学園一のイケメンにつきまとわれています。

永久保セツナ

文字の大きさ
30 / 35
11月編(修学旅行編)

第30話 文月栞と修学旅行。【最終日】

しおりを挟む
末吉高校の修学旅行も、いよいよ今日が最終日だ。
列車で新千歳空港に向かい、朝イチの飛行機に乗っておみくじ町へ帰る。
昼までには学校に着いて、そこで解散予定。
「あっという間だったね~。楽しかった~」
飛行機の席は偶然にも曽根崎だった。まあ、多分他の男子と搭乗券交換したんだろうけど。
私――文月栞は、窓際の席で雲海を眺めている。既に飛行機は離陸し、雲よりも上を飛んでいるのだ。
曽根崎が何やら話しかけるが、私は考え事をしていた。
――クリスマス。
そう、クリスマスだ。クリスマスまでには五人の男の中から本命を決める。
そして、私からデートを申し込む。最終的に、告白する。
告白……こ、告白……。
その二文字を頭に浮かべただけで、緊張で心臓がバクバクする。
できれば断ってほしいが、今までの経緯から察するに、私の告白を断る男はいないと考えていいだろう。
つまり、あの中の誰かと付き合うことになるわけで――。
「――栞ちゃん? 話聞いてる?」
「あっ!? ああ、すみません、聞いてませんでした」
「も~……俺の相手してくれないと、寂しいな?」
「飛行機のラジオでも聞いてればいいでしょう」
飛行機の各席にはイヤホンとその差込口がセットされていて、飛行機に乗っている間の暇つぶしとしてラジオが聞けるようになっている。番組表のおまけ付きだ。
「私もラジオ聞いて少し寝ようかな」
と、イヤホンを座席のポケットから取り出そうとするが、
「あー……それは、やめといたほうがいいかも」
と、曽根崎が申し訳無さそうな顔をする。
「? 何故ですか?」
「栞ちゃんが寝顔見せてきたら、キスしない自信ない……飛行機の座席だったら他の席から見づらいし……」
「は、はあ?」
何いってんだコイツ。
しかし、その熱っぽい視線は、コイツが本気であることを示していた。馬鹿なの?
早起きしたのに眠ってはいけないというのは軽く地獄である。
おみくじ町近くの空港に着くまで、私は乗務員にコーヒーを頼んだりラジオを聞いたりと絶対に寝ないように必死に努力したのである。

おみくじ町・末吉高校。
「や……やっと帰ってこれた……」
「なんか、お疲れだね?」
「誰のせいだと……」
私が睨んでも効果がないのはどうせわかりきっているんだけど、曽根崎の澄ました顔を一度ぶん殴りたい。
「おかえりなさいませ、栞さん」
「あ、神楽坂先輩」
バスを降りると、二年生と三年生も旅行から帰ってきたところのようだった。
「ハワイ、どうでした?」
「暖かくて過ごしやすい気候でしたよ。まあわたくしはいい加減何度も行ってるので飽きてるんですが」
ならなんで三年生の行き先をハワイにしたんだろう……。
「こちら、お土産のマカダミアナッツです。栞さんに買って帰りたくてハワイにしたんですよ」
「公私混同も甚だしいですね。それはそれとしてありがとうございます」
神楽坂先輩からお土産を受け取ろうとすると、突然先輩に抱きつかれた。
「わっ、な、なんですか」
「ただのハグですが? 挨拶です挨拶」
そう言いつつ、先輩が鼻で大きく息を吸っている音が聞こえる。
「ああ、久方ぶりの栞さんの香り……」
「神楽坂センパイ、そろそろ離れないと栞ちゃんに殴られるしその前に俺が殴るよ?」
曽根崎は既にジャブの構えである。
「おお、怖い怖い」
神楽坂先輩は笑いながら私を腕から解放する。
「逢瀬……聞いてくれ、酷い目に遭った」
銀城先輩が曽根崎の姿を確認して歩み寄ってくる。
「自分の班の他の奴らがいつも自分を置き去りにするんだ……嫌われてるんだろうか……」
「ちげぇよ、お前が方向音痴だからはぐれてるんだよそれは。それはそれとして俺以外に友達を作る気がないなら嫌われてんじゃねえの?」
曽根崎は歯に衣着せぬ言葉を浴びせる。容赦なく聞こえるが、友人ゆえの距離の近さだろう。
「自分と同等か自分より強いやつしか友人とは認めない」
「そういうとこだぞお前……」
つまり曽根崎はそのくらいボクシングが強いのか。ちょっと驚いた。
「文月栞、北海道旅行はいかがでしたか」
「桐生先輩が私に興味を示すの珍しいですね?」
「別にあなたに興味はありませんが。緋月様が企画した修学旅行が成功したか確認したいだけです」
「それはもう、大成功でしたよ」
「……そうですか」
私の笑顔を見て、桐生先輩はそっと目をそらす。
……正直なところ、いい思い出ばかりというわけでもないが、卒業していく桐生先輩に余計な心配をかけるのも心苦しい。
「栞さん、また明日――は休みだから、また来週、学校で」
猫春の言葉が合図だったかのように、みんな帰り支度を始める。
「――待って」
私がそう言うと、五人全員が振り返った。
私の言葉を、待っている。
私はそのうちの一人の前に立って、勇気を振り絞り言葉を紡ぐ。
「……その、クリスマス、一緒にデートしてほしいんですけど――」

〈エンディングに続く〉
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

手が届かないはずの高嶺の花が幼馴染の俺にだけベタベタしてきて、あと少しで我慢も限界かもしれない

みずがめ
恋愛
 宮坂葵は可愛くて気立てが良くて社長令嬢で……あと俺の幼馴染だ。  葵は学内でも屈指の人気を誇る女子。けれど彼女に告白をする男子は数える程度しかいなかった。  なぜか? 彼女が高嶺の花すぎたからである。  その美貌と肩書に誰もが気後れしてしまう。葵に告白する数少ない勇者も、ことごとく散っていった。  そんな誰もが憧れる美少女は、今日も俺と二人きりで無防備な姿をさらしていた。  幼馴染だからって、とっくに体つきは大人へと成長しているのだ。彼女がいつまでも子供気分で困っているのは俺ばかりだった。いつかはわからせなければならないだろう。  ……本当にわからせられるのは俺の方だということを、この時点ではまだわかっちゃいなかったのだ。

迷子を助けたら生徒会長の婚約者兼女の子のパパになったけど別れたはずの彼女もなぜか近づいてくる

九戸政景
恋愛
新年に初詣に来た父川冬矢は、迷子になっていた頼母木茉莉を助け、従姉妹の田母神真夏と知り合う。その後、真夏と再会した冬矢は真夏の婚約者兼茉莉の父親になってほしいと頼まれる。 ※こちらは、カクヨムやエブリスタでも公開している作品です。

俺は陰キャだったはずなのに……なぜか学園内でモテ期が到来した件

こうたろ
青春
友人も恋人も居ないボッチ学生だった山田拓海が何故かモテだしてしまう。 ・学園一の美人で、男女問わず憧れの的。 ・陸上部のエースで、明るく活発なスポーツ女子。 ・物静かで儚げな美術部員。 ・アメリカから来た金髪碧眼でハイテンションな留学生。 ・幼稚園から中学まで毎朝一緒に登校していた幼馴染。 拓海の生活はどうなるのか!?

至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件

こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。

罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語

ノン・タロー
恋愛
高校2年の夏……友達同士で行った小テストの点を競う勝負に負けた僕、御堂 彼方(みどう かなた)は、罰ゲームとしてクラスで人気のある女子・風原 亜希(かざはら あき)に告白する。 だが亜希は、彼方が特に好みでもなく、それをあっさりと振る。 それで終わるはずだった――なのに。 ひょんな事情で、彼方は亜希と共に"同居”することに。 さらに新しく出来た、甘えん坊な義妹・由奈(ゆな)。 そして教室では静かに恋を仕掛けてくる寡黙なクラス委員長の柊 澪(ひいらぎ みお)、特に接点の無かった早乙女 瀬玲奈(さおとめ せれな)、おまけに生徒会長の如月(きさらぎ)先輩まで現れて、彼方の周囲は急速に騒がしくなっていく。 由奈は「お兄ちゃん!」と懐き、澪は「一緒に帰らない……?」と静かに距離を詰める。 一方の瀬玲奈は友達感覚で、如月先輩は不器用ながらも接してくる。 そんな中、亜希は「別に好きじゃないし」と言いながら、彼方が誰かと仲良くするたびに心がざわついていく。 罰ゲームから始まった関係は、日常の中で少しずつ形を変えていく。 ツンデレな同居人、甘えたがりな義妹、寡黙な同クラ女子、恋愛に不器用な生徒会長、ギャル気質な同クラ女子……。 そして、無自覚に優しい彼方が、彼女たちの心を少しずつほどいていく。 これは、恋と居場所と感情の距離をめぐる、ちょっと不器用で、でも確かな青春の物語。

再婚相手の連れ子は、僕が恋したレンタル彼女。――完璧な義妹は、深夜の自室で「練習」を強いてくる

まさき
恋愛
「初めまして、お兄さん。これからよろしくお願いしますね」 父の再婚によって現れた義理の妹・水瀬 凛(みなせ りん)。 清楚なワンピースを纏い、非の打ち所がない笑顔で挨拶をする彼女を見て、僕は息が止まるかと思った。 なぜなら彼女は、僕が貯金を叩いて一度だけレンタルし、その圧倒的なプロ意識と可憐さに――本気で恋をしてしまった人気No.1レンタル彼女だったから。 学校では誰もが憧れる高嶺の花。 家では親も感心するほど「理想の妹」を演じる彼女。 しかし、二人きりになった深夜のキッチンで、彼女は冷たい瞳で僕を射抜く。 「……私の仕事のこと、親に言ったらタダじゃおかないから」 秘密を共有したことで始まった、一つ屋根の下の奇妙な生活。 彼女は「さらなるスキルアップ」を名目に、僕の部屋を訪れるようになる。 「ねえ、もっと本気で抱きしめて。……そんなんじゃ、次のデートの練習にならないでしょ?」 これは、仕事(レンタル)か、演技(家族)か、それとも――。 完璧すぎる義妹に翻弄され、理性が溶けていく10日間の物語。 『著者より』 もしこの話が合えば、マイページに他の作品も置いてあります。 https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/658724858

処理中です...