大好きな背中

詩織

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しつこい女

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それからしばらくして、仕事と家の往復をして、家では同僚に進められたオンラインゲームなんかやりはじめ、始めは馬鹿にしてたのに、どっぷりハマってしまった。

レベル上げとか苦痛とか思いつつも、毎日それが気になる。

今日はレベルあげしないとなとか、色々考えてしまう。

ゲームの中で友達もできて、完璧なゲーマーになってきてる。

最近、ドラマとか見なくなったなーと、まぁ見ても途中だからわからないけど、久々にゲームから離れてみようと思って、テレビでもつけてみた。

「では、次のニュースです。今朝映画の撮影で事故がありました。スタントの方が3名が重体で、お名前は高橋道成さん、松井悠人さん、長野智道さんです」

「!?」

無意識だったと思う。

振られたとか関係なく、電話をしてしまった。

電話は繋がることがなく、不安でいっぱいになる。

とりあえず、ショートメールを入れた。

松井さん、無事でいて!

病院も知らないし、どうしていいかわからない。

ただ、部屋の中をウロウロしてしまう。

結局その日は、連絡はこなかった。

でも、振られた相手に連絡こないか。

わたしって、しつこい女だな。


その3日後、自宅についてまもなくして電話がきた

「え?」

みると、松井さんの名前が書いてある。


「も、もしもし?」

「遅くなってごめん」

「い、いえ。あの…、怪我は?」

「え?」

「あっ、ニュースで見て」

「あっ、ニュースでやってたんだ」

「ええ。で、どうなんですか?」

「全治2ヶ月かな。しばらくは片手は使えないし、腰も負傷してるので」

「ええ!?」

「でも、命にとかそういうのないから」

「そ、そうですか。今はどちらに?」

「しばらくは、入院かな」

お見舞いに行きたいとか、迷惑だよな。

「あ、あの、何か私に出来ることありませんか?」

「え?」

「ああ、すいません。あの、私のようなのがお役に立つとかないけど、何か出来ることがあれば」

沈黙してる。

やっぱり、そうだよな。迷惑だよな。

「あ、あのごめんなさい。困らせるつもりはなかったんだけど、1日も早く回復することを願ってます。大変な時にお電話してしまってすいません。それでは」

っと、電話を切ろうとしたとき

「あ、あの」

「はい?」

「たまに電話くれませんか?」

「え?」

「あっ、いや、病室も1人だし会社の人が様子は見に来てくれるけど、そんな長くいないし、話相手というか...」

「あっ」

まさかの...

「面倒だったらいいです」

「いや、あの、私でよければ」

ということで、3日に1回くらいな割合の夜に電話することとなった。

こんなこと言われて対処できずで言ってくれたのかもだけど、私からしたらやっぱり嬉しくって...

でも彼からしたら私はしつこい女だな。

とりあえず、ストーカーレベルにならないように注意しないと。

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