32 / 47
最終章・勇者レベル、???
31.使えるモンは使うタイプです
しおりを挟む
どういう意図があるかはわからない。
暗躍される可能性もあるが、表向きの顔は守るだろう。
……というのが、ベルザック副団長に対する私とフランの共通認識だった。
“なら逆にぴったり引っ付いて人目があるところに居続けて貰う!”
相手が監視をしているならばこっちだって監視をすればいいだけだ、という結論を導きだした。
「副団長!剣、教えてくれる?」
「毎日偉いですね、聖女様」
「聖女はやめてって言ったでしょ」
「失礼しました、リッカ様。では、本日は昨日の続きでこの国での基本的な立ち回りを復習し――……」
鍛練場に姿を現したベルザック副団長をすかさず捕まえた私は、そのまま他の騎士たちの多い場所に誘導しながら指導を願う。
単純な方法だが、エリート集団の近衛騎士団副団長だった彼はそれだけ有名人。
人目のある場所ではもちろん迂闊なことはできないだろう。
そして近衛騎士団副団長にまでなったその実力はもちろん伊達ではなくて。
ガキン、と鈍い音が響く。
礼儀正しく両足を揃え、利き手は腰の後ろにあてがったベルザック副団長は、利き手ではない方の腕で軽く剣を振るっただけ。
“一撃が重い……!”
そんな完全に手加減スタイルなのに、私は両手で剣を握り受け止めるだけでいっぱいいっぱいだった。
「リッカ様の構えは凛として美しいですが、それは決闘など互いが礼儀を守れる戦闘の構えですね。いるかわからない敵からの死角からの攻撃などには弱いでしょう」
「それは、そう……かも」
剣道では、試合が始まる前に礼をする。
礼の後に三歩進み、蹲踞と呼ばれる姿勢を取ってから審判の掛け声で試合が始まるのが簡単な流れだ。
“でも魔物が攻撃をする前に姿を現し礼をしてくれるわけないもんね”
魔物がいるのか。いたなら何体なのか。
そしてどんな攻撃を仕掛けられるかなんて当然わかるはずもない。
それは魔法のような遠距離攻撃かもしれないし、複数体からの一斉攻撃かもしれず、そんな相手に対して確かに試合の流れが染み付いた私の一連の動作は不利と言えた。
「ならどーすればいいの?」
「まず鞘でも攻撃が仕掛けられるような剣になっておりますよね。ならば無理やりなぎ払う動きから始めるのがよろしいかもしれません」
「え、なぎ払うの?」
言われたイメージがあまりピンと来なかった私が怪訝な顔をしたからだろう。
私の真横に並んだベルザック副団長が腰を低くし、思い切り横に剣を振り回す。
動きは無茶苦茶で剣筋なんて無視し、最早剣技だなんて呼べるようなものではなく、むしろ発狂したのかと思うような動きだった。
「それ、剣でやっていい動き?」
「普通の剣でこれをやると失敗すれば折れますね。ただ、鞘を抜く前のリッカ様の剣ならむしろ有効打でしょう」
「なーる……?」
確かに竹刀の形をしているからこそ剣道の型に囚われていたのかもしれない。
フランが堅物気味だったからか、それとも偉い人イコール頑固なイメージがあったからかはわからないが、思ったよりも柔軟な発想でしかも個人に合わせた指導をしてくれる彼は、一時期私が付けて貰っていた剣術指導の先生よりわかりやすく的確だった。
“監視も出来て勉強になるとか最高じゃん”
監視こそお互い様だが、これからまだまだ強くならなくてはいけない私にはむしろありがたかった。
“味方と思うわけにはいかないけど、それでも使えるならどんどんこき使いたい……!”
