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第三章 冒険者となった暗殺者編
第34話 暗殺者とギルドマスター
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「ステータスなしで冒険者をやりたいというのはお前か?」
受付嬢が離れ、暫くした後やってきたのは四十過ぎの筋骨隆々の大男だった。これがマスターか?
「あぁ。ステータスは無いが構わないなら登録を済ませたいんだが」
「本来なら勧めやしないがな。そっちのモンドだったか? あんたがこいつの実力を保証してくれるんだったか?」
「はい。来る途中でひったくり犯を捕まえたのですが、潜んでいた仲間の存在を見抜き射られた矢を掴んで守ってくれたのです。それだけの実力があれば冒険者として十分でしょう」
モンドがギルドマスターに向けて説明してくれた。俺自身が戦えると語るよりも第三者が証言してくれた方が信憑性が上がるだろうから助かる。
「なるほどな。だがステータスの無い奴を登録するのは異例の話だ。そこでだ、試しに仮登録扱いで一つ依頼をこなしてもらおうと思う。それで問題なければ本登録とさせてもらおう。どうだ?」
「問題ない。それで俺はどうすればいい?」
即答するとギルドマスターがうむ、と頷きその目を光らせた。
「念のため言っておくが、試しの依頼といっても楽な仕事ではない。成功したら本登録を認めると言ったが失敗した場合はそもそも命をなくしている可能性だってある。無事でも五体満足ではいられないだろう。そういう依頼だ。それでも問題ないな?」
ギルドマスターが念を押してきた。なるほど冒険者というのはそれだけ危険ということなんだな。
「二言はない。その依頼を受けよう」
「そうか。わかった。ならとりあえず名前を聞いておこうか」
「シュラトだ」
「わかったシュラトだな。少し待っててくれ依頼を受けさせる準備をしてくる」
そう言ってギルドマスターがカウンターから出た。ギルド内では酒場も併設されている。そこではいかにも冒険者と言った風貌の連中が話し合ったり酒を呑んだりしていた。
どうやらマスターはその酒場に用事があったようだ。
「あのシュラトさん。仮登録の依頼とは言え無理はしないようにしてくださいね」
最初に対応してくれた受付嬢が戻ってきて心配そうに声を掛けて来た。やはりステータスがないことが気になっているんだな。
「問題ないさ。それよりもモンドは大丈夫なのか? 結局本登録は出来てないが」
「問題ないです。実力も見ましたし登録するつもりなのは間違いないですからね。そのように報告しておきますよ」
「そうかありがとう」
そしてモンドは本来の仕事へと戻っていった。そうこうしている内にギルドマスターが戻ってきたが、隣には鎧を着た中年の男の姿。
「待たせたな。依頼だがこのダリバと組んでやってもらう」
「一人じゃないんだな」
ギルドマスターが酒場へと向かったのはこの男を呼ぶ為だったのだろう。
「仮登録に限らずランクが低いうちは単独行動は控えて貰ってるからな」
「ふん。そんなガキが役に立つのか? 」
ギルドマスターの言葉に隣のダリバと呼ばれた男が悪態をつく。どうにも見た目からして腕っ節の強さが自慢のようだな。
「ステータスはないが腕は門番が保証している。それだけの実力はあるってことだろう」
「は? ステータスがないだと? おいおいそんな奴連れて行ってもお荷物になるだけだろう」
ダリバが訝しげに俺を見てきた。ステータスがないことと見た目の若さで舐められているようだな。
「足手まといにはならないように務めるさ」
「チッ、口でならなんとでも言えるだろう」
「そう言うなダリバ。とにかく今回の依頼はこのシュラトと一緒に向かってくれ。シュラトもこいつはD級冒険者だ。脳筋だが上手く協力してやってくれ。頼んだぞ」
そこまで言ってギルドマスターが奥へと引っ込んでいった。
「チッ、仕方ねぇな。それでお前、武器は何を使うんだ?」
「俺か? 使おうと思えば一通り使えるが今は素手だな」
「おいおいマジかよ……チッ、仕方ねぇな。これぐらい持っとけ」
そういってダリバが俺に一本のナイフを手渡してきた。
「いいのか?」
「何も持ってないんじゃ話にならねぇからな。さぁ行くぞとっととついてこい」
そう言ってダリバが先を歩いた。俺はそれについていくことにする。さて、一体どんな依頼が待っているのか――
受付嬢が離れ、暫くした後やってきたのは四十過ぎの筋骨隆々の大男だった。これがマスターか?
「あぁ。ステータスは無いが構わないなら登録を済ませたいんだが」
「本来なら勧めやしないがな。そっちのモンドだったか? あんたがこいつの実力を保証してくれるんだったか?」
「はい。来る途中でひったくり犯を捕まえたのですが、潜んでいた仲間の存在を見抜き射られた矢を掴んで守ってくれたのです。それだけの実力があれば冒険者として十分でしょう」
モンドがギルドマスターに向けて説明してくれた。俺自身が戦えると語るよりも第三者が証言してくれた方が信憑性が上がるだろうから助かる。
「なるほどな。だがステータスの無い奴を登録するのは異例の話だ。そこでだ、試しに仮登録扱いで一つ依頼をこなしてもらおうと思う。それで問題なければ本登録とさせてもらおう。どうだ?」
「問題ない。それで俺はどうすればいい?」
即答するとギルドマスターがうむ、と頷きその目を光らせた。
「念のため言っておくが、試しの依頼といっても楽な仕事ではない。成功したら本登録を認めると言ったが失敗した場合はそもそも命をなくしている可能性だってある。無事でも五体満足ではいられないだろう。そういう依頼だ。それでも問題ないな?」
ギルドマスターが念を押してきた。なるほど冒険者というのはそれだけ危険ということなんだな。
「二言はない。その依頼を受けよう」
「そうか。わかった。ならとりあえず名前を聞いておこうか」
「シュラトだ」
「わかったシュラトだな。少し待っててくれ依頼を受けさせる準備をしてくる」
そう言ってギルドマスターがカウンターから出た。ギルド内では酒場も併設されている。そこではいかにも冒険者と言った風貌の連中が話し合ったり酒を呑んだりしていた。
どうやらマスターはその酒場に用事があったようだ。
「あのシュラトさん。仮登録の依頼とは言え無理はしないようにしてくださいね」
最初に対応してくれた受付嬢が戻ってきて心配そうに声を掛けて来た。やはりステータスがないことが気になっているんだな。
「問題ないさ。それよりもモンドは大丈夫なのか? 結局本登録は出来てないが」
「問題ないです。実力も見ましたし登録するつもりなのは間違いないですからね。そのように報告しておきますよ」
「そうかありがとう」
そしてモンドは本来の仕事へと戻っていった。そうこうしている内にギルドマスターが戻ってきたが、隣には鎧を着た中年の男の姿。
「待たせたな。依頼だがこのダリバと組んでやってもらう」
「一人じゃないんだな」
ギルドマスターが酒場へと向かったのはこの男を呼ぶ為だったのだろう。
「仮登録に限らずランクが低いうちは単独行動は控えて貰ってるからな」
「ふん。そんなガキが役に立つのか? 」
ギルドマスターの言葉に隣のダリバと呼ばれた男が悪態をつく。どうにも見た目からして腕っ節の強さが自慢のようだな。
「ステータスはないが腕は門番が保証している。それだけの実力はあるってことだろう」
「は? ステータスがないだと? おいおいそんな奴連れて行ってもお荷物になるだけだろう」
ダリバが訝しげに俺を見てきた。ステータスがないことと見た目の若さで舐められているようだな。
「足手まといにはならないように務めるさ」
「チッ、口でならなんとでも言えるだろう」
「そう言うなダリバ。とにかく今回の依頼はこのシュラトと一緒に向かってくれ。シュラトもこいつはD級冒険者だ。脳筋だが上手く協力してやってくれ。頼んだぞ」
そこまで言ってギルドマスターが奥へと引っ込んでいった。
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「俺か? 使おうと思えば一通り使えるが今は素手だな」
「おいおいマジかよ……チッ、仕方ねぇな。これぐらい持っとけ」
そういってダリバが俺に一本のナイフを手渡してきた。
「いいのか?」
「何も持ってないんじゃ話にならねぇからな。さぁ行くぞとっととついてこい」
そう言ってダリバが先を歩いた。俺はそれについていくことにする。さて、一体どんな依頼が待っているのか――
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