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父は元俳優。
表舞台が苦手で今は芸能事務所で育成をしている。
母は元ファション誌のモデル。今はモデル事務所のスタッフとして働いてる。
二人共スタイルもいいし、顔立ちもいい。
今でもちょっと出掛けるだけでも、振り向かれたり声かけられたりなんてこともある。
弟も両親の血縁を引き継ぎ、スタイルも顔立ちも言うことない。
そして、私は…
「なんでなんだろう…」
ずっと抱いてた思い。
私だけ背は小さくぽっちゃり系。どう見てもこの家系じゃないだろ?と思うんですけど
「昔からよく食べてたからねー」
と、言われてたがそれにしてもおかしいよ!!
金谷麻祐子、家族の容姿に悩みだした中学時代。
戸籍謄本を見てもあの二人の子供になってる。
きっと何かあるんだ!と、ずっと抱いて、聞いてみたが
「何言ってるの!麻祐子は私達の子に決まってるでしょ!」
でも、それでもおかしいよ!
家族に疑問を持つのが辛くなって高校は全寮制に行った。
その後短大に進学したが家に戻ることはなかった。
社会人になって4年目。
2つ年下の弟、尚弥は大学に行きながらモデルをしてる。
高校生の時は年末年始、夏休みなどは全寮制にいる皆が家に帰ってるから私も帰ったが、卒業してからは帰ってないので6年は家族に会ってない。
広告代理店の仕事をして4年目。まだまだ慣れてなく、キツイことも多い。
今は恋人ナシ!過去数人はお付き合いはしていたが、あまり長続きはしてなかった。
「ハァー」
時計を見ると21時。
周りをみるとまだ数人残ってる。
こんな時間まで仕事をするのは日常茶飯事になっている。
んっ?
スマホが震えだした。
見ると母からだ。
「…はい」
「麻祐子?今仕事?」
「あっ、うん」
「お祖母ちゃんがね、亡くなったのよ」
「えっ!?」
お祖母ちゃん…
私にとっては悩みの相談相手だった。
自分はこの家の子じゃない!とよく小学生のとき思ってそれを祖母に話してた。
「麻祐子は、お祖母ちゃんの大事な孫だよ!いつでも味方だからね」
答えはくれなくっても、味方という言葉に支えられていた。
翌日そのまま祖母の家に向かった。
そこには父も母もいて弟もいた。
父も弟も190くらいの高さがあって、スタイルが凄いいい。
母も175近くはある。
私は150ちょっと…
どう見ても家族にはみえない。
親戚の人も
「背の高さ弟に取られちゃったのかね?でもいいじゃない!弟は有名人なんだし」
…
悪気はないんだろうけど、チクチク痛む。
祖母を久々にみたが、本当に小さくなっていた。
もっと会いにいけばよかった…
私の味方と言ってくれた祖母をもっと大事にしとけばよかった。
そう思ったら、涙が止まらなかった。
葬儀も終わり、帰る準備をしていたとき
「すぐ帰るか?」
と、父に言われた
「たまには、家に帰ってきたらどえだ?」
「…」
「話したいことあるのよ!麻祐子が知りたかったことよ」
それは、きっと…
私は家族と6年ぶりに家に帰った。
久々の家。
でも全然変わってない。
リビングに入ると相変わらずオシャレなインテリア。
母はやっぱりセンスがいい。
「元気にしてたか?」
「…うん」
父もたどたどしかった。
「お祖母ちゃんにはね、言ってあげてら?と言われてたんだけど、私達がねずっとごねちゃって。でもお祖母ちゃんの言う通り、もっと早く言ってたら変わっていたのかもね」
そう言って、言葉が止まる。
弟はリビング出入り口で立っていた。
「麻祐子が思う通り、麻祐子は私が産んだわけではないのよ」
わかってはいたけど、それでも実際に言われると…
「…うん」
「昔と違って養子は、戸籍謄本で簡単に見たくらいだとわからない時もあるから。だからこのままでもと思ってたんだけど、でも麻祐子はずっと疑問に思ってたしね」
「…俺がな、母さんと出会う前に恋人がいてな、その人が妊娠してたことがわかってな」