なんて打算を持った私がひたすらみんなの前でベルザック副団長に指導してもらっていると、気付けば他の騎士たちもそれに影響を受けたらしく……
「あ、あの、ベルザック副団長!私にもご指導いただけますか」
「次俺にも!俺にもお願いします!」
いつの間にか私以外にも指導を望む騎士がいつもベルザック副団長の周りに集まるようになった。
あっという間に第六騎士団の中心になったベルザック副団長だったが、もちろんいいことばかりではなくて。
「すみませんが副団長はいらっしゃいますか」
書類仕事の合間に休憩がてら訓練場へ下りてきたフラン。
そんなフランに声をかけたのは王宮の文官だったのだが。
“なんで副団長?”
団長であるフランがここにいるのだから、何かあるならフランに伝えればいい話だ。
“個人的なことなのかな”
なんとなく違和感を持った私たちだったが、言われるがままベルザック副団長を呼び――……
「ベルザック副団長!こちらが先日の討伐報告と最近の魔物出没地域の一覧表になります」
「うおぉぉい!!」
にこりと笑った文官がさも当たり前のようにベルザック副団長に軍部資料を手渡したので思わず全力でつっこんでしまった。
「ちょ、え?ここに団長であるフランがいるのに!?」
慌ててフランの腕を掴み文官とベルザック副団長の間に飛び込むと、少し思案したような表情をした文官がまたもにこりと微笑んで。
「ベルザック副団長の方が安心かと思いましたので」
「なっ!」
そのとんでも発言を聞いたベルザック副団長は、苦笑しつつ書類を受け取った。
“いや、受け取るんかい!”
『団長は彼ですから』って断れよ、なんて内心で文句を言いつつフランを見上げる。
確かに騎士歴も、おそらく単純な強さも人望の厚さもまだ新米騎士団長のフランよりベルザック副団長の方が上なのだろう。
けれど、少なくとも今ベルザック副団長はフランの部下なのだ。
ならそれ相応の対応というものがあるはずなのだが……
「目を通した後にフランチェス殿にもお渡ししよう」
「!」
“また『殿』って言った!”
この世界では、殿は自分より下の相手に使う呼び方らしく、仕事の上司であるフランにその敬称を使うのは明らかにわざとであった。
完全に煽られ小馬鹿にされている。
それがわかっていても、フランは少しピクリと眉を動かしただけで何も文句は言わなかったが、フランが黙っているからと私まで黙る必要はない訳で。
「ちょっと、納得できないんだけど!殿呼びって下に見てるってことなんでしょ?フランの方が上司だし!というかそっちの人も、報告ならフランにするのが筋なの!!安心とか関係ないからっ」
思い切り怒鳴り付けると、流石に出がらしとはいえ聖女の肩書きがあるお陰か文官がすかさず焦ったように頭を下げる。
そんな彼と、ついでに私もなだめるようにいかつめの顔をにこりと綻ばせたベルザック副団長は私を通り越してフランの肩をポンと叩いた。
「まだフランチェス殿はお若く青い。特に結果が物を言う騎士ならば、私の方が信頼されていてもおかしくないだろう。精々肩書きに負けぬ実力をつけるよう努力したまえ、聖女様のためにもな」
それだけ言ったベルザック副団長は、文官から渡された書類を持ったまま第六騎士団の執務室へ向かったようだった。
残された文官は、また怒鳴られる前にと脱兎のごとくその場を去って。
「……何あれ、何あれ何あれ!めっちゃ感じ悪い!!ちょっと教え方上手いかもとか思って損した!もう副団長とか呼ばない!呼び捨てだから!!」
完全にブチギレた私が、ベルザックが入った扉の方向にそう怒鳴る。
けれど当のフランは、少し表情を暗くさせつつも何かを考え込んでいて。
「フラン、あんなの気にしなくていいから!第六の団長はフランなんだからね!!」
当たり前の事実を言い聞かせるようにそう告げると、その言葉を聞いたフランの強張った表情が少しだけ緩んで。
「んっ」
「ありがとな、リッカ」
不意打ちで口付けをされた私の頬が思わず真っ赤に染まる。
“鉄壁ガードの堅物キャラどこに行ったのよ!?”
