巻き込まれた薬師の日常

白髭

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1F-氾濫と供給

1F-12 魔力で練る土

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 穴が埋まった後は、ロザリルの指示通り焼却を開始した。火魔法で薪に火をつけ、さらに精製ランナの残留物を放り込む。よく燃える素材だ。風魔法で空気を送り込み、炎は勢いを増す。

「また魔法を手足のように……さっき入れたのは何?」
「商会の秘密ですが、よく燃える素材です」
「ふーん。お姉さんたちにも秘密かぁ。それにしても魔力操作が精密ね」
「陶器作りで鍛えました。師匠はパラケル爺さんです」
「なるほど、道理で精度が高いわけね」

 続きをせがまれ、ホーミィー村の土と木の板を取り出す。さらに大甕の水を用意し、魔力の通りを確認させる。

「水は魔力の通りが良いわね。川の水?」
「はい、少し手を加えていますが由来は川の水です」

 次に粘土を練る工程を見せる。土と水を魔力で混ぜ合わせ、粒子を分別して均一にする。
「職人は手で練りますが、自分は力がないので魔力操作で代用します」
「力任せではなく、魔力で均一にするのね……」

 土と水がぐにぐにと動き、やがてキメの細かい粘土ができあがる。
「……粘土の動きが気持ち悪いわね」
「魔力で操作するなんて普通は思わないわよ」
「けれど仕上がりは見事だわ」

 そのまま皿を成形し、水魔法と風魔法で乾燥。さらに火魔法で素焼きを行う。温度を精密に制御し、三十分ほどで完成させた。
「こんな感じです」
「初見でここまでできる冒険者はいないでしょうね……」
「辺境ではパラケル爺くらいの精度よ……」

 気づけば作業員たちが集まり、ギャラリーができていた。
「坊主、すげえな。素焼きの工程なんぞ見惚れたよ」
「捏ねてるとこなんかスライムかと思ったぜ」

 観客を無視し、ロザリルとアイカに実習を続けさせる。だが二人はすぐに魔力切れでギブアップした。
「もうだめ……魔素がないわ」
「フラフラよ……」

 ここでやめるのは惜しい。自作の魔力ポーションを取り出す。
「せっかくなので最後までやりましょう。特級と一級、どちらにします?」
「特級品をすんなり出すなんて、この少年は一体……」
「高いと聞いてるけど……」
「自作です。いくらでもありますよ」
「……信じられない」


 渋々ポーションを飲み、二人は作業を続けた。結局、特級を四本ずつ飲み干し、ようやく捏ね上げを終える。
「終わったわ……」
「土魔法はしばらくいい……」
「焼き入れもありますけど?」

 返事はなく、二人は視線を逸らした。どうやら魔力訓練体験はここで終了のようだ。気づけば日はすでに高く昇っていた。
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