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蒼編
6 兄妹の衝突
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叫んだ黒川に俺は「えっ」とテーブルを見る。
「え、お兄ちゃん?!」
――え、これが瑠璃ちゃん?!
#聖月
「ま。衛の元カノ……?」
#
黒川の妹と思われる女性は蒼に身を寄せ合っていた。俺は困惑の声を上げる。
何故なら彼女は写真と全く違う女性だったからだ。
大人しそうな彼女の服装は、ヒラヒラの紫の可愛らしい服になり、爪は暗く塗られ、黒川と同じこげ茶の髪は黒髪に染められていた。
メイクも変わっており、彼女の印象はまるで変っている。
その姿が衛の元カノにそっくりだったので、俺は色々と驚いていた。
十夜が前の衛の彼女の事を『あれって地雷系だよなぁ』と言っていたことを思い出す。
俺にはよく分からないが瑠璃は衛の元カノと同じ『地雷系』になってしまったようだ。
これでは黒川が心配するのも頷ける。まるで別人のように変わってしまったと言っていたが、その通りだ。
突然の3人の登場に瑠璃は驚いている様子だった。
隣に居る蒼も驚いた様子だったが、どこか楽しそうにしている。
――これはもしかなくても、貢いでる相手って蒼…?!
「よぉ。聖月、どうしたんだよ。急にぞろぞろ見知らぬ2人を連れてきて。そんなに俺とお話したかったわけ?」
お前って健気だなぁ、と言われて「違う!」と叫んだ。
「瑠璃、こんな時間にこんなところに来て! 何やってるんだ!」
黒川も瑠璃に対し叫んだ。真面目な顔をしていて、黒川の兄としての一面を覗かせる。
ホストクラブに通っていることは知っているが、実際に見たのは衝撃的だったのだろう。
微かに彼の身体は震えていた。
「お兄ちゃんこそ、急に来てなんなのよ! 今、ソウたんとお話してるんだからあっち行ってよ!」
「ソウたん?!」
――ソウたんってなんだ?!
まるで彼氏呼びのいい方に思わず叫ぶ。
「ソウたんはソウたんよ! あんたたち、ソウたんの何なの?!」
べったりと蒼と密着し瑠璃は俺を見て怒っている。
この様子を見るに相当蒼にゾッコンらしい。ホストはたくさんいるのに、よりにもよって性格最悪の蒼に貢いでしまうなんて何という悲劇なのだろう。
「こいつは俺の別の職場の同僚。他の奴らは知らん。茶髪の奴は瑠璃姫のお兄ちゃんだったのかぁ」
「そうなの~、あたしと3歳歳が離れているんだぁ~」
「…っ」
――瑠璃姫?!
瑠璃が蒼から凄い呼ばれ方をしており俺は頭がクラクラしてきた。これがホストクラブの常識なのだろうか?
それとも、この蒼がそういうキャラとしてやっているだけなのか?
俺は混乱の中に居た。
「とにかく、ここから出るよ瑠璃。後でじっくり話を聞くから」
「嫌よ! 通い詰めて、やっと久しぶりにあたしの推しに会えたのに! どうして邪魔をするの?!」
黒川は瑠璃の腕を掴む。だが、瑠璃はここから出ないと言葉と身体で拒む。
俺はシモンの言葉を思い出していた。
蒼はディメントが本業のため、この親指姫での仕事は不定期で月2回程らしい。だが、ナンバー3でいるというのはかなり凄いことだった。
つまりそれだけ蒼を求めている客が居るという事だ。
つまり瑠璃はいつ来るか分からない蒼を待ち続け、やっとのことで会ったということだろう。
それを兄がやって来てその機会を奪われそうになっているということだ。
暴れる瑠璃をホストである蒼は面白そうに見詰めていた。
「ちゃんと従った方がいいと思うよ。だって、キミここに通うためにお兄ちゃんのお金使ってるんでしょう?」
「…っ」
「へぇ、そうだったのか」
ずっと黙って見ていた宝条の言葉に瑠璃は顔を真っ青にさせていた。
まさかバレていたとは思わなかったのだろう。
蒼はさらに楽しそうに場を見ていた。
「違うの! ちゃんとアルバイトのお金で通ってるよ? 誤解しないでソウたん! ~~~~何を知ったかぶってんのよ、オッサン!」
「お、おっさん…?」
宝条は明らかに彼女の言葉を聞いて落ち込んでいるように見えた。
俺ははらはらとしながら見守っていた。
「まぁ、いいよ。お前が来てくれれば、さ」
「…! そうたぁん…」
ゾッとした。
蒼の顔は彼女を金づるだと思っている顔だった。搾取しようと思っている顔だった。そうとは知らず瑠璃は顔を真っ赤にして、喜んでいる。
「とにかく帰るよ、瑠璃!」
腕をぐいぐいと引っ張る黒川に対して、瑠璃は頑なだった。
「嫌めう~~」
「めうじゃない!」
――めうって何?!
聞き慣れない語尾かも単語かも分からない言葉に俺はさらに混乱していた。
「ぴえん~~」
「ぴえんしたって無理だよ! 帰ろうよ! 何がいいだよこんなホストっ」
――ぴえんは分かる! 絵文字のヤツ!
そんなことを思っていたら、瑠璃は黒川の言葉に眉を上げた。そして叫ぶ。
「こんなホストって何?! 何もソウたんのこと知らない癖に! 勝手な事言わないで!」
「知らないよ!」
「この人はねぇ、お兄ちゃんみたいに優しくて…瑠璃の事ちゃんと考えてくれる私の王子様なの!
お兄ちゃんみたいに私を仕事でほっとかない! 昨日も今日もお兄ちゃん夜の仕事で出かけてあたしをほったらかしにした!
私の事全然見てくれないじゃない!そんなお兄ちゃんなんていらない!お兄ちゃんなんて邪魔!
あたしたちの邪魔をしないで!どっか行って!」
「――」
「え、お兄ちゃん?!」
――え、これが瑠璃ちゃん?!
#聖月
「ま。衛の元カノ……?」
#
黒川の妹と思われる女性は蒼に身を寄せ合っていた。俺は困惑の声を上げる。
何故なら彼女は写真と全く違う女性だったからだ。
大人しそうな彼女の服装は、ヒラヒラの紫の可愛らしい服になり、爪は暗く塗られ、黒川と同じこげ茶の髪は黒髪に染められていた。
メイクも変わっており、彼女の印象はまるで変っている。
その姿が衛の元カノにそっくりだったので、俺は色々と驚いていた。
十夜が前の衛の彼女の事を『あれって地雷系だよなぁ』と言っていたことを思い出す。
俺にはよく分からないが瑠璃は衛の元カノと同じ『地雷系』になってしまったようだ。
これでは黒川が心配するのも頷ける。まるで別人のように変わってしまったと言っていたが、その通りだ。
突然の3人の登場に瑠璃は驚いている様子だった。
隣に居る蒼も驚いた様子だったが、どこか楽しそうにしている。
――これはもしかなくても、貢いでる相手って蒼…?!
「よぉ。聖月、どうしたんだよ。急にぞろぞろ見知らぬ2人を連れてきて。そんなに俺とお話したかったわけ?」
お前って健気だなぁ、と言われて「違う!」と叫んだ。
「瑠璃、こんな時間にこんなところに来て! 何やってるんだ!」
黒川も瑠璃に対し叫んだ。真面目な顔をしていて、黒川の兄としての一面を覗かせる。
ホストクラブに通っていることは知っているが、実際に見たのは衝撃的だったのだろう。
微かに彼の身体は震えていた。
「お兄ちゃんこそ、急に来てなんなのよ! 今、ソウたんとお話してるんだからあっち行ってよ!」
「ソウたん?!」
――ソウたんってなんだ?!
まるで彼氏呼びのいい方に思わず叫ぶ。
「ソウたんはソウたんよ! あんたたち、ソウたんの何なの?!」
べったりと蒼と密着し瑠璃は俺を見て怒っている。
この様子を見るに相当蒼にゾッコンらしい。ホストはたくさんいるのに、よりにもよって性格最悪の蒼に貢いでしまうなんて何という悲劇なのだろう。
「こいつは俺の別の職場の同僚。他の奴らは知らん。茶髪の奴は瑠璃姫のお兄ちゃんだったのかぁ」
「そうなの~、あたしと3歳歳が離れているんだぁ~」
「…っ」
――瑠璃姫?!
瑠璃が蒼から凄い呼ばれ方をしており俺は頭がクラクラしてきた。これがホストクラブの常識なのだろうか?
それとも、この蒼がそういうキャラとしてやっているだけなのか?
俺は混乱の中に居た。
「とにかく、ここから出るよ瑠璃。後でじっくり話を聞くから」
「嫌よ! 通い詰めて、やっと久しぶりにあたしの推しに会えたのに! どうして邪魔をするの?!」
黒川は瑠璃の腕を掴む。だが、瑠璃はここから出ないと言葉と身体で拒む。
俺はシモンの言葉を思い出していた。
蒼はディメントが本業のため、この親指姫での仕事は不定期で月2回程らしい。だが、ナンバー3でいるというのはかなり凄いことだった。
つまりそれだけ蒼を求めている客が居るという事だ。
つまり瑠璃はいつ来るか分からない蒼を待ち続け、やっとのことで会ったということだろう。
それを兄がやって来てその機会を奪われそうになっているということだ。
暴れる瑠璃をホストである蒼は面白そうに見詰めていた。
「ちゃんと従った方がいいと思うよ。だって、キミここに通うためにお兄ちゃんのお金使ってるんでしょう?」
「…っ」
「へぇ、そうだったのか」
ずっと黙って見ていた宝条の言葉に瑠璃は顔を真っ青にさせていた。
まさかバレていたとは思わなかったのだろう。
蒼はさらに楽しそうに場を見ていた。
「違うの! ちゃんとアルバイトのお金で通ってるよ? 誤解しないでソウたん! ~~~~何を知ったかぶってんのよ、オッサン!」
「お、おっさん…?」
宝条は明らかに彼女の言葉を聞いて落ち込んでいるように見えた。
俺ははらはらとしながら見守っていた。
「まぁ、いいよ。お前が来てくれれば、さ」
「…! そうたぁん…」
ゾッとした。
蒼の顔は彼女を金づるだと思っている顔だった。搾取しようと思っている顔だった。そうとは知らず瑠璃は顔を真っ赤にして、喜んでいる。
「とにかく帰るよ、瑠璃!」
腕をぐいぐいと引っ張る黒川に対して、瑠璃は頑なだった。
「嫌めう~~」
「めうじゃない!」
――めうって何?!
聞き慣れない語尾かも単語かも分からない言葉に俺はさらに混乱していた。
「ぴえん~~」
「ぴえんしたって無理だよ! 帰ろうよ! 何がいいだよこんなホストっ」
――ぴえんは分かる! 絵文字のヤツ!
そんなことを思っていたら、瑠璃は黒川の言葉に眉を上げた。そして叫ぶ。
「こんなホストって何?! 何もソウたんのこと知らない癖に! 勝手な事言わないで!」
「知らないよ!」
「この人はねぇ、お兄ちゃんみたいに優しくて…瑠璃の事ちゃんと考えてくれる私の王子様なの!
お兄ちゃんみたいに私を仕事でほっとかない! 昨日も今日もお兄ちゃん夜の仕事で出かけてあたしをほったらかしにした!
私の事全然見てくれないじゃない!そんなお兄ちゃんなんていらない!お兄ちゃんなんて邪魔!
あたしたちの邪魔をしないで!どっか行って!」
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