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第二章 冒険者登録編
第53話 いたいのいたいの~
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「それにしてもこれじゃあ、準備運動にもならないねぇ」
そう言って鬼姫が俺たちの方へ戻ってきた。一撃で倒してしまったことで不完全燃焼といったところなのかもしれない。
「ところであんた、風間だったかい?」
「あ、はい」
名前を覚えていてくれたのか。
「あんたにも色々聞きたいんだけど、その前に怪我してるね。玉恵治療頼むよ」
「ちょ! 頭! 玉恵呼びはやめてよ! 私は蓬莱です!」
ピンク髪の子に鬼姫が話しかけたが、その呼び方に彼女が抗議した。どうやら玉恵というらしいけどそう呼ばれるのは好ましくないようだ。
「わかったわかった。とにかく治してやれ玉恵」
「もうまたッ!」
両手を振り上げて怒る玉恵。プリプリしながらも俺たちの方を見た。
「それじゃあ~治療~しますね~」
「いや、俺よりも先ずこの子たちをお願いしていいかな?」
どうやら玉恵は治療を施すことが出来るようだけど、だったら俺は後回しにして欲しい。
「モコも怪我を負っているし山守さんも顔に傷がついているからな」
「いや、私は頬を掠ったぐらいだし大した事ないので皆を先にしてください」
俺が頼むも秋月が断っていた。でもやっぱり皆を先に治して欲しいかな。
「そっちの子は冒険者ではないんだろう?」
「え? はい私は違います」
「そうか。それなら悪いな基本的に一般人には魔法を使えないんだ」
鬼姫が申し訳なさそうに言った。それにしてもそんな規則があるとは知らなかったな。
「頭のいうとおりなんだよ~だから、はい~絆創膏♪」
「あ、ありがとうございます」
玉恵が秋月に絆創膏を渡していた。しかしそれが規則なら仕方ないか。
「モコとラムは大丈夫かな?」
「あぁ。使役されてるモンスターなら問題ないが――」
「ふ~ん、自分よりモンスターを先にかぁ~変わってるね~君~」
ウフフッと笑いながら玉恵が言った。俺としてはモコもラムも大事な存在だ。
だから優先的に回復して欲しい。
「それじゃあ~モコちゃんとラムちゃんだね~いたいのいたいの~~とんでけ~~~~」
へ? な、何か玉恵はすごく力が抜けそうな喋り方でおまじないみたいに口にした。今ので治療?
「ワン!」
「ピキィ~!」
少し心配に思った俺だけど、直後モコとラムの体が光を帯びてかと思えば見るからに元気になった。モコは傷も完全に治療されているよ。
「ワンワン!」
「ピキィ~!」
するとモコとラムが俺の側に寄ってきて何か玉恵にアピールしていた。
「二匹ともね~君もはやく~治してあげて~って言ってるみたいだねぇ~」
そう言って玉恵が俺の眼の前までやってきた。かと思えば俺の腰に腕を回して密着してきた、て、えぇえええぇえッ!?
「ちょ、何を!」
「ウフフッ、結構逞しいんだねぇ~じゃあ~いたいのいたいの~とんでけ~~♪」
玉恵の行動に秋月も驚いていた。それは勿論俺もなんだけど――密着した状態でモコとラムにやったようにその呪いを口にする玉恵。だけど、む、胸があたって――
「はい、終わりだよ~どう痛む~?」
玉恵が離れて俺に聞いてきた。いきなり抱きつかれて痛みなんて忘れてたけど、そう言われてみるとズキズキとした痛みは消え去っていった。
「おお! 全然痛くない! 凄い!」
「うふふ。よかった~」
「な、治ったんですね良かった。でも、それってあんなにくっつかないと駄目なんなんですか?」
痛みが消えたのは良かったのだが質問している秋月の目がちょっと怖い。
「そうだね~くっついた方が~効果高い、気もするような?」
「……そんなことない。いつもはもっと離れてる」
「あ~、もう奥菜てばなんでばらすの~?」
「嘘、よくない」
玉恵が背の高い彼女に文句を言っていた。奥菜という名前なんだな。そして奥菜は正直な性格みたいだね。
「治療も終わったし改めて自己紹介させてもらうよ。あたしは冒険者パーティー鬼輝夜でリーダーをやらせてもらってる鬼姫 輝夜さ」
俺たちの怪我が治ったのを確認した後、鬼輝夜のメンバー一旦集まって名前を教えてくれたよ。鬼姫の事は既にしってるけど他の三人は初対面だからな。
「――竹取 奥菜だ」
一番背の高い彼女が鬼姫に続いて言った。この子口数は少ない方かもしれない。
「お色気担当の~蓬莱だよ~」
「蓬莱 玉恵な」
「あ~また言った~玉恵なんて知らない! 蓬莱!」
補足する鬼姫に不満そうな顔を見せる玉恵だ。いや蓬莱の方がいいのか? それにしてもお色気担当って……。
「十五夜 光だ。夜露死苦」
最後は一番小柄な子が自己紹介してくれた。最後のよろしくが妙に強調されていた気がするぞ。そしてやっぱり目つきが鋭い。
「ま、あたしらはずっとこの四人でやってたんだけど暫く休業していてね。そんな折にギルドから連絡が入ってね。なんとか動けないかというから久しぶりに結集したってわけさ」
鬼姫がここに来るまでの経緯を教えてくれた。そういえば公園でも子どもと一緒だったな。育児で活動を休止していたんだろうけど――
「何かもうしわけなかったね。お子さんは大丈夫?」
「心配は不要さ。見てくれている人がいるからね」