えっ!?それって…
「俺と出会う直前に、そういう関係になった人がいたと言ってたが、別に付き合ってるとかではなかったと言ってた」
「そ、それが私?」
「…ああ」
お父さんは、じっと私の顔を見て言った。
「その人は一人で育てると言ってね、俺が父親になると説得してその間もお腹は大きくなって、彼女が了承してくれたときは、出産の後だった。だが入籍しよう決めたとき、彼女は刺されてそのまま…」
「えっ!?」
「その麻祐子の父親ってのが、妻子持ちでな、その奥さんから彼女は刺されて亡くなったんだ」
…
…
そんな、そんな流れがあったなんて
「その後、母さんと出会ったときは俺は麻祐子を一人で育ててた。それでも俺と一緒になると言ってくれて…」
「そ、そ、だって、お父さんには私関係ないじゃん!!施設でも預ければ…」
「俺が仕事から帰ってくると麻祐子は嬉しそうに手を上げて俺を迎えてくれるんだ!育児ノイローゼみたいに悩んだこともあったけど、麻祐子の笑顔みたらそんなこと出来るわけない!」
「…お父さん」
「私が産んでなくってもね、麻祐子は私の子なのよ!」
お母さん…
やっぱり二人の子じゃなかったんだ。
私はもう20歳も過ぎてるし、子供のときだったらそれなりに辛い気持ちがあるかもしれないけど、でも今なら
「育ててくれて、面倒みてくれて有り難うございます」
と言って頭を下げた
「何言ってるのよ!親として当然でしょう!!」
母はそういうけど、母からしたは私は全く関係のない私を…
「俺は、認めない!!」
と、突然言い出したのは、弟の尚弥だった。
「家族なんて認めない!」
「尚弥!!」
尚弥はリビングを出てしまった。
小さい頃はよく遊んでた。
けど、小学校高学年頃になると、ずば抜けて容姿がよく、背も高い、モテはじめて遊ばなくなってしまった。
それからなんとなく距離が出て、尚弥はほとんど話さなくもなった。
そして私が家を出たので、尚弥と直接話したことなんて記憶にない。
…そうだよな。血が繫がってないんだもんな。家族として認めたくないよね
私はやっぱりこの家の人間でいることが難しいんだなっと実感した。
それからしばらくすると、ネットニュースで、尚弥がNAOYAとして俳優デビューすることが載っていた。
元俳優と元モデルの息子としてデビューすることが載っている。
一人息子とまで書かれてる。
尚弥はあと数ヶ月で大学を卒業するから、卒業したら本格的に活動するんだろうな。
久々に尚弥にあったけど、オーラが凄かった。
かっこよかったな。
もう別世界なんだもんな。
私があの家族に出来ることって、なんだろ?
ずっと避けてた家族。ずっと疑ってた家族。そして父が一人で育ててくれて、母が私を受け入れてくれて…
3人の前になるべく現れないこと…なんだろうな。
やっぱり、あの家族に私はいらない。
それから半年後、尚弥は大学をすでに卒業し、ドラマの出演が決まったりとテレビで見るようになった。
テレビで尚弥をみると、私を家族として認められないって言葉が今でも忘れられない。
中学卒業してから、家に全然近づかなかった私に気分がよくなかったんだろうな。
綺麗な女優さんと、抱き合ったり、気持が高ぶった顔をしてり、辛そうな顔をしたり…
小さいときだけ知ってる私からしたら、あのときの尚弥は別人。
「あ、あの…、課長!お話があるんですが…」
少し前に、九州の方に子会社を立ち上げたという情報があった。
「その会社に参加することは可能ですか?」
「えっ!?どうしたんだ?急に」
課長はビックリした顔をして言われた。
違う環境で頑張ってみたいとか、1から自分の腕を磨いてみたいなど色々理由はできる。
「いやー、急にいなくなってもなー、いないと困るしねー」
「なんとか、お願いできないでしょうか?」
と、頭をさげて上に話してみると言ってくれた。
それから2ヶ月して私の意見が通った。
元々人手不足だったので人が欲しかったらしい。
