3 / 14
3.美形を意識するなという方が無理がある!
しおりを挟む
さて、リカルドがメリーウェザーを保護することになったとはいえ、リカルドはいつも忙しそうにして邸を留守にしていることが多かった。だからメリーウェザーはなかなかリカルドと顔を合わせることはなかった。
しかし、リカルドはいつも気にはかけてくれているようで、留守の時も朝晩に何かしらのメッセージをメリーウェザーに言付けておいてくれていた。
婚約者に殺されかけたばっかりな上にここは見知らぬ土地。だからメリーウェザーはとっても心細かったのだが、リカルドの言付けはいつもメリーウェザーに安心を与えてくれたのだった。
リカルド殿下は優しい、とメリーウェザーは思った。
そしてリカルドが邸に帰れるときは、たいていメリーウェザーに声をかけてくれた。
「メリーウェザー。今日は帰れたから一緒に夕食を摂ろう」
「は、はい!」
メリーウェザーは顔を赤くする。
自分でも変だと思う。なぜこんなにリカルド殿下の顔を見ると胸がときめくのか。
しかしメリーウェザーは胸を落ち着かせる。
いや、別に私だって、最近まで婚約者とかいたわけだし、男性と食事ってくらいどうってことないけどね……。
っていうか、つい最近まで婚約者がいたじゃない。クソみたいな男だったけど、私だってそれなりに誠実に尽くしていたはずよ。それが、裏切られたからって、こんな急に別の人にときめいていいものかしら。いいえ、それはちょっと軽薄ってものだわ。落ち着け、私。
こうしてちょっとドキドキするのは、リカルド殿下が美形だから。美形だから、美形だから!
雌の本能みたいなものよ、きっと!!!
「どうかしたか、メリーウェザー」
メリーウェザーが見つめていることに気付いたリカルドが不思議そうな顔をする。
「あ、いいえ」
メリーウェザーは慌てて答える。
リカルド殿下にときめいてしまいました、なんて言えない。
リカルド殿下の方は食事に声をかけてはくれるけど、たぶん余計な感情は持ち合わせていないんだろうと思う。
だって共にする食事の席では、いつもリカルド殿下はメリーウェザーのヒトの国での立場や状況を聞くばっかりだ。とても事務的に。
メリーウェザーは自分がクーデンベルグという公爵家の令嬢であること、国王陛下に望まれて5年間くらい王太子の婚約者であったこと。王太子に恋人ができたとかで事故死に見せかけて殺されるところだったことを説明した。
初めてそれを聞いたとき、リカルドはポカンとしていた。
クーデンベルグ公爵の娘だと!?
「クーデンベルグ公爵とはヒト族の中でもとりわけ身分の高い家だと思うが。そこのご令嬢が殺害されそうになっていたとは。しかも殺そうとしたのは王太子殿? 真実の愛を見つけたから君が邪魔に? まったく信じられない。そんな者が王太子を務めて、ヒト族の国は大丈夫なのかね」
「すみません」
メリーウェザーは自分事のように謝った。
アシェッド王太子は確かにメリーウェザーの婚約者で、その婚約者がきちんとしていないのは横にいたはずの自分の責任のようにも感じられた。
「私が王太子様をちゃんと戒められなかったので……」
「いや、すまない、メリーウェザーを責めているわけではないんだ。その王太子殿の素質の話をしている」
リカルドはそっと言った。
それから話を戻した。
「私が君と相談したいのは、今後どうやって人の国に帰るかということなんだ。帰したはいいものの、状況が変わらないまま帰しては、また殺されるだけなんじゃないかと思ってね」
「そうですね。私が生きているとばれたら、きっと今度こそ徹底的に殺されるでしょうね」
メリーウェザーはふうっとため息をついた。
「なんだその、徹底的に殺されるっていうのは」
リカルドは呆れ顔だ。
それからリカルドは深く思案した顔で呟いた。
「君のお父上と協議をして、なんとかその王太子殿にバレないようにヒトの国で暮らすというのはできる気がするのだが。しかし、とにかくその王太子殿から隠れて暮らすのなら、邸から一歩も出ないとか、身分も何もかも偽り田舎で別の人間として生きていくとか、制約はあるだろうけどね。……もちろん、クーデンベルグ公爵ともあろう君のお父上が、娘をそんなぞんざいな扱いで済ませておくとは考えにくいけれども……」
メリーウェザーは血相を変えて拒否した。
「父に何を話すんです? 殺されかけたこと? 真実の愛とやらで婚約を破棄されたこと? そんなのうちの父は黙っているタイプじゃないんです! かといって相手は王家、物証がない状態で誰も味方してくれません。父は反逆罪など着せられてしまうでしょう。父の破滅は望みません!」
リカルドは宙を仰いだ。それはそうだ。クーデンベルグ公爵の破滅は自分も望まない!
