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第三章 冒険者となった暗殺者編
第62話 広場で見かけた大道芸人
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「何かあそこでやってる人いるね」
マリスが目についた人を指さして言った。どうやら腹ごしらえも終わったからかマリスにも周囲を眺める余裕が出来たようだ。
マリスが示した方では、一人の男が大勢の人の前で芸を披露していた。大道芸人という奴だろう。幾つかの刃物をお手玉のようにして弄んでいる。
「あれは、ジャグリングだな」
「へぇ、でもなんかあれなら私もできそう」
こっちにもジャグリングをやってるのがいるんだなと思いつつ見てるとマリスがそんな事をいった。まぁ俺もあれぐらいなら出来るがそれを言うのは野暮というものだろう。
「あぁ言うのは見て楽しむものだからな。自分も出来るからって邪魔をするなよ」
「も、勿論そんなことしないよ!」
マリスが慌てて否定したが、何か調子に乗ってやりだしそうな性格してるからな。
「ねぇ、そういえばあそこにもいつの間にか人だかりができてるよ」
次にマリスが指さした方を見ると確かに人が大勢集まっていた。同時に何か囃し立てる声も聞こえてくる。
「リョウガ! ちょっと見に行って見ようよ!」
マリスが立ち上がり俺を促してきた。俺も多少は興味もあったから付き合って見に行くことにする。
「どうしたどうしたもっとしっかりやれよ」
「一発も当てられないのかよ情けねぇな~」
「ちょっと頑張ってよ! 当てれば大金もらえるチャンスなんだから!」
人だかりのなかに加わって様子を見てみるが、どうやら相手に攻撃を当てる事が出来れば賞金が貰えるというチャレンジを行っているようだ。
挑むには参加費を支払う必要があるが、貰える賞金の方が随分と大きいから挑戦してみたくなるのだろう。
主催しているのは二人組で一人は片目に傷の付いた長身の男だ。随分と引き締まった体をしている。そして実際に客の相手をしているのは丸々とした太めな男だった。
「うわ、あんな体なのに当たらないね」
「あぁ、そうだな」
挑戦者の男は太めの男に向けて殴ったり蹴ったりを繰り返しているが、見た目に反して太めな方は機敏な動きをしていた。
ただ確かに一見脂肪に包まれただけの体に見えるが、かなり鍛えられているな。客はあの見た目に騙されて自分なら一発当てられるかもと思ってチャレンジしているんだろが、それは完全にブラフだ。
「さて、後三十秒だ。一発当てられるかな?」
目に傷のある男が残り時間を告げた。当然内容的に制限時間が設けられている。
「うぇ、後三十秒もあるの? も、もう限界だ……」
太めな男が膝に手を当て息を荒くさせた。途端に見ていた女が声を張り上げる。
「チャンスだよ! やっちゃえ!」
「お、おう!」
あの二人は恋人同士なようだな。男の方が女にいいところを見せようと必死になっているといったところか。
「疲れてるなら今しかないよね!」
見ていたマリスが興奮気味に言った。意外とこいつも楽しんでいるんだな。しかしあれをそのままの意味で受け取るとはやはりこいつは単純だな。
だが相手もそれは計算のうちだろう。結局残り三十秒は太めな男がヒィヒィ言いながら逃げ回る構図になったが、だからといって攻撃を当てられることはなく時間が来た。
「はい終了。いやぁ惜しかったねぇ」
「く、くそ!」
「もう本当格好悪いったらないんだから!」
結局女の方が不機嫌になってスタスタと先に行ってしまった。それを男が追いかけていった。
ま、これは相手が悪かったな。
「また駄目だったか」
「いつも惜しいところまで行ってるんだけどなぁ」
「でも大分疲れてそうだぞ。次はいけるんじゃね?」
見ていた客が口々にそんなことを言っていた。見事に相手の思うツボだな。次こそは行けそうと思わせてチャレンジャーを募り参加費を稼いでいるわけだ。
「どうだい次にチャレンジするのは誰かいるかな?」
目に傷の付いた男が問いかけた。見ていた客たちはどうしようか迷っているようだな。ま、それでも誰かしら挑戦者が名乗りを上げるだろうが。
「私やる!」
そう思っていたら横にいたマリスが名乗りを上げた。おいおい本気か。
「おお、これはまた可愛らしいお嬢ちゃんだね。でも本当にいいのかい?」
「うん! やるわ!」
「オッケー。それなら参加費として銀貨五枚貰うよ」
「え?」
参加費と聞いたマリスの表情が変わった。こいつ自分には手持ちがないことを失念していたな。
「りょ、リョウガぁ~……」
捨てられた子犬のような目で俺を見てくるマリス。まったくこいつは。
「ちゃんと後で返せよ」
「勿論よ! なんならここで賞金貰ってそれでまとめて返すからね!」
張り切るマリスを横目に俺はマリスの参加費を主催者の男に渡した。しかしこれで勝って賞金ね……さてそう上手く行くかな――
マリスが目についた人を指さして言った。どうやら腹ごしらえも終わったからかマリスにも周囲を眺める余裕が出来たようだ。
マリスが示した方では、一人の男が大勢の人の前で芸を披露していた。大道芸人という奴だろう。幾つかの刃物をお手玉のようにして弄んでいる。
「あれは、ジャグリングだな」
「へぇ、でもなんかあれなら私もできそう」
こっちにもジャグリングをやってるのがいるんだなと思いつつ見てるとマリスがそんな事をいった。まぁ俺もあれぐらいなら出来るがそれを言うのは野暮というものだろう。
「あぁ言うのは見て楽しむものだからな。自分も出来るからって邪魔をするなよ」
「も、勿論そんなことしないよ!」
マリスが慌てて否定したが、何か調子に乗ってやりだしそうな性格してるからな。
「ねぇ、そういえばあそこにもいつの間にか人だかりができてるよ」
次にマリスが指さした方を見ると確かに人が大勢集まっていた。同時に何か囃し立てる声も聞こえてくる。
「リョウガ! ちょっと見に行って見ようよ!」
マリスが立ち上がり俺を促してきた。俺も多少は興味もあったから付き合って見に行くことにする。
「どうしたどうしたもっとしっかりやれよ」
「一発も当てられないのかよ情けねぇな~」
「ちょっと頑張ってよ! 当てれば大金もらえるチャンスなんだから!」
人だかりのなかに加わって様子を見てみるが、どうやら相手に攻撃を当てる事が出来れば賞金が貰えるというチャレンジを行っているようだ。
挑むには参加費を支払う必要があるが、貰える賞金の方が随分と大きいから挑戦してみたくなるのだろう。
主催しているのは二人組で一人は片目に傷の付いた長身の男だ。随分と引き締まった体をしている。そして実際に客の相手をしているのは丸々とした太めな男だった。
「うわ、あんな体なのに当たらないね」
「あぁ、そうだな」
挑戦者の男は太めの男に向けて殴ったり蹴ったりを繰り返しているが、見た目に反して太めな方は機敏な動きをしていた。
ただ確かに一見脂肪に包まれただけの体に見えるが、かなり鍛えられているな。客はあの見た目に騙されて自分なら一発当てられるかもと思ってチャレンジしているんだろが、それは完全にブラフだ。
「さて、後三十秒だ。一発当てられるかな?」
目に傷のある男が残り時間を告げた。当然内容的に制限時間が設けられている。
「うぇ、後三十秒もあるの? も、もう限界だ……」
太めな男が膝に手を当て息を荒くさせた。途端に見ていた女が声を張り上げる。
「チャンスだよ! やっちゃえ!」
「お、おう!」
あの二人は恋人同士なようだな。男の方が女にいいところを見せようと必死になっているといったところか。
「疲れてるなら今しかないよね!」
見ていたマリスが興奮気味に言った。意外とこいつも楽しんでいるんだな。しかしあれをそのままの意味で受け取るとはやはりこいつは単純だな。
だが相手もそれは計算のうちだろう。結局残り三十秒は太めな男がヒィヒィ言いながら逃げ回る構図になったが、だからといって攻撃を当てられることはなく時間が来た。
「はい終了。いやぁ惜しかったねぇ」
「く、くそ!」
「もう本当格好悪いったらないんだから!」
結局女の方が不機嫌になってスタスタと先に行ってしまった。それを男が追いかけていった。
ま、これは相手が悪かったな。
「また駄目だったか」
「いつも惜しいところまで行ってるんだけどなぁ」
「でも大分疲れてそうだぞ。次はいけるんじゃね?」
見ていた客が口々にそんなことを言っていた。見事に相手の思うツボだな。次こそは行けそうと思わせてチャレンジャーを募り参加費を稼いでいるわけだ。
「どうだい次にチャレンジするのは誰かいるかな?」
目に傷の付いた男が問いかけた。見ていた客たちはどうしようか迷っているようだな。ま、それでも誰かしら挑戦者が名乗りを上げるだろうが。
「私やる!」
そう思っていたら横にいたマリスが名乗りを上げた。おいおい本気か。
「おお、これはまた可愛らしいお嬢ちゃんだね。でも本当にいいのかい?」
「うん! やるわ!」
「オッケー。それなら参加費として銀貨五枚貰うよ」
「え?」
参加費と聞いたマリスの表情が変わった。こいつ自分には手持ちがないことを失念していたな。
「りょ、リョウガぁ~……」
捨てられた子犬のような目で俺を見てくるマリス。まったくこいつは。
「ちゃんと後で返せよ」
「勿論よ! なんならここで賞金貰ってそれでまとめて返すからね!」
張り切るマリスを横目に俺はマリスの参加費を主催者の男に渡した。しかしこれで勝って賞金ね……さてそう上手く行くかな――
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