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本編

7.見つからないで、進めるとこまで

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(り、リドルさまぁ……っ!)

 先生は保健室から出ていっていないので目のあったリドル様へと小声で抗議する。
 
 恨みを込めた瞳で彼を睨むと、リドル様も声を抑えながら楽しそうにクックッと笑った。


(ごめんね、ドキドキした?)
(ハラハラしましたっ!)

 むうっと頬を膨らませて文句を言うと、そっと彼の指先が私の目尻に伸びて羞恥で滲んだ涙を拭う。

(でもさ、これ、イベントだと思わない?)

“それはそうなのよね”

 ベッドのある保健室でのイベントなのだから、当然初めての……という展開かと思ったが、このタイミングで先生が現れ、そして布団の中に20歳の青年が隠れているにも関わらずあの至近距離でバレないのだ。

 これでイベントの強制力が働いていないとなると、むしろ不信感を覚えるほどである。

(で、でもだからってあそこまで……)
(あそこまで? まだまだするつもりだよ?)
「えッ!?」
「うん? どうかしたかしら、具合悪化した?」

 しれっと告げられた言葉に思わず声をあげると、すかさず先生に声をかけられ私の体はギクリと固まった。

「いえ! 何でもありません、大丈夫ですっ」

 先生が再び近付く気配のなかったことに安堵した私が再びリドル様へと恨めしい視線を投げると、今度は先ほどとは違い真剣な瞳の彼と目があった。

 
(先生がここにいる以上俺は出られないし、そしてそれにも意味があると思うんだ)

 ゆっくり頷きながらそう口にしたリドル様は、私に言い聞かせるように言葉を重ねる。

(イベントが終わったなら、その場所からの解放がされるはずじゃない? だけど今俺はこのベッドから出られない。つまりまだこのイベントは終わっていない可能性がある)

“そ、それはそうかも……!?”

 確かに今までの流れでいえば、イベントをこなせば次のステップへと勝手に進んだ。

 出会いイベント達成後のみんなの行動もそうだし、授業でのパイタッチも達成したから次の保健室というイベントが発生したのだろう。
 そう考えれば確かにそうかもしれない。
 
 先生がここにいて私たちがベッドから出られないのはまだこのイベントが続行中だからだと考えれば辻妻が合うからだ。

(だから俺はこのイベントをちゃんと達成するためにロレッタにえっちなことをする)
(そ、そうですね、このイベントを無事に終わらせるために私にいっぱいえっちなことをしてくださ……え、本当にこの流れで合ってます?)
(合ってる)

 物凄く真剣な表情でなんだかおかしなことを言われた気がした私だったが、だがあまりにも真剣に言われたせいか納得してしまう。

“それにイベントの可能性があるならこなしちゃいたいのも本当だもの”

 うっかり私をツンデレッタと呼ぶ主人公なんかとイベントが発生しては困るのだ。
 その為にはやはり今ここでこの保健室イベントを完遂したい。

 そう思った私は、リドル様としっかりと目線を合わせて頷いた。

(私にしてください、えっちなこと……!)

 小声でそう告げると、リドル様が少しだけ苦笑する。

(納得しちゃうのか。心配だなぁ、まぁ俺にだけならいいんだけど)
(?)

 ぼそりと呟かれた言葉が布団の中だからかくぐもってあまり聞こえなかったが、しかし結論が出たのであればいつまでも布団の中を覗いているのはまずいだろう。

“イベントの強制力が働いているとしても、見られるリスクは避けたいものね”

 もし私がゲームのプレイヤーだったのなら話は別だが、残念ながらプレイヤーは前世の兄であり私ではない。
 その為イベントの詳細までは知らないのだから。

 そしてそれはもちろんリドル様にも言える。
 私たちはお互い何をどこまですればいいのかわからないまま、見つからないように進めるところまで進めなくてはならなくて――


“それってつまり、私、今から何をされちゃうのかもわからないってことで……!”

 恥ずかしいほど鼓動が早くなり、息もあがる。
 あまり荒い呼吸をしていると、先生に気付かれてしまうかもしれないと不安に思った私は布団の端をしっかり握り、口元を覆った。
 そのお陰だろうか。

「――ッ!」

 突然与えられた愛撫の声を我慢できたのは。

 
 彼の熱い舌が乳房の下から先端へ向けてゆっくりとなぞる。
 時間をかけて到達したその乳首を舌先で押し込むように舐められたと思ったら、すぐにぢゅっと強く吸われ、彼の口内で何度も舌が乳首を弾く。

 先ほどは舌と同時に胸を揉んでいた彼の手が、いつの間にか私の太股をするりと撫でた。

「っは、!」

 制服のスカートを捲られ素肌に触れるリドル様の手のひらが中心部へと近付いてくる。
 そしてそのまま下着の上から指でなぞられると、くちゅりと音がした。

“だ、ダメ、音が響いちゃう!”

 ぞくりとした快感に身を捩りながらも、必死で太股を閉める。
 いくら布団で音が聞こえづらいとはいえ、ベッドからこんな卑猥な水音がすれば流石に先生も様子を見に来てしまうかもしれない。

 それなのにリドル様は指の動きを止めようとはせず、必死に抵抗する私を弄ぶかのようにくちゅくちゅと指先で蜜壺を刺激する。

 彼が指を動かす度にゾクゾクと私の体を快感が走り、下腹部に熱が孕む。
 このままでは声を我慢できないと思った私は布団を掴んでいた手を離し、彼の手を押さえようと布団の中に入れるとすかさず空いている方の彼の手が私の両手首をひとまとめに握った。

「!?」

 両腕で自身のおっぱいを挟み強調する格好になったことに気付いた私の額に冷や汗が滲む。

“これじゃ口元を押さえることも、リドル様の手を止めることもできないわ”

 そうなれば今度こそ気付かれてしまう。
 もし布団を捲られでもしたら、恥ずかしい格好をしてえっちなことをされているところを全て見られてしまうだろう。
 
 そんなの絶対ダメだと思っているのに、『もし』の妄想が頭を巡りごくりと喉を鳴らしてしまった。

 見られたくない、気付かれたくない。
 なのに彼から与えられる快感が気持ちよくて、このまま流されてしまいたい――

(ね、ロレッタのここ、どんどん溢れてくるよ?)
「!」

 自分の世界に入りかけていた私の意識がリドル様のその言葉で一気に引き戻される。
 
(可愛いね、無意識かな? 俺の手に擦りつけてる)

“嘘、私そんなはしたないことを――……!”

 
「ぁッ」

 告げられたことにハッとしたのと同時に、下着の隙間からぐちゅりと指が私のナカに挿入され、強調させるように寄せられたおっぱいが強く吸われる。
 ピリッとした刺激に、痕が付けられたことを察した。

 最初は浅いところを指の腹で擦るように動かしていたリドル様の手が、少しずつ奥へと進む。
 絶え間なく胸も弄られ、私からどんどん思考を奪った。

“どっちも一緒になんて、感じすぎてダメなのに……っ”

 
 いつの間にか掴まれていた手は解放されていたが、もう抵抗なんて出来ずただただ彼からの愛撫を受け入れる。

「あ、ん……んんぅ……」

 指で抽挿され、誤魔化せないほどの水音がちゅくちゅくと布団の中で響き、全身が熱くなって震える。

「は……んぁ……、んっ」

 はふはふと必死に呼吸していると、自身の太股にゴリッとした固いモノが触れた。


“これ、もしかしてリドル様の!?”

 私を翻弄するように快感を与えていた彼も、私で興奮してくれている。

 そう気付いた途端、私の下腹部がきゅうっと彼の指を締め付けて。

「あ、あぁ――……ッ!」
 
 まるで視界の奥で星が散ったように弾け、チカチカとする。
 思い切り体を仰け反らした私の口からは、もう堪えようのない嬌声が溢れていた。


「どうしたの!?」

 シャッと目隠しのカーテンが一気に開けられ先生が私のベッドに駆け寄ってくるが、ぼんやりと霞みがかったように思考が奪われ何も考えられない。

「大丈夫!? 顔がさっきよりも赤いわ、解熱剤を飲ませるから体を起こすわよ」

“だめ、このままじゃ……”

 
 私を起こそうと先生の手が布団に伸びる。
 もうだめ、全部見られちゃう。

 布団の中でえっちなことをして、達してしまったことまで全てバレちゃう――そう覚悟した時だった。


「先生! 急患ですっ、早く来てください!!」
「えぇっ!? そんな」

 突然保健室の扉が開けられ、焦ったように生徒が飛び込んできたお陰でギリギリ布団を捲られることを回避した私は、なんとか荒い呼吸を落ちつける。

「私は、その、寝ていれば……大丈夫ですから……」
「でも」
「先生! 早くしてください!!」
「~~っ、戻ったらすぐに早退させるからね!」

 そう言ってバタバタと保健室から出る先生を見送った私が安堵のため息を吐くと、もぞりとベッドからリドル様が這い出て来た。


「これでこのイベント、完遂ですね……」

 ゆっくり肺に酸素を送り込みながらそう口にすると、起き上がったリドル様が私のはだけた制服を着せ直しながら口を開く。

「みたいだね。ロレッタのナカに入れるのはまだ先みたいだな」
「なッ!?」
「ね、ロレッタも残念だと思ってくれる?」
「も、もう……っ!!」

 どこか楽しそうにそんなことを言われ、少し落ち着いてきたはずだったのに私の顔が再び一瞬で茹ってしまったのだった。
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