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エンディング(ルート分岐、お好きなキャラをお選びください)
エンディング【神楽坂END】
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「――正直、わたくしを選ぶとは思っていませんでしたよ」
神楽坂緋月先輩は、手の中のグラス――当然中身はノンアルコールだ――を揺らしながらつぶやくように言った。
「わたくしは随分、あなたにひどいことをしてきましたから」
「そうですね、セクハラまがいのこととかね」
私――文月栞は今、神楽坂先輩と一緒にクリスマスディナーを堪能している。
夏休みの時に行った店とは違うけど、多分ここも会員制高級レストランなのだろう。しかも個室で、壁一面の大きな窓からは綺麗な夜景が見える。……正直、高校生が来るような場所ではない。
修学旅行の最後、私は神楽坂先輩をクリスマスデートに誘った。
先輩がこんな店にディナーを予約したところから察するに夏休みから何も進歩していないが、個室ならテーブルマナーもそんなに気にしなくていいのはありがたい。
「わたくしを選ぶということは、当然覚悟はできているのですよね?」
「覚悟……? 何の覚悟ですか?」
「神楽坂家の花嫁修業は厳しいですよ?」
そう言って、先輩はクスッと笑う。……本気なのか冗談なのか分からないが、多分本当なんだろうな。
「まあ、今更逃がす気もありませんがね。こちらには人質がいますし」
「人質?」
突如出てきた不穏な単語に、私は心のなかで身構える。相手は自分を拉致監禁した男である。……なんでこんな人好きになったんだろ、私。
「あなたのお父上の話、気になりませんか?」
「父……? いや、別に」
なんで唐突に父親の話が出てきたのか分からないが、返答すると先輩はショックを受けたようだった。
「え……別に、って……あの、あなたの、お父様の話ですよ?」
「いや……物心つく前から家にいなかった人間とか正直どうでもいいですし……」
「ずいぶん淡白ですね!?」
私の家族構成は、母とおばあちゃん、それに私だけだ。おじいちゃんはかろうじて銀髪が記憶に残っている程度で、顔も覚えていない。
そして、父親に関しては、記憶にすら残っていない。最初からいないも同然の存在だった。
「お父様、おかわいそうに……家族のために身を粉にして働いてきたというのに……」
「どういう意味ですか?」
私はナイフで切ったステーキを頬張りながら訊ねる。こんな高そうな肉を食べたら明日はお腹壊してるだろうな、なんて、思考は明後日の方向を向いたままである。
「実は栞さんのお父様が神楽坂グループに勤めていることが判明しましてね」
「ふーん」
「お父様は現在南米で単身赴任中なのですが、日本に帰す条件として栞さんをいただく算段だったのですが……あの……人質作戦、まったく効果ありませんね?」
「ありませんね」
私はオレンジジュースを飲みながら冷静に返す。
「そんな小細工使わなくても、私が先輩をデートに誘った時点でだいたいお察しなのではないですか?」
「……そうですね」
突然、神楽坂先輩が椅子から降りて私の座っている椅子の前で跪く。
「栞さん……わたくしと、結婚してください」
「いや、色々飛ばしすぎでしょ」
先輩の飛躍っぷりに、私はもうツッコむので精一杯だ。
おそらくペアリングを作った時に測った指の太さに合わせて作られた結婚指輪が、蓋を開いた小さな箱から顔を出している。
「私達、まだ学生ですよ?」
「法律上は年齢条件を満たしているので結婚できます」
「そりゃ……そうですけど……」
大学生ならともかく、高校生で学生結婚て。
「とりあえずお付き合いから始めませんか? 私も先輩もお互いまだまだ知らないこと、あると思うし」
「……わたくしが大学生になっても、会ってくれますか?」
――ああ、それが心配なのか。
「うーん、たしかに学校が違うと、お互い会いにくくなるのは事実ですね」
「ではやはり結婚……いや、せめて同居から……」
