4 / 40
3.学園
しおりを挟む
「ぎゃー開陽さんのお荷物!」
半ば強引に預かった時から、こんな予感はなんとなくしていたけど。
俺からひったくったスーツケースを、寮室に足を踏み入れるなりアイスはっくり返して中の荷物を盛大にぶち撒いてくれた。
「すいません! すいません!」
チャック締めていたのに、なんでタイミングよく全開になんだよ。
拾い集める俺を傍目にアイスは謝罪した。
「もういいって。それより」
「ああ、やっぱり切れたみたいですね」
寒くなったのが『合図』なんだ。
削銘から付与された保護魔法の効力。
移動までの間、女神に命を狙われないようにするための加護。
といっても持つのはせいぜい二四時間が限界で、再付与はできないのだとか。
荷造り、移動までの一時的な処置。
「あとは、削銘様のお言いつけ通り、私が護衛を仰せつかります。でも、油断しないでください。いつどこで女神が仕掛けてくるか」
俺はアイスを見た。
この学園『唯界』は学園内は山の奥深くにあって、神山の御神体でもある削銘の強力な結界に守られているが、それでも女神の魔の手は届く。
生徒にはこうして、削銘が創造した竜人の騎士が一人随伴する決まりになっていた。
「開陽さん、こうして学園を訪れた今、私からも、正式に守護者に任命された挨拶をさせてください」
「え。ああ、わかった」
踵を揃えたアイスが、胸に手を据え一礼の儀をしようとした。
「久しぶりだね、開陽」
「……その声って。まさか久志兄ちゃん!?」
別の生徒が護衛を連れ挨拶にきたのも予想外だったのに。
俺より先に施設を出た年上の幼馴染みが扉をノックしていてもっと驚いた。
久志とは親友だが兄弟同然に育った。
「感動の再会、とは言いにくい状況だね。お互い命を狙われる間柄になってしまったが、これから頑張ろう」
「そうか、ていうことは兄ちゃんも」
独り立ちを施設のみんなで祝った時は、怪しい様子を毛ほども見せていなかった。
「へえ。開陽の護衛にはアイスさんが付いたんだ」
「知っているの?」
「騎士の采配について僕はそこまで詳しくないよ。相性で決まるみたいだしね。紹介するよ、僕の護衛騎士の」
「ユノと申します。御編入、心より御喜び申し上げます」
敬礼。
アイスより少し背が低くて、短い髪を肩の辺りに綺麗に揃えた女性騎士だった。
「これからさぞ大変でしょう。主神もなにを考えておいでか、よりにもよって『愚姉様』を護衛の任になど」
「…………え、と。ユノちゃん」
「はい、なんでしょう『愚姉様』?」
なんだなんだ?
「こら、自重しなさい。開陽、今日は授業は休みだから、学園内を案内しよう」
「あっああ。ありがとう」
〇〇〇
ひとしきり学内を見て回った。
自然に囲まれた校舎に心まで開放的になってしまう。
油断した戒め。というわけでもなさそうだ。
寮舎から一番遠い中庭から順番に、最後に最も近い食堂に閉じ込められていた。
「駄目です、開きません。女神による干渉が原因かと」
「やられたものだ」
引き戸に手をかけたユノの報告に久志は肩を竦めた。
「そして……」
ゴブリンの群れが出現。
封鎖された出入り口に行く手を阻まれ、俺達は完全に包囲されていた。
「異世界の魔物を送り込むのも女神の常とう手段なんだ」
「つくづく陰湿な女だな……!」
ゴブリンの一匹が棍棒を振り回し俺に迫ってきた。
アイスがそれを、抜刀で気を発し切り捨てた。
「すごい、今のって、まさか魔法!?」
「ええ、まあ」
「……食堂が魔物の血で汚れてしまったではないですか……」
照れるアイスを尻目に一匹が武器を振り下ろした。
直前で回避した俺を越え攻撃は後ろにいた仲間に誤って命中。
知能の低さからか、攻撃が読みやすい。コボルトとの遭遇で魔物に対して耐性でもできてもみたいで。思いのほか動じてなかった。
「開陽! ゴブリンは連携が苦手だ、動きを見れば確実に避けられる!」
「わかった!」
そんなやり取りをしつつ、アイスも並行してゴブリンを斬り倒していった。
すると指揮官と思われる兜をかぶった一匹がまるで苛立つように、親友を狙うよう、身振り手振りで群れに合図していた。
「兄ちゃん!?」
「ご心配なく。もう済みますので」
俺が叫び久志が気付くよりも前に。
甲冑に仕込んでいた毒針らしき得物で、ユノがすべてのゴブリンを殲滅した。
「結界の消滅を確認――。もう出られますよ」
「私が開けてくる、ユノちゃんは休んでいて……!」
アイスはユノに代わって扉を開けに行き。
「「あだっ!?」」
出逢いがしらに救出にきた騎士とぶつかった。
「ごっごめんなさい! だいじょうぶ!?」
兜を被っていたのは向こうなのに……。
「いえ! 上姉様こそお怪我は」
アイスと頭をぶつけ合い、目を回し千鳥足になって騎士は我に返るなり。
照れるような素振りをしてみせた。
あの声、聞き覚えがある。
ダンジョンから救った一団の中で聞いた騎士の声だ。
あの騎士もアイスを『上姉様』と呼んだ。
削銘の部下の騎士は、全員が姉妹か。
「被害報告を」
救出に来た騎士を自分のせいで負傷させた。
心配するアイスを退かし、ユノは被害の報告。
「食堂の清掃は、汚した姉様にやらせた方がよろしいかと」
「貴様は立場を弁えろ!」
びっくりした!?