物証がいる。娘の事故死で失意の中にいるクーデンベルグ公爵に、本当のことを教えてやるには……。
かといって、物証のない今、真実を告げずにただ「事故に遭った娘さんが生きていましたよ」とクーデンベルグ公爵にメリーウェザーを送り届けたら、クーデンベルグ公爵のことだから「娘が生きていたので別の女と結婚なんてあり得ない」とすぐさま王太子に直談判に行くこと間違いなし。メリーウェザーが生きていることがバレ、メリーウェザーはまたしても暗殺の危機に瀕することになる。
リカルドは頭を抱えた。
メリーウェザーは控えめにこそっと聞いた。
「父には知られずに生きていけないものでしょうか」
リカルドはうーんと唸った。
「何か特技でもあればその技術を持って仕事をなせるので、メリーウェザーも一人で生きていくことはできるかもしれないのだが」
「技術……」
メリーウェザーはえーっとと自分を振り返った。
……そして絶望する。自分には何も特技と呼べるものがなかったことに。
あーあ、自分は本当に令嬢として生まれただけのつまらない人間だったのだわ。ただ家の名前が自分を守っていた。それがなくなった今、自分の足で生きることが難しいだなんて。
メリーウェザーは急に心細さを感じた。
そして衝動的に「ここにずっといられたらいいのに」と思った。リカルド殿下の優しさに少し甘えていたい。
でも、自分はヒト族。生きる術も何も持たない弱々しい自分がいつまでも海竜族の族長に厄介になり続けるのは何だかおかしな話だ……。結婚とかすれば話は別だけど……。
と、そこまで妄想して、メリーウェザーはハッとした。
いや、いやいやいや。結婚とか何言っちゃってるの、私。ついこないだまで別の人と婚約してたじゃない。なんでこんな尻軽な発想になるの……!?
メリーウェザーはきっと目を上げた。
「私、ここで何か仕事に結びつきそうな技術を学んだりできますか?」
リカルドは驚いた顔をした。
「君はご令嬢だろう? そんな無理はしなくていいんじゃないか」
「いいえ!」
メリーウェザーはきっぱりと言った。
「やはり女とは言え、ちゃんと仕事して生きてゆけないといけないと思うの。あまりリカルド殿下にご迷惑かけられませんし」
「迷惑だなんて思っていないよ。メリーウェザーと話をするのは楽しいしね。ただ、慣れないことはするものではないと思っただけだ。名を偽ってどこか裕福な家に嫁に入る事だってできるだろう。君のその器量なら」
「き、器量!?」
メリーウェザーはピクッとなった。
「も、もしかして、私の見た目はアリですか!?」
リカルドは耳まで赤くなってタジタジッとなった。
「そ、そりゃ、君は可愛い。そんな風にアリかと聞かれると困ってしまうが」
突発的に聞いてしまって恥ずかしかったメリーウェザーだったが、『困ってしまう』との返答にずーん、とさらに落ち込んだ。
やっぱリカルド殿下のお傍にというのはナシなんだ。
では、ここはちゃんと自立せねば!
「リカルド殿下。私、こう見えて計算とか得意なんです。家の領地経営もけっこう手伝ってきたんですよ。だから少し、お商売上役に立つ勉強とかさせてもらえたら嬉しいんです」
メリーウェザーは少々寂しそうな声で、でも決意ある声で言った。
「えっ? 領地経営を手伝っていた?」
リカルドは目を丸くした。
「信じられません? ほんの少しですけどね」
ふふっとメリーウェザーは笑