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最終章・勇者レベル、???

30.だれがこんなVIPを呼んだ

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 犠牲を出したオルトロス戦から10日。
 王都へ戻ってきた第六騎士団は、討伐成功の報告と犠牲者の報告を終えて束の間の休息を取っていた。

 休息と言っても犠牲者が出てしまったことにより楽しくバカンス、のようなことはなく、亡くなった者の家族や友へ報告に行く者やひたすら鍛練を行う者ばかりだった。


 フランはと言うと、団長としての報告や討伐に行っていた間の書類仕事をこなしており、むしろいつも以上に忙しく動き回っていたが。


「リッカ」
「お疲れ様、フラン」

 仕事が終われば自宅ではなく私の借りている寮の部屋へ来てくれるようになった。

“寂しくないように、かな?”

 一人でいると色々なことを思い出す。
 転がったジープの顔、か細く消えていくトーマの呼吸、そんなトーマにしがみつき泣くライザ。

 そしてもう会えないだろう父と母。


「疲れてるでしょ?毎日来なくても私は大丈夫だけど」
「自宅より寮の方が近い。それだけだ」
「だったらフランも寮に住めば?」

 なんてつい可愛くないことを言ってしまうが、そんな私の言葉を気にもとめていないらしいフラン。

「アッケルマ辺境伯家の別宅があるからなぁ……」

 管理も兼ねてそこに住んでいるらしいフランは、思案するように少し目を閉じた。


「……やっぱり俺はいい。リッカの部屋に泊まればいいだけだからな」
「貞操観念」
「べっ、別に毎日してはないだろ!?」

“毎日でも平気だけど”とはさすがに口に出来ず、思わずくすくすと笑いを溢す。
 そんな私に釣られたのか、フランもふはっと小さく吹き出し彼の胸にしがみつくように眠った。

 
 穏やか、とは言えないが、それでも束の間の平穏に身を委ねていた私たちだったが、その平穏はあっさりと砕け散る。


 砕いたのはオルトロス以上の魔物……では、なく。
 いや、ある意味魔物より恐ろしく、そして魔王よりも厄介な相手だった。

 
「この度第六騎士団の補充要員として配属されることになった、ベルザック・ライドだ。役職は埋まっていなかった副団長になる。よろしく頼む」
「……え」

 名前には一瞬ピンとこなかったが、この威圧的なオーラとムキムキのおじ様には見覚えがある。

“この人、はじめての討伐から帰った私たちを待ち構えていた……”

 
「どっかのなんか偉い人!」
「馬鹿!近衛騎士団副団長様だッ!」
 
 思わず指を指して叫ぶと、私の指を即座に下ろすように腕を掴んだフランに叱られる。

 
“なんでそんな人が第六に……?”

 視察などではなく、補充と言っていたことを鑑みると、どうやらこれから第六騎士団のメンバーとして訓練したり討伐に出たりするのだろう。

 補充要員として、とんでもないVIPがまさかの弱小騎士団に来たことに違和感を拭えない私たちはただただ戸惑いながら、ベルザック副団長を見ていた。

 初日だから、とフランがベルザック副団長を案内し、主に書類関係の引き継ぎや説明をしたところでその日を終えた私たち。

 

 そしてその晩、いつものように部屋に来たフランはいつも以上に顔色が悪く――……

「大丈夫?」
「あぁ、まぁ」

 曖昧な返事をしながらベッドに倒れ込むように転がるフラン。
 そんなフランに紅茶を手渡すと、もう優雅さなんてものは捨てたらしい彼がティーカップを一気に呷った。

   
「……ぜっったい、おかしいよね?」
「そうだな」

 補充が来ることはあるだろう。
 ただでさえ他の騎士団より人数が少なかった第六騎士団は、三人失ったことで今は六人しかいない。

 だからって、わざわざエリートと呼ばれる近衛騎士団の副団長が突然来るなんてことはあり得るだろうか?


「聖女がいるからの守りの配属……って可能性は?」
「なくはないが、守る為なら一人だけの配属ってのは」
「おかしいか」

“まさか殺す為じゃないわよね?”

 そんな物騒な考えが過る程、この現状はどう考えても違和感しかない。


“直接何かしてくるかは別としても、これは監視というやつなのかも。いざという場面で、私の生死をちゃんと見極めるための――……”


 この間のことからまだ立ち直りきっていないのに、また新たな悩みの種が出来て思わず深いため息を吐く。
 そんな私を、ベッドに座ったフランがじっと見つめ、カチャリとカップを置きぐいっと腕を引いた。
 

「ぅわっ」
「ははっ、もうちょい可愛い声出ねぇ?」

 私の腕を引いたフランはそのままベッドに仰向けになる形で体勢を崩し、そんな彼の上に覆い被さるように私が倒れ込む。

 フランの胸に飛び込んで押し倒したような体勢になり慌てるが、どこか楽しそうに笑うフランの両腕がすかさず私の腰を押さえた。


「……疲れてんじゃないの?」
「疲れてる」
「なのにするの?」

 ジト目で睨む私の質問をスルーしたフランはそのままごろんと体勢を変えると、するりと服の裾から手を入れて。


「あんなに強固なガードで鉄壁の股間だったのに」
「股間とか言うな。別にただ人生を共にしたいと思う相手がいなかっただけだ」

“それってつまり、私とは共にしてもいいってこと?”

 まるで当然のように言いきられた言葉にドキリとして思わず黙り込んでしまう。
 そんな私の唇に掠めるだけのキスを落としたフラン。

 裾から入れられた彼の手がもぞりと動き、今ではもう慣れた手つきで胸を揉んだ。

「んっ」

 撫でるように全体を包み、感触を楽しむようにやわやわと揉む。
 彼の人差し指がそっと先端を掠めると私の口から甘い声が漏れた。

 
「リッカは先端が弱いな」
「フランがえっちな触りかたするから……!」

 まだ柔らかい乳首を刺激するように擦りながら何度もなぞられると、すぐにぷくりと立ち上がる。
 簡単にたってしまった乳首を転がしていたフランが私の服を捲り、ふるりと露になった胸をぱくりと口に含んだ。

「ひゃ……っ」

 ぴちゃりと先端を舌が這い、くりゅっと押し込むように舐められる。
 
 ちゅうと吸ったり舌先で弾いたりといった緩急をつけた攻めを、いつの間にか習得していたフランからの愛撫は私から思考を奪った。

 それはまるで、『何も心配しなくていい』と、私の心を守ろうとしてくれているようで。

 
“ベルザック副団長が来たことによる影響とか、念のための身辺警護とか考えなくちゃいけないってわかってるのに”


 私はそんなフランの優しさに溺れるように目を瞑った。


 目を閉じたことによって触れられている部分がより鮮明に感じる。
 私の乳首を執拗に愛撫していた彼の舌がするりと下がり、お臍の穴に舌が入れられた。

「んっ!やぁっ、そこ舐めるとこじゃないっ」
「へぇ、じゃあいつも注意されねぇしこっちはずっと舐めてて良かった場所なんだ?」

 敏感で弱い部分を刺激されて思わず身動ぐ私を、まるで翻弄するかのように言ったフランの両手が伸ばされ再び胸を揉まれる。

 両人差し指が同時に乳首を捏ねると、私の腰がビクリと跳ねた。
 
 そのまま私の腰をしっかり押さえるように手を下まで滑らせたフランが、更に手のひらで私の体を撫でながら太股まで下りるとぐいっと足を左右に開き下着をズラす。


「で、こっちも舐めて許されるとこなんだな」
「待……っ、ひゃぁん!」

 いきなり外気に晒された私の蜜壺は、何度も重ねられたフランからの愛撫ですっかり濡れていたせいで少し冷やりと感じ――

「あ、ぁあっ」
「ナカもううねってんな、気持ちいいか?」

 ぐちゅりとフランの舌がナカに挿れられた。


 ちゅぷちゅぷと舌で浅いところを何度も刺激され、その度に全身に快感が巡る。
 抗えない気持ち良さに体を震わせて耐えていると、ぐぷりと指が挿入された。


「何回シても狭いな」
「ばか……っ、そんなこと、言わな……っ!あぁんっ」

 ぐぷぐぷと指で内壁を擦りながら、何度も触れられた場所を刺激される。
 指と入れ替わりで抜いた舌は、蜜壺の少し上にある愛芽を優しく舐め……そして。

「ひ、ぃいっ!やっ、だめっ、それっ、やぁぁ⋯!」

 カリッと芽を刺激するように甘噛みされた私は、その痛いほどの快感に思い切り背を反らし達してしまった。

 フランにより絶頂へ導かれた私から全身の力が抜ける。
 はぁはぁと荒い呼吸でベッドに身を委ねていると、ちゅぽんとナカから指が抜かれ、そしてぐに、と熱いフランのソレがあてがわれた。

 指よりも太く、熱いソレが入り口を擦ると、さっきイったからか、それともフランのが早く欲しくて期待しているのか愛液がトロリと溢れる。


 そんな愛液を絡めるようにぐちゅぐちゅと音を響かせていたフランが、ぐぷりとゆっくり亀頭を挿入して。

「――んっ、ぁ、ぁあっ」
「リッカのナカ、あっつ……」
「や、言わな、ぁあんっ!」

 ぬぷぬぷとゆっくり挿入されると、まるでもうフランの形を覚えてしまっているかのように彼のモノを受け入れる。

 ぴたりとハマったソレは私に快感と、そして安堵を与えてくれた。


「んっ、フラン……っ」
「どうした?まだ動かない方がいいか?」
「ちが、早く欲しっ」

 このまま何も考えず夢中になりたくて懇願すると、聞き届けてくれたフランが抽挿を開始する。

 奥を突かれる度に溢れる愛液が部屋にぱちゅぱちゅという音を漏らし、そして肌と肌がぶつかる音が部屋に響いた。

 内壁を抉るようにフランが自身のモノで擦りながら腰を振る。
 何度も体を揺すられて、私の口からはもう言葉ではない甲高い声だけが溢れていた。


「あっ、んんっ、やぁっ……ひんっ」
「ん、リッカ、そろそろっ」

 抽挿のスピードを更に上げたフランが、下りてきていた子宮口を抉じ開けるように何度も貫き、そして入ってはいけない奥の奥まで捩じ込んで。


「く……っ」
「――――ッ、ぁ、あぁ、んんん……っ」

 ナカでビュクビュクとフランのが震え、じわりと熱いものが私のナカに広がる。


 こんなに体を重ね、何度もナカで出されてはいつ妊娠してもおかしくない。
 魔王討伐を狙い戦地に身を置くか聖女入替えのための暗殺に怯えるかの二択しか残されていない私は、当然今妊娠なんてしては困ることを頭では理解していたのだが。


“赤ちゃんが出来たとしたら、どうすれば赤ちゃんを生かせてあげられるのかな。出来ればフランと三人で穏やかな時間、過ごしたいなぁ”

 無責任かな?不誠実かも。なんて考え、そしてこれこそ自身の遺伝子を残したいと思う生物の本能か、なんて考え直し小さく笑う。
 

 いつか来るかもしれないそんな幸せな未来に想いを馳せた私は、少し汗ばんだフランの体にぴたりと引っ付いた。
 

 そんな未来を手にするために。
 もう誰も失わないために。


“もう、一度だけの奇跡の願いは使えないけれど”
 
 私は強くなりたいと、そう心から願うのだった。
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