30 / 33
最終章・全ての契約を破棄して
29.こんなはずじゃなかったの
しおりを挟む
ルカが正式に領主になってから半年。
何しろ内情がぼろぼろだったせいで暫くは落ち着くことも出来ず、王都と領地を行ったり来たりしていたルカだったが何度か月を跨ぐ頃には段々と落ち着きはじめ、やっと一緒に過ごすことが出来るようになった頃。
ルカから再婚の申し出をされ、そもそも離婚していない旨を告げた私は猛烈に後悔していた。
(一度離婚して再婚すれば良かったわ)
もしルカの最初の申し出を受け、契約不履行で離婚していたのならそれに付随する契約も破棄されていたはずだ。
だが今回は婚姻の続行。つまり契約も当初のもので続行ということである。
「……いやいや、別にそれでいいじゃない。契約通り別れればいいだけの話だし」
ルカの両親の後始末に思ったよりも時間を取られたせいで、私たちが結婚という契約を結んでからもう一年。期間満了日がまさに目の前に迫っている。
領主が代わったことで経営の方針も変わり、出ていった領民たちが全員ではないものの戻ってきてくれた。
レーリヤ夫人も王都から引っ越して来てくれたし、何故かルカの親代わりだとゲルマンさんまで来てくれた。
人が増えれば仕事も増え、活気も戻る。
完全にストップしていたオパール事業も本格的に手をつけられるようになったし、そうなれば商団メルクスは安泰だ。
このまま契約満了で離婚しても問題ないのである。
問題ない、問題ないはず、なのだが。
「ライサ、この資料見て欲しいんだけど」
「わ、わぁっ!」
「? 忙しいタイミングだった?」
「全然大丈夫よ」
ガチャッと開いた扉に慌てて背筋を伸ばす。
なるべく平静を装いながら執務室のソファへと移動し腰掛けると、てっきり向かいに座ると思っていたルカが私の真横に腰を下ろした。
「……えっと、隣?」
「ダメ? こっちの方が書類見易いでしょ」
「そ、そうね。向かいだと書類の向きが反対になってしまうものね」
離れる決心をした時自分の気持ちを自覚したせいか、今更だとわかっているのに隙間なく座るこの距離にすら落ち着かない。
「っていうか、本当に近すぎない?」
「そんなことないよ、だって書類は一枚しかないんだもん」
「それもそう、ね」
服越しとはいえぴったりと引っ付いた太股。
それに一枚の書類を見るという名目で私の肩に頬を乗せるようにして覗き込むルカの髪が私の耳に擦れてくすぐったい。
(本当にこの距離感あってるのかしら)
意識してしまっているせいで顔がじわりと熱くなる。
こんなはずじゃない、こんなはずじゃなかったのに。
「あれ、ライサ顔が赤くなってるよ? 可愛い」
「!」
くすりと笑ったルカがちゅ、と頬に口づけをひとつ。
しかも顔が赤いと指摘されたことで一気に羞恥心を刺激された私は書類を引ったくるようにして立ち上がった。
「これは! 後で見ておくからっ!」
「あはは。もっとすごいこと何回もしてるのになぁ」
「こんな真っ昼間から変なこと言わないで!」
「じゃあ夜にまた言うね? 楽しみにしてて」
「そ、そういうことを言ってるんじゃ……」
「ルカ様、領民からの謁見が入ってます」
「あぁ。すぐ行く」
完全にからかうモードに入っていたルカを睨みつつ文句を言おうとするが、タイミング良くジーナが謁見を知らせに来たせいでうやむやになってしまう。
「じゃあライサ、また夜にね」
「……っ、いってらっしゃい」
「はい。いってきます」
腹立たしい。私の反応を見て楽しんでいるルカが堪らなく腹立たしいが、お見送りの挨拶ひとつで破顔して喜ばれると怒るに怒れない。
これは絶対――
「絆されてますね」
「言わないで!」
冷静に観察するように私たちの様子を見ていたジーナがポツリとそう告げ、私はワアッと顔を覆い机に突っ伏した。
こんな、こんなはずじゃなかったのだ。
ルカの出て行った執務室で、机に突っ伏したまま今度は頭を抱える。
父から出された条件のために仕方なくした結婚だった。
恋愛なんて煩わしいだけで、だからこそ「愛する気はない」とそう断言した。
契約を守ってくれるならば他所で恋人でもなんでも作って構わないと心からそう思っていた。
そう思っていた、はずだった。
そんな私の目の前にあるのは、結婚時に密かに交わした契約書。
「もうすぐ期間満了しちゃうわ」
「延長を申し出てみては?」
「無理よ」
「そうでしょうか? 無期限での延期に二つ返事で頷いてくださると思いますが」
適当なことを言うジーナの言葉を聞き流しはぁっと大きなため息を吐く。
(せめて恋愛項目の『私以外』という部分が消せれば動きようもあったのに)
それもこれも、いちいち思わせぶりな夫が悪い。
私に触れる手が宝物に触れるみたいに優しい夫が悪い。
口づけた後の眼差しが甘い夫が悪い。
責任転嫁だとわかっているけれど、格好良すぎる夫が何もかも悪い。
さっきだって何なんだ。しれっと頬に口づけるだなんて本当に愛し合う夫婦のようではないか。
一方通行の想いを抱えている私をそうやって惑わせるなんて彼はなんて罪深いのだろう。
(いっそ私に惚れさせようって思ったこともあったけど)
ルカが忙しく王都と領地を行き来していたせいで、この半年はほぼ時間が取れなかったのだ。
惚れさせるどころではなく完全にすれ違い生活。
「もう、どうしてこうなっちゃったの……」
契約期間満了までもう数日しかないのに、今更離婚したくないだなんてどの口が言えるのか。
いっそ心も体も全て暴かれた責任を取れと迫ってやりたいところだが、私のプライドが邪魔をして動けずにいる。
領地が活気づいてきている今、その地盤を確固たるものにする資金は私からの報奨金という名の離婚の慰謝料で賄うつもりだろう。
それに私の方だって自身の商団を立ち上げ軌道に乗せた。
全てが計画通りだからこそ、まさに八方塞がりというやつだ。
「本当にこんなはずじゃなかったの」
「そうでしょうか」
「というか、ルカがなんだか甘いと思わない? 最近さっきみたいなスキンシップがより増えたのよ!」
「暫く忙しくてお会いできていなかったんです、そうなっても仕方ないでしょう」
「仕方なくないのよ!」
わぁっと嘆く私をじっと見ていたジーナが、ふと何かを思いついたように手を叩く。
そしてにこりと微笑んだ。
「そんなに離婚したくないのなら、新しい商談を持ちかけられてみてはいかがですか?」
「新しい商談?」
「現在の契約をよりよい契約で更新するんです」
「よりよい契約で……」
確かにジーナの案にも一理ある。
契約満了するより契約更新を選ぶ方がメリットがあるならば、あえて離婚する必要はない。
私はこれでも商人なのだ。ならばそういった契約のひとつやふたつ結ぶくらいお手の物だろう。
「べ、別に離婚したくない訳じゃないんだけど。でもよりよい契約があるならそういうのも悪くないって思っただけなんだから」
「今更何の言い訳ですか」
「別に言い訳とかじゃないけど!」
でも、より良い契約ならば仕方ない。
「新しい契約、考えてみるわ」
私はもはやなけなしとなってしまったプライドを精一杯高く積み、気恥ずかしさからフンッと顔を背けたのだった。
何しろ内情がぼろぼろだったせいで暫くは落ち着くことも出来ず、王都と領地を行ったり来たりしていたルカだったが何度か月を跨ぐ頃には段々と落ち着きはじめ、やっと一緒に過ごすことが出来るようになった頃。
ルカから再婚の申し出をされ、そもそも離婚していない旨を告げた私は猛烈に後悔していた。
(一度離婚して再婚すれば良かったわ)
もしルカの最初の申し出を受け、契約不履行で離婚していたのならそれに付随する契約も破棄されていたはずだ。
だが今回は婚姻の続行。つまり契約も当初のもので続行ということである。
「……いやいや、別にそれでいいじゃない。契約通り別れればいいだけの話だし」
ルカの両親の後始末に思ったよりも時間を取られたせいで、私たちが結婚という契約を結んでからもう一年。期間満了日がまさに目の前に迫っている。
領主が代わったことで経営の方針も変わり、出ていった領民たちが全員ではないものの戻ってきてくれた。
レーリヤ夫人も王都から引っ越して来てくれたし、何故かルカの親代わりだとゲルマンさんまで来てくれた。
人が増えれば仕事も増え、活気も戻る。
完全にストップしていたオパール事業も本格的に手をつけられるようになったし、そうなれば商団メルクスは安泰だ。
このまま契約満了で離婚しても問題ないのである。
問題ない、問題ないはず、なのだが。
「ライサ、この資料見て欲しいんだけど」
「わ、わぁっ!」
「? 忙しいタイミングだった?」
「全然大丈夫よ」
ガチャッと開いた扉に慌てて背筋を伸ばす。
なるべく平静を装いながら執務室のソファへと移動し腰掛けると、てっきり向かいに座ると思っていたルカが私の真横に腰を下ろした。
「……えっと、隣?」
「ダメ? こっちの方が書類見易いでしょ」
「そ、そうね。向かいだと書類の向きが反対になってしまうものね」
離れる決心をした時自分の気持ちを自覚したせいか、今更だとわかっているのに隙間なく座るこの距離にすら落ち着かない。
「っていうか、本当に近すぎない?」
「そんなことないよ、だって書類は一枚しかないんだもん」
「それもそう、ね」
服越しとはいえぴったりと引っ付いた太股。
それに一枚の書類を見るという名目で私の肩に頬を乗せるようにして覗き込むルカの髪が私の耳に擦れてくすぐったい。
(本当にこの距離感あってるのかしら)
意識してしまっているせいで顔がじわりと熱くなる。
こんなはずじゃない、こんなはずじゃなかったのに。
「あれ、ライサ顔が赤くなってるよ? 可愛い」
「!」
くすりと笑ったルカがちゅ、と頬に口づけをひとつ。
しかも顔が赤いと指摘されたことで一気に羞恥心を刺激された私は書類を引ったくるようにして立ち上がった。
「これは! 後で見ておくからっ!」
「あはは。もっとすごいこと何回もしてるのになぁ」
「こんな真っ昼間から変なこと言わないで!」
「じゃあ夜にまた言うね? 楽しみにしてて」
「そ、そういうことを言ってるんじゃ……」
「ルカ様、領民からの謁見が入ってます」
「あぁ。すぐ行く」
完全にからかうモードに入っていたルカを睨みつつ文句を言おうとするが、タイミング良くジーナが謁見を知らせに来たせいでうやむやになってしまう。
「じゃあライサ、また夜にね」
「……っ、いってらっしゃい」
「はい。いってきます」
腹立たしい。私の反応を見て楽しんでいるルカが堪らなく腹立たしいが、お見送りの挨拶ひとつで破顔して喜ばれると怒るに怒れない。
これは絶対――
「絆されてますね」
「言わないで!」
冷静に観察するように私たちの様子を見ていたジーナがポツリとそう告げ、私はワアッと顔を覆い机に突っ伏した。
こんな、こんなはずじゃなかったのだ。
ルカの出て行った執務室で、机に突っ伏したまま今度は頭を抱える。
父から出された条件のために仕方なくした結婚だった。
恋愛なんて煩わしいだけで、だからこそ「愛する気はない」とそう断言した。
契約を守ってくれるならば他所で恋人でもなんでも作って構わないと心からそう思っていた。
そう思っていた、はずだった。
そんな私の目の前にあるのは、結婚時に密かに交わした契約書。
「もうすぐ期間満了しちゃうわ」
「延長を申し出てみては?」
「無理よ」
「そうでしょうか? 無期限での延期に二つ返事で頷いてくださると思いますが」
適当なことを言うジーナの言葉を聞き流しはぁっと大きなため息を吐く。
(せめて恋愛項目の『私以外』という部分が消せれば動きようもあったのに)
それもこれも、いちいち思わせぶりな夫が悪い。
私に触れる手が宝物に触れるみたいに優しい夫が悪い。
口づけた後の眼差しが甘い夫が悪い。
責任転嫁だとわかっているけれど、格好良すぎる夫が何もかも悪い。
さっきだって何なんだ。しれっと頬に口づけるだなんて本当に愛し合う夫婦のようではないか。
一方通行の想いを抱えている私をそうやって惑わせるなんて彼はなんて罪深いのだろう。
(いっそ私に惚れさせようって思ったこともあったけど)
ルカが忙しく王都と領地を行き来していたせいで、この半年はほぼ時間が取れなかったのだ。
惚れさせるどころではなく完全にすれ違い生活。
「もう、どうしてこうなっちゃったの……」
契約期間満了までもう数日しかないのに、今更離婚したくないだなんてどの口が言えるのか。
いっそ心も体も全て暴かれた責任を取れと迫ってやりたいところだが、私のプライドが邪魔をして動けずにいる。
領地が活気づいてきている今、その地盤を確固たるものにする資金は私からの報奨金という名の離婚の慰謝料で賄うつもりだろう。
それに私の方だって自身の商団を立ち上げ軌道に乗せた。
全てが計画通りだからこそ、まさに八方塞がりというやつだ。
「本当にこんなはずじゃなかったの」
「そうでしょうか」
「というか、ルカがなんだか甘いと思わない? 最近さっきみたいなスキンシップがより増えたのよ!」
「暫く忙しくてお会いできていなかったんです、そうなっても仕方ないでしょう」
「仕方なくないのよ!」
わぁっと嘆く私をじっと見ていたジーナが、ふと何かを思いついたように手を叩く。
そしてにこりと微笑んだ。
「そんなに離婚したくないのなら、新しい商談を持ちかけられてみてはいかがですか?」
「新しい商談?」
「現在の契約をよりよい契約で更新するんです」
「よりよい契約で……」
確かにジーナの案にも一理ある。
契約満了するより契約更新を選ぶ方がメリットがあるならば、あえて離婚する必要はない。
私はこれでも商人なのだ。ならばそういった契約のひとつやふたつ結ぶくらいお手の物だろう。
「べ、別に離婚したくない訳じゃないんだけど。でもよりよい契約があるならそういうのも悪くないって思っただけなんだから」
「今更何の言い訳ですか」
「別に言い訳とかじゃないけど!」
でも、より良い契約ならば仕方ない。
「新しい契約、考えてみるわ」
私はもはやなけなしとなってしまったプライドを精一杯高く積み、気恥ずかしさからフンッと顔を背けたのだった。
32
あなたにおすすめの小説
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
毎日19時に更新予定です。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
婚約解消されたら隣にいた男に攫われて、強請るまで抱かれたんですけど?〜暴君の暴君が暴君過ぎた話〜
紬あおい
恋愛
婚約解消された瞬間「俺が貰う」と連れ去られ、もっとしてと強請るまで抱き潰されたお話。
連れ去った強引な男は、実は一途で高貴な人だった。
義兄に甘えまくっていたらいつの間にか執着されまくっていた話
よしゆき
恋愛
乙女ゲームのヒロインに意地悪をする攻略対象者のユリウスの義妹、マリナに転生した。大好きな推しであるユリウスと自分が結ばれることはない。ならば義妹として目一杯甘えまくって楽しもうと考えたのだが、気づけばユリウスにめちゃくちゃ執着されていた話。
「義兄に嫌われようとした行動が裏目に出て逆に執着されることになった話」のifストーリーですが繋がりはなにもありません。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。
すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。
だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。
イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。
変わり果てた現実を前に、
夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。
深い後悔と悲しみに苛まれながら、
失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。
しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。
贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。
そして、母の心を知っていく子供たち。
イネスが求める愛とは、
そして、幸せとは――。
魔性の大公の甘く淫らな執愛の檻に囚われて
アマイ
恋愛
優れた癒しの力を持つ家系に生まれながら、伯爵家当主であるクロエにはその力が発現しなかった。しかし血筋を絶やしたくない皇帝の意向により、クロエは早急に後継を作らねばならなくなった。相手を求め渋々参加した夜会で、クロエは謎めいた美貌の男・ルアと出会う。
二人は契約を交わし、割り切った体の関係を結ぶのだが――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる