?」僕がそう聞くとローガンが指を鳴らすとホワイトボードが現れて、魔力器官と魔素と魔力の相関図を描いていく。いつの間にか差し棒を取り出し僕に説明する。

 「普通は食事等で魔素を取り込み魔力器官で魔力に変換するのじゃが、アーウィン魔力器官はそれが殆どできない状態にある。」

 「無理に変換しようとすると溜め込んだ魔素が未発達の魔力器官によって変換エラーを起こし最悪の場合」

 「ボンッじゃ。」ローガンがそう言うと
 
 「きったねえ、花火だぜ。」ベイルが笑いながら言った。
 
 「ローガン爺、なにか恭弥さんが魔法を使える方法はありませんか?。例えば魔道具みたいな物とか」
 
 「そうじゃのう。魔道具・・・か」ローガンは腕を組みしばらく悩むと何かを思いついた表情になった。
 「そうじゃ、魔法言語と魔法陣魔法を教えよう。これは主に魔道具作成に使う魔法じゃ。だが問題が残っておるの」

 「魔力を通さねば魔道具は発動せんぞ。」

 「そこが問題じゃのう。」

 「あの。良いですか?」
  
 「何かいいアイデアが浮かびましたか?恭弥さん。」
 
 「はい。魔法陣を空間に描ける能力と空中の魔素を魔法陣で魔力に変換できるようにしてください。」これなら体内の魔力器官を使わずとも魔法を使う事ができると思った。

 「ふむ、面白いアイディアじゃのう。」
 ローガンは髭を触りつつ少し考える。考える時に髭を触るのは癖らしい。
 「よいぞ、ただ魔法陣による魔素を変換する事は禁呪じゃ。魔力に変換する上限をきめさせてもらうがの。」
 
 「それはお任せします。」際限なく魔素を変換出来たらそれは大問題になる。

 「ふむよろしい。」
 
 「次は俺だな。身体強化を使えないお前はこの世界ではひ弱で貧弱な存在だ。世界一弱いと言っても良い。だが鍛えようによっては世界一強くなる可能性を秘めている。それはお前の持つ特殊な体質が関係している」
 
 「特殊な体質ってなんですか?」

 「お前は任意に魔力切れ状態になれる。そしてそうなっても普通に動ける。」ベイルがドヤ顔で言うが恭弥には何がすごいかさっぽりわからなかった。

 「すごい事なんですか?」

 「この世界の万物は魔力を持っておる。魔力がなくなることはほぼ死ぬと同じじゃ。」

 「人族が自身の持つ魔力の90%以下になると動けなくなる。95%以下で気絶か最悪の場合は死だ。それは魔族や魔物にもいえる。」

 「肉体操作と肉体制御というスキルがある。このスキルの習得方法を教える。」

 「お願いします。」
 
 「方法は魔力切れの状態で運動することだ。ただ漫然と運動するだけでは習得できん。」
 
 「では、どうやって習得するのですか?」

 「感じながら考えるのだ。もしくは考えながら感じるのだ。」

 「抽象的すぎてよくわからないなあ。」

 「例えば歩くという運動を考えるのだ。体中のバランスと重心、骨と筋肉の連動。無意識にやって居る事を意識して行うのだ。実際に歩いた時、どう感じたのかそして上手く歩くためにどうすれば良いのか考えてまた歩く。」
 
 「転ぶ時も走る時等、何かをする時に常に行うのだ。」

  いきなりそんなこと言われても僕にできるのだろうか急に不安になって来た。

 「頑張れよ、これを習得すれば色々な技能に大きな補正がつく。」ぽんと僕の右肩を叩いて不安顔で居た僕を励ましてくれる。

 「はい、頑張ります。」

 「恭弥さん、私の加護と祝福は異世界言語と鑑定とアイテムボックスを授けます。他に希望はありますか?、何でも仰ってくださいね。」

 「それなら、アイテムボックスを武器スロット、魔法スロット、アイテムスロットに変更してほしいのです。」
 スロットとは武器や魔法をスロットにセットしておき、ボタン一つで武器の変更ができたり魔法をアイテムを使用する事できるのである。

 恭弥は魔法陣を空間に魔法陣をどう描くのか考えて思いついたのが魔法スロットだった。これならセットしておけばすぐ描けるし、アイテムボックスと違い取り出す必要もない。その時はそんな考えでしかなかった。

 「はい、わかりましたでは武器スロット4個と魔法スロット4個とアイテムスロット2個に変更しますね。ついでにスキルスロットも2個追加しておきますね。」
 
 「ありがとうございます。」

 「スロットの設定や確認、変更はステータスボードを授けるのでそれで行ってくださいね。」

 「わかりました。」
 
 「では儂が魔法言語と魔法陣魔法を授ける。」ローガンは椅子から立ち上がり、恭弥の目の前に立つと目を瞑って何かを呟いている。ローガンの手が光を放ちその光は恭弥の体の中に入って行った。
 恭弥は自分の中に何かとてつもないエネルギーが入って来たように感じた。

