11 / 13
11
しおりを挟む
「え、え……いや、ええ?」
「どうかなさいましたか? 別々の馬車に乗っているのは、ミゲイル様のお家の方に聞けばわかるはずですわよ? だって毎回目撃しているのですから」
「……そ、そんなはずは……だってミゲイル様の使用人がそう言って」
「なんだ? お前が目撃したのではないのか?」
「え、あ……」
自分から墓穴を掘り始めるリリー様。
リカルド様の槍のように鋭い言葉にたじろぐばかり。
私はクスクス笑い、話を続ける。
「使用人というのは……もしかしてヴォイドのことでしょうか?」
「えっ!?」
ギョッとし、私を見るミゲイル様とリリー様。
さきほどまでの勝ち誇った顔はどこへやら。
ヴォイドの正体、それはロロ。
彼が変装をしてミゲイル様のお屋敷に忍び込んでいたのだ。
実際何度かあの屋敷で仕事をしており、本当にそこで仕えているように思いこませていた。
だからミゲイル様はロロを自分の使用人と認識していたといいわけだ。
ロロはニコリと笑い、ミゲイル様たちに声をかける。
「ミゲイル様、リリー様。顔色が悪いようですが、いかがなさいましたか?」
「そ、その声……あなた!?」
ヴォイドと同じ声で喋ったことにより、そこでようやくロロの正体に二人は気づいたようだ。
顔はどんどん青くなり、心なしか震えているように見える。
「と言うわけで、二人が浮気をしているのは私がこの目でしっかりと確認させていただいております。言い逃れはできませんよ」
「そ、そんな……どういうことだ?」
「どういうことだと? 今回お前はルーティを裁くつもりだったようだが……その逆だ。お前たちが裁かれるために彼女たちはここにいる」
愕然とするミゲイル様。
怯えた様子で口を開く。
「よ、呼び出したのは僕なのに……いつの間にそんな……そ、それにこちらの浮気が分かっていたとして、なんで率直にそう言わないんだ?」
「だって、浮気をしているのですからここに来てくださいなんて言って、ミゲイル様もリリー様も素直に来てはくれませんでしょ? だから少し回りくどいですがこんな形を取らせていただきました」
「ふ、ふざけないで! こんなことして、何が楽しいのよ!」
「だって……お二人の滑稽な姿を見られるのって楽しいじゃないですか」
私がそう言い放つと、ミゲイル様もリリー様も顔を真っ赤にしてこちらを睨んできた。
リカルド様は二人の顔を見ておかしくなったのか、微笑を浮かべている。
私も二人の顔を見て笑みを向け、そして宣言する。
「ミゲイル様がおっしゃったように、婚約者がいるというのに浮気をするなんて……そんな相手と一緒になることは無理です。ですので婚約破棄で構いませんが――その前に、ぶっ飛ばさせていただきます」
「え?」
「どうかなさいましたか? 別々の馬車に乗っているのは、ミゲイル様のお家の方に聞けばわかるはずですわよ? だって毎回目撃しているのですから」
「……そ、そんなはずは……だってミゲイル様の使用人がそう言って」
「なんだ? お前が目撃したのではないのか?」
「え、あ……」
自分から墓穴を掘り始めるリリー様。
リカルド様の槍のように鋭い言葉にたじろぐばかり。
私はクスクス笑い、話を続ける。
「使用人というのは……もしかしてヴォイドのことでしょうか?」
「えっ!?」
ギョッとし、私を見るミゲイル様とリリー様。
さきほどまでの勝ち誇った顔はどこへやら。
ヴォイドの正体、それはロロ。
彼が変装をしてミゲイル様のお屋敷に忍び込んでいたのだ。
実際何度かあの屋敷で仕事をしており、本当にそこで仕えているように思いこませていた。
だからミゲイル様はロロを自分の使用人と認識していたといいわけだ。
ロロはニコリと笑い、ミゲイル様たちに声をかける。
「ミゲイル様、リリー様。顔色が悪いようですが、いかがなさいましたか?」
「そ、その声……あなた!?」
ヴォイドと同じ声で喋ったことにより、そこでようやくロロの正体に二人は気づいたようだ。
顔はどんどん青くなり、心なしか震えているように見える。
「と言うわけで、二人が浮気をしているのは私がこの目でしっかりと確認させていただいております。言い逃れはできませんよ」
「そ、そんな……どういうことだ?」
「どういうことだと? 今回お前はルーティを裁くつもりだったようだが……その逆だ。お前たちが裁かれるために彼女たちはここにいる」
愕然とするミゲイル様。
怯えた様子で口を開く。
「よ、呼び出したのは僕なのに……いつの間にそんな……そ、それにこちらの浮気が分かっていたとして、なんで率直にそう言わないんだ?」
「だって、浮気をしているのですからここに来てくださいなんて言って、ミゲイル様もリリー様も素直に来てはくれませんでしょ? だから少し回りくどいですがこんな形を取らせていただきました」
「ふ、ふざけないで! こんなことして、何が楽しいのよ!」
「だって……お二人の滑稽な姿を見られるのって楽しいじゃないですか」
私がそう言い放つと、ミゲイル様もリリー様も顔を真っ赤にしてこちらを睨んできた。
リカルド様は二人の顔を見ておかしくなったのか、微笑を浮かべている。
私も二人の顔を見て笑みを向け、そして宣言する。
「ミゲイル様がおっしゃったように、婚約者がいるというのに浮気をするなんて……そんな相手と一緒になることは無理です。ですので婚約破棄で構いませんが――その前に、ぶっ飛ばさせていただきます」
「え?」
11
あなたにおすすめの小説
【完結】婚約破棄の代償は
かずきりり
恋愛
学園の卒業パーティにて王太子に婚約破棄を告げられる侯爵令嬢のマーガレット。
王太子殿下が大事にしている男爵令嬢をいじめたという冤罪にて追放されようとするが、それだけは断固としてお断りいたします。
だって私、別の目的があって、それを餌に王太子の婚約者になっただけですから。
ーーーーーー
初投稿です。
よろしくお願いします!
※こちらの作品はカクヨムにも掲載しています
婚約破棄で見限られたもの
志位斗 茂家波
恋愛
‥‥‥ミアス・フォン・レーラ侯爵令嬢は、パスタリアン王国の王子から婚約破棄を言い渡され、ありもしない冤罪を言われ、彼女は国外へ追放されてしまう。
すでにその国を見限っていた彼女は、これ幸いとばかりに別の国でやりたかったことを始めるのだが‥‥‥
よくある婚約破棄ざまぁもの?思い付きと勢いだけでなぜか出来上がってしまった。
転生令嬢だと打ち明けたら、婚約破棄されました。なので復讐しようと思います。
柚木ゆず
恋愛
前世の記憶と膨大な魔力を持つサーシャ・ミラノは、ある日婚約者である王太子ハルク・ニースに、全てを打ち明ける。
だが――。サーシャを待っていたのは、婚約破棄を始めとした手酷い裏切り。サーシャが持つ力を恐れたハルクは、サーシャから全てを奪って投獄してしまう。
信用していたのに……。
酷い……。
許せない……!。
サーシャの復讐が、今幕を開ける――。
【完結】真実の愛とやらに目覚めてしまった王太子のその後
綾森れん
恋愛
レオノーラ・ドゥランテ侯爵令嬢は夜会にて婚約者の王太子から、
「真実の愛に目覚めた」
と衝撃の告白をされる。
王太子の愛のお相手は男爵令嬢パミーナ。
婚約は破棄され、レオノーラは王太子の弟である公爵との婚約が決まる。
一方、今まで男爵令嬢としての教育しか受けていなかったパミーナには急遽、王妃教育がほどこされるが全く進まない。
文句ばかり言うわがままなパミーナに、王宮の人々は愛想を尽かす。
そんな中「真実の愛」で結ばれた王太子だけが愛する妃パミーナの面倒を見るが、それは不幸の始まりだった。
周囲の忠告を聞かず「真実の愛」とやらを貫いた王太子の末路とは?
ごきげんよう、元婚約者様
藍田ひびき
恋愛
「最後にお会いしたのは、貴方から婚約破棄を言い渡された日ですね――」
ローゼンハイン侯爵令嬢クリスティーネからアレクシス王太子へと送られてきた手紙は、そんな書き出しから始まっていた。アレクシスはフュルスト男爵令嬢グレーテに入れ込み、クリスティーネとの婚約を一方的に破棄した過去があったのだ。
手紙は語る。クリスティーネの思いと、アレクシスが辿るであろう末路を。
※ 3/29 王太子視点、男爵令嬢視点を追加しました。
※ 3/25 誤字修正しました。
※ なろうにも投稿しています。
婚約破棄?どうぞ私がいなくなったことを後悔してください
ちょこ
恋愛
「おい! この婚約は破棄だ!」
そう、私を突き付けたのはこの国の第二王子であるルーシュである。
しかし、私の婚約者であるルーシュは私の返事など聞かずにただ一方的に婚約を破棄してきたのである。
「おい! 返事をしろ! 聞こえないのか?」
聞こえないわけがない。けれども私は彼に返事をするつもりはなかった。私は何も言わない。否、何も言えないのだ。だって私は彼のことを何も知らないからだ。だから、返事ができないのである。
そんな私が反応を示さなかったのが面白くなかったのかルーシュは私を睨みつけて、さらに罵声を浴びせてきた。
「返事をしろと言っている! 聞こえているんだろ! おい!」
そんな暴言を吐いてくるルーシュに私は何も言えずにいた。けれども彼が次に発した言葉により私は反射的に彼に言い返してしまうのである。
「聞こえているわ!
その反応を見てルーシュは驚いたのかキョトンとした顔をしていた。しかしすぐにまた私に暴言を吐いてきた。
「聞こえているじゃないか! ならなぜ、返事をしなかった?」
「返事をしたかったわ! けれど、貴方の勢いに圧倒されてできなかっただけよ!」
そんな私の言葉にルーシュは益々驚いてしまったようだった。そのルーシュの顔を見て私は少し笑ってしまった。
「何笑っているんだ? 俺を馬鹿にしたつもりか!?」
そんなつもりは無いと私は彼に否定するが彼は聞く耳を持たないといった様子だった。そんな彼に対して私はある質問をした。それは今私が最も知りたい質問である。
「それより、この婚約破棄の理由は何かしら? 私は貴方に何かした覚えはないのだけれども」
そんな私の疑問にルーシュはさも当然といった様子で答えたのである。
「そんな理由など決まっているだろ! お前が俺よりも優秀な人材を捕まえたからに決まっている!」
そう言って彼は指をさした。その指が指し示している先には私がいた。一瞬なんのことか分からなかったが、少ししてからそのことに気づいた私はまさかと思った。
「そんな理由で!?だってその優秀な人材と言うのはまさか、彼なの!?」
そう言って私が指を指した方向にはあの眼鏡を掛けた彼がいた。すると彼は頭を下げてこう言ったのだ。
「はい、お嬢様に拾っていただきたくこちらに来ました」
彼の名前はリビン・ボタスキー。ボタスキー伯爵家の次男である。そして何を隠そう、私が暇つぶしでやっていたゲームの攻略対象であった人物だ。
「あら? そんな理由で私を追い出したと言うの? 随分と小さい器をお持ちなのね」
「なんだと!? お前は自分の立場が分かっていないのか?」
彼は私が何を言っているのか理解出来ていない様子だった。まぁ、それも仕方がないだろう。
【本編完結】真実の愛を見つけた? では、婚約を破棄させていただきます
ハリネズミ
恋愛
「王妃は国の母です。私情に流されず、民を導かねばなりません」
「決して感情を表に出してはいけません。常に冷静で、威厳を保つのです」
シャーロット公爵家の令嬢カトリーヌは、 王太子アイクの婚約者として、幼少期から厳しい王妃教育を受けてきた。
全ては幸せな未来と、民の為―――そう自分に言い聞かせて、縛られた生活にも耐えてきた。
しかし、ある夜、アイクの突然の要求で全てが崩壊する。彼は、平民出身のメイドマーサであるを正妃にしたいと言い放った。王太子の身勝手な要求にカトリーヌは絶句する。
アイクも、マーサも、カトリーヌですらまだ知らない。この婚約の破談が、後に国を揺るがすことも、王太子がこれからどんな悲惨な運命なを辿るのかも―――
まさか、今更婚約破棄……ですか?
灯倉日鈴(合歓鈴)
恋愛
チャールストン伯爵家はエンバー伯爵家との家業の繋がりから、お互いの子供を結婚させる約束をしていた。
エンバー家の長男ロバートは、許嫁であるチャールストン家の長女オリビアのことがとにかく気に入らなかった。
なので、卒業パーティーの夜、他の女性と一緒にいるところを見せつけ、派手に恥を掻かせて婚約破棄しようと画策したが……!?
色々こじらせた男の結末。
数話で終わる予定です。
※タイトル変更しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる