-私のせいでヒーローが闇落ち!?-悪役令息を救え!

春瀬湖子

文字の大きさ
31 / 51
イリダルルート

28.どうせお仕置きされるなら、先払いでお願いします

しおりを挟む
「今日のレオは護衛じゃなくて訓練日だったわね」


気付けばレオが私の手帳にレオの予定を勝手に書き込んでいるのだが、まさか本当に活用する日がくるとは思っていなかった。



“ついでにレオの休みは全部デートの予定にされているのだけれど⋯”


まぁ、それも嫌ではないなと考え、思ったよりも順応している自分に少し笑ってしまう。



こんな時なのに、と思いつつ訓練所のドアから様子を窺うとすぐに私に気付いたレオが満面の笑みで走ってきて。


「セリ!僕に会いに来てくれるなんて嬉しいです」

「そう、レオが喜んでくれると私も嬉しいわ」


さっと手を取られたのでその手をしっかりと握る。


“最近ストレス感じてたからかしら、レオの手の温かさが心地良いわね⋯”


剣を握るからか、見た目よりもゴツゴツした手。

汗で少ししっとりしているが全然嫌ではなく、また力を入れたら私なんて簡単に怪我させられるであろうに壊れ物のようにそっと握られる手が、レオからの愛を実感させてくれる。


その全てが、とても心地良くささくれだった私の心をほわりと温かくしてくれてー⋯



「実はイリダル殿下の事を聞きたくてきたの」

「は?」



そして、他の男性の名前を出した瞬間に温かくなった心と体感温度が一気に氷点下になった。



「あ、えっとね、その、違うの。ちょっと気になることがあって」

「なるほど、最近僕よりもイリダル殿下と一緒にいる時間が長いせいで僕の愛を見失ったんですね」

「見失ってない、見失ってないわ!?レオこそ現実を見て!その⋯っ」


婚約者の訪問に休憩がてら様子を見ていたレオの同僚騎士達も、一気に雰囲気が変わった私達に驚き様子を窺っていて。


“こ、こんなに注目されてる中でこれを口にするのは恥ずかしい、恥ずかしいんだけれども⋯っ”


しかし、ここで会話の選択肢を間違えるとまたお仕置きか、もしくはお仕置きを強要されるというとんでもプレイに発展してしまう訳でー⋯


“女は度胸よ、なるようになれ⋯!”


ごくりと唾を呑み込んだ私は、睨むような勢いでレオと視線を合わせて。



「レオから愛されてると知ってるし、わ、私だってレオの事を愛してるから!!」


“だから変なスイッチ入れるのはやめて!”

そう全力で願いながらハッキリと断言した。


ひゅう、と見物していた周りの騎士達から口笛が聞こえ羞恥を刺激されるが今はレオの機嫌を取る方が大切だった私は必死にレオの様子を窺う。



瞳孔から光が失われ冷気を醸し出していたレオは、私の発言を一瞬きょとんと聞いていたのだがー⋯



「⋯はい、ありがとうございます」



ふわりと花が綻ぶように笑った。

そのレオの表情を見て、一先ずはお仕置きから脱せれたのだと安堵する。


“イリダル殿下の事を聞きたいけど、今なら聞けるかしら⋯?”


なんて次の言葉を発するタイミングを図っていた私の手を軽く引いたレオは気付けば私をお姫様抱っこして。


「へっ!?」

「ふふ、そろそろ休憩しようと思ってたんです。セリからの愛をもっと実感させてくれますよね?」

「実感⋯?」


にっこりと笑ったレオの瞳孔には、劣情が揺らめいていた。



“ーーーあ、ミスったわね⋯”


なんて気付いてももちろん遅く。

しれっと抱えられながら私はいつものレオの部屋に連れられていた。



ちなみに抵抗はしなかった。

抵抗したところで、しれっと言いくるめられるどころか何かしらのハードルが上がり、レオも興奮するだけだと身をもって学んでいたからだ。



「あ、レオ」

「どうかしましたか?」


ベッドに寝かされ、そっと私の服を弛めているレオに声をかける。



“終わった後だと疲れて寝ちゃって聞けないもの、どうせまた嫉妬されるなら先に聞く方がいいわ”


もし終わった後私が起きていられたとしても、他の男性の名前をまた出した時点でお仕置きという名の二回戦に入ることは安易に想像できた為、だったら初っぱなからやらかしてしまえ!と開き直った私はイリダル殿下の事を聞くことにした。



「イリダル殿下って、昔からあんなにヴァレリー殿下にべったりだったの?」


もし昔からなら、予言書とは関係なく『そういう距離感の兄弟』なのだろう。


“だけど、もし最近なら⋯”


知的だと聞いていたレフ様が突然人が変わったように豹変した事を思い出す。



“もし最近なら、予言書の力で感情のコントロールが出来ず理性が働かなくなってしまっている可能性があるー⋯”


これが本当に予言書の強制力のせいだとしたら。


“悪役令嬢である私か、常にダークサイドに片足突っ込んでるレオか、今まさに悪役令息に抜擢されかけているイリダル殿下の誰かが破滅するかもしれないわ”



だからこそ、イリダル殿下の変化は確かめなくてはならず、そしてヴァレリー殿下の護衛として近くでイリダル殿下も見ていたレオならそれがわかるだろう。

問題なのは、名前を聞いただけで体感温度を下げるレオから上手く情報が引き出せるかという事⋯だったのだが。



「そうですね、昔からヴァレリー殿下にべったりではありましたね」

「えっ、答えてくれるの!?」

「えっ、返答内容ではなくそっちが気になる感じですか!?」



さらりと教えてくれたレオに思わず驚いた。



「そ、そういう訳じゃないけど⋯その、さっきは名前を聞いただけでスンッてなってたから⋯」

「そのスンッというのは置いておいて。そんなの関係なくセリが一生愛し続ける唯一が僕だと皆の前で断言してくださったので、少しくらいならいいかな、と思いまして」


“なんだか過大になっている気がしなくもないけど⋯”

あながち間違いではないか、と考え直して頷いた。



「じゃあ、最近ブラコン度合いが更に過激になったとかはないかしら?」

「そう⋯ですね、どちらかと言えば逆にヴァレリー殿下の近くにあまり来なくなったかな、とは思いましたね」

「えっ、あれで!?」

「えぇ、あれで。」


社交教育で一緒にお茶をしている時もヴァレリー殿下がちらりと見えたらきゅるんきゅるんした笑顔で抱きついているイリダル殿下を思い出し唖然とする。


“あれで頻度が減ったとか⋯前はどんだけだったのよ!?”


ある意味王家の闇のようなものを感じ、なんだか肌寒くなった私はふるりと体を震わせー⋯


「って、え!?!?」


気付けば私は一糸纏わぬ姿になっていて。



「ちょ、へ、え!?」

「ふふ、考え事に夢中で堂々と体を見せつけているセリも大胆で素敵ですが、羞恥に頬を染めている姿も可愛いです」

「見せつけてなんかないわよ!?」


“気付かなかっただけなんですけどっ”という抗議も兼ねた主張は。



「ふふ、体はしっかりと期待してくれているみたいですね」


なんて嬉しそうにしながら私のナカにレオの指がぐぷりと挿入された事で最後まで口には出来なかった。


「ーーひ!」


突然だったにも関わらず、幾度となくレオと体を重ねたからか私のソコからは指の動きに合わせて水音を響かせながら愛液が溢れていて。


「そんなに締め付けられると指が持っていかれそうですね」

なんて楽しそうにレオが笑う。


優しげな眼差しと柔らかな微笑みを浮かべているくせに、その指は容赦なく私のナカをぐちゅぐちゅとかき混ぜた。



「ひゃーー、んんっ、はぁ⋯っん!」


抗えない快感が体を走り、嬌声が漏れる。

その声が恥ずかしく両手で口を押さえると、その押さえている手の上からレオがそっとキスしてきて。


「キスしたいです、ねぇ、その手をどけてくれますよね?」

「ーーぅ、んんっ」


促されるがままそっと手を外すとすかさず熱い口付けが落とされた。


ぬるりとすぐに入ってきたレオの舌に翻弄される。

絡め取られた自身の舌が求められるままレオの舌に精一杯応えると、それを誉めるようにやさしく胸を撫でられて。



「ひゃん!」


突然乳首を弾かれ体が跳ねる。

そんな私を楽しむように何度も弾かれた先端はしっかりと尖ってしまっていて。



「こんなに勃たせて、本当に可愛いです」


ふっと笑ったレオはそのまま右の乳首を口に含み、強く吸った。


「や、やぁ⋯っ!」


そのままちゅぱちゅぱと音を響かせながら舌で捏ねられる。

反対の乳首は強く指で捻られたかと思うと掠めるように優しく触れられて。


「んんっ、どっちもは⋯っ、ダメ⋯!」


両乳首にそれぞれ違った快感を刷り込まれ必死にそう懇願する。

そんな私を、本当に不思議そうに見てレオは。



「“どっちも”とは、胸とこれですか?」


しれっとそう聞き反り返ったレオの熱棒でそのまま一気に奥まで貫いた。


「ーーーッッ!」

「ん、凄く熱いです⋯」


突然の刺激ではくはくと口を動かすしか出来ない私に気付いたレオは、愛おしそうにそっと額に口付けを落とすが。


その慈しむような行動と反比例するかのように、容赦なく腰を揺さぶられる。



「ひ、ゃあ⋯っ!」

「気持ちいい、ですか?ねぇ、言って、セリ⋯?」

「き、もちい⋯、いから⋯っ!少し待っ⋯」

「良かった、なら、もっと気持ち良くなって?」

「ーーーぁああっ!」


ナカを抉るように何度も貫かれ一気に快感が体を巡り、ゾクゾクと敏感に快感を拾い続ける。

私は目の前が真っ白になったと思うほどパチパチと星を散らしレオから与えられるがまま感じてしまった。



「ーーあぁ、可愛い、絶対手離さないから忘れないで。一生僕のモノでいるか、一生僕をセリのモノにしてくださいね⋯」



それは呪いとも取れるような強い愛だった。

レオからの想いをぶつけられながら絶頂に導かれた私の体は、レオのソレをぎゅうぎゅうと搾り取るように締め付けて。



「ーーーんッ」


じわりとナカで広がり馴染む熱を感じ、そのままナカでレオの精が放たれた事をどこか意識の遠くで知る。

毎度の事ながら私はそのまま意識を手離すのだった。

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい

咲桜りおな
恋愛
 オルプルート王国第一王子アルスト殿下の婚約者である公爵令嬢のティアナ・ローゼンは、自分の事を何故か初対面から溺愛してくる殿下が苦手。 見た目は完璧な美少年王子様なのに匂いをクンカクンカ嗅がれたり、ティアナの使用済み食器を欲しがったりと何だか変態ちっく!  殿下を好きだというピンク髪の男爵令嬢から恋のキューピッド役を頼まれてしまい、自分も殿下をお慕いしていたと気付くが時既に遅し。不本意ながらも婚約破棄を目指す事となってしまう。 ※糖度甘め。イチャコラしております。  第一章は完結しております。只今第二章を更新中。 本作のスピンオフ作品「モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~」も公開しています。宜しければご一緒にどうぞ。 本作とスピンオフ作品の番外編集も別にUPしてます。 「小説家になろう」でも公開しています。

ヤンデレにデレてみた

果桃しろくろ
恋愛
母が、ヤンデレな義父と再婚した。 もれなく、ヤンデレな義弟がついてきた。

【完結】ヤンデレ乙女ゲームの転生ヒロインは、囮を差し出して攻略対象を回避する。はずが、隣国の王子様にばれてしまいました(詰み)

瀬里@SMARTOON8/31公開予定
恋愛
 ヤンデレだらけの乙女ゲームに転生してしまったヒロイン、アシュリー。周りには、攻略対象のヤンデレ達が勢ぞろい。  しかし、彼女は、実現したい夢のために、何としても攻略対象を回避したいのだ。  そこで彼女は、ヤンデレ攻略対象を回避する妙案を思いつく。  それは、「ヒロイン養成講座」で攻略対象好みの囮(私のコピー)を養成して、ヤンデレたちに差し出すこと。(もちろん希望者)  しかし、そこへ隣国からきた第五王子様にこの活動がばれてしまった!!  王子は、黙っている代償に、アシュリーに恋人契約を要求してきて!?  全14話です+番外編4話

異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?

すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。 一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。 「俺とデートしない?」 「僕と一緒にいようよ。」 「俺だけがお前を守れる。」 (なんでそんなことを私にばっかり言うの!?) そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。 「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」 「・・・・へ!?」 『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!? ※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。 ※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。 ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

モブ令嬢アレハンドリナの謀略

青杜六九
恋愛
転生モブ令嬢アレハンドリナは、王子セレドニオの婚約者ビビアナと、彼女をひそかに思う侯爵令息ルカのじれじれな恋を観察するのが日課だった。いつまで経っても決定打にかける二人に業を煮やし、セレドニオが男色家だと噂を流すべく、幼馴染の美少年イルデフォンソをけしかけたのだが……。 令嬢らしからぬ主人公が、乙女ゲームの傍観者を気取っていたところ、なぜか巻き込まれていくお話です。主人公の独白が主です。「悪役令嬢ビビアナの恋」と同じキャラクターが出てきますが、読んでいなくても全く問題はありません。あらすじはアレですが、BL要素はありません。 アレハンドリナ編のヤンデレの病み具合は弱めです。 イルデフォンソ編は腹黒です。病んでます。 2018.3.26 一旦完結しました。 2019.8.15 その後の話を執筆中ですが、別タイトルとするため、こちらは完結処理しました。

処理中です...