幸福を運ぶ女

詩織

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本気なの?

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結局支払いもしてもらって、その日は近くまで送ってもらっての解散。

いや~、もう完璧にその場のノリでガンガン食べちゃったわ。

参ったなぁ。


それから数日はお誘いはなかったが週末、会社を出て駅に向かってるときに

「東野さん」

と、声をかけられた。

「この間はごちそう様」

「いや~、全然ですよ。それより今日予定あります?」

「え?」

「もう東野さんが喜びそうなお店知ってるんですよ。で、空いてます?」

「まぁ空いてはいるけど」

なんで断らないのよ!私。

「じゃ行きましょう!」

そう言ってまた引っ張られるように連れていかれる。

2駅電車に乗り、駅から少し歩いた。

やっぱり裏道なところを歩き

「ここ?」

どう見てもお店じゃない。一軒家だ。

ピンポーン

と家のインターフォンを鳴らす

「はい」

「吉本です」

「ああ、どぞ」

そう言って、一般家庭の玄関を開けた。

「いらっしゃいませ」

どう見ても玄関も普通の家の玄関。

そして入った先は、リビングだけがテーブルとイスが並べられ、一般家庭のリビングなのでテーブル5席あればもういっぱいだ。

1席は既にお客さんがいた。

「こちらに」

そう案内されて通される。

「じゃ出しますね」

注文もしてないのに料理が出る。

「吉本君ここって?」

「家庭料理なんだけど、まぁ食べてみて。嫌いなのでたら俺食べますから」

出てきたのは家族とかで食べる家庭料理ばかり。

和え物、肉じゃが、お肉と野菜の巻物、ぶりの照り焼き

「ご飯おかわり言ってね」

ほんと誰かの家におじゃましてるみたいだ。

早速頂くと...、確かに家庭料理だけど、やっぱり全然違う。

こんなに食べやすく、こんなに美味しいことってあるんだろうか。

全ての料理が気に入ってしまい、また必死に食べてしまった。

2時間くらいいて、最後にデザートも頂いた。

それで1人2000円ちょっとだという。

これだけ食べて?すごい!

「吉本君ってこういう穴場知ってるの?」

「結構好きですね。探すの」

「へぇえ」

「これから一緒に探せばいいんじゃないですか」

「え?」

「ダメですか?」

店をでて、少しお酒もお互いに飲んだのでほろ酔いになってる。

吉本君が手を繋ぎだした。

拒否もせず、肯定もせず。



「いっぱい食べたから、お散歩しましょう」

そう言って歩き出した。

「俺、本気の本気。本気で好きです」

そう言って、

「いい?」

と言われ、キスをされた。

「嫌だったら拒んで」

どうしていいのか困惑してる私。

本気なの?本当に本気?

「本当に嫌なら拒んで」

そしてまたキスをしようとしたので

私は、目を瞑った。
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