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メインルート
11.釣った魚に餌をやらないと、簡単に病むのは当たり前
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“ヤってしまったわ⋯”
まだ婚約者という立場なのに一晩を共にしてしまうなんて⋯、と思わず青ざめ頭を抱える。
ー⋯いや、時間的には夜ではなく昼すぎから夕方だったのだけれど。
なんて考えるが、大事なのは私がもう純潔じゃないと言うことで。
“でも、別に汚れた訳じゃないわね”と考え、彼に与えられた甘い時間を思い出し今度は赤面する。
そしてまた「まだ婚約者という立場なのに⋯」と青ざめる、を何度か繰り返したところで私は思い切り頭を左右に振った。
シてしまった事は照れ臭いものの、不思議と後悔は起きなくて。
それどころかむしろ、あそこまで切実に求められ、前半はともかく後半はそれはもう大事に全身で甘やかされたのだ。
それは確かに“満たされた”時間だった。
「い、今考えるべきことはアリスの事よ⋯!」
すぐにぽやぽやしてしまう頭をなんとか追いやり、私は予言書を開く。
「一応メインルートと、レオンルートの二つを確認すべきよね⋯」
この世界のヒーローがレオではなくなったのだとしても、『悪役令嬢』とされた私ことセシリス・フローチェの婚約者は『レオン』なのだから次に起きるイベントも『レオンルート』である可能性が高い。
それはレオンルートにあった市場でのイベントが発生し、そしてメインルートの洗濯場でのイベントが起こらなかった事からもそう言える。
“逆に言えば、メインルートのイベントが起きるようになればルートの変更がなされたとみなして、破滅から脱却したと言ってもいいはずよ”
「出会った後のイベントは⋯、えっ?どちらも夜会イベント⋯!?」
詳細は違うもののまさか同じイベントだったとは、と思わず頭を抱えそうになり、そしてこれは逆にチャンスだとすぐに考え直した。
「同じイベントなら、“すり替え”も簡単そうだわ⋯!」
どちらのルートなのか確認出来ないという難点があるものの、最終的に殿下といい感じになって貰えればいい訳で。
私はしっかりと二つのルート展開を読み込み、そしてすぐさまペンを取った。
ー⋯そして数日後。
「ーーえっと、あの、セリ様⋯?」
「うん、いいわね!次はこっちのドレスも着て見せてくれるかしら」
私はアリスの休みに合わせて、二人でドレスを見に来ていた。
“メインルートでは、嫌がらせ目的で私の付き人として夜会に来させられたアリスが地味なドレスで嫌みを主に私から言われたりするらしいから⋯”
「安心しなさいアリス、貴女が主役になれる最高のドレスを私が選んでさしあげますから⋯っ!」
「え、えぇ⋯っ!?主役はセリ様ですよっ!?私付き人なんですよね⋯!?」
殿下の護衛騎士であるレオは、今回の夜会は“騎士”として殿下と参加する。
それはどちらのルートでも共通事項。
『婚約者として出れるはじめての行事で、まさかセリの隣ではなく殿下の後ろにいなくてはならないなんて耐えられません。消します』
『消すの!?何を!?いや怖いから答えは教えなくて構いませんけどもっ!』
『大丈夫です、すぐに終わらせます』
『やめて!?』
なんて恐ろしい会話があったことは最早トラウマと言っても過言ではない。
必死に『レオの働いてる姿格好いいわ~!見たいわ~!楽しみだわ~!!』なんておだてて有耶無耶にした私の努力を誰か誉めて欲しいくらいだ。
そんな恐怖体験を思い出し、思わずぶるりと震えるが今気にするべきはヒロインであるアリスの事、と必死に思考を戻す。
“付き人としてヒロインが参加するメインルートに対して、レオンルートでは王宮メイドの1人として働くアリスと裏庭でレオが会うと書いてあったから⋯”
「ここはアリスを付き人として夜会に行くという選択肢1択よ⋯!!」
美しく着飾り殿下の目に止まればいいし、メインルートの通りに進むのもいい。
そして付き人として参加するならば、王宮メイドとしてレオと会いレオンルートが進む心配もない⋯
「我ながら完璧すぎないかしら!?」
「ちょっ、セリ様っ!?どうして急に高笑いはじめるんですかっ!?そんなに似合ってません!?」
「完ッ璧よ!!」
「え、えぇ~っ!?」
アリスのドレスを念のため2着オーダーし、そのドレスに合わせた宝飾品も購入した私達はその後カフェでお茶をし解散した。
“ヒロインと元悪役令嬢⋯またあの恐ろしい感覚が襲ってきたらと少し怖かったけれどなんともなかったわね”
はじめて会った時に感じたあの絡み付くような強迫観念は、“満たされて”いるからか1人で彼女と会っても感じず、その事に安堵した。
“私が脱したように、レオもあの感覚を感じなければいいけれど⋯”
私はそう心から願うのだったー⋯
そしてそんなアリスとのお出掛けから間もなくし、次のイベントである“夜会の日”がやってきて。
“結局あの日以来レオと会えてないのよね⋯”
本来ならば婚約者がいる私は、婚約者からエスコートを受けて参席するべきではあるのだが護衛騎士という仕事上それが叶わない事もある。
それはやはり、少し寂しくはあるものの⋯
「今日は私も重大な仕事があるんだもの。頑張っているレオに恥じないよう、私も精一杯ヒーロー擦り付け計画を頑張るわ⋯!」
私はそう気合いを入れるのだった。
“それに、会えてはいないけれどレオから手紙は来てるのよね、1日に5通くらい⋯”
数がちょっと多すぎる為に全てに返事は出来ていないが、私もなるべくこまめに返事を出すようにしていた。
それに内容は割りとシンプルで、早く会いたいという内容や食べた食事で美味しかったものの話などが多かった。
夜会が近付くにつれ、エスコート出来ない事がどれほど無念かも切実に書き綴られていて⋯
“アリスと殿下を近付ける時に、少しレオと話せたらいいな⋯”
なんて考え、相手は仕事中だとすぐに諦める。
それでも。
“ドレスくらいは⋯見てくれるわよね⋯?”
あわよくば誉めて欲しいなんて、いつの間にかまたぽやぽやしだした思考に慌ててコホンと咳払いをした。
「そ、そろそろアリスが来るから気合いを入れなくてはいけないわね」
今回付き人として参加する為、着付けやメイクは我が公爵家で行う。
朝から家紋のついた馬車を迎えにやり、私はアリスの到着を待っていた。
“ついでに万が一ヒロインの身に何かあったら大変だから、公爵家の騎士達を10人ほど迎えに送ったし問題ないわよね?”
メイド一人に過保護過ぎると思われるかもしれないが、何しろ彼女はこの世界のヒロイン。
そして予言書を読み気付いたのだが⋯
「何故か事件が全てアリスを中心に起こるのよね⋯!」
トラブルメーカー、とは少し違うかもしれないが、とにかく彼女は運が悪いのかやたらとトラブルに巻き込まれていて。
“レオとの出会いイベントだって、市場で揉め事が起こっていたし⋯”
だからこそ彼女がヒロインなのか、ヒロインだからトラブル体質なのかはわからないが。
万全を期すに越したことはない訳で。
公爵令嬢として、そして元悪役令嬢として。
出来る限りの事はした、とその時の私は思っていた。
まさかこの念には念をという行動が、全てレオの逆鱗に触れているだなんて気付きもせずにー⋯
まだ婚約者という立場なのに一晩を共にしてしまうなんて⋯、と思わず青ざめ頭を抱える。
ー⋯いや、時間的には夜ではなく昼すぎから夕方だったのだけれど。
なんて考えるが、大事なのは私がもう純潔じゃないと言うことで。
“でも、別に汚れた訳じゃないわね”と考え、彼に与えられた甘い時間を思い出し今度は赤面する。
そしてまた「まだ婚約者という立場なのに⋯」と青ざめる、を何度か繰り返したところで私は思い切り頭を左右に振った。
シてしまった事は照れ臭いものの、不思議と後悔は起きなくて。
それどころかむしろ、あそこまで切実に求められ、前半はともかく後半はそれはもう大事に全身で甘やかされたのだ。
それは確かに“満たされた”時間だった。
「い、今考えるべきことはアリスの事よ⋯!」
すぐにぽやぽやしてしまう頭をなんとか追いやり、私は予言書を開く。
「一応メインルートと、レオンルートの二つを確認すべきよね⋯」
この世界のヒーローがレオではなくなったのだとしても、『悪役令嬢』とされた私ことセシリス・フローチェの婚約者は『レオン』なのだから次に起きるイベントも『レオンルート』である可能性が高い。
それはレオンルートにあった市場でのイベントが発生し、そしてメインルートの洗濯場でのイベントが起こらなかった事からもそう言える。
“逆に言えば、メインルートのイベントが起きるようになればルートの変更がなされたとみなして、破滅から脱却したと言ってもいいはずよ”
「出会った後のイベントは⋯、えっ?どちらも夜会イベント⋯!?」
詳細は違うもののまさか同じイベントだったとは、と思わず頭を抱えそうになり、そしてこれは逆にチャンスだとすぐに考え直した。
「同じイベントなら、“すり替え”も簡単そうだわ⋯!」
どちらのルートなのか確認出来ないという難点があるものの、最終的に殿下といい感じになって貰えればいい訳で。
私はしっかりと二つのルート展開を読み込み、そしてすぐさまペンを取った。
ー⋯そして数日後。
「ーーえっと、あの、セリ様⋯?」
「うん、いいわね!次はこっちのドレスも着て見せてくれるかしら」
私はアリスの休みに合わせて、二人でドレスを見に来ていた。
“メインルートでは、嫌がらせ目的で私の付き人として夜会に来させられたアリスが地味なドレスで嫌みを主に私から言われたりするらしいから⋯”
「安心しなさいアリス、貴女が主役になれる最高のドレスを私が選んでさしあげますから⋯っ!」
「え、えぇ⋯っ!?主役はセリ様ですよっ!?私付き人なんですよね⋯!?」
殿下の護衛騎士であるレオは、今回の夜会は“騎士”として殿下と参加する。
それはどちらのルートでも共通事項。
『婚約者として出れるはじめての行事で、まさかセリの隣ではなく殿下の後ろにいなくてはならないなんて耐えられません。消します』
『消すの!?何を!?いや怖いから答えは教えなくて構いませんけどもっ!』
『大丈夫です、すぐに終わらせます』
『やめて!?』
なんて恐ろしい会話があったことは最早トラウマと言っても過言ではない。
必死に『レオの働いてる姿格好いいわ~!見たいわ~!楽しみだわ~!!』なんておだてて有耶無耶にした私の努力を誰か誉めて欲しいくらいだ。
そんな恐怖体験を思い出し、思わずぶるりと震えるが今気にするべきはヒロインであるアリスの事、と必死に思考を戻す。
“付き人としてヒロインが参加するメインルートに対して、レオンルートでは王宮メイドの1人として働くアリスと裏庭でレオが会うと書いてあったから⋯”
「ここはアリスを付き人として夜会に行くという選択肢1択よ⋯!!」
美しく着飾り殿下の目に止まればいいし、メインルートの通りに進むのもいい。
そして付き人として参加するならば、王宮メイドとしてレオと会いレオンルートが進む心配もない⋯
「我ながら完璧すぎないかしら!?」
「ちょっ、セリ様っ!?どうして急に高笑いはじめるんですかっ!?そんなに似合ってません!?」
「完ッ璧よ!!」
「え、えぇ~っ!?」
アリスのドレスを念のため2着オーダーし、そのドレスに合わせた宝飾品も購入した私達はその後カフェでお茶をし解散した。
“ヒロインと元悪役令嬢⋯またあの恐ろしい感覚が襲ってきたらと少し怖かったけれどなんともなかったわね”
はじめて会った時に感じたあの絡み付くような強迫観念は、“満たされて”いるからか1人で彼女と会っても感じず、その事に安堵した。
“私が脱したように、レオもあの感覚を感じなければいいけれど⋯”
私はそう心から願うのだったー⋯
そしてそんなアリスとのお出掛けから間もなくし、次のイベントである“夜会の日”がやってきて。
“結局あの日以来レオと会えてないのよね⋯”
本来ならば婚約者がいる私は、婚約者からエスコートを受けて参席するべきではあるのだが護衛騎士という仕事上それが叶わない事もある。
それはやはり、少し寂しくはあるものの⋯
「今日は私も重大な仕事があるんだもの。頑張っているレオに恥じないよう、私も精一杯ヒーロー擦り付け計画を頑張るわ⋯!」
私はそう気合いを入れるのだった。
“それに、会えてはいないけれどレオから手紙は来てるのよね、1日に5通くらい⋯”
数がちょっと多すぎる為に全てに返事は出来ていないが、私もなるべくこまめに返事を出すようにしていた。
それに内容は割りとシンプルで、早く会いたいという内容や食べた食事で美味しかったものの話などが多かった。
夜会が近付くにつれ、エスコート出来ない事がどれほど無念かも切実に書き綴られていて⋯
“アリスと殿下を近付ける時に、少しレオと話せたらいいな⋯”
なんて考え、相手は仕事中だとすぐに諦める。
それでも。
“ドレスくらいは⋯見てくれるわよね⋯?”
あわよくば誉めて欲しいなんて、いつの間にかまたぽやぽやしだした思考に慌ててコホンと咳払いをした。
「そ、そろそろアリスが来るから気合いを入れなくてはいけないわね」
今回付き人として参加する為、着付けやメイクは我が公爵家で行う。
朝から家紋のついた馬車を迎えにやり、私はアリスの到着を待っていた。
“ついでに万が一ヒロインの身に何かあったら大変だから、公爵家の騎士達を10人ほど迎えに送ったし問題ないわよね?”
メイド一人に過保護過ぎると思われるかもしれないが、何しろ彼女はこの世界のヒロイン。
そして予言書を読み気付いたのだが⋯
「何故か事件が全てアリスを中心に起こるのよね⋯!」
トラブルメーカー、とは少し違うかもしれないが、とにかく彼女は運が悪いのかやたらとトラブルに巻き込まれていて。
“レオとの出会いイベントだって、市場で揉め事が起こっていたし⋯”
だからこそ彼女がヒロインなのか、ヒロインだからトラブル体質なのかはわからないが。
万全を期すに越したことはない訳で。
公爵令嬢として、そして元悪役令嬢として。
出来る限りの事はした、とその時の私は思っていた。
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