それからはトントン拍子で話しが進んであっという間に来週九州に行くことになっていた。
どうしようか迷ったけど…
「…もしもし」
「麻祐子?」
「うん」
「元気?」
「…うん」
母はビックリしていた。
こちらから電話することなんてないから。
「あ、あのね、お母さん、私来週から九州に転勤になるの!」
「えっ!?そんな、急に…」
「前から決まってたんだけど、ごめん。言おうか悩んでて」
「言ってよー!急に言われたほうがビックリするじゃない」
「そうだよね、ごめん。」
「なんかあったら、これからはちゃんと連絡しなさいよ!」
という母。
私はこの二人の子じゃないとずっと思ってて避けてた。
その間もずっと私のこと心配してたんだろうな。
「お母さん、お願いがあるの。」
「なに?」
「あのね、もしこの先も尚弥が私に対して家族として反対してたら、私の養子縁組はなくしてほしいの」
「な、何言ってるのよ!!」
「あのね、投げやりとかそんなんじゃないの。私ずっと二人の子じゃないと疑ってた。それを知ることが出来ず、結局ずっと家族から離れての生活を選んでた。本当は誰の子なんだろ?何で教えてくれないんだろ?ってそのことばかり考えてた。でも…、お母さんたちからしたら、私を本当の大事な娘として考えてくれたんだよね?」
「当たり前じゃない!麻祐子は私の娘よ!」
「お母さん、ありがとう。ごめんね。こんな娘で」
「麻祐…」
「でも、尚弥からしたらずっと出ていった人間を家族としてなんて無理だと思う。ましてや尚弥からしたら血も繫がってないわけだし、そんな人を家族だなんて…」
「尚弥だってわかってくれるわよ!今は仕事のことで色々大変だから」
「うん。でも、尚弥が…その考えでいるなら、そういう風な選択も考えてほしいの。」
「な、なにを…」
「戸籍が抜けても私はお父さん、お母さんだと思ってるから。本当なら私は母親が亡くなった時点で施設に預けられてもおかしくなかったんだよね。それなのに、お父さんが育ててくれて…、だからお父さん、お母さんに育ててもらった恩は忘れない。いつか何かしらできたらって思ってる」
「麻祐子!!あんた、何言ってるのよ!私にとっては大事な娘なのよ!誰がなにを言っても私の…」
母の鳴き声が聞こえる。
「お母さん、ありがとう」
感極まって私も泣き出してしまった。
この両親の子供でいれて本当によかった。
そんな気持でいっぱいになった。
表舞台が苦手で今は芸能事務所で育成をしている。
母は元ファション誌のモデル。今はモデル事務所のスタッフとして働いてる。
二人共スタイルもいいし、顔立ちもいい。
今でもちょっと出掛けるだけでも、振り向かれたり声かけられたりなんてこともある。
弟も両親の血縁を引き継ぎ、スタイルも顔立ちも言うことない。
そして、私は…
「なんでなんだろう…」
ずっと抱いてた思い。
私だけ背は小さくぽっちゃり系。どう見てもこの家系じゃないだろ?と思うんですけど
「昔からよく食べてたからねー」
と、言われてたがそれにしてもおかしいよ!!
金谷麻祐子、家族の容姿に悩みだした中学時代。
戸籍謄本を見てもあの二人の子供になってる。
きっと何かあるんだ!と、ずっと抱いて、聞いてみたが
「何言ってるの!麻祐子は私達の子に決まってるでしょ!」
でも、それでもおかしいよ!
家族に疑問を持つのが辛くなって高校は全寮制に行った。
その後短大に進学したが家に戻ることはなかった。
社会人になって4年目。
2つ年下の弟、尚弥は大学に行きながらモデルをしてる。
高校生の時は年末年始、夏休みなどは全寮制にいる皆が家に帰ってるから私も帰ったが、卒業してからは帰ってないので6年は家族に会ってない。
広告代理店の仕事をして4年目。まだまだ慣れてなく、キツイことも多い。
今は恋人ナシ!過去数人はお付き合いはしていたが、あまり長続きはしてなかった。
「ハァー」
時計を見ると21時。
周りをみるとまだ数人残ってる。
こんな時間まで仕事をするのは日常茶飯事になっている。
んっ?
スマホが震えだした。
見ると母からだ。
「…はい」
「麻祐子?今仕事?」
「あっ、うん」
「お祖母ちゃんがね、亡くなったのよ」
「えっ!?」
お祖母ちゃん…
私にとっては悩みの相談相手だった。
自分はこの家の子じゃない!とよく小学生のとき思ってそれを祖母に話してた。
「麻祐子は、お祖母ちゃんの大事な孫だよ!いつでも味方だからね」
答えはくれなくっても、味方という言葉に支えられていた。
翌日そのまま祖母の家に向かった。
そこには父も母もいて弟もいた。
父も弟も190くらいの高さがあって、スタイルが凄いいい。
母も175近くはある。
私は150ちょっと…
どう見ても家族にはみえない。
親戚の人も
「背の高さ弟に取られちゃったのかね?でもいいじゃない!弟は有名人なんだし」
…
悪気はないんだろうけど、チクチク痛む。
祖母を久々にみたが、本当に小さくなっていた。
もっと会いにいけばよかった…
私の味方と言ってくれた祖母をもっと大事にしとけばよかった。
そう思ったら、涙が止まらなかった。
葬儀も終わり、帰る準備をしていたとき
「すぐ帰るか?」
と、父に言われた
「たまには、家に帰ってきたらどえだ?」
「…」
「話したいことあるのよ!麻祐子が知りたかったことよ」
それは、きっと…
私は家族と6年ぶりに家に帰った。
久々の家。
でも全然変わってない。
リビングに入ると相変わらずオシャレなインテリア。
母はやっぱりセンスがいい。
「元気にしてたか?」
「…うん」
父もたどたどしかった。
「お祖母ちゃんにはね、言ってあげてら?と言われてたんだけど、私達がねずっとごねちゃって。でもお祖母ちゃんの言う通り、もっと早く言ってたら変わっていたのかもね」
そう言って、言葉が止まる。
弟はリビング出入り口で立っていた。
「麻祐子が思う通り、麻祐子は私が産んだわけではないのよ」
わかってはいたけど、それでも実際に言われると…
「…うん」
「昔と違って養子は、戸籍謄本で簡単に見たくらいだとわからない時もあるから。だからこのままでもと思ってたんだけど、でも麻祐子はずっと疑問に思ってたしね」
「…俺がな、母さんと出会う前に恋人がいてな、その人が妊娠してたことがわかってな」
えっ!?それって…
「俺と出会う直前に、そういう関係になった人がいたと言ってたが、別に付き合ってるとかではなかったと言ってた」
「そ、それが私?」
「…ああ」
お父さんは、じっと私の顔を見て言った。
「その人は一人で育てると言ってね、俺が父親になると説得してその間もお腹は大きくなって、彼女が了承してくれたときは、出産の後だった。だが入籍しよう決めたとき、彼女は刺されてそのまま…」
「えっ!?」
「その麻祐子の父親ってのが、妻子持ちでな、その奥さんから彼女は刺されて亡くなったんだ」
…
…
そんな、そんな流れがあったなんて
「その後、母さんと出会ったときは俺は麻祐子を一人で育ててた。それでも俺と一緒になると言ってくれて…」
「そ、そ、だって、お父さんには私関係ないじゃん!!施設でも預ければ…」
「俺が仕事から帰ってくると麻祐子は嬉しそうに手を上げて俺を迎えてくれるんだ!育児ノイローゼみたいに悩んだこともあったけど、麻祐子の笑顔みたらそんなこと出来るわけない!」
「…お父さん」
「私が産んでなくってもね、麻祐子は私の子なのよ!」
お母さん…
やっぱり二人の子じゃなかったんだ。
私はもう20歳も過ぎてるし、子供のときだったらそれなりに辛い気持ちがあるかもしれないけど、でも今なら
「育ててくれて、面倒みてくれて有り難うございます」
と言って頭を下げた
「何言ってるのよ!親として当然でしょう!!」
母はそういうけど、母からしたは私は全く関係のない私を…
「俺は、認めない!!」
と、突然言い出したのは、弟の尚弥だった。
「家族なんて認めない!」
「尚弥!!」
尚弥はリビングを出てしまった。
小さい頃はよく遊んでた。
けど、小学校高学年頃になると、ずば抜けて容姿がよく、背も高い、モテはじめて遊ばなくなってしまった。
それからなんとなく距離が出て、尚弥はほとんど話さなくもなった。
そして私が家を出たので、尚弥と直接話したことなんて記憶にない。
…そうだよな。血が繫がってないんだもんな。家族として認めたくないよね
私はやっぱりこの家の人間でいることが難しいんだなっと実感した。
それからしばらくすると、ネットニュースで、尚弥がNAOYAとして俳優デビューすることが載っていた。
元俳優と元モデルの息子としてデビューすることが載っている。
一人息子とまで書かれてる。
尚弥はあと数ヶ月で大学を卒業するから、卒業したら本格的に活動するんだろうな。
久々に尚弥にあったけど、オーラが凄かった。
かっこよかったな。
もう別世界なんだもんな。
私があの家族に出来ることって、なんだろ?
ずっと避けてた家族。ずっと疑ってた家族。そして父が一人で育ててくれて、母が私を受け入れてくれて…
3人の前になるべく現れないこと…なんだろうな。
やっぱり、あの家族に私はいらない。
それから半年後、尚弥は大学をすでに卒業し、ドラマの出演が決まったりとテレビで見るようになった。
テレビで尚弥をみると、私を家族として認められないって言葉が今でも忘れられない。
中学卒業してから、家に全然近づかなかった私に気分がよくなかったんだろうな。
綺麗な女優さんと、抱き合ったり、気持が高ぶった顔をしてり、辛そうな顔をしたり…
小さいときだけ知ってる私からしたら、あのときの尚弥は別人。
「あ、あの…、課長!お話があるんですが…」
少し前に、九州の方に子会社を立ち上げたという情報があった。
「その会社に参加することは可能ですか?」
「えっ!?どうしたんだ?急に」
課長はビックリした顔をして言われた。
違う環境で頑張ってみたいとか、1から自分の腕を磨いてみたいなど色々理由はできる。
「いやー、急にいなくなってもなー、いないと困るしねー」
「なんとか、お願いできないでしょうか?」
と、頭をさげて上に話してみると言ってくれた。
それから2ヶ月して私の意見が通った。
元々人手不足だったので人が欲しかったらしい。
それからはトントン拍子で話しが進んであっという間に来週九州に行くことになっていた。
どうしようか迷ったけど…
「…もしもし」
「麻祐子?」
「うん」
「元気?」
「…うん」
母はビックリしていた。
こちらから電話することなんてないから。
「あ、あのね、お母さん、私来週から九州に転勤になるの!」
「えっ!?そんな、急に…」
「前から決まってたんだけど、ごめん。言おうか悩んでて」
「言ってよー!急に言われたほうがビックリするじゃない」
「そうだよね、ごめん。」
「なんかあったら、これからはちゃんと連絡しなさいよ!」
という母。
私はこの二人の子じゃないとずっと思ってて避けてた。
その間もずっと私のこと心配してたんだろうな。
「お母さん、お願いがあるの。」
「なに?」
「あのね、もしこの先も尚弥が私に対して家族として反対してたら、私の養子縁組はなくしてほしいの」
「な、何言ってるのよ!!」
「あのね、投げやりとかそんなんじゃないの。私ずっと二人の子じゃないと疑ってた。それを知ることが出来ず、結局ずっと家族から離れての生活を選んでた。本当は誰の子なんだろ?何で教えてくれないんだろ?ってそのことばかり考えてた。でも…、お母さんたちからしたら、私を本当の大事な娘として考えてくれたんだよね?」
「当たり前じゃない!麻祐子は私の娘よ!」
「お母さん、ありがとう。ごめんね。こんな娘で」
「麻祐…」
「でも、尚弥からしたらずっと出ていった人間を家族としてなんて無理だと思う。ましてや尚弥からしたら血も繫がってないわけだし、そんな人を家族だなんて…」
「尚弥だってわかってくれるわよ!今は仕事のことで色々大変だから」
「うん。でも、尚弥が…その考えでいるなら、そういう風な選択も考えてほしいの。」
「な、なにを…」
「戸籍が抜けても私はお父さん、お母さんだと思ってるから。本当なら私は母親が亡くなった時点で施設に預けられてもおかしくなかったんだよね。それなのに、お父さんが育ててくれて…、だからお父さん、お母さんに育ててもらった恩は忘れない。いつか何かしらできたらって思ってる」
「麻祐子!!あんた、何言ってるのよ!私にとっては大事な娘なのよ!誰がなにを言っても私の…」
母の鳴き声が聞こえる。
「お母さん、ありがとう」
感極まって私も泣き出してしまった。
この両親の子供でいれて本当によかった。
そんな気持でいっぱいになった。
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