トラガール

詩織

文字の大きさ
20 / 35

なんとなく…

しおりを挟む
披露宴も終わり

「今度さ皆で飲みに行こうよ!」

「そうだねー、行こ!」

と、皆で言ってるときに坂下も向こうの方に見えた。

まぁ、もう特には用もないしね。

「じゃ、またねー」

と言ってみんな別々になる。

近いから皆実家にでも行くのかな。

私は…まぁ、そのまま特急で帰えるか。

駅に向かっとき

「篠山!」

と、声が掛かって振り向くと

「あっ」

坂下が居た。

「帰るの?」

「あっ、うん。そう」

特急の時刻表を見てたので

「東京?」

「あっ、うん。そう」

「俺もなんだ。一緒に帰らない?」

「えっ?」

まさかの…

2人で横並びの指定券を買って、電車に乗った。

「はい」

座って渡されたのは

「…ビール…、用意いいね」

「まぁ、飲みたかったし」

缶ビールを頂き乾杯をした。

「篠山は…」

と、私の指をみた。

「な、なに?」

あっ…

「結婚してないよ」

「そうなんだ。まぁ、俺もしてないけどね」

えっ?意外。もう結婚して子供とかいると思ってた。

「おれ、事務所持ちたくってさ、がむしゃらに働いてたらこんな歳になってた」

「事務所?」

「うん」

と言って名刺を貰った。

「税理士…」

「独立したくって、必死にやりすぎたわ!」

と、苦笑する。

「で、しっかり独立してるじゃん!凄いな」

「いや、周りに助けられてばっかり」

「かっこいいねー」

「篠山は?」

「以前は商社に努めてたんだけどね。今は…トラックの運搬してる」

「えっ?」

ビックリして顔して

「トラック?」

「うん。4トンのトラック運転してる」

「それは…、予想外というか…」

「まぁ、そうだよね。でもやりがいはあるから…」

「そっかぁー」

少し間があって

「俺さ実はバツイチなんだ」

「え?そうなの?」

「結婚したはいいが、仕事に夢中になりすぎて、お互いまだ若かったから、休みの日には何かしたかったんだと思うが何もしてあげられなかった」

「若いっていつ?」

「22の時かな」

「わかっ」

「今思えば申し訳なかったなーと」

「じゃ、次はしっかり考えてやらないとね」

と、少し説教じみた感じに言ってしまった。

苦笑されて

「はい!肝に銘じます」

と、返された。

そのあと、近況の話を少しした。

あの時の話は全く触れなかったけど、それはそれでいいのかもしれない。

気がつけばもう、東京駅が近かった。

「篠山さ、ここに俺の番号書いてあるから、たまにでいいから飲みに行こうよ」

名刺をみると、携帯番号もかいてあった。

「あっ、うん。そうだね。まだ積もる話もありそうだしね」

と、当たり障りのない返事を返した。

駅に降りて、その後は違う電車になるので別れた。

私の携帯番号教えとけばよかったかなーと思ったけど、まぁそのうち掛ける機会?があるか解らないけど、あったらで。

正直、電話掛けるかどうかは半々だな。

あの時の気持ちが思い出したけど、でも今更友達として会うのもだしねー

と、意外に冷静な自分がいた。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

『冷徹社長の秘書をしていたら、いつの間にか専属の妻に選ばれました』

鍛高譚
恋愛
秘書課に異動してきた相沢結衣は、 仕事一筋で冷徹と噂される社長・西園寺蓮の専属秘書を務めることになる。 厳しい指示、膨大な業務、容赦のない会議―― 最初はただ必死に食らいつくだけの日々だった。 だが、誰よりも真剣に仕事と向き合う蓮の姿に触れるうち、 結衣は秘書としての誇りを胸に、確かな成長を遂げていく。 そして、蓮もまた陰で彼女を支える姿勢と誠実な仕事ぶりに心を動かされ、 次第に結衣は“ただの秘書”ではなく、唯一無二の存在になっていく。 同期の嫉妬による妨害、ライバル会社の不正、社内の疑惑。 数々の試練が二人を襲うが―― 蓮は揺るがない意志で結衣を守り抜き、 結衣もまた社長としてではなく、一人の男性として蓮を信じ続けた。 そしてある夜、蓮がようやく口にした言葉は、 秘書と社長の関係を静かに越えていく。 「これからの人生も、そばで支えてほしい。」 それは、彼が初めて見せた弱さであり、 結衣だけに向けた真剣な想いだった。 秘書として。 一人の女性として。 結衣は蓮の差し伸べた未来を、涙と共に受け取る――。 仕事も恋も全力で駆け抜ける、 “冷徹社長×秘書”のじれ甘オフィスラブストーリー、ここに完結。

ひとつ屋根の下

瑞原唯子
恋愛
橘財閥の御曹司である遥は、両親のせいで孤児となった少女を引き取った。 純粋に責任を感じてのことだったが、いつしか彼女に惹かれていき――。

(完結保証)大好きなお兄様の親友は、大嫌いな幼馴染なので罠に嵌めようとしたら逆にハマった話

のま
恋愛
大好きなお兄様が好きになった令嬢の意中の相手は、お兄様の親友である幼馴染だった。 お兄様の恋を成就させる為と、お兄様の前からにっくき親友を排除する為にある罠に嵌めようと頑張るのだが、、、

声(ボイス)で、君を溺れさせてもいいですか

月下花音
恋愛
不眠症の女子大生・リナの唯一の救いは、正体不明のASMR配信者「Nocturne(ノクターン)」の甘い声。 現実の隣の席には、無口で根暗な「陰キャ男子」律がいるだけ。 ……だと思っていたのに。 ある日、律が落としたペンを拾った時、彼が漏らした「……あ」という吐息が、昨夜の配信の吐息と完全に一致して!? 「……バレてないと思った? リナ」 現実では塩対応、イヤホン越しでは砂糖対応。 二つの顔を持つ彼に、耳の奥から溺れさせられる、極上の聴覚ラブコメディ!

ご褒美人生~転生した私の溺愛な?日常~

紅子
恋愛
魂の修行を終えた私は、ご褒美に神様から丈夫な身体をもらい最後の転生しました。公爵令嬢に生まれ落ち、素敵な仮婚約者もできました。家族や仮婚約者から溺愛されて、幸せです。ですけど、神様。私、お願いしましたよね?寿命をベッドの上で迎えるような普通の目立たない人生を送りたいと。やりすぎですよ💢神様。 毎週火・金曜日00:00に更新します。→完結済みです。毎日更新に変更します。 R15は、念のため。 自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)

竜人のつがいへの執着は次元の壁を越える

たま
恋愛
次元を超えつがいに恋焦がれるストーカー竜人リュートさんと、うっかりリュートのいる異世界へ落っこちた女子高生結の絆されストーリー その後、ふとした喧嘩らか、自分達が壮大な計画の歯車の1つだったことを知る。 そして今、最後の歯車はまずは世界の幸せの為に動く!

離した手の温もり

橘 凛子
恋愛
3年前、未来を誓った君を置いて、私は夢を追いかけた。キャリアを優先した私に、君と会う資格なんてないのかもしれない。それでも、あの日の選択をずっと後悔している。そして今、私はあの場所へ帰ってきた。もう一度、君に会いたい。ただ、ごめんなさいと伝えたい。それだけでいい。それ以上の願いは、もう抱けないから。

王宮に薬を届けに行ったなら

佐倉ミズキ
恋愛
王宮で薬師をしているラナは、上司の言いつけに従い王子殿下のカザヤに薬を届けに行った。 カザヤは生まれつき体が弱く、臥せっていることが多い。 この日もいつも通り、カザヤに薬を届けに行ったラナだが仕事終わりに届け忘れがあったことに気が付いた。 慌ててカザヤの部屋へ行くと、そこで目にしたものは……。 弱々しく臥せっているカザヤがベッドから起き上がり、元気に動き回っていたのだ。 「俺の秘密を知ったのだから部屋から出すわけにはいかない」 驚くラナに、カザヤは不敵な笑みを浮かべた。 「今日、国王が崩御する。だからお前を部屋から出すわけにはいかない」 ※ベリーズカフェにも掲載中です。そちらではラナの設定が変わっています。(貴族→庶民)それにより、内容も少し変更しておりますのであわせてお楽しみください。

処理中です...