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第二章・聖女レベル、ぜろ
28.縋るのではなく、頼る気持ち
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“…………ん?”
口に出してからあっと気付く。
“何を口走った私!!”
優しく撫でるフランの手があまりにも心地よかったせいで、とんでもなく場違いな発言をしたと焦る。
このやらかしをどう取り繕えばいいのかわからず、撤回する言葉が見つけられない私ははくはくと口を動かし――
「んっ」
柔らかいものに口を塞がれぽかんとした。
一拍遅れでフランが律儀にキスをくれたのだと気付き、嬉しい気持ちと虚しい気持ちでぐちゃぐちゃになる。
“慰めろだなんて、どこまで最低なんだろ私”
フランの胸を軽く叩くと、そっと口付けが止んだ。
「ごめん、なんかつけこむみたいなこ――……んんっ!?」
止んだはずの口付けが、話し終わる前にまた再開されてギョッとする。
“な、なんで?なんでなんで!?”
驚いた私は、今度はさっきより強くフランの胸をドンッと叩き、そのまま両腕を突っ張るようにして無理やり口付けから逃れた。
「だ、だからもういいって!なんかセンチな気分になって変なこと言った自覚はあるんだけどっ、だからってフランを巻き込むのは間違……、ぁむっ」
……はずが、すぐにまた無理やり塞がれて。
“なに考えてんの……っ!?”
訳がわからず、何度も重ねられる唇。
私の下唇を食むようにフランの唇が挟み刺激を与えられると、私の頬がじわりと熱を持った。
「まっ、なん、なんで……っ」
口付けの合間に必死に問うが、フランは返事をなかなかくれなくて。
“そりゃそうか、だってフランは”
「私にせがまれたから仕方なく……」
「それは違う!」
「へ?」
てっきりしゃーなしで言うことを聞いてくれたのかと思ったが、焦ったように否定されて驚いた。
“じゃあ、なんだっていうの……?”
私の願いを叶えたのではないのならなんなのか。
何も思い当たる理由がなく、ぽかんとしている私に告げられたのは。
「繋ぎ、止めようと思ったんだ」
「え?」
「帰る場所がないなら、俺がいるだろ」
「それは、婚約者だから?」
偽装とはいえ婚約した身。
私の話を聞き、同情したのかとそう思ったのだが。
「俺が、側にいてやりたいと思ったんだ」
私とフランの間には恋も愛もなかったはずだった。
利害の一致で婚約を結んだが、それは偽装のはずだったのに。
「縋られてるのに?」
「頼ってくれてるんだろ」
そう言葉を溢したフランが再びちゅ、と唇を重ね、そのままくちゅりと彼の舌が私の唇を割った。
「ぁ、ふ……っ」
少しだけ唇を緩めフランの唇を受け入れた私は、すぐに奥まで入れられた舌に翻弄される。
口内をちゅくちゅくと動き回る舌が私の舌を探り当てると、絡めるようにして強く吸われた。
「元の世界の代わりにはなれないが、お前の帰る場所になってやるから」
「あっ、ふら……んっ」
フランの両手が私の頬を包み、強い力じゃないのに逃げられない。逃げたいとも思わない。
「お前の責任じゃないって言っても責任を感じるなら、俺も背負ってやる。元々俺はその立場の人間だ」
騎士団長という立場は、確かに団員の命を預かるポジション。
けれど私の浅はかな部分まで彼に背負わすのはやはり違うと、こんな時まで反抗するような気持ちが芽生えて。
「……俺のに、する」
「え?」
そんな反抗心まで見透かしたフランは、頬から首、鎖骨と滑らせるように動かし胸を撫でる。
そのままふにゅりと胸を揉まれてびくりと体が跳ねた。
「ちょ、どうし……っ、ひゃ、フラン……っ!?」
「そうすれば、リッカはもう俺しか頼れないし、それに無理やりだが俺がお前の家族になってやれるから」
「……!」
胸を揉むフランの表情がどこか悔しそうに見えて、ハッとする。
“そっか、この世界では婚前交渉ってあんまりないのか”
フランが魔物の体液で発情状態になった時に、この世界の貞操観念のレベルについて疑問に思ったことを思い出す。
そしてしきりに『責任』という言葉を使っていたフランのことも思い出した。
“私の世界では付き合ってればそういうことは普通にみんなしてたし、セックスしたからって責任取って結婚、なんて展開は時代的になかったけど……”
聖女としての役目も果たせず自分の存在意義を見失い、それと同時に帰る場所も失った私のために、フランは全てを使って失ったものを埋めようとしてくれてるんだと気がついた。
そうすれば私はフランのせいにしながら、フランに寄生できるから。
“そんなの、やだな”
フランが悔しそうな顔をしていたのは、こんな方法しか見つけられなかったからなのか、それとも。
「……フランは、抱きたいと思ってくれてるの」
「は?だから俺は、今から無理やり……」
「無理やり、私の居場所になろうとしてくれてるんでしょ」
横に並んだまま、彼の脇腹にしがみつくように私が抱き付くと、さっきとは反対に今度はフランがびくりと体を震わせて。
「そんなことしなくても、私が縋れるのはフランしかいないよ」
それとも、ちゃんと想いが通じあってないのに行為に及ばなければならなかったからなのか。
“後者だったらいいなぁ”なんて。
「フランが私に触れても触れなくても結果は一緒だけど、……どうする?」
フランから貰ったネックレスをきゅっと握り、フランの表情を窺う。
既成事実なんてなくても、どうせ私にはフランしかいないのだ。
だから無理やり触れる必要なんかない。
フランの気持ちがないならそんな必要はないんだと、そう思いを込めて見上げる私の瞳を、彼の海のような慈しむ青がじっと見る。
そしてフランはふいっとその瞳を反らし……
「んっ」
今度は奪うような力強さで口付けを降らせた。
「口うるさくて、すぐ文句言って、あと何でも売ろうとするお前が」
ちゅ、ちゅと角度を変えて何度も唇を重ねながら、さっきは右手だけだったのに気付けば両手で私の胸を揉むフラン。
「不馴れな異世界で、自分の居場所を守ろうと精一杯足掻くリッカが」
「あ、ふゎ……っ、んんっ」
一度外し方を教えたからか、あっさりとブラのホックを外し服の裾から手を入れる。
「いつしか俺が、守ってやりたいと思うくらい特別になってたんだ」
「ひ、ゃぁっ」
ホックを外され浮いたブラの隙間に指を入れたフランが私の乳首を撫でるように動かすと、剣ダコの出来た少しかさついた指の刺激が堪らなくて私の口から甲高い声が溢れた。
「……今は忘れるためでもいいから、俺に……」
「ん、や、やだ」
嫌だと言いながら首を左右に振った私は、両腕をフランの首に回しそのまま引き寄せるように唇を重ねる。
「忘れない、私もちゃんと、背負うから」
「リッカ?」
「だけど一人で立てるほど強くなれないから、だから」
「……あぁ、一緒にいよう」
私の言葉を聞き、頷いてくれたフランの表情から悔しさが消えたことに安堵する。
安堵したからか体の力が抜けた私は、くたりと後ろによろけ――……
「好きになるなんて思わなかった」
「そこは普通に好きだだけでいいのよ、意地っ張りフラン」
「リッカにだけは言われたくないな、ひねくれリッカ」
そのまま地面に背中をつけた私に覆い被さるようにフランも体勢を倒し、私の額に軽く口付けをした。
「背中、痛くないか」
「大丈夫」
地面には芝のような短い草が生えており、幸いにも痛みはなかった。
寝転がった状態でフランを見ると、触れなくても同じだと言ったのにバサリと上着を脱ぎ捨てていて。
「脱がすぞ」
そして私のシャツのボタンが上から一つずつ外された。
口に出してからあっと気付く。
“何を口走った私!!”