「あんな広い家、落ち着きませんよ――って、引越し業者を手配するのやめてください!」
神楽坂家の花嫁修業は、本当に厳しかった。
【神楽坂ルート END】
神楽坂緋月先輩は、手の中のグラス――当然中身はノンアルコールだ――を揺らしながらつぶやくように言った。
「わたくしは随分、あなたにひどいことをしてきましたから」
「そうですね、セクハラまがいのこととかね」
私――文月栞は今、神楽坂先輩と一緒にクリスマスディナーを堪能している。
夏休みの時に行った店とは違うけど、多分ここも会員制高級レストランなのだろう。しかも個室で、壁一面の大きな窓からは綺麗な夜景が見える。……正直、高校生が来るような場所ではない。
修学旅行の最後、私は神楽坂先輩をクリスマスデートに誘った。
先輩がこんな店にディナーを予約したところから察するに夏休みから何も進歩していないが、個室ならテーブルマナーもそんなに気にしなくていいのはありがたい。
「わたくしを選ぶということは、当然覚悟はできているのですよね?」
「覚悟……? 何の覚悟ですか?」
「神楽坂家の花嫁修業は厳しいですよ?」
そう言って、先輩はクスッと笑う。……本気なのか冗談なのか分からないが、多分本当なんだろうな。
「まあ、今更逃がす気もありませんがね。こちらには人質がいますし」
「人質?」
突如出てきた不穏な単語に、私は心のなかで身構える。相手は自分を拉致監禁した男である。……なんでこんな人好きになったんだろ、私。
「あなたのお父上の話、気になりませんか?」
「父……? いや、別に」
なんで唐突に父親の話が出てきたのか分からないが、返答すると先輩はショックを受けたようだった。
「え……別に、って……あの、あなたの、お父様の話ですよ?」
「いや……物心つく前から家にいなかった人間とか正直どうでもいいですし……」
「ずいぶん淡白ですね!?」
私の家族構成は、母とおばあちゃん、それに私だけだ。おじいちゃんはかろうじて銀髪が記憶に残っている程度で、顔も覚えていない。
そして、父親に関しては、記憶にすら残っていない。最初からいないも同然の存在だった。
「お父様、おかわいそうに……家族のために身を粉にして働いてきたというのに……」
「どういう意味ですか?」
私はナイフで切ったステーキを頬張りながら訊ねる。こんな高そうな肉を食べたら明日はお腹壊してるだろうな、なんて、思考は明後日の方向を向いたままである。
「実は栞さんのお父様が神楽坂グループに勤めていることが判明しましてね」
「ふーん」
「お父様は現在南米で単身赴任中なのですが、日本に帰す条件として栞さんをいただく算段だったのですが……あの……人質作戦、まったく効果ありませんね?」
「ありませんね」
私はオレンジジュースを飲みながら冷静に返す。
「そんな小細工使わなくても、私が先輩をデートに誘った時点でだいたいお察しなのではないですか?」
「……そうですね」
突然、神楽坂先輩が椅子から降りて私の座っている椅子の前で跪く。
「栞さん……わたくしと、結婚してください」
「いや、色々飛ばしすぎでしょ」
先輩の飛躍っぷりに、私はもうツッコむので精一杯だ。
おそらくペアリングを作った時に測った指の太さに合わせて作られた結婚指輪が、蓋を開いた小さな箱から顔を出している。
「私達、まだ学生ですよ?」
「法律上は年齢条件を満たしているので結婚できます」
「そりゃ……そうですけど……」
大学生ならともかく、高校生で学生結婚て。
「とりあえずお付き合いから始めませんか? 私も先輩もお互いまだまだ知らないこと、あると思うし」
「……わたくしが大学生になっても、会ってくれますか?」
――ああ、それが心配なのか。
「うーん、たしかに学校が違うと、お互い会いにくくなるのは事実ですね」
「ではやはり結婚……いや、せめて同居から……」
「あんな広い家、落ち着きませんよ――って、引越し業者を手配するのやめてください!」
神楽坂家の花嫁修業は、本当に厳しかった。
【神楽坂ルート END】
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