ユノも、なんのことかわからず動揺していた。
「ドジな女騎士が気を張っていなかったせいで、加護が弱まっていたから干渉を許したのでは?」
「お姉様はドジだが、気が緩んだ程度で、護衛対象を危険に曝したりしない。ドジだが!」「ドジ、ドジって……そんなに連呼しなくても……」
ああ。やはり周囲も薄々勘付いていたんだ。
それはさておいて。『加護』。
騎士は女神の干渉に耐性のある加護があるって、削銘が言っていたな。
十分ではないが、騎士の側にいたら干渉を受ける頻度が減るから離れないよう釘を刺された。
「これを見ても、貴様はまだ気付かないか!?」
「え? ……こ、これはッ」
狼狽するユノの甲冑。
毒針を仕込める仕組みになっているらしいその裏地を騎士が返すと、なにやら、見たところ紋章のような傷が入っていた。
「魔物を召喚する触媒になる呪詛だ。末妹のお前は私達の中で加護が最も弱いから、そこを女神に突かれのだろう」
じゃあ。
俺達を襲ったゴブリンが、タイミングぴったり今日、この場で湧いたのって。
「着替えたところで、この呪詛には無意味だ。解呪の間、久志殿には別の護衛をつけるよう削銘様に進言しなければならない」
俺は、削銘の名が出た途端に青ざめていくユノに、なんて声をかけたらいいかわからなかった。
アイスも、たぶん俺とおなじ感情だったろう。
「では騒動の責任を取って、食堂の後片付けは自分が」
「いっいえ! 久志様のお手を煩わせるわけには……! 責でしたら私が」
「僕は生徒会長、みんなの規範になると誓ったし。ユノ、君の身を預かるのは、果たしてだれだい?」
「それに、けじめの取り方は、ほかにあるんじゃないかな」
「ッ! ……この度は、私のミスで、誠に申し訳……ございませんでした」
俺と、アイス向かってユノが頭を下げた。
それは心底、悔しそうな顔を俺達に伏せながら。
「僕からも謝るよ。こんな再会は望んでいなかった。休日を無駄にしたばかりか、危険に晒してしまって。心から謝罪する」
久志はユノに継いで再度謝った。
俺も、せっかく再会した親友に、頭を下げさせるような真似、見たくなかった。
なにより我慢ならないのは。
すべての元凶が、俺達の目の前にいないということだ!
俺は拳を握る。強く、強く。
殴るため込めた手の爪、それは結局。
自分を傷付けただけだった。
半ば強引に預かった時から、こんな予感はなんとなくしていたけど。
俺からひったくったスーツケースを、寮室に足を踏み入れるなりアイスはっくり返して中の荷物を盛大にぶち撒いてくれた。
「すいません! すいません!」
チャック締めていたのに、なんでタイミングよく全開になんだよ。
拾い集める俺を傍目にアイスは謝罪した。
「もういいって。それより」
「ああ、やっぱり切れたみたいですね」
寒くなったのが『合図』なんだ。
削銘から付与された保護魔法の効力。
移動までの間、女神に命を狙われないようにするための加護。
といっても持つのはせいぜい二四時間が限界で、再付与はできないのだとか。
荷造り、移動までの一時的な処置。
「あとは、削銘様のお言いつけ通り、私が護衛を仰せつかります。でも、油断しないでください。いつどこで女神が仕掛けてくるか」
俺はアイスを見た。
この学園『唯界』は学園内は山の奥深くにあって、神山の御神体でもある削銘の強力な結界に守られているが、それでも女神の魔の手は届く。
生徒にはこうして、削銘が創造した竜人の騎士が一人随伴する決まりになっていた。
「開陽さん、こうして学園を訪れた今、私からも、正式に守護者に任命された挨拶をさせてください」
「え。ああ、わかった」
踵を揃えたアイスが、胸に手を据え一礼の儀をしようとした。
「久しぶりだね、開陽」
「……その声って。まさか久志兄ちゃん!?」
別の生徒が護衛を連れ挨拶にきたのも予想外だったのに。
俺より先に施設を出た年上の幼馴染みが扉をノックしていてもっと驚いた。
久志とは親友だが兄弟同然に育った。
「感動の再会、とは言いにくい状況だね。お互い命を狙われる間柄になってしまったが、これから頑張ろう」
「そうか、ていうことは兄ちゃんも」
独り立ちを施設のみんなで祝った時は、怪しい様子を毛ほども見せていなかった。
「へえ。開陽の護衛にはアイスさんが付いたんだ」
「知っているの?」
「騎士の采配について僕はそこまで詳しくないよ。相性で決まるみたいだしね。紹介するよ、僕の護衛騎士の」
「ユノと申します。御編入、心より御喜び申し上げます」
敬礼。
アイスより少し背が低くて、短い髪を肩の辺りに綺麗に揃えた女性騎士だった。
「これからさぞ大変でしょう。主神もなにを考えておいでか、よりにもよって『愚姉様』を護衛の任になど」
「…………え、と。ユノちゃん」
「はい、なんでしょう『愚姉様』?」
なんだなんだ?
「こら、自重しなさい。開陽、今日は授業は休みだから、学園内を案内しよう」
「あっああ。ありがとう」
〇〇〇
ひとしきり学内を見て回った。
自然に囲まれた校舎に心まで開放的になってしまう。
油断した戒め。というわけでもなさそうだ。
寮舎から一番遠い中庭から順番に、最後に最も近い食堂に閉じ込められていた。
「駄目です、開きません。女神による干渉が原因かと」
「やられたものだ」
引き戸に手をかけたユノの報告に久志は肩を竦めた。
「そして……」
ゴブリンの群れが出現。
封鎖された出入り口に行く手を阻まれ、俺達は完全に包囲されていた。
「異世界の魔物を送り込むのも女神の常とう手段なんだ」
「つくづく陰湿な女だな……!」
ゴブリンの一匹が棍棒を振り回し俺に迫ってきた。
アイスがそれを、抜刀で気を発し切り捨てた。
「すごい、今のって、まさか魔法!?」
「ええ、まあ」
「……食堂が魔物の血で汚れてしまったではないですか……」
照れるアイスを尻目に一匹が武器を振り下ろした。
直前で回避した俺を越え攻撃は後ろにいた仲間に誤って命中。
知能の低さからか、攻撃が読みやすい。コボルトとの遭遇で魔物に対して耐性でもできてもみたいで。思いのほか動じてなかった。
「開陽! ゴブリンは連携が苦手だ、動きを見れば確実に避けられる!」
「わかった!」
そんなやり取りをしつつ、アイスも並行してゴブリンを斬り倒していった。
すると指揮官と思われる兜をかぶった一匹がまるで苛立つように、親友を狙うよう、身振り手振りで群れに合図していた。
「兄ちゃん!?」
「ご心配なく。もう済みますので」
俺が叫び久志が気付くよりも前に。
甲冑に仕込んでいた毒針らしき得物で、ユノがすべてのゴブリンを殲滅した。
「結界の消滅を確認――。もう出られますよ」
「私が開けてくる、ユノちゃんは休んでいて……!」
アイスはユノに代わって扉を開けに行き。
「「あだっ!?」」
出逢いがしらに救出にきた騎士とぶつかった。
「ごっごめんなさい! だいじょうぶ!?」
兜を被っていたのは向こうなのに……。
「いえ! 上姉様こそお怪我は」
アイスと頭をぶつけ合い、目を回し千鳥足になって騎士は我に返るなり。
照れるような素振りをしてみせた。
あの声、聞き覚えがある。
ダンジョンから救った一団の中で聞いた騎士の声だ。
あの騎士もアイスを『上姉様』と呼んだ。
削銘の部下の騎士は、全員が姉妹か。
「被害報告を」
救出に来た騎士を自分のせいで負傷させた。
心配するアイスを退かし、ユノは被害の報告。
「食堂の清掃は、汚した姉様にやらせた方がよろしいかと」
「貴様は立場を弁えろ!」
びっくりした!?
ユノも、なんのことかわからず動揺していた。
「ドジな女騎士が気を張っていなかったせいで、加護が弱まっていたから干渉を許したのでは?」
「お姉様はドジだが、気が緩んだ程度で、護衛対象を危険に曝したりしない。ドジだが!」「ドジ、ドジって……そんなに連呼しなくても……」
ああ。やはり周囲も薄々勘付いていたんだ。
それはさておいて。『加護』。
騎士は女神の干渉に耐性のある加護があるって、削銘が言っていたな。
十分ではないが、騎士の側にいたら干渉を受ける頻度が減るから離れないよう釘を刺された。
「これを見ても、貴様はまだ気付かないか!?」
「え? ……こ、これはッ」
狼狽するユノの甲冑。
毒針を仕込める仕組みになっているらしいその裏地を騎士が返すと、なにやら、見たところ紋章のような傷が入っていた。
「魔物を召喚する触媒になる呪詛だ。末妹のお前は私達の中で加護が最も弱いから、そこを女神に突かれのだろう」
じゃあ。
俺達を襲ったゴブリンが、タイミングぴったり今日、この場で湧いたのって。
「着替えたところで、この呪詛には無意味だ。解呪の間、久志殿には別の護衛をつけるよう削銘様に進言しなければならない」
俺は、削銘の名が出た途端に青ざめていくユノに、なんて声をかけたらいいかわからなかった。
アイスも、たぶん俺とおなじ感情だったろう。
「では騒動の責任を取って、食堂の後片付けは自分が」
「いっいえ! 久志様のお手を煩わせるわけには……! 責でしたら私が」
「僕は生徒会長、みんなの規範になると誓ったし。ユノ、君の身を預かるのは、果たしてだれだい?」
「それに、けじめの取り方は、ほかにあるんじゃないかな」
「ッ! ……この度は、私のミスで、誠に申し訳……ございませんでした」
俺と、アイス向かってユノが頭を下げた。
それは心底、悔しそうな顔を俺達に伏せながら。
「僕からも謝るよ。こんな再会は望んでいなかった。休日を無駄にしたばかりか、危険に晒してしまって。心から謝罪する」
久志はユノに継いで再度謝った。
俺も、せっかく再会した親友に、頭を下げさせるような真似、見たくなかった。
なにより我慢ならないのは。
すべての元凶が、俺達の目の前にいないということだ!
俺は拳を握る。強く、強く。
殴るため込めた手の爪、それは結局。
自分を傷付けただけだった。
0
あなたにおすすめの小説
静かに過ごしたい冬馬君が学園のマドンナに好かれてしまった件について
おとら@ 書籍発売中
青春
この物語は、とある理由から目立ちたくないぼっちの少年の成長物語である
そんなある日、少年は不良に絡まれている女子を助けてしまったが……。
なんと、彼女は学園のマドンナだった……!
こうして平穏に過ごしたい少年の生活は一変することになる。
彼女を避けていたが、度々遭遇してしまう。
そんな中、少年は次第に彼女に惹かれていく……。
そして助けられた少女もまた……。
二人の青春、そして成長物語をご覧ください。
※中盤から甘々にご注意を。
※性描写ありは保険です。
他サイトにも掲載しております。
陰キャの俺が学園のアイドルがびしょびしょに濡れているのを見てしまった件
暁ノ鳥
キャラ文芸
陰キャの俺は見てしまった。雨の日、校舎裏で制服を濡らし恍惚とする学園アイドルの姿を。「見ちゃったのね」――その日から俺は彼女の“秘密の共犯者”に!? 特殊な性癖を持つ彼女の無茶な「実験」に振り回され、身も心も支配される日々の始まり。二人の禁断の関係の行方は?。二人の禁断の関係が今、始まる!
趣味で人助けをしていたギルマス、気付いたら愛の重い最強メンバーに囲まれていた
歩く魚
ファンタジー
働きたくない元社畜、異世界で見つけた最適解は――「助成金で生きる」ことだった。
剣と魔法の世界に転生したシンは、冒険者として下積みを積み、ついに夢を叶える。
それは、国家公認の助成金付き制度――ギルド経営によって、働かずに暮らすこと。
そして、その傍で自らの歪んだ性癖を満たすため、誰に頼まれたわけでもない人助けを続けていたがーー
「ご命令と解釈しました、シン様」
「……あなたの命、私に預けてくれるんでしょ?」
次第にギルドには、主人公に執着するメンバーたちが集まり始め、気がつけばギルドは、愛の重い最強集団になっていた。
【完結】かつて憧れた陰キャ美少女が、陽キャ美少女になって転校してきた。
エース皇命
青春
高校でボッチ陰キャを極めているカズは、中学の頃、ある陰キャ少女に憧れていた。実は元々陽キャだったカズは、陰キャ少女の清衣(すい)の持つ、独特な雰囲気とボッチを楽しんでいる様子に感銘を受け、高校で陰キャデビューすることを決意したのだった。
そして高校2年の春。ひとりの美少女転校生がやってきた。
最初は雰囲気が違いすぎてわからなかったが、自己紹介でなんとその美少女は清衣であるということに気づく。
陽キャから陰キャになった主人公カズと、陰キャから陽キャになった清衣。
以前とはまったく違うキャラになってしまった2人の間に、どんなラブコメが待っているのだろうか。
※小説家になろう、カクヨムでも公開しています。
※表紙にはAI生成画像を使用しています。
距離を置きたい女子たちを助けてしまった結果、正体バレして迫られる
歩く魚
恋愛
かつて、命を懸けて誰かを助けた日があった。
だがその記憶は、頭を打った衝撃とともに、綺麗さっぱり失われていた。
それは気にしてない。俺は深入りする気はない。
人間は好きだ。けれど、近づきすぎると嫌いになる。
だがそんな俺に、思いもよらぬ刺客が現れる。
――あの日、俺が助けたのは、できれば関わりたくなかった――距離を置きたい女子たちだったらしい。
序盤でざまぁされる人望ゼロの無能リーダーに転生したので隠れチート主人公を追放せず可愛がったら、なぜか俺の方が英雄扱いされるようになっていた
砂礫レキ
ファンタジー
35歳独身社会人の灰村タクミ。
彼は実家の母から学生時代夢中で書いていた小説をゴミとして燃やしたと電話で告げられる。
そして落ち込んでいる所を通り魔に襲われ死亡した。
死の間際思い出したタクミの夢、それは「自分の書いた物語の主人公になる」ことだった。
その願いが叶ったのか目覚めたタクミは見覚えのあるファンタジー世界の中にいた。
しかし望んでいた主人公「クロノ・ナイトレイ」の姿ではなく、
主人公を追放し序盤で惨めに死ぬ冒険者パーティーの無能リーダー「アルヴァ・グレイブラッド」として。
自尊心が地の底まで落ちているタクミがチート主人公であるクロノに嫉妬する筈もなく、
寧ろ無能と見下されているクロノの実力を周囲に伝え先輩冒険者として支え始める。
結果、アルヴァを粗野で無能なリーダーだと見下していたパーティーメンバーや、
自警団、街の住民たちの視線が変わり始めて……?
更新は昼頃になります。
疎遠だった叔父の遺産が500億円分のビットコインだった件。使い道がないので、隣の部屋の塩対応な美少女に赤スパ投げまくってる件
月下花音
恋愛
貧乏大学生の成瀬翔は、疎遠だった叔父から500億円相当のビットコインが入ったUSBメモリを相続する。使い道に困った彼が目をつけたのは、ボロアパートの薄い壁の向こうから聞こえる「声」だった。隣人は、大学で「氷の令嬢」と呼ばれる塩対応な美少女・如月玲奈。しかしその正体は、同接15人の極貧底辺VTuber「ルナ・ナイトメア」だったのだ!
『今月ももやし生活だよぉ……ひもじい……』
壁越しに聞こえる悲痛な叫び。翔は決意する。この500億で、彼女を最強の配信者に育て上げようと。謎の大富豪アカウント『Apollo(アポロ)』として、5万円の赤スパを投げ、高級機材を即配し、彼女の生活を神の視点で「最適化」していく。しかし彼はまだ知らなかった。「金で買えるのは生活水準だけで、孤独は埋められない」ということに。500億を持った「見えない神様」が、神の座を捨てて、地上の女の子の手を握るまでの救済ラブコメディ。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる