巻き込まれた薬師の日常

白髭

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1F-氾濫と供給

1F-19 即席の授業

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 学院に行くことは決まった。だが、まだ氾濫は収束していない。広場を歩きながら、パラケル爺さんは「もう帰るぞ」と言った。
「すぐに帰るのですか?挨拶なしに?」
「ああ、ここにいても利用されるだけだ。当初の要件は済んだし、さっさと戻るぞ」

 荷馬車は魔物の回収に駆り出されている。仕方なく徒歩で訓練場へ向かう。
「サルタンの荷馬車を回収にきたぞ」
「今出払っています。すぐ戻ると思います」

 対応していたのは商人ギルドの職員。その場には魔導師ギルドのヘラスムスとヘレナもいた。
「冒険者ギルドが穴だけ掘って放置ですから、焼却炉作りですよ」
「お前たち、これから半年は月一でギルドに来い。ワシが指南することになった」
「やった!またパラケルさんの指導が受けられる!」

 二人は喜んでいたが、造形物の作成は苦手らしい。パラケル爺さんは「繊細な制御が役に立つ」と言い放ち、指導を始めた。

 自分は待ち時間に壁際の穴を仕上げることにした。土壌は解析済み。足場を固め、骨回収用の扉を作り、通路と空気穴を整え、煙突を立てる。一連の動作をまとめて魔術行使する。慣れた作業だ。

 ♢♢

 小僧が次々と煙突を立てていく様子に、ヘラスムスとヘレナは目を奪われていた。
「パラケル師、あの子は一体……」
「俺の元で魔力操作を覚えた。物事への理解が桁違いなんだ」

 二人は感心しつつも「大雑把な指導なのによくここまで」と呟く。
「大雑把は余計だ。理解力が異常に高いだけだ」

 そう言いながら、二人に土を一握り渡す。
「まずは土の性質を見ろ。ここは粘土二割、砂土八割だ。粘土が少ないと崩れる。最低でも三割は欲しい。鑑定は一箇所だけでなく、下層でもやれ」

 さらに設計図を描きながら説明する。
「煙突を立てる前に密度を高めて固める。火は下から上に抜ける。空気穴を作り、下の土で煙突を築く。下は厚く、上は薄く。ブロック単位でもいい。慣れれば一度にまとめてできる」

 実演を交え、ゆっくりと行使して見せる。
「まあ、こんな感じだ。よく見ていたか?」
「今日のパラケルさんは優しい……」
「素晴らしい魔力制御です……」

「次はお前らの番だ。さっさとやれ」

 馬車が戻るまでの間、魔導師ギルドの即席授業は続いていった。
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