少し恨めしい視線を向けるが、そんな私すらもにこやかに眺めるフランを見て私の頬も緩んでしまう。
これが惚れた腫れたのバカップル期か?なんてちょっと浮かれたことを考えながら、最近訓練に来ていないライザを思い私の心がチリッと痛んだ。
暗躍される可能性もあるが、表向きの顔は守るだろう。
……というのが、ベルザック副団長に対する私とフランの共通認識だった。
“なら逆にぴったり引っ付いて人目があるところに居続けて貰う!”
相手が監視をしているならばこっちだって監視をすればいいだけだ、という結論を導きだした。
「副団長!剣、教えてくれる?」
「毎日偉いですね、聖女様」
「聖女はやめてって言ったでしょ」
「失礼しました、リッカ様。では、本日は昨日の続きでこの国での基本的な立ち回りを復習し――……」
鍛練場に姿を現したベルザック副団長をすかさず捕まえた私は、そのまま他の騎士たちの多い場所に誘導しながら指導を願う。
単純な方法だが、エリート集団の近衛騎士団副団長だった彼はそれだけ有名人。
人目のある場所ではもちろん迂闊なことはできないだろう。
そして近衛騎士団副団長にまでなったその実力はもちろん伊達ではなくて。
ガキン、と鈍い音が響く。
礼儀正しく両足を揃え、利き手は腰の後ろにあてがったベルザック副団長は、利き手ではない方の腕で軽く剣を振るっただけ。
“一撃が重い……!”
そんな完全に手加減スタイルなのに、私は両手で剣を握り受け止めるだけでいっぱいいっぱいだった。
「リッカ様の構えは凛として美しいですが、それは決闘など互いが礼儀を守れる戦闘の構えですね。いるかわからない敵からの死角からの攻撃などには弱いでしょう」
「それは、そう……かも」
剣道では、試合が始まる前に礼をする。
礼の後に三歩進み、蹲踞と呼ばれる姿勢を取ってから審判の掛け声で試合が始まるのが簡単な流れだ。
“でも魔物が攻撃をする前に姿を現し礼をしてくれるわけないもんね”
魔物がいるのか。いたなら何体なのか。
そしてどんな攻撃を仕掛けられるかなんて当然わかるはずもない。
それは魔法のような遠距離攻撃かもしれないし、複数体からの一斉攻撃かもしれず、そんな相手に対して確かに試合の流れが染み付いた私の一連の動作は不利と言えた。
「ならどーすればいいの?」
「まず鞘でも攻撃が仕掛けられるような剣になっておりますよね。ならば無理やりなぎ払う動きから始めるのがよろしいかもしれません」
「え、なぎ払うの?」
言われたイメージがあまりピンと来なかった私が怪訝な顔をしたからだろう。
私の真横に並んだベルザック副団長が腰を低くし、思い切り横に剣を振り回す。
動きは無茶苦茶で剣筋なんて無視し、最早剣技だなんて呼べるようなものではなく、むしろ発狂したのかと思うような動きだった。
「それ、剣でやっていい動き?」
「普通の剣でこれをやると失敗すれば折れますね。ただ、鞘を抜く前のリッカ様の剣ならむしろ有効打でしょう」
「なーる……?」
確かに竹刀の形をしているからこそ剣道の型に囚われていたのかもしれない。
フランが堅物気味だったからか、それとも偉い人イコール頑固なイメージがあったからかはわからないが、思ったよりも柔軟な発想でしかも個人に合わせた指導をしてくれる彼は、一時期私が付けて貰っていた剣術指導の先生よりわかりやすく的確だった。
“監視も出来て勉強になるとか最高じゃん”
監視こそお互い様だが、これからまだまだ強くならなくてはいけない私にはむしろありがたかった。
“味方と思うわけにはいかないけど、それでも使えるならどんどんこき使いたい……!”
なんて打算を持った私がひたすらみんなの前でベルザック副団長に指導してもらっていると、気付けば他の騎士たちもそれに影響を受けたらしく……
「あ、あの、ベルザック副団長!私にもご指導いただけますか」
「次俺にも!俺にもお願いします!」
いつの間にか私以外にも指導を望む騎士がいつもベルザック副団長の周りに集まるようになった。
あっという間に第六騎士団の中心になったベルザック副団長だったが、もちろんいいことばかりではなくて。
「すみませんが副団長はいらっしゃいますか」
書類仕事の合間に休憩がてら訓練場へ下りてきたフラン。
そんなフランに声をかけたのは王宮の文官だったのだが。
“なんで副団長?”
団長であるフランがここにいるのだから、何かあるならフランに伝えればいい話だ。
“個人的なことなのかな”
なんとなく違和感を持った私たちだったが、言われるがままベルザック副団長を呼び――……
「ベルザック副団長!こちらが先日の討伐報告と最近の魔物出没地域の一覧表になります」
「うおぉぉい!!」
にこりと笑った文官がさも当たり前のようにベルザック副団長に軍部資料を手渡したので思わず全力でつっこんでしまった。
「ちょ、え?ここに団長であるフランがいるのに!?」
慌ててフランの腕を掴み文官とベルザック副団長の間に飛び込むと、少し思案したような表情をした文官がまたもにこりと微笑んで。
「ベルザック副団長の方が安心かと思いましたので」
「なっ!」
そのとんでも発言を聞いたベルザック副団長は、苦笑しつつ書類を受け取った。
“いや、受け取るんかい!”
『団長は彼ですから』って断れよ、なんて内心で文句を言いつつフランを見上げる。
確かに騎士歴も、おそらく単純な強さも人望の厚さもまだ新米騎士団長のフランよりベルザック副団長の方が上なのだろう。
けれど、少なくとも今ベルザック副団長はフランの部下なのだ。
ならそれ相応の対応というものがあるはずなのだが……
「目を通した後にフランチェス殿にもお渡ししよう」
「!」
“また『殿』って言った!”
この世界では、殿は自分より下の相手に使う呼び方らしく、仕事の上司であるフランにその敬称を使うのは明らかにわざとであった。
完全に煽られ小馬鹿にされている。
それがわかっていても、フランは少しピクリと眉を動かしただけで何も文句は言わなかったが、フランが黙っているからと私まで黙る必要はない訳で。
「ちょっと、納得できないんだけど!殿呼びって下に見てるってことなんでしょ?フランの方が上司だし!というかそっちの人も、報告ならフランにするのが筋なの!!安心とか関係ないからっ」
思い切り怒鳴り付けると、流石に出がらしとはいえ聖女の肩書きがあるお陰か文官がすかさず焦ったように頭を下げる。
そんな彼と、ついでに私もなだめるようにいかつめの顔をにこりと綻ばせたベルザック副団長は私を通り越してフランの肩をポンと叩いた。
「まだフランチェス殿はお若く青い。特に結果が物を言う騎士ならば、私の方が信頼されていてもおかしくないだろう。精々肩書きに負けぬ実力をつけるよう努力したまえ、聖女様のためにもな」
それだけ言ったベルザック副団長は、文官から渡された書類を持ったまま第六騎士団の執務室へ向かったようだった。
残された文官は、また怒鳴られる前にと脱兎のごとくその場を去って。
「……何あれ、何あれ何あれ!めっちゃ感じ悪い!!ちょっと教え方上手いかもとか思って損した!もう副団長とか呼ばない!呼び捨てだから!!」
完全にブチギレた私が、ベルザックが入った扉の方向にそう怒鳴る。
けれど当のフランは、少し表情を暗くさせつつも何かを考え込んでいて。
「フラン、あんなの気にしなくていいから!第六の団長はフランなんだからね!!」
当たり前の事実を言い聞かせるようにそう告げると、その言葉を聞いたフランの強張った表情が少しだけ緩んで。
「んっ」
「ありがとな、リッカ」
不意打ちで口付けをされた私の頬が思わず真っ赤に染まる。
“鉄壁ガードの堅物キャラどこに行ったのよ!?”
少し恨めしい視線を向けるが、そんな私すらもにこやかに眺めるフランを見て私の頬も緩んでしまう。
これが惚れた腫れたのバカップル期か?なんてちょっと浮かれたことを考えながら、最近訓練に来ていないライザを思い私の心がチリッと痛んだ。
0
あなたにおすすめの小説
完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい
咲桜りおな
恋愛
オルプルート王国第一王子アルスト殿下の婚約者である公爵令嬢のティアナ・ローゼンは、自分の事を何故か初対面から溺愛してくる殿下が苦手。
見た目は完璧な美少年王子様なのに匂いをクンカクンカ嗅がれたり、ティアナの使用済み食器を欲しがったりと何だか変態ちっく!
殿下を好きだというピンク髪の男爵令嬢から恋のキューピッド役を頼まれてしまい、自分も殿下をお慕いしていたと気付くが時既に遅し。不本意ながらも婚約破棄を目指す事となってしまう。
※糖度甘め。イチャコラしております。
第一章は完結しております。只今第二章を更新中。
本作のスピンオフ作品「モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~」も公開しています。宜しければご一緒にどうぞ。
本作とスピンオフ作品の番外編集も別にUPしてます。
「小説家になろう」でも公開しています。
「転生したら推しの悪役宰相と婚約してました!?」〜推しが今日も溺愛してきます〜 (旧題:転生したら報われない悪役夫を溺愛することになった件)
透子(とおるこ)
恋愛
読んでいた小説の中で一番好きだった“悪役宰相グラヴィス”。
有能で冷たく見えるけど、本当は一途で優しい――そんな彼が、報われずに処刑された。
「今度こそ、彼を幸せにしてあげたい」
そう願った瞬間、気づけば私は物語の姫ジェニエットに転生していて――
しかも、彼との“政略結婚”が目前!?
婚約から始まる、再構築系・年の差溺愛ラブ。
“報われない推し”が、今度こそ幸せになるお話。
次期騎士団長の秘密を知ってしまったら、迫られ捕まってしまいました
Karamimi
恋愛
侯爵令嬢で貴族学院2年のルミナスは、元騎士団長だった父親を8歳の時に魔物討伐で亡くした。一家の大黒柱だった父を亡くしたことで、次期騎士団長と期待されていた兄は騎士団を辞め、12歳という若さで侯爵を継いだ。
そんな兄を支えていたルミナスは、ある日貴族学院3年、公爵令息カルロスの意外な姿を見てしまった。学院卒院後は騎士団長になる事も決まっているうえ、容姿端麗で勉学、武術も優れているまさに完璧公爵令息の彼とはあまりにも違う姿に、笑いが止まらない。
お兄様の夢だった騎士団長の座を奪ったと、一方的にカルロスを嫌っていたルミナスだが、さすがにこの秘密は墓場まで持って行こう。そう決めていたのだが、翌日カルロスに捕まり、鼻息荒く迫って来る姿にドン引きのルミナス。
挙句の果てに“ルミタン”だなんて呼ぶ始末。もうあの男に関わるのはやめよう、そう思っていたのに…
意地っ張りで素直になれない令嬢、ルミナスと、ちょっと気持ち悪いがルミナスを誰よりも愛している次期騎士団長、カルロスが幸せになるまでのお話しです。
よろしくお願いしますm(__)m
冷酷騎士団長に『出来損ない』と捨てられましたが、どうやら私の力が覚醒したらしく、ヤンデレ化した彼に執着されています
放浪人
恋愛
平凡な毎日を送っていたはずの私、橘 莉奈(たちばな りな)は、突然、眩い光に包まれ異世界『エルドラ』に召喚されてしまう。 伝説の『聖女』として迎えられたのも束の間、魔力測定で「魔力ゼロ」と判定され、『出来損ない』の烙印を押されてしまった。
希望を失った私を引き取ったのは、氷のように冷たい瞳を持つ、この国の騎士団長カイン・アシュフォード。 「お前はここで、俺の命令だけを聞いていればいい」 物置のような部屋に押し込められ、彼から向けられるのは侮蔑の視線と冷たい言葉だけ。
元の世界に帰ることもできず、絶望的な日々が続くと思っていた。
──しかし、ある出来事をきっかけに、私の中に眠っていた〝本当の力〟が目覚め始める。 その瞬間から、私を見るカインの目が変わり始めた。
「リリア、お前は俺だけのものだ」 「どこへも行かせない。永遠に、俺のそばにいろ」
かつての冷酷さはどこへやら、彼は私に異常なまでの執着を見せ、甘く、そして狂気的な愛情で私を束縛しようとしてくる。 これは本当に愛情なの? それともただの執着?
優しい第二王子エリアスは私に手を差し伸べてくれるけれど、カインの嫉妬の炎は燃え盛るばかり。 逃げ場のない城の中、歪んだ愛の檻に、私は囚われていく──。
婚約破棄歴八年、すっかり飲んだくれになった私をシスコン義弟が宰相に成り上がって迎えにきた
鳥羽ミワ
恋愛
ロゼ=ローラン、二十四歳。十六歳の頃に最初の婚約が破棄されて以来、数えるのも馬鹿馬鹿しいくらいの婚約破棄を経験している。
幸い両親であるローラン伯爵夫妻はありあまる愛情でロゼを受け入れてくれているし、お酒はおいしいけれど、このままではかわいい義弟のエドガーの婚姻に支障が出てしまうかもしれない。彼はもう二十を過ぎているのに、いまだ縁談のひとつも来ていないのだ。
焦ったロゼはどこでもいいから嫁ごうとするものの、行く先々にエドガーが現れる。
このままでは義弟が姉離れできないと強い危機感を覚えるロゼに、男として迫るエドガー。気づかないロゼ。構わず迫るエドガー。
エドガーはありとあらゆるギリギリ世間の許容範囲(の外)の方法で外堀を埋めていく。
「パーティーのパートナーは俺だけだよ。俺以外の男の手を取るなんて許さない」
「お茶会に行くんだったら、ロゼはこのドレスを着てね。古いのは全部処分しておいたから」
「アクセサリー選びは任せて。俺の瞳の色だけで綺麗に飾ってあげるし、もちろん俺のネクタイもロゼの瞳の色だよ」
ちょっと抜けてる真面目酒カス令嬢が、シスコン義弟に溺愛される話。
※この話はカクヨム様、アルファポリス様、エブリスタ様にも掲載されています。
※レーティングをつけるほどではないと判断しましたが、作中性的ないやがらせ、暴行の描写、ないしはそれらを想起させる描写があります。
「25歳OL、異世界で年上公爵の甘々保護対象に!? 〜女神ルミエール様の悪戯〜」
透子(とおるこ)
恋愛
25歳OL・佐神ミレイは、仕事も恋も完璧にこなす美人女子。しかし本当は、年上の男性に甘やかされたい願望を密かに抱いていた。
そんな彼女の前に現れたのは、気まぐれな女神ルミエール。理由も告げず、ミレイを異世界アルデリア王国の公爵家へ転移させる。そこには恐ろしく気難しいと評判の45歳独身公爵・アレクセイが待っていた。
最初は恐怖を覚えるミレイだったが、公爵の手厚い保護に触れ、次第に心を許す。やがて彼女は甘く溺愛される日々に――。
仕事も恋も頑張るOLが、異世界で年上公爵にゴロニャン♡ 甘くて胸キュンなラブストーリー、開幕!
---
記憶喪失の私はギルマス(強面)に拾われました【バレンタインSS投下】
かのこkanoko
恋愛
記憶喪失の私が強面のギルドマスターに拾われました。
名前も年齢も住んでた町も覚えてません。
ただ、ギルマスは何だか私のストライクゾーンな気がするんですが。
プロット無しで始める異世界ゆるゆるラブコメになる予定の話です。
小説家になろう様にも公開してます。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる