親友と婚約者に裏切られ仕事も家も失い自暴自棄になって放置されたダンジョンで暮らしてみたら可愛らしいモンスターと快適な暮らしが待ってました

空地大乃

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第二章 冒険者登録編

第29話 検査を受けてみた

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 俺たちは香川に言われた通り二階に行き採血してもらった。その次は身体検査だったが、簡単というわりに結構色々やらされたな。

 てっきり身長と体重を測る程度かと思ったら握力測定やランニングマシーンに乗って走っての体力測定、パンチングマシーンやモグラ叩きみたいなゲームもやることになった。

「つ、疲れた……」
「お疲れ様だね」
「ワン!」
「ピキ~」

 身体検査が終わりヘトヘトになった俺を見て山守が労いの言葉をかけてくれた。モコとラムも俺を励ましてくれている。

「うん。モコとラムのおかげで元気出たぞ!」
 
 モコとラムを撫でているだけですごく癒やされた気分になれた。疲れも吹っ飛んだ気がする。

「ワフ~ン♪」
「ピュキィ~♪」

 モコとラムもなんだか上機嫌だ。本当に愛らしい。

「いよいよ次はモコとラムの番ですよね」
「そうだった。検査と鑑定を受けないとな」
「クゥ~ン……」
「ピキィ~……」

 検査と聞いてモコとラムがか細く鳴いた。初めての検査に不安を覚えているのかもしれない。

 モンスター用の検査室に向かうとメガネを掛けた女医風の女性が対応してくれた。名札には立川とある。

「よろしくお願いします」
「任せて、て、あらあら随分と可愛らしいモンスターたちね」

 対応した立川という女性はモコとラムの姿を見て物珍しそうにしていた。この感じだと子どものようなモンスターはあまり見ないのかもしれない。

「では先ずは鑑定をしてみるわね」
 
 そして立川がモコとラムの鑑定を行った。

「うん。特に問題ないわね。人に危害を加えたこともないようだし」
「ワン!」
「ピキィ~!」
 
 立川の鑑定結果に当然だと言わんばかりにモコとラムが鳴いた。どっちも犯罪級に可愛いけど問題なんて起こすわけ無いからな。

 ただ鑑定でそれがわかるのは素直に凄いと思う。

「後はステータスね。う~んそうね。今後の成長に期待ってところかしら」
「あの、その鑑定結果って俺も確認出来ますか?」
「え? でも貴方が主人マスターよね? それなら自分で確認出来ると思うのだけど」
 
 立川から不思議そうに言われてしまったぞ! しまった! 本来そういうものだったのか!

「えっと、俺も冒険者になるの初めてで、それで自分の結果と食い違いないか一応見ておきたいなっと思っちゃって、あはは――」
 
 何とかごまかさなきゃと思いついた言い訳を並べ立てた。かなり焦ったけど立川は一つ頷き。

「そういうことね。そういう細かい点を気にするのは悪いことじゃないわよ。冒険者としてやっていくなら大事なことだと思うわ」

 立川に感心された。よかったごまかす為にとっさに思いついた言い訳だったけどいい方向に向かったみたいだ。

「それじゃあ、はい。これが鑑定結果よ」

 そう言って立川が二枚の紙を手渡してきた。俺は勿論だが同行した山守も興味深そうに覗き込んできた。

鑑定結果:モコ
モンスター種:コボルト
ネーム:モコ
使役者:風間 晴彦
レベル:1
戦闘力:E+
魔法力:E
信仰力:E
生産力:E
成長力:A+
特性
好奇心旺盛、学習、根性
スキル
初級格闘術

鑑定結果:ラム
モンスター種:スライム
ネーム:ラム
使役者:風間 晴彦
レベル:1
戦闘力:E
魔法力:D
信仰力:E
生産力:D
成長力:B+
特性
溜水、給水
スキル
水鉄砲

「おお! ラムもモコも特性とスキルがあるじゃないか!」
「本当だすごい!」
「ワン!」
「ピキィ!」

 俺と山守で褒めて上げるとモコとラムも嬉しそうに反応した。ただステータスそのものは決して高くない、のかな? ただモコもラムも成長力が高い。特にモコはなんとA+だ。

「えっと、一応ステータスは認識していたのよね?」

 喜び合う俺たちの反応を立川が不思議そうに見ていた。しまった! 確かにそういう話だった! 鑑定結果にテンションが上って忘れてた!
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