俺が聞くと鬼姫が親指を立てて答えてくれた。この感じだと旦那さんがみてくれているとかなんだろうか。
そう言って鬼姫が俺たちの方へ戻ってきた。一撃で倒してしまったことで不完全燃焼といったところなのかもしれない。
「ところであんた、風間だったかい?」
「あ、はい」
名前を覚えていてくれたのか。
「あんたにも色々聞きたいんだけど、その前に怪我してるね。玉恵治療頼むよ」
「ちょ! 頭! 玉恵呼びはやめてよ! 私は蓬莱です!」
ピンク髪の子に鬼姫が話しかけたが、その呼び方に彼女が抗議した。どうやら玉恵というらしいけどそう呼ばれるのは好ましくないようだ。
「わかったわかった。とにかく治してやれ玉恵」
「もうまたッ!」
両手を振り上げて怒る玉恵。プリプリしながらも俺たちの方を見た。
「それじゃあ~治療~しますね~」
「いや、俺よりも先ずこの子たちをお願いしていいかな?」
どうやら玉恵は治療を施すことが出来るようだけど、だったら俺は後回しにして欲しい。
「モコも怪我を負っているし山守さんも顔に傷がついているからな」
「いや、私は頬を掠ったぐらいだし大した事ないので皆を先にしてください」
俺が頼むも秋月が断っていた。でもやっぱり皆を先に治して欲しいかな。
「そっちの子は冒険者ではないんだろう?」
「え? はい私は違います」
「そうか。それなら悪いな基本的に一般人には魔法を使えないんだ」
鬼姫が申し訳なさそうに言った。それにしてもそんな規則があるとは知らなかったな。
「頭のいうとおりなんだよ~だから、はい~絆創膏♪」
「あ、ありがとうございます」
玉恵が秋月に絆創膏を渡していた。しかしそれが規則なら仕方ないか。
「モコとラムは大丈夫かな?」
「あぁ。使役されてるモンスターなら問題ないが――」
「ふ~ん、自分よりモンスターを先にかぁ~変わってるね~君~」
ウフフッと笑いながら玉恵が言った。俺としてはモコもラムも大事な存在だ。
だから優先的に回復して欲しい。
「それじゃあ~モコちゃんとラムちゃんだね~いたいのいたいの~~とんでけ~~~~」
へ? な、何か玉恵はすごく力が抜けそうな喋り方でおまじないみたいに口にした。今ので治療?
「ワン!」
「ピキィ~!」
少し心配に思った俺だけど、直後モコとラムの体が光を帯びてかと思えば見るからに元気になった。モコは傷も完全に治療されているよ。
「ワンワン!」
「ピキィ~!」
するとモコとラムが俺の側に寄ってきて何か玉恵にアピールしていた。
「二匹ともね~君もはやく~治してあげて~って言ってるみたいだねぇ~」
そう言って玉恵が俺の眼の前までやってきた。かと思えば俺の腰に腕を回して密着してきた、て、えぇえええぇえッ!?
「ちょ、何を!」
「ウフフッ、結構逞しいんだねぇ~じゃあ~いたいのいたいの~とんでけ~~♪」
玉恵の行動に秋月も驚いていた。それは勿論俺もなんだけど――密着した状態でモコとラムにやったようにその呪いを口にする玉恵。だけど、む、胸があたって――
「はい、終わりだよ~どう痛む~?」
玉恵が離れて俺に聞いてきた。いきなり抱きつかれて痛みなんて忘れてたけど、そう言われてみるとズキズキとした痛みは消え去っていった。
「おお! 全然痛くない! 凄い!」
「うふふ。よかった~」
「な、治ったんですね良かった。でも、それってあんなにくっつかないと駄目なんなんですか?」
痛みが消えたのは良かったのだが質問している秋月の目がちょっと怖い。
「そうだね~くっついた方が~効果高い、気もするような?」
「……そんなことない。いつもはもっと離れてる」
「あ~、もう奥菜てばなんでばらすの~?」
「嘘、よくない」
玉恵が背の高い彼女に文句を言っていた。奥菜という名前なんだな。そして奥菜は正直な性格みたいだね。
「治療も終わったし改めて自己紹介させてもらうよ。あたしは冒険者パーティー鬼輝夜でリーダーをやらせてもらってる鬼姫 輝夜さ」
俺たちの怪我が治ったのを確認した後、鬼輝夜のメンバー一旦集まって名前を教えてくれたよ。鬼姫の事は既にしってるけど他の三人は初対面だからな。
「――竹取 奥菜だ」
一番背の高い彼女が鬼姫に続いて言った。この子口数は少ない方かもしれない。
「お色気担当の~蓬莱だよ~」
「蓬莱 玉恵な」
「あ~また言った~玉恵なんて知らない! 蓬莱!」
補足する鬼姫に不満そうな顔を見せる玉恵だ。いや蓬莱の方がいいのか? それにしてもお色気担当って……。
「十五夜 光だ。夜露死苦」
最後は一番小柄な子が自己紹介してくれた。最後のよろしくが妙に強調されていた気がするぞ。そしてやっぱり目つきが鋭い。
「ま、あたしらはずっとこの四人でやってたんだけど暫く休業していてね。そんな折にギルドから連絡が入ってね。なんとか動けないかというから久しぶりに結集したってわけさ」
鬼姫がここに来るまでの経緯を教えてくれた。そういえば公園でも子どもと一緒だったな。育児で活動を休止していたんだろうけど――
「何かもうしわけなかったね。お子さんは大丈夫?」
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俺が聞くと鬼姫が親指を立てて答えてくれた。この感じだと旦那さんがみてくれているとかなんだろうか。
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