 「お別れの時間になりました。」リーアナは少し寂しそうな表情をしている。

 「恭弥よ、武を極めるも良し。」

 「魔を究めるも良しじゃぞ。魔法が使えるようになったらステータスボードで伝えるかの。」
 
 「恭弥さん、アズファルドの世界を楽しんでくださいね。」そう言ってリーアナは恭弥の右頬に軽くキスをした。
 リーアナの顔は真っ赤になっている。リーアナにとって恭弥は命の恩人、これくらいの事ならOKよねと思い切って頬にキスしたのだ。

 恭弥はいきなりの事でフリーズ状態に陥った。なにせ憧れていた女性はいても彼女いない歴=年齢だ。全く女性慣れしていない。頬にキスされたことはわかっても脳内の処理が追い付かない。
 そんな二人をベイルとローガンはニヤニヤしながら見ていた。
 
 「みなさん、ありがとうございました。」何とかなんとか再起動を果たした恭弥は別れの挨拶を済ませると
 恭弥の体が徐々に薄くなり消えていった。

 
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

「俺が勇者一行に?嫌です」

東稔 雨紗霧
ファンタジー
異世界に転生したけれども特にチートも無く前世の知識を生かせる訳でも無く凡庸な人間として過ごしていたある日、魔王が現れたらしい。 物見遊山がてら勇者のお披露目式に行ってみると勇者と目が合った。 は?無理

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

腹違いの妹にすべてを奪われた薄幸の令嬢が、義理の母に殴られた瞬間、前世のインテリヤクザなおっさんがぶちギレた場合。

灯乃
ファンタジー
十二歳のときに母が病で亡くなった途端、父は後妻と一歳年下の妹を新たな『家族』として迎え入れた。 彼らの築く『家族』の輪から弾き出されたアニエスは、ある日義母の私室に呼び出され――。 タイトル通りのおっさんコメディーです。

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

古代文明の最強王、5000年後に転生すると魔法が弱体化しすぎていたのでもう一度最強になります。~底辺貴族からの成り上がり~

しNぱ
ファンタジー
5000年前、魔法文明マギア魔導王国を築き、 魔法体系そのものを創造した王アーケ・マギアス・マギアは、 さらなる魔法の発展を求め、自らの魂を未来へ送る転生魔法を発動した。成熟した古代魔法を超える研究が進んだ世界を見たいという純粋な探求心から、5000年後の世界へと意識を沈めた。 目覚めた先は、スケルド男爵家三男レイフとしての赤子の身体だった。産まれた瞬間から記憶を持つ彼は、質素な家と薄い魔力の流れを前に、未来の魔法研究が古代よりも大きく退化していることに気づく。最底辺と呼ばれる家に生まれながらも、家族は温かく、彼の異常な魔力量を希望として受け入れた。 幼少期から魔力操作を自然に行い、三歳で石を浮かせ、五歳で光魔法を自在に扱うなど、古代王としての力を隠しながら成長する。外では古代魔法を使わず、転生者であることを悟られないよう慎重に振る舞いながら、未来の魔法体系を観察し続けた。 十歳になると身体強化などの古代魔法を最低限だけ使い、父との剣術訓練でも圧倒的な動きを見せるが、本来の力は隠したまま過ごす。そして十六歳、高等魔導学園に入学したレイフは、初日の実技試験で無詠唱魔法や術式無効化を用いて試験官を圧倒し、最底辺男爵家ながらA級判定を受ける。 その姿を見たストラング公爵家の令嬢エリナは、彼に強い興味を抱く。5000年後の世界は古代より魔法が退化していたが、だからこそ発展の余地がある。レイフは古代王としての知識をもとに、もう一度魔法の未来を切り開くことを決意する。

足手まといだと言われて冒険者パーティから追放されたのに、なぜか元メンバーが追いかけてきました

ちくわ食べます
ファンタジー
「ユウト。正直にいうけど、最近のあなたは足手まといになっている。もう、ここらへんが限界だと思う」 優秀なアタッカー、メイジ、タンクの3人に囲まれていたヒーラーのユウトは、実力不足を理由に冒険者パーティを追放されてしまう。 ――僕には才能がなかった。 打ちひしがれ、故郷の実家へと帰省を決意したユウトを待ち受けていたのは、彼の知らない真実だった。

過程をすっ飛ばすことにしました

こうやさい
ファンタジー
 ある日、前世の乙女ゲームの中に悪役令嬢として転生したことに気づいたけど、ここどう考えても生活しづらい。  どうせざまぁされて追放されるわけだし、過程すっ飛ばしてもよくね?  そのいろいろが重要なんだろうと思いつつそれもすっ飛ばしました(爆)。  深く考えないでください。

処理中です...