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プロローグ
プロローグ:魔法師に不必要なその属性
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ライアテヌス帝国、北方騎士団ラースに所属する魔法師である俺ことエイベル・ロッカは、この国ではあまり珍しくない黒に近い焦げ茶の髪ごとしょぼんと項垂れていた。
「⋯エイベル、お前な⋯」
「ゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイ!キャロン、ぶ、無事か⋯?」
「生命があるという意味では無事だ」
「最低限はマークされてるな、良かった」
「良かった⋯?」
「嘘ですゴメンナサイ!!責任を取ってそのシチューまみれの服は洗濯しますからぁっ」
食堂で夕飯を食べようとした俺は、いい匂いに釣られてシチューを選択し⋯
相方の騎士であるキャロン・クラレンスの姿を見つけて駆け寄った。
までは良かったのだが⋯
「お前は足元への注意が足りないと何度も言っただろう!」
「あ、足元は見てたよっ!?何もなかった!」
「何もないのに何故転ける!」
「つ、つんのめっちゃった⋯ほら、靴がね?つんって⋯」
「ほぉお⋯?」
「ヒェッ」
「そもそも食堂で走るなとも言ったよな!?」
「ゴメンナサイィィイ!!」
途中で躓いた俺はキャロンにシチューを頭からぶちまけてしまい、彼の柔らかそうな少し淡い色のハニーブロンドがシチューで額に貼り付いていた。
“ひぇぇ、今日もキャロンの説教が止まらないぃ”
しゅん、としつつも全て自分が悪いので言い返すことも出来ずシチューまみれでガミガミ言っているキャロンの前で正座しながら項垂れる。
食堂の一角で、シチューまみれの騎士と床に正座し項垂れている魔法師。
一見かなり異質な光景のようではあるがー⋯
「あーあ、エイベルまたかぁ?」
「キャロンが不憫すぎるぜ、コンビ解消すりゃいいのに」
「いつものか。あ、おばちゃん今日は俺焼き魚で」
割りとよくある光景のせいで、最早驚く人など全くおらず⋯
「あいよ、代わりのシチュー机に置いとくよっ!お皿は食べ終わるまで触らないように!」
食堂のおばちゃんすらも慣れたものだった。
“うぅ、こんなハズじゃないんだけどなぁ~⋯”
「聞いてるのか?」
「き、聞いてますッ!」
机に置かれたシチューをチラリと盗み見し、はぁ、とこっそりため息を吐く。
そんな俺に、濃紺の瞳を吊り上げたキャロンからの鋭い指摘が入って慌てて姿勢を正した。
ちなみにキャロンのような濃い単色の瞳は珍しくなく、また魔力の少ない者の特徴でもある。
対して魔力のある俺を含めた魔法師は、天性の属性を表す色合いの瞳をしていて。
“俺は炎と強化に恵まれたから赤紫の瞳――なんだけど”
「ま、エイベルはしゃーないわ、そいつトラブル属性だからな」
「そんな属性ないですけどぉ!?」
うっかりドジが多いからか、何故かすぐハプニングに襲われるからか『天性のトラブル属性』なんていう不名誉な呼び方をされていた。
「毎度ながら災難だな」
「天性の属性かぁ~」
なんて、気付けば周りの奴らも笑い出す始末で⋯。
“そ、そんな属性本当にいらなすぎるんだがー!!!”
説教で項垂れていた俺は、そんな彼らのいつもの弄りを聞きながら更に項垂れるのだった。
「⋯エイベル、お前な⋯」
「ゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイ!キャロン、ぶ、無事か⋯?」
「生命があるという意味では無事だ」
「最低限はマークされてるな、良かった」
「良かった⋯?」
「嘘ですゴメンナサイ!!責任を取ってそのシチューまみれの服は洗濯しますからぁっ」
食堂で夕飯を食べようとした俺は、いい匂いに釣られてシチューを選択し⋯
相方の騎士であるキャロン・クラレンスの姿を見つけて駆け寄った。
までは良かったのだが⋯
「お前は足元への注意が足りないと何度も言っただろう!」
「あ、足元は見てたよっ!?何もなかった!」
「何もないのに何故転ける!」
「つ、つんのめっちゃった⋯ほら、靴がね?つんって⋯」
「ほぉお⋯?」
「ヒェッ」
「そもそも食堂で走るなとも言ったよな!?」
「ゴメンナサイィィイ!!」
途中で躓いた俺はキャロンにシチューを頭からぶちまけてしまい、彼の柔らかそうな少し淡い色のハニーブロンドがシチューで額に貼り付いていた。
“ひぇぇ、今日もキャロンの説教が止まらないぃ”
しゅん、としつつも全て自分が悪いので言い返すことも出来ずシチューまみれでガミガミ言っているキャロンの前で正座しながら項垂れる。
食堂の一角で、シチューまみれの騎士と床に正座し項垂れている魔法師。
一見かなり異質な光景のようではあるがー⋯
「あーあ、エイベルまたかぁ?」
「キャロンが不憫すぎるぜ、コンビ解消すりゃいいのに」
「いつものか。あ、おばちゃん今日は俺焼き魚で」
割りとよくある光景のせいで、最早驚く人など全くおらず⋯
「あいよ、代わりのシチュー机に置いとくよっ!お皿は食べ終わるまで触らないように!」
食堂のおばちゃんすらも慣れたものだった。
“うぅ、こんなハズじゃないんだけどなぁ~⋯”
「聞いてるのか?」
「き、聞いてますッ!」
机に置かれたシチューをチラリと盗み見し、はぁ、とこっそりため息を吐く。
そんな俺に、濃紺の瞳を吊り上げたキャロンからの鋭い指摘が入って慌てて姿勢を正した。
ちなみにキャロンのような濃い単色の瞳は珍しくなく、また魔力の少ない者の特徴でもある。
対して魔力のある俺を含めた魔法師は、天性の属性を表す色合いの瞳をしていて。
“俺は炎と強化に恵まれたから赤紫の瞳――なんだけど”
「ま、エイベルはしゃーないわ、そいつトラブル属性だからな」
「そんな属性ないですけどぉ!?」
うっかりドジが多いからか、何故かすぐハプニングに襲われるからか『天性のトラブル属性』なんていう不名誉な呼び方をされていた。
「毎度ながら災難だな」
「天性の属性かぁ~」
なんて、気付けば周りの奴らも笑い出す始末で⋯。
“そ、そんな属性本当にいらなすぎるんだがー!!!”
説教で項垂れていた俺は、そんな彼らのいつもの弄りを聞きながら更に項垂れるのだった。
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