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第一章 サハル砂漠編
12 加護の力
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俺は薬鯨の加護・〝薬鯨の聖水〟を使ってから、しばらく動けずに横たわっていた。
力が体中から抜けて、立てない。
全くもって、力が入らないのだ。
「はぁ、はぁ、っはぁ」
俺は息が上がっていた。
「これが……言っていた〝荷が重い〟ということですか……?」
「やはり、人間のお主には少々厳しいか。
そうじゃ。
わしの加護はマナの消費が多いゆえ、
大抵の人間では、一回使うと倒れて少しの間は身動きがとれん状態になるのじゃ」
薬鯨は考え込むようにしてそう言った。
俺自身、この力の詳細はまだ分かっていないし、とにかく今は休まないとどうすることも出来ない。
数時間後、俺はやっと起き上がり、薬鯨はうたた寝をしていた。
すると、俺の右腕に何だか変な緑色のリングのようなものが取り付けられていた。
「すいません、もう大丈夫です! 薬鯨さん、起きてください?」
「はっ!
老いぼれの睡眠を邪魔するとは、お主もひどい奴じゃ。
起き上がれるようになったら次じゃ!
次は、そこらにある花に〝生きるな〟と念じながら触れてみよ」
薬鯨はこの所業を何度やらせるつもりなのだろうか。
俺はついさっきの倦怠感を思い出し、少しためらったが、
強くなるためにやるしかないと心を決めた。
俺は言われた通り、念じながら花に触れた。
すると、次はみるみる花が枯れていった。
花が死んだのだ。
俺は先ほどと同様にまた、これから体から力が抜け、立てなくなるだろう。
「………」
「あれ!? 力が……抜けない!? なんで??」
先程とは違って、俺はまだ立っていられる状態で、そこまで倦怠感もない。
「おぉ、そうじゃったそうじゃった。
お主の右腕の武具のおかげじゃろう。それは、何年か前に探索家か、冒険者か知らないが、
誰かが落としていったものじゃ。
天使の指輪という武具じゃぞ。
お主が出会ったと言っていた巨人の斧程までとはいかんが、
かなりの代物だと思うぞ」
「はぁ…ありがとうございます」
俺はまたこの天使の指輪と契約を結ばなければならないのだろうかと思った。
さらに、多分効果はマナの回復・マナの総量の増加とか補助系武具なのか?
俺には見当もつかなかった。
「そいつはのう、武具に宿っているだけじゃから契約とかはないぞ。
まぁ結べんこともないが、相当な信頼がなければ無理じゃろうな」
俺の心を見透かしたように、薬鯨は言った。
「それと、そいつの能力は回復とかそういう類のものじゃないぞ」
「え? そうなんですか?
じゃあ、なんで俺は今立てているんだ……」
「ちょっと面白い武具でな。どんな連中がその武具を元々持っていたのかは見当もつかんが、
そいつの能力は〝還元〟じゃ」
「〝還元〟??」
「そうじゃ。つまるところ、使ったマナの総量の何パーセントかを還元するというものじゃ。
まぁ、わしの加護のマナ総量はとても大きいからのう。
そのうちのほんのわずかな還元じゃとしても、お主には十分すぎる量というわけじゃ」
俺はここで疑問に思ったことが一つあった。
「なるほど、しかし、そもそも薬鯨の加護を使うのに、俺のマナだけじゃ足りないんじゃないですか?」
「わしの加護は大気中からもマナを吸い取り、触れた場所で発動するから大丈夫じゃよ。
あと、わしの加護・薬鯨の聖水は生と死を与えもするし、奪いもする。
意識のある生物には力が非常に弱まるという弱点もある。
お主が出会った砂上カジキに〝生きるな〟と念じながら触れても、殺すことは残念ながらできんのじゃ。
せいぜい、触れた部分を殺すくらいじゃな。手のひらサイズの部分を殺すことは可能じゃろう。
それと、お主のマナ、など色々な事を考慮して、わしの加護が使えるのは、せいぜい2~3回と
いったところじゃろう。
場を選び使うしかないのう。」
「なるほど、分かりました。
ありがとうございます」
こうして俺は薬鯨の加護を契約として、得た。
この能力の使いところ、タイミングが戦闘での勝敗を分けることは確かだろう。
力が体中から抜けて、立てない。
全くもって、力が入らないのだ。
「はぁ、はぁ、っはぁ」
俺は息が上がっていた。
「これが……言っていた〝荷が重い〟ということですか……?」
「やはり、人間のお主には少々厳しいか。
そうじゃ。
わしの加護はマナの消費が多いゆえ、
大抵の人間では、一回使うと倒れて少しの間は身動きがとれん状態になるのじゃ」
薬鯨は考え込むようにしてそう言った。
俺自身、この力の詳細はまだ分かっていないし、とにかく今は休まないとどうすることも出来ない。
数時間後、俺はやっと起き上がり、薬鯨はうたた寝をしていた。
すると、俺の右腕に何だか変な緑色のリングのようなものが取り付けられていた。
「すいません、もう大丈夫です! 薬鯨さん、起きてください?」
「はっ!
老いぼれの睡眠を邪魔するとは、お主もひどい奴じゃ。
起き上がれるようになったら次じゃ!
次は、そこらにある花に〝生きるな〟と念じながら触れてみよ」
薬鯨はこの所業を何度やらせるつもりなのだろうか。
俺はついさっきの倦怠感を思い出し、少しためらったが、
強くなるためにやるしかないと心を決めた。
俺は言われた通り、念じながら花に触れた。
すると、次はみるみる花が枯れていった。
花が死んだのだ。
俺は先ほどと同様にまた、これから体から力が抜け、立てなくなるだろう。
「………」
「あれ!? 力が……抜けない!? なんで??」
先程とは違って、俺はまだ立っていられる状態で、そこまで倦怠感もない。
「おぉ、そうじゃったそうじゃった。
お主の右腕の武具のおかげじゃろう。それは、何年か前に探索家か、冒険者か知らないが、
誰かが落としていったものじゃ。
天使の指輪という武具じゃぞ。
お主が出会ったと言っていた巨人の斧程までとはいかんが、
かなりの代物だと思うぞ」
「はぁ…ありがとうございます」
俺はまたこの天使の指輪と契約を結ばなければならないのだろうかと思った。
さらに、多分効果はマナの回復・マナの総量の増加とか補助系武具なのか?
俺には見当もつかなかった。
「そいつはのう、武具に宿っているだけじゃから契約とかはないぞ。
まぁ結べんこともないが、相当な信頼がなければ無理じゃろうな」
俺の心を見透かしたように、薬鯨は言った。
「それと、そいつの能力は回復とかそういう類のものじゃないぞ」
「え? そうなんですか?
じゃあ、なんで俺は今立てているんだ……」
「ちょっと面白い武具でな。どんな連中がその武具を元々持っていたのかは見当もつかんが、
そいつの能力は〝還元〟じゃ」
「〝還元〟??」
「そうじゃ。つまるところ、使ったマナの総量の何パーセントかを還元するというものじゃ。
まぁ、わしの加護のマナ総量はとても大きいからのう。
そのうちのほんのわずかな還元じゃとしても、お主には十分すぎる量というわけじゃ」
俺はここで疑問に思ったことが一つあった。
「なるほど、しかし、そもそも薬鯨の加護を使うのに、俺のマナだけじゃ足りないんじゃないですか?」
「わしの加護は大気中からもマナを吸い取り、触れた場所で発動するから大丈夫じゃよ。
あと、わしの加護・薬鯨の聖水は生と死を与えもするし、奪いもする。
意識のある生物には力が非常に弱まるという弱点もある。
お主が出会った砂上カジキに〝生きるな〟と念じながら触れても、殺すことは残念ながらできんのじゃ。
せいぜい、触れた部分を殺すくらいじゃな。手のひらサイズの部分を殺すことは可能じゃろう。
それと、お主のマナ、など色々な事を考慮して、わしの加護が使えるのは、せいぜい2~3回と
いったところじゃろう。
場を選び使うしかないのう。」
「なるほど、分かりました。
ありがとうございます」
こうして俺は薬鯨の加護を契約として、得た。
この能力の使いところ、タイミングが戦闘での勝敗を分けることは確かだろう。
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