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睦月
【試験二日目】修正・拒絶・仮釈放の回(全3話)
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~はじめに~
試験二日目。
この日は、社会と理科の二科目が行われます。
まだ試験週間だというのに遊びに行くという時のスリル感は格別ですよね。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
【修正】~四元戦士の理~
社会科の試験が始まって、30分ほどが経過した。
シーワは、教務室の控え席でコーヒーを飲み、一息ついていた。
シーワ「さ~て、そろそろ見回って行こうかな~。」
試験が終わる20分前をめどに、各教室へ見回りに行くのが、担当者の仕事である。
簡単に用具をまとめ、教務室をあとにする。
しばらく歩き、ある教室の前へと立つ。
シーワ「はいみんな~、なにか質問とかあるかな?」
引き戸を開け、質疑の有無を確認する。
カツキ「ねぇムズすぎるって!もっと簡単に点取れるのにしてよ~!」
再試験の常連者、カツキが私を見るなりわめきだす。
初手がこの子か、疲れるなぁ。
今回のはわりと簡単に仕上げた方だと思うんだけどね。
ちゃんと課題をやっていればの話だけど。
シーワ「だからあなたのために名前で10点あげてるじゃないの」
この試験は、名前欄に10点もの配点がある。
名前を書いただけで10点もらえるシステムを導入しているのは、おそらく私くらいだろう。
カツキ「あと20点をどうしろと?」
なにを甘えたこと言ってるんだこの子は。
シーワ「それは自力で頑張ってね。はい、他になにかあるかな?」
再度教室内を見渡すと、1人の女子生徒が手を上げているのが分かった。
シーワ「は~い今から行くね~」
彼女はマリン。
カツキの双子の妹だが、比較するとなにもかもが真逆で、かなり珍しく感じる。
だから同じクラスになれてるってこと?
シーワ「なにかあったかな?」
マリンは、問題用紙と回答用紙を交互に指差した。
それは、この年になにが起きたかを答える問題であった。
見比べてみると、問題文と解答欄にある年が違う。
シーワ「ありゃ!えーとこれはね、問題文の方が正しいね。」
黒板に訂正箇所を書きに行こうとしたが、マリンが私の袖を掴み、引き止める。
シーワ「ん?どうしたの?」
マリンは、今度は写真と語句選びの欄を、丸で囲う。
これは、写真の建物の名前が語句欄に無いことを示している。
シーワ「え、まだあったの?」
それだけではなく、時系列で並べる問題の記号が解答欄には4つだけだが実際には5つあったり、問題の解答欄そのものが存在しないなど、かなりの数の制作ミスがあった。
シーワ「ふ、はは...。」
まあ、明日作ろうの繰り返しで結局昨日の夜作り始めて今日の午前3時に完成したっていうんだから仕方ないよね。
そうそう、仕方がない。
目の前には、最後に保存した時の画面が表示されたパソコンが置いてあった。
シーワ「さて、修正してこっか!」
泣く泣く、完成したと思われた試験の修正に取りかかった。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
【拒絶】~電脳戦士の理~
茉愛「あっ」
試験中、不意にペンを落としてしまった。
ちょうど、近くを歩いて見回っていた試験監督の先生がこちらへ近付いてくる。
先生「おや、先生が拾ってあげるよ。」
茉愛「やだキモい触んな」
拾うために前屈みになった先生を罵倒して、落ちているペンを咄嗟に拾う。
茉愛はこの先生が嫌いだ。
先生は教卓の隣にある椅子に座り、ひどくうなだれた。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
【仮釈放の回】~アルスの日常~
サトシと近藤は、本日分の試験が終わってからショッピングモールに来ていた。
サトシ「しゃあ、解放や。空気が美味い。」
店内に入り、サトシは放課後の時間を噛み締める。
近藤「それ帰りのSHR終わったあとにも言ってたよな」
サトシ「何回言ってもいいだろうが」
まあ悪いことではないが。
近藤「てかおめー、一応明日もあるんだからな?」
そう、試験は3日間。
明日は残りの1科目が控えている。
サトシ「言うて英語やろ。これこそやる必要ねぇよ。」
近藤「それ諦めたやつが言う台詞だけどお前英語だけはできるんだよなおかしいだろ」
サトシ「だけってなんや」
サトシは、英語の読み書きやコミュニケーションはできるが、品詞についてはまったく分からないそうだ。
意味は、動詞や形容詞はどの単語のことを示しているのかが分からない、ということだ。
赤点さえ回避すれば勝ち、だからそこまでやる必要はない。
...と、本人は言っている。
サトシ「てか、ここまで来て勉強の話とかすんなや。痒くなる。」
ちなみにアルスは「見つかるかビビりながらとか楽しくないやん」と言い、ついてはこなかった。
分かってないな、それが楽しいんだよ。
まあ、その理由は建前で、実際は明日の英語が不安だから教えてほしいと頼んできた人に教える予定があるからとのことだ。
近藤「まったく、天才は大変だな。」
俺は大体平凡な成績だから、特に頼られることもないので平和である。
強いて言うなら、野球の授業くらいだろう。
サトシ「お前頼られるの野球くらいだろ」
近藤「それ今説明したわ」
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※今回は再投稿という形でお送りさせていただきました。
試験二日目。
この日は、社会と理科の二科目が行われます。
まだ試験週間だというのに遊びに行くという時のスリル感は格別ですよね。
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【修正】~四元戦士の理~
社会科の試験が始まって、30分ほどが経過した。
シーワは、教務室の控え席でコーヒーを飲み、一息ついていた。
シーワ「さ~て、そろそろ見回って行こうかな~。」
試験が終わる20分前をめどに、各教室へ見回りに行くのが、担当者の仕事である。
簡単に用具をまとめ、教務室をあとにする。
しばらく歩き、ある教室の前へと立つ。
シーワ「はいみんな~、なにか質問とかあるかな?」
引き戸を開け、質疑の有無を確認する。
カツキ「ねぇムズすぎるって!もっと簡単に点取れるのにしてよ~!」
再試験の常連者、カツキが私を見るなりわめきだす。
初手がこの子か、疲れるなぁ。
今回のはわりと簡単に仕上げた方だと思うんだけどね。
ちゃんと課題をやっていればの話だけど。
シーワ「だからあなたのために名前で10点あげてるじゃないの」
この試験は、名前欄に10点もの配点がある。
名前を書いただけで10点もらえるシステムを導入しているのは、おそらく私くらいだろう。
カツキ「あと20点をどうしろと?」
なにを甘えたこと言ってるんだこの子は。
シーワ「それは自力で頑張ってね。はい、他になにかあるかな?」
再度教室内を見渡すと、1人の女子生徒が手を上げているのが分かった。
シーワ「は~い今から行くね~」
彼女はマリン。
カツキの双子の妹だが、比較するとなにもかもが真逆で、かなり珍しく感じる。
だから同じクラスになれてるってこと?
シーワ「なにかあったかな?」
マリンは、問題用紙と回答用紙を交互に指差した。
それは、この年になにが起きたかを答える問題であった。
見比べてみると、問題文と解答欄にある年が違う。
シーワ「ありゃ!えーとこれはね、問題文の方が正しいね。」
黒板に訂正箇所を書きに行こうとしたが、マリンが私の袖を掴み、引き止める。
シーワ「ん?どうしたの?」
マリンは、今度は写真と語句選びの欄を、丸で囲う。
これは、写真の建物の名前が語句欄に無いことを示している。
シーワ「え、まだあったの?」
それだけではなく、時系列で並べる問題の記号が解答欄には4つだけだが実際には5つあったり、問題の解答欄そのものが存在しないなど、かなりの数の制作ミスがあった。
シーワ「ふ、はは...。」
まあ、明日作ろうの繰り返しで結局昨日の夜作り始めて今日の午前3時に完成したっていうんだから仕方ないよね。
そうそう、仕方がない。
目の前には、最後に保存した時の画面が表示されたパソコンが置いてあった。
シーワ「さて、修正してこっか!」
泣く泣く、完成したと思われた試験の修正に取りかかった。
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【拒絶】~電脳戦士の理~
茉愛「あっ」
試験中、不意にペンを落としてしまった。
ちょうど、近くを歩いて見回っていた試験監督の先生がこちらへ近付いてくる。
先生「おや、先生が拾ってあげるよ。」
茉愛「やだキモい触んな」
拾うために前屈みになった先生を罵倒して、落ちているペンを咄嗟に拾う。
茉愛はこの先生が嫌いだ。
先生は教卓の隣にある椅子に座り、ひどくうなだれた。
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【仮釈放の回】~アルスの日常~
サトシと近藤は、本日分の試験が終わってからショッピングモールに来ていた。
サトシ「しゃあ、解放や。空気が美味い。」
店内に入り、サトシは放課後の時間を噛み締める。
近藤「それ帰りのSHR終わったあとにも言ってたよな」
サトシ「何回言ってもいいだろうが」
まあ悪いことではないが。
近藤「てかおめー、一応明日もあるんだからな?」
そう、試験は3日間。
明日は残りの1科目が控えている。
サトシ「言うて英語やろ。これこそやる必要ねぇよ。」
近藤「それ諦めたやつが言う台詞だけどお前英語だけはできるんだよなおかしいだろ」
サトシ「だけってなんや」
サトシは、英語の読み書きやコミュニケーションはできるが、品詞についてはまったく分からないそうだ。
意味は、動詞や形容詞はどの単語のことを示しているのかが分からない、ということだ。
赤点さえ回避すれば勝ち、だからそこまでやる必要はない。
...と、本人は言っている。
サトシ「てか、ここまで来て勉強の話とかすんなや。痒くなる。」
ちなみにアルスは「見つかるかビビりながらとか楽しくないやん」と言い、ついてはこなかった。
分かってないな、それが楽しいんだよ。
まあ、その理由は建前で、実際は明日の英語が不安だから教えてほしいと頼んできた人に教える予定があるからとのことだ。
近藤「まったく、天才は大変だな。」
俺は大体平凡な成績だから、特に頼られることもないので平和である。
強いて言うなら、野球の授業くらいだろう。
サトシ「お前頼られるの野球くらいだろ」
近藤「それ今説明したわ」
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※今回は再投稿という形でお送りさせていただきました。
応援ありがとうございます!
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