美形貴族のお坊ちゃん×極悪非道のツン/ヤンデレ海賊の激甘執着ラヴ

ゆっくり

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二章

Sideレイ

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 一言で言えば変なやつ。貴族のお坊ちゃんだからではすまない気狂いじみたその男。どうやら死ぬのが怖くないらしい。俺に、何度も何度も暴力を振るったこの俺に、煽るような態度を取ったり実際舌を出して明確に侮辱して見せたりもした、面白い男。そして、美味い料理を作る。
 しかし情報が得られぬなら殺し、得ても殺してやることに変わりはなかった。王族どもだけでなく、このベイリー家にも大きな因縁があったからだ。はなからただのあいつと出会っていたらどうなっていただろうと思わない事はなかったが。

 いかにも貴族のボンボン。王族に夢を見て、そしてそんな奴らのためになら死ぬのでさえ怖くないというその狂った思想。そのせいで口を割らないそいつを思い出した俺は、いつも通り怒りに支配された。




「チッ」

 恨みのある者たちは一人残らず潰す主義だ。そのために海賊になったようなものだ。神遊楽も、宗教団体も順調に壊滅させた。血反吐を吐きながら殺してやると誓ったあの日から、その言葉に偽りなく復讐を果たしてきた。次はあいつらだ、あいつらを壊滅させる時が来た。

「………」
 
 日に日に苛立ちが大きくなってゆく。煙管を手にとり、葉を丸めて先端に詰め込んだ。
 最近、身辺が騒がしくなっている。やるなときつく命令したのに、薬物に手を出す愚か者たちが現れた。何かを企んでこっそりと動いている者、誰がお坊ちゃんを逃したのかもわかっていない。

「チッ」

 また苛立ちがこみ上げ、先の不愉快な光景が頭をよぎった。その瞬間、不安と怒りが混じり合った感情が爆発的に込み上げた。俺は怒りに駆られ、周囲の物を蹴り飛ばした。物音と共に何かが空中に舞い上がる。

「……ハアハア」

 あの光景がまた頭をフラッシュバックする。地面に座り込む男がおり、その周りには何人かの男たちが取り囲んでいた。もはや吐き気がする。気持ち悪い。




 俺は机に広げられた地図を見る。次に向かうのはここからさらに北の方に行ったとある国だ。
 サーカス集団として活動する一方で子供を攫うゴミども。そのサーカス団のトップは若者に興奮を覚える変態野郎だった。要は攫って着飾らせて見せ物にするゴミ野郎だ。こいつらに壊された自尊心を取り返す時が来た。

「……さてどうするか」

 そのサーカスは完全紹介制でサーカス幹部の紹介のある者しか入ることができない。大抵が富豪で、このサーカスを鑑賞し、少年を買うのにも莫大な金がかかる。
 攫われてきた少年を装うにしても、細い、儚げな美しい青年しか入ることができない。俺はもはや筋肉を鍛えて背も伸びたため線の細い青年を装うことは不可能だった。そしてここの奴らは皆、汚い服をまとったむさ苦しい男ばかりだ。

「…………」

 俺はどのような作戦にしようか深く考え始めた。
 あの坊ちゃんを攫わせて、内部に侵入させるのはどうか。大騒ぎさせているうちに俺が裏口から侵入し……いや、あのじゃじゃ馬が素直に俺のいうことに従うとは思えない。絶対に目を離した隙に逃げ出すに決まっている。
 では正面から堂々と宣戦布告し、あの馬鹿な部下どもに殺戮させるか。それはまあまあありな作戦だ。あいつらは血に飢えているし、最近なにやらストレスが溜まっている様子が見て取れる。そろそろどこかで発散させなくては面倒なことになるだろう。

「おい」

 俺は扉を開けて、目についた部下たちに話しかける。相変わらずビクビクと俺を怯えているようだ。俺は一連ことについて説明した。案の定そこにいた部下たちは久しぶりに抗争ができるということに沸いた。俺は自分のことは置いておいて、どうしようもない奴らだなと思った。
 
「てめぇら、浮かれて失敗するんじゃねぇぞわかったな」

「はい」

 俺はそれだけを告げて、部屋に引き返した。
 今日は色々あって疲れた。美味い飯も食って気持ちよく酒を飲みながら作業をしていたのに最悪な現場を見て酔いも覚めた。

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