現在の政略結婚

詩織

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私だって解らない

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その後しばらくは、類さんから一緒に寝ようと言ってくれて、これっていつまで?とも思ってしまった。

1週間くらいしたら

「もう、大丈夫だよね?」

と言われて、ああ、もう一緒に寝れないのか…と…

まぁ、私が怖い思いしてそれを緩和させただけなんだし、そういう関係でもないんだしな…

安心したような…やっぱり複雑だった。

完璧に私は類さんに恋をしてしまって、それを認めたら恋する乙女状態になって、類さんの仕草1つ1つがドキドキする。

今までと普通にとは、思うけどやっぱりドキドキする。

まさか、結婚して8ヶ月目で旦那様に恋をしましたって…

切り替えて仕事しないと!


今日はそういえば、接待で夕飯はいらないって言ってたっけ?

さっき見たメールをみると、大通りから帰るように!何かあったらすぐ電話して

と、書いてある。

心配してくれてるんだなと思うと、やっぱり笑みが出る。


「七瀬!」

「あっ、本木もときさん?ビックリした。今お帰りですか?」

会社から出て駅に向かおうとしたとき、1つ先輩の本木さんに声がかかった。

「今帰り?」

「はい。本木さんは?会社に戻るんです?」

営業からの帰りかな?

本木さんとは仲がよく、よく妹のように可愛がってくれて、以前は彼氏の愚痴や悩みとか、よく話を聞いてくれた。

本木さんは恋人がいて、同期の原島早苗はらしまさなえちゃんと言って、よく3人でも飲んだりも以前はしていた。

まぁ、こうなってからはなかなか飲むことも減ったけど…

「まぁ、そんなとこ」

「七瀬さ、時間ある?」

「え?どうしたんですか?」

「ちょっと、聞きたいことあるんとけど」

「わかりました。じゃあそこの喫茶店で待ってます」

30分して、本木さんは喫茶店に来て

「ごめん、待たせて」

「いえ、大丈夫です」

珈琲を頼み、少し落ち着いたことろで

「あのさ、七瀬って男いるの?」

「えっ!?」

「俺さ、S駅が最寄り駅のマンションに半年前に引っ越したんだよね」

えっ!?もしかして…

S駅は私も最寄り駅だ。

「何度か七瀬が男と歩いてるの見た。別にさ男出来ても問題ないしあれだけど…、もしかして七瀬の彼氏って徳田商事の息子さん?」

ビックリして言葉がでなかった。

「…そうか」

私の顔をみてそれで理解したらしい。

「ち、ちがうの!」

「えっ?」

「彼氏とかでないの!」

「なに?それ!?それって二股相手とか…」

「それも違う!」

「じゃなんだよー!水臭いな!今まで散々彼氏の愚痴なり、紹介しろなり俺に言っといて、今更言えないの?」

「…」

「どうしたんだよ!」

悩んだけど、今まで彼女の早苗ちゃんにも黙ってくれたこともあったし、誰にも言わないと約束して、言うことにした。

暫く呆然として

「いや、あの…なんていうか…まさか結婚してたとは…」

「でも、政略結婚だし」

「そうだけどさ、相手はビジネス雑誌でも写真で顔出るようなひとだしな。俺はそういう雑誌好きだからよく見てたから、すぐわかったが…、七瀬はその結婚辛いのか?」

「そりゃ、辛いよ!顔もろくに見たことない人とお互いに結婚したんだもん。類さんだって辛いだろうし、私だって…」

「それ、本気?」

「え?」

「はじめはそだった。でも今は?」

「今は…」

今は、もう…

「本当に辛かったら、あんな嬉しそうな顔しないんじゃない?」

「…」

「好きなんだろ?」

「す、好きでも、どうにもならないことだってある。優しくされても何されても類さんには恋人いるし」

「恋人いるの、確認したの?」

「同じ人と何度か歩いてたし、鉢合わせしたこともある」

「そうか」

「類さんの気持ち考えると、恋人いたのに好きでもない人と結婚しないとなんて、やっぱりシンドイと思う。だから何も言えないよ!私だってどうしていいか解らないよ」

涙目になって本木さん言った。

本木さんは何も答えなかった。

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