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第1章 邂逅
手を握った、その上で
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「何かしていると思うか? 蒼穹城」
アマツが、蒼穹城進に向かって牙を剥く。
後ろには元兄であった刀眞遼と。
昨日も一緒につるんでいた、善機寺家の長男もいるな。
……アマツに言わせれば、この善機寺家の長男は「何故、蒼穹城たちとつるんでいるのか分からない」らしいが。
どうも、俺と近いらしい。
ただ1つ違うのは、彼には【顕現】が苦手ながらも出来て。
俺には全くできないこと。
「ふーん?」
蒼穹城は俺達を見て、目を細めた。
心底気持ち悪いと思えるような顔で冷撫を見つめ、俺に目をやる。
そして、「はて……?」と言ったような顔で目を合わせ、たっぷり5秒後。
「君、どこかで僕と会ったことはないかな?」
「さぁ? ――世界には3人そっくりな人間もいると聞くし、そういうことなんじゃないか?」
青い【熾火結晶】の効果は、確実にある。
俺はそれを確信した。
昨日のようなフラッシュバックはおろか、まだ平静を保っていられるのだ。
「それもそうかも。……昨日、契を助けてくれたって聞いたよ、ありがとう」
素直に礼を言えたのはいい。
ああ、ちょっとは彼も成長したんだな、っていうのが分かる。
しかし、そのあとのセリフがよろしくない。
「ファーヴニル君、だっけ。君も鈴音さんと同様に。火威家なんかより、蒼穹城についた方が良いとおもうな。――火威家の猟犬に、成り下がる必要は無いだろう」
「まだ日本の勢力事情が良く分かってないんだ。猟犬になるつもりはないけど、ゆっくり考えるよ」
――完璧だ。嘘は一片たりともついていない。
カナンさんの実家であるファーヴニル家が、ドイツの北の方の名家であることと。
本当に自身、【八顕】の事情についてよく知らないことを最大限利用した言葉。
刀眞時代は次男だった、ということもあって、教えられていなかったからな。
それでいながら、やんわりと相手を刺激しない程度の断りと、問題の保留。
俺は心の中でガッツポーズをしながら、「ごゆっくり考えて。よろしくね」と蒼穹城進の差し出した手を見つめていた。
この手を握らなければ、今から面倒ごとが始まる。
――でも、俺は。
この手を握った上で、最大級に面倒な事を起こす気でいる。
「ああ、よろしく」
軽く握り、違和感のない程度で直ぐに離す。
……全くもって、変わってないな。
すぐ、優秀な人を取り込もうという魂胆と。
取り込むための過程として、他の人を貶める言葉。
「あの、進様。本当になんでも無いんです」
「――あ、そうなの? じゃあごめんね、火威クンとファヴニール君」
アマツには嫌みたっぷりに、俺には別の感情を当ててから。
彼らは俺達から対角線上の、前の方の席に腰を下ろす。
その途中で、俺は善機寺の視線を感じていた。
伝わるかどうか分からないが、アマツ達にも気づかれないように、教室の窓の外を指さす。
「…………」
相手がほぼ痙攣の域で頷いたのを見て、俺は立ちあがった。
「はぁ……腹立つ。ゼクス、どうしたー?」
「ちょっとお手洗い」
アマツの考えを信じてみるか。
――上手くいけば、こちら側に引き込めるかも知れない。
アマツが、蒼穹城進に向かって牙を剥く。
後ろには元兄であった刀眞遼と。
昨日も一緒につるんでいた、善機寺家の長男もいるな。
……アマツに言わせれば、この善機寺家の長男は「何故、蒼穹城たちとつるんでいるのか分からない」らしいが。
どうも、俺と近いらしい。
ただ1つ違うのは、彼には【顕現】が苦手ながらも出来て。
俺には全くできないこと。
「ふーん?」
蒼穹城は俺達を見て、目を細めた。
心底気持ち悪いと思えるような顔で冷撫を見つめ、俺に目をやる。
そして、「はて……?」と言ったような顔で目を合わせ、たっぷり5秒後。
「君、どこかで僕と会ったことはないかな?」
「さぁ? ――世界には3人そっくりな人間もいると聞くし、そういうことなんじゃないか?」
青い【熾火結晶】の効果は、確実にある。
俺はそれを確信した。
昨日のようなフラッシュバックはおろか、まだ平静を保っていられるのだ。
「それもそうかも。……昨日、契を助けてくれたって聞いたよ、ありがとう」
素直に礼を言えたのはいい。
ああ、ちょっとは彼も成長したんだな、っていうのが分かる。
しかし、そのあとのセリフがよろしくない。
「ファーヴニル君、だっけ。君も鈴音さんと同様に。火威家なんかより、蒼穹城についた方が良いとおもうな。――火威家の猟犬に、成り下がる必要は無いだろう」
「まだ日本の勢力事情が良く分かってないんだ。猟犬になるつもりはないけど、ゆっくり考えるよ」
――完璧だ。嘘は一片たりともついていない。
カナンさんの実家であるファーヴニル家が、ドイツの北の方の名家であることと。
本当に自身、【八顕】の事情についてよく知らないことを最大限利用した言葉。
刀眞時代は次男だった、ということもあって、教えられていなかったからな。
それでいながら、やんわりと相手を刺激しない程度の断りと、問題の保留。
俺は心の中でガッツポーズをしながら、「ごゆっくり考えて。よろしくね」と蒼穹城進の差し出した手を見つめていた。
この手を握らなければ、今から面倒ごとが始まる。
――でも、俺は。
この手を握った上で、最大級に面倒な事を起こす気でいる。
「ああ、よろしく」
軽く握り、違和感のない程度で直ぐに離す。
……全くもって、変わってないな。
すぐ、優秀な人を取り込もうという魂胆と。
取り込むための過程として、他の人を貶める言葉。
「あの、進様。本当になんでも無いんです」
「――あ、そうなの? じゃあごめんね、火威クンとファヴニール君」
アマツには嫌みたっぷりに、俺には別の感情を当ててから。
彼らは俺達から対角線上の、前の方の席に腰を下ろす。
その途中で、俺は善機寺の視線を感じていた。
伝わるかどうか分からないが、アマツ達にも気づかれないように、教室の窓の外を指さす。
「…………」
相手がほぼ痙攣の域で頷いたのを見て、俺は立ちあがった。
「はぁ……腹立つ。ゼクス、どうしたー?」
「ちょっとお手洗い」
アマツの考えを信じてみるか。
――上手くいけば、こちら側に引き込めるかも知れない。
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