優しく撫でるフランの手があまりにも心地よかったせいで、とんでもなく場違いな発言をしたと焦る。
このやらかしをどう取り繕えばいいのかわからず、撤回する言葉が見つけられない私ははくはくと口を動かし――
「んっ」
柔らかいものに口を塞がれぽかんとした。
一拍遅れでフランが律儀にキスをくれたのだと気付き、嬉しい気持ちと虚しい気持ちでぐちゃぐちゃになる。
“慰めろだなんて、どこまで最低なんだろ私”
フランの胸を軽く叩くと、そっと口付けが止んだ。
「ごめん、なんかつけこむみたいなこ――……んんっ!?」
止んだはずの口付けが、話し終わる前にまた再開されてギョッとする。
“な、なんで?なんでなんで!?”
驚いた私は、今度はさっきより強くフランの胸をドンッと叩き、そのまま両腕を突っ張るようにして無理やり口付けから逃れた。
「だ、だからもういいって!なんかセンチな気分になって変なこと言った自覚はあるんだけどっ、だからってフランを巻き込むのは間違……、ぁむっ」
……はずが、すぐにまた無理やり塞がれて。
“なに考えてんの……っ!?”
訳がわからず、何度も重ねられる唇。
私の下唇を食むようにフランの唇が挟み刺激を与えられると、私の頬がじわりと熱を持った。
「まっ、なん、なんで……っ」
口付けの合間に必死に問うが、フランは返事をなかなかくれなくて。
“そりゃそうか、だってフランは”
「私にせがまれたから仕方なく……」
「それは違う!」
「へ?」
てっきりしゃーなしで言うことを聞いてくれたのかと思ったが、焦ったように否定されて驚いた。
“じゃあ、なんだっていうの……?”
私の願いを叶えたのではないのならなんなのか。
何も思い当たる理由がなく、ぽかんとしている私に告げられたのは。
「繋ぎ、止めようと思ったんだ」
「え?」
「帰る場所がないなら、俺がいるだろ」
「それは、婚約者だから?」
偽装とはいえ婚約した身。
私の話を聞き、同情したのかとそう思ったのだが。
「俺が、側にいてやりたいと思ったんだ」
私とフランの間には恋も愛もなかったはずだった。
利害の一致で婚約を結んだが、それは偽装のはずだったのに。
「縋られてるのに?」
「頼ってくれてるんだろ」
そう言葉を溢したフランが再びちゅ、と唇を重ね、そのままくちゅりと彼の舌が私の唇を割った。
「ぁ、ふ……っ」
少しだけ唇を緩めフランの唇を受け入れた私は、すぐに奥まで入れられた舌に翻弄される。
口内をちゅくちゅくと動き回る舌が私の舌を探り当てると、絡めるようにして強く吸われた。
「元の世界の代わりにはなれないが、お前の帰る場所になってやるから」
「あっ、ふら……んっ」
フランの両手が私の頬を包み、強い力じゃないのに逃げられない。逃げたいとも思わない。
「お前の責任じゃないって言っても責任を感じるなら、俺も背負ってやる。元々俺はその立場の人間だ」
騎士団長という立場は、確かに団員の命を預かるポジション。
けれど私の浅はかな部分まで彼に背負わすのはやはり違うと、こんな時まで反抗するような気持ちが芽生えて。
「……俺のに、する」
「え?」
そんな反抗心まで見透かしたフランは、頬から首、鎖骨と滑らせるように動かし胸を撫でる。
そのままふにゅりと胸を揉まれてびくりと体が跳ねた。
「ちょ、どうし……っ、ひゃ、フラン……っ!?」
「そうすれば、リッカはもう俺しか頼れないし、それに無理やりだが俺がお前の家族になってやれるから」
「……!」
胸を揉むフランの表情がどこか悔しそうに見えて、ハッとする。
“そっか、この世界では婚前交渉ってあんまりないのか”
フランが魔物の体液で発情状態になった時に、この世界の貞操観念のレベルについて疑問に思ったことを思い出す。
そしてしきりに『責任』という言葉を使っていたフランのことも思い出した。
“私の世界では付き合ってればそういうことは普通にみんなしてたし、セックスしたからって責任取って結婚、なんて展開は時代的になかったけど……”
聖女としての役目も果たせず自分の存在意義を見失い、それと同時に帰る場所も失った私のために、フランは全てを使って失ったものを埋めようとしてくれてるんだと気がついた。
そうすれば私はフランのせいにしながら、フランに寄生できるから。
“そんなの、やだな”
フランが悔しそうな顔をしていたのは、こんな方法しか見つけられなかったからなのか、それとも。
「……フランは、抱きたいと思ってくれてるの」
「は?だから俺は、今から無理やり……」
「無理やり、私の居場所になろうとしてくれてるんでしょ」
横に並んだまま、彼の脇腹にしがみつくように私が抱き付くと、さっきとは反対に今度はフランがびくりと体を震わせて。
「そんなことしなくても、私が縋れるのはフランしかいないよ」
それとも、ちゃんと想いが通じあってないのに行為に及ばなければならなかったからなのか。
“後者だったらいいなぁ”なんて。
「フランが私に触れても触れなくても結果は一緒だけど、……どうする?」
フランから貰ったネックレスをきゅっと握り、フランの表情を窺う。
既成事実なんてなくても、どうせ私にはフランしかいないのだ。
だから無理やり触れる必要なんかない。
フランの気持ちがないならそんな必要はないんだと、そう思いを込めて見上げる私の瞳を、彼の海のような慈しむ青がじっと見る。
そしてフランはふいっとその瞳を反らし……
「んっ」
今度は奪うような力強さで口付けを降らせた。
「口うるさくて、すぐ文句言って、あと何でも売ろうとするお前が」
ちゅ、ちゅと角度を変えて何度も唇を重ねながら、さっきは右手だけだったのに気付けば両手で私の胸を揉むフラン。
「不馴れな異世界で、自分の居場所を守ろうと精一杯足掻くリッカが」
「あ、ふゎ……っ、んんっ」
一度外し方を教えたからか、あっさりとブラのホックを外し服の裾から手を入れる。
「いつしか俺が、守ってやりたいと思うくらい特別になってたんだ」
「ひ、ゃぁっ」
ホックを外され浮いたブラの隙間に指を入れたフランが私の乳首を撫でるように動かすと、剣ダコの出来た少しかさついた指の刺激が堪らなくて私の口から甲高い声が溢れた。
「……今は忘れるためでもいいから、俺に……」
「ん、や、やだ」
嫌だと言いながら首を左右に振った私は、両腕をフランの首に回しそのまま引き寄せるように唇を重ねる。
「忘れない、私もちゃんと、背負うから」
「リッカ?」
「だけど一人で立てるほど強くなれないから、だから」
「……あぁ、一緒にいよう」
私の言葉を聞き、頷いてくれたフランの表情から悔しさが消えたことに安堵する。
安堵したからか体の力が抜けた私は、くたりと後ろによろけ――……
「好きになるなんて思わなかった」
「そこは普通に好きだだけでいいのよ、意地っ張りフラン」
「リッカにだけは言われたくないな、ひねくれリッカ」
そのまま地面に背中をつけた私に覆い被さるようにフランも体勢を倒し、私の額に軽く口付けをした。
「背中、痛くないか」
「大丈夫」
地面には芝のような短い草が生えており、幸いにも痛みはなかった。
寝転がった状態でフランを見ると、触れなくても同じだと言ったのにバサリと上着を脱ぎ捨てていて。
「脱がすぞ」
そして私のシャツのボタンが上から一つずつ外された。
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