アルスの日常

2024年2月22日

学校が終わり放課後になると、エルは同い年の颯太を連れて猫カフェへと訪れていた。
店内に入ると早速、数匹の猫が出迎えてくれた。

エルは「きゃ～！可愛い～！！」と高い声を上げ、目を輝かせながら早速猫と戯れ始める。

颯太「こんなにいっぱいいるんだね」

空いたテーブルの席に座りながら、初めて来たという颯太は辺りを見渡しながら呟く。
猫とじゃれ合うエルを横目に、颯太はメニューを取り寄せ目を通し始めた。

颯太「とりあえず...カフェモカでいい？」

エルに尋ねると、猫の頭を撫でながら「いいよ～！」と返事が返ってくる。

呼び出しベルを鳴らし、駆け付けた店員さんに注文しようと読み上げていると...。

颯太「このカフェモカを2つと、あと～...ん？」

突然、太ももになにかを押し付けられるような感触を抱いた。
視線を下ろすと、そこには制服のスカート越しに太ももに擦りつく猫の姿があった。

マチ「この猫ちゃん、他の子達と比べて人懐っこいんですよ～！」

笑顔でそう説明をする、店員のマチ。
生地を通して、猫の温もりを感じられる。

颯太「そうなんだ～」

隣で甘えるようにくつろぐ猫を眺める颯太に、マチは続けて「是非撫でてあげてください！」と勧めた。

言われるがまま、颯太は猫の頭に手を伸ばす。
すると、猫は自ら擦り寄ってきて気持ち良さそうに喉をゴロゴロ鳴らした。

颯太「わぁ...可愛いね。」

愛嬌さに癒やされ、思わず微笑みを浮かべる颯太。
こんなにも心が揺らいだのはいつぶりだろうか。

颯太はこの瞬間、少しだけ優しい気持ちになれた気がした。