Whale World ~転生したらそこは鯨が創った異世界で、俺は本気で人生をやり直すことを誓いました~

うみぶどう

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第一章 サハル砂漠編

11 薬鯨の加護

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薬鯨やくげいの加護!?」

俺は驚いた。それは、どういうことなのだろうか。

「少し待って下さい。
薬鯨やくげいはミぜさんと契約してるんじゃないんですか?」

先程の薬鯨やくげいの話通りなら、契約はミぜさんともうすでに結んでしまっているはずだ。

「まぁそう急かすでない。
ちゃんとこれから説明するわい」

コホン、と咳ばらいをしてから、薬鯨やくげいは続けた。

「契約には、主に二つの契約があってな。
一つは直接契約正規ルート、もう一つは関節契約不正規ルートがあるのじゃ。
前者は、その名の通り、契約の対象と直接的に関わり合って、契約を結ぶ。
両者の合意が必要不可欠なんじゃ。
後者は、契約の対象との直接的な関わり合いはないが、契約を結ぶ事じゃ。
この場合、両者の合意は必要なく、契約を結ぼうとしている本人の代償に伴って、
その契約対象者の能力や加護を得ることが出来るという訳じゃ。
つまり、制約のようなものじゃな。代償の大小によって、得られる能力は変化するという訳じゃ。
なんちゃってのう」

なるほど、契約にも種類があるとは、面白い。
つまり、ミゼさんは関節契約、これから俺がしようとしていることが直接契約という訳か。

「わかりました。では、これから契約を結ぶという事でしょうか?」

「え!? わしの親父ギャグは無視するのか??
まぁそんなことはいいわい。
そうじゃな、一応そういう事になる」

「一応?」

「まず、お主が誰とも契約をしていないのかを確認させてもらいたい。
それと、わしの加護は少々荷が重いでな。まぁ気ぃ付けてくれ」

そういうと、薬鯨やくげいは俺の頭の上までやってきた。

そして、見た事のある文様、術式のようなものを俺の頭上に出現させた。

「こ……これは!?」

「おぉ、気付きおったか。
そうじゃ、わしら鯨の使う創生術は古典術式を使っておる。
お主と同じじゃ」

俺は驚いた。
過去の話やら契約の話やらで忘れていたが、このマナの量は身体で感じるレベルで大きい。

気迫で押し返されそうなほどだ。

俺が強くなるためにはこの古典術式をまずは理解し、使えるようにならなければならないと思った。

「ん? お主、契約をしようとしたことはあるか?」

「心当たりはありませんが……」

「なぜじゃ? 不思議なこともあるものじゃ。
まぁ良いか。現在は契約はして無いようじゃし」

薬鯨やくげいは独り言のようにつぶやいた。

「何か問題でもありましたか?」

俺は契約などここで初めて知ったし、した覚えなど本当になかった。

「いや、問題という訳じゃないのじゃが、お主の中のマナ相性や、
契約状況を確認しているのじゃが、過去に契約し、破棄されているものがあるぞ」

「過去に契約破棄!?
それってどういう……」

「詳細はわしにもわからん。
そこまで介入できるほどわしのこの術も便利ではないゆえ」

どういう事だろうか。だが、思い当たる節が全くないと言ったら嘘になるのかもしれない。
俺は脳裏にあの白髪の少女が浮かんだ。

俺は同意した覚えはないから、関節契約という事なのかもしれない。
正直彼女については全く情報がない。
なぜ、俺の前に現れたのか、そして、なぜ助言をしてくれたのかわからない。

しかし、ここまでのことから想像主の鯨の一頭でさえも俺が転生してきた事実は分からないのか。
少しの不安と少しの安堵を俺は感じた。

「そうですか、わかりました。
それで、契約の方はどうするんですか?」

「わしと契約することに異論はないか?」

薬鯨やくげいは頭の上から俺の目の前に移動してきて、そう言った。

「まぁ、強くなれるのであれば、特に問題はありません」

俺は素直に答えた。

すると次の瞬間、俺の言葉に反応して、先ほどの古典術式が俺を覆った。
そして、それが身体の付近をぐるぐると回りながら、俺の中へ入ってきたような感覚があった。

「今のは……!?」

「これで、契約成立じゃ。約束は守ってもらうからの」

薬鯨やくげいは悪悪しい笑みを抱え、こちらを見た。

「その、契約していただいたことはとても嬉しいのですが、
先ほどの言っていた〝荷が重い〟とはどういうことなのでしょうか?
それと、これで本当に強くなったんですか?」

「まぁ聞くより慣れろじゃ!!
その変にいくつか花があるじゃろ、それに〝生きろ〟と念じながら触れてみるのじゃ」

俺は言われた通りに、その近くにあった花に〝生きろ〟と心の中で念じながら、
触れてみる。

すると、俺が触れた直後、その花はどんどんと成長した。

俺が驚き、触れるのをやめるとその花の成長は止まった。

「こ……これは……?」

「これがわし・薬鯨やくげいの本当の加護、〝薬鯨の聖水生死の統率者〟じゃ」

薬鯨やくげいはこちらを見てニヤリと笑った。
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