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本編
プロローグ:転生先は【R18】仕様のギャルゲーでした
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その日19歳の誕生日を迎えた私は、もうすぐ『魔法学園えちはれ』の二年生になるのだからと気合を入れて髪の毛を少しきつめに巻いたツインテールにし、雷に打たれた。
いや、雷に打たれたというのはもちろん比喩表現なのだが、それが比喩表現ではなく本当の雷だったらよかったのにと思うほどの衝撃を受けたのだ。
「この淡いはちみつカラーの髪色に緑の瞳、そしてこの髪型をした私を私は知ってるわ……」
そしてロレッタ・セシルという名前も。
私が私を知っているなんてあまりにも当たり前のことだが、それが『当たり前』ではないことを確信した。
何故なら私が知っているこの“私”という“設定”は、ただ知っているだけじゃないから。
「兄やんがやってたギャルゲーの攻略キャラじゃない」
今世と呼べる『今の私』に兄はいない。
だがこの鏡に映った私という存在は『兄』がやっていたゲームのキャラなのだ。
“前世の記憶ってやつなの?”
理解はしていない。前世の自分のことも思い出せない。
私はあくまでもセシル侯爵家の一人娘で、両親に愛されて育ったロレッタとしての記憶しかない――が、その記憶に混じる記憶にない記憶こそが兄がやっていたこのギャルゲーのことだった。
「というか、思い返してみればツッコミどころしかないじゃない……」
この数少ない前世の記憶で言えば、中世風のリフタジークという国の魔法学園の名前が何故ひらがなの『えちはれ』なんて名前なのかとか。
子供の学び舎である学園の入学年齢が成人した後の18歳からなのかだとかだ。
もちろん専門学校なのだと考えれば成人して学生をすることもあり得るだろうから、多少違和感があるもののおかしいとは断定できない。
だが名前は絶対おかしい。
間違いなくおかしいと言える。
そしてこの学園が18歳の成人を超えてからしか入学できないのは、兄のやっていたゲームが18禁だからだろう。
「私、18禁ゲームの攻略キャラに転生したってこと……!?」
その事実にくらりと眩暈がした私はお行儀悪いとわかっていながらソファへぼすんと倒れ込んだ。
「侯爵家の一人娘なのに婚約者がいない理由もこのゲームの仕様ってことなのね」
10歳で婚約する子もいるくらいなのに、むしろ何故今までそのことに疑問を持たなかったのか。
もうすぐゲーム開始の二年生が始まるという、今更どうやって回避すればいいかわからないこの状況に対しひたすら絶望感に襲われる。
「どうせ転生するなら、せめて乙女ゲームであって欲しかったわ」
私はただ頭を抱えながら、ソファに置かれたお気に入りのクッションに顔を埋めたのだった。
いや、雷に打たれたというのはもちろん比喩表現なのだが、それが比喩表現ではなく本当の雷だったらよかったのにと思うほどの衝撃を受けたのだ。
「この淡いはちみつカラーの髪色に緑の瞳、そしてこの髪型をした私を私は知ってるわ……」
そしてロレッタ・セシルという名前も。
私が私を知っているなんてあまりにも当たり前のことだが、それが『当たり前』ではないことを確信した。
何故なら私が知っているこの“私”という“設定”は、ただ知っているだけじゃないから。
「兄やんがやってたギャルゲーの攻略キャラじゃない」
今世と呼べる『今の私』に兄はいない。
だがこの鏡に映った私という存在は『兄』がやっていたゲームのキャラなのだ。
“前世の記憶ってやつなの?”
理解はしていない。前世の自分のことも思い出せない。
私はあくまでもセシル侯爵家の一人娘で、両親に愛されて育ったロレッタとしての記憶しかない――が、その記憶に混じる記憶にない記憶こそが兄がやっていたこのギャルゲーのことだった。
「というか、思い返してみればツッコミどころしかないじゃない……」
この数少ない前世の記憶で言えば、中世風のリフタジークという国の魔法学園の名前が何故ひらがなの『えちはれ』なんて名前なのかとか。
子供の学び舎である学園の入学年齢が成人した後の18歳からなのかだとかだ。
もちろん専門学校なのだと考えれば成人して学生をすることもあり得るだろうから、多少違和感があるもののおかしいとは断定できない。
だが名前は絶対おかしい。
間違いなくおかしいと言える。
そしてこの学園が18歳の成人を超えてからしか入学できないのは、兄のやっていたゲームが18禁だからだろう。
「私、18禁ゲームの攻略キャラに転生したってこと……!?」
その事実にくらりと眩暈がした私はお行儀悪いとわかっていながらソファへぼすんと倒れ込んだ。
「侯爵家の一人娘なのに婚約者がいない理由もこのゲームの仕様ってことなのね」
10歳で婚約する子もいるくらいなのに、むしろ何故今までそのことに疑問を持たなかったのか。
もうすぐゲーム開始の二年生が始まるという、今更どうやって回避すればいいかわからないこの状況に対しひたすら絶望感に襲われる。
「どうせ転生するなら、せめて乙女ゲームであって欲しかったわ」
私はただ頭を抱えながら、ソファに置かれたお気に入りのクッションに顔を埋めたのだった。
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