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第二章・護衛令嬢、出稼ぎにいく

18.擦り合わせる気持ち

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“な、何言って……!”

 文句を言いたいが、すぐにまた唇が重なり言葉にならない。

 角度を変えて触れる唇は、私から無理やり言葉を奪ったくせにやたら優しく抵抗するのを躊躇わせてしまう。


 口付けを交わしながらゆっくりと体重をかけられた私は、そのままボスンとベッドに倒れ込んで。


「なぁ、俺のこと好きになってよ」
「ちょ、フレ……、んんっ」

 私を組み敷いたフレン様は、話しながら私の唇をチロリと舐めた。

「オリアナ、口開けて」
「ま……っ、んぁっ」

 待って、と言おうとしたその隙間を見逃さなかったフレン様の舌が、すかさずくちゅりと入れられる。

 私の舌を求めて入れられた舌は、私の歯列をなぞり奥に引っ込めた舌を見つけて絡め取って。

“舌、熱い……!”

 ちゅくちゅくと音をさせながら舌を扱くように動かされると、直接伝わる熱でまるで溶けたような錯覚に陥る。

 それはきっと、私の舌もフレン様と同じくらい熱くなっているということで――


「ひ、ぁあ!」

 繰り返し与えられる口付けに意識を持っていかれていた私は、気付けば胸に這わされたフレン様の手のひらにびくりと体を跳ねさせた。

「じろじろ見やがって……目くらい潰してやれば良かった」
「か、過激です!」

 胸を揉みながら、どうやら子爵のことを根に持っているらしいフレン様が物騒なことを口にする。

“王子がそんなこと言うと、しれっと叶っちゃうことだってあるのに!”

 フレン様のそんな言葉に唖然としながら、揉まれ続ける手の動きにピクピクと体が反応した。


“子爵に触られた時と、やっぱり全然違う”

 戸惑いはあるし、恥ずかしくて逃げ出したい気持ちだってある。

 けれどやはりフレン様には嫌悪感を抱かなくて。


「……嫌じゃ、ないか?」
「ここでそれ聞くの、ずるいです……」

 私の返事を聞いたフレン様は、まるで花が綻ぶようにふわりと笑った。

「そうか」

 短い一言だけを返したフレン様は、騎士服のボタンをゆっくり上から外して。

 
“子爵とは全然違うな”

 引き千切るようにシャツの前を開けられた時とは違う、丁寧な指使い。

“あの夜はどうだったんだろ”

 私がお酒に酔い押し倒した時のことを思い出す。
 残念ながらあまり覚えておらず、だが自分で脱いだような気がした。

 ――なら、ある意味今日が初めての夜になる。


 そう思うと途端にバクバクと痛いほど心臓が跳ねて。

「ふっ、心臓凄いな」
「な!!」

 笑いながら告げられたその言葉にカァッと一気に顔が熱くなる。
 わざわざそんなことを言わなくても、なんて文句を言いそうになった私の手をそっと握ったフレン様は、そのまま自身の胸へ私の手を触れさせて。

「俺もだ」

 手のひらに伝わるドクドクという早い鼓動を感じ、同じだと思うとこの恥ずかしさや苦しさも悪くはないと思えた。

「お、オリアナ?」
「触れさせたの、フレン様ですけど」

 気恥ずかしさを誤魔化すように、わざとムスッとした顔を作りながらフレン様のボタンを外す。

 私の行動が想定外だったのか、じわりと染まるフレン様がなんだか可愛く見えて。


「んっ、ひゃあ!?」
 
私のボタンを外しきったフレン様が胸当てを下に一気にズラすと、私の胸がふるりと溢れるようにまろび出た。

 覆い被さるようにフレン様が顔を近付け、乳房の上部にぢゅっと吸い付く。
 チリッとした小さな痛みが走り、私の胸に赤い痕がつけられた。

 
「ほんと可愛いよな」
「ど、どこが……っ」

 確かに胸は大きい方かもしれないが、その胸含め鍛え上げた肉体はきっと絵本の中のお姫様とも一般的な貴族令嬢とも違うだろう。

“フレン様が他の人を見たことないからそう思うのかも”

 なんて考えが過るが、私の知っているフレン様は誰かと比べるような人ではなくて。

「今は俺にだけ集中しろ」
「んっ」

 胸元から首元へ唇を滑らせたフレン様が、今度はその首元に強く吸い付き痕を残す。

「見えるとこ、は……っ、ひゃぁん!」

 首筋に舌を這わせながらフレン様の両手が乳首を摘まみ、クリクリと刺激した。

「俺のだって見せびらかしたい」
「や、ダメ……っ」
「オリアナも付けていいぞ?」

 指先で押し込み、押し込んだ先端をまた指先がカリカリと引っ掻くように刺激する。

 両胸に同じ刺激を繰り返し与えながら再び鎖骨までおりたフレン様の唇が、そのまま胸の先端まで滑り下りて。

「んぁあ!」

 ちゅ、と乳首を強く吸われ、舌先がチロチロと乳首を口内で弾かれる。

 指とは違うその刺激が気持ちよく、ゾクゾクとした快感か私の体を走り背を仰け反らせた。


「気持ちいいか?」
「ぁ、んんっ、きもち……い……っ」
「んッ、そ、そうか」

 聞いたくせに照れてしまったらしいフレン様は、小さく咳払いをし再び胸への愛撫を再開させる。

 ちゅうちゅうと何度も乳首を吸われると、母性本能を刺激されるのか気付けば彼の銀髪に指を絡め撫でていた。

 
「随分と余裕そうだな?」

 乳首から口を離したフレン様が私も見上げ、胸を持ち上げるように揉んでいた手がするりとお腹を撫でそのままベルトに手をかける。

「あっ」

 カチカチと小さな金属音をさせながらベルトを外されると、寛げたズボンの隙間からフレン様の手が差し込まれた。


「ん、ちゃんと濡れてるな」

 ぽつりと呟かれたその言葉が私の羞恥を煽る。

「そんなこと言わないでください……っ!」

 ぎゅっと目を瞑りフレン様の肩を押すと、あっさりとそのまま体を起こしたフレン様が自身のベルトもカチャリと外して。

「っ!」
「流石にすぐ挿入したりはしないから」

 はっと笑ったフレン様の瞳がいつものどこか可愛らしいピンクよりもずっと赤く見えてドキリとする。

 私を強く求めるようなその情欲を孕む色に、私の下腹部もじわりと熱を孕んだ。


 くちゅ、と指が下着の上から蜜壺に這わされ、ねちゅねちゅと音を立てる。

 音だけでも耳を刺激するのに、フレン様の手のひらが下着の中に入れられて。


「奥は後でいっぱい突いてやるから」
「あ、ぁあっ」

 ぐちゅりと浅いところをフレン様の人差し指が出入りし、内側を擦る。

 ナカを解すようにゆっくりと指を動かしながら、親指が愛芽をグリッと強くなぞった。

「ひんッ!」

 ビリビリとした刺激が体を駆け巡り、頭の奥をじんと痺れさせて。

「やっ、それだめ、だめぇ……!」
「大丈夫だから、ほら、俺の首に腕回して」
「やぁっ、んぁあ!」

 器用に指を抽挿しながら耳元をフレン様の吐息が掠める。

 蓄積させるように快感を与えられ、その快感を少しでも逃がそうとフレン様の首に両腕を回してぎゅうっと抱き付いた。


「もう二度と誰にも触らせないから」
「ん、んんっ」

 一本だった指が気付けば二本になり、ナカを強く擦られる。

 私からも愛液が溢れているのだろう、フレン様の指の動きに合わせてちゅぷちゅぷと音を零すようで。

「誰よりも大事にするから、だから」

 少しだけ絡めた腕を緩めフレン様と目を合わせる。

“私に触れるのは、これからずっとフレン様だけ”

 切実さを含んだその声色に、濃いピンクの瞳が堪らなく愛おしくて仕方なくて。


「……はい。フレン様が、望むなら」

 首に回していた腕を少し動かし、彼を引き寄せるようにして私から唇を重ねると、すぐに舌が入ってきて絡められる。

 私からも舌を伸ばせば、すぐに舌を強く吸われて。

 
「ひゃ、んぁあ……!」


 ――くち、とフレン様の硬く反り返ったソコが私の蜜壺にあてがわれ、そのままぬぷりと挿入された。

 愛液を溢れさせながらゆっくり挿入り、私の内壁を抉りながらナカを押し広げる。

 
 二度目だからか、それとも私の中の気持ちが変化しているからなのか。

 圧迫感と共にナカを擦られる強い刺激が快感を呼び、気持ちよさに襲われながらも突っかかることなくこつりと奥まで貫かれた。


「オリアナのナカ、めちゃくちゃ熱い」

 はぁっ、と吐息を漏らしながら抱き締められる。
 私のナカがフレン様の形に馴染むまでそのままで堪えてくれているのだろうが……

 
“どうしよう、もどかしい、かも”

 詳細までは覚えていないが、与えられた快感は刻まれてしまったらしく、体が熱く疼いて仕方なくて。

“もう動いて欲しい、「フレン様ので”いっぱい擦って欲しい……っ」
「なぁ、心の声漏れてるけど」
「えっ!?」

 本質は完全に騎士に寄ってしまっているが、これでも一応貴族令嬢だ。
 絶対に口にするべきではない本音が漏れていた事に、焦り汗がぶわっと滲む。

“どうしよう、はしたなすぎる!”

 この失態にじわりと視界が揺れ、誤魔化したいのに頭が真っ白になったのだが。
 
「ほんともう、可愛すぎだろ」
「え……」

 一段と強く私を抱き締めたフレン様の下半身が、私のナカでズクンと更に質量を増して。

「へ、え……? や、なんでおっきく……っ」
「好きな女にそんなこと言われて理性を飛ばさない男はいないんだっつの……!」
「え、ひゃ、ぁ? ひゃぁあん!」

 ズッと腰を引いたフレン様は、ドチュンと奥まで貫くように一気に突く。
 そのままパンパンと互いの肌がぶつかり合う音を部屋に響かせながら、幾度となく私のナカを抉り奥を抉じ開けるように腰を打ち付けられた。

「あ、あっ、やぁっ、ふれ、フレン、さまぁ……!」
「ん、くそ、うねるし熱いし絡み付くし……っ、いっぱいイかせてやりてぇのに……っ」
「やん、だめぇっ、これ以上、壊れちゃっ」

 腰を掴み揺すられる度に視界の奥がパチパチと弾け、促されるように何度も何度も絶頂へ導かれる。

 
 苦しいのに気持ちよくて、気持ちいいから苦しくて。


「あっ、フレンさまぁっ、フレン、さまぁ……!」
「オリアナ、も、そろそろっ」
「きてくださ、奥で、私の……っ! ひゃ、ぁぁあっ」

 彼の熱を全て受け止めるように一際強く抱き付くと、ビュクリとナカでフレン様のが震え熱いものがじわりと広がった。

 
「早くオリアナが全部俺のになればいいのに」
「やっ! だめ、敏感になって、るからぁ!」

 はふはふと息を荒げ上下する胸を軽く撫でるように揉んだフレン様が、チロ、と舌先で乳首に触れそのまま口に含む。

 痛いくらい敏感になっていることを察しているのか、優しく舐めるだけの刺激を与えながら、私のナカに最後の一滴まで全てを出し切るようにゆっくりと腰を動かしたフレン様は、抜く瞬間にカリッと乳首を甘噛みして。


「ひゃぁあ!」
「すげぇ締まった」

 何度目かわからない絶頂に私を導き、ちゅぽんとフレン様のソコを引き抜いたのだった。


“終わった……?”

 まとまらない思考でぼんやりと天蓋を眺めていると、隣にどさりと寝転がったフレン様にぎゅっと抱き締められて。

 私は重くなる瞼に委ねるように目を瞑る。


「ほんと、早く心が全部俺で占められたらいいのに」

 
 フレン様のそんな呟きが意識の奥に沈み、けれど遠くない未来にそうなる予感を感じるのだった。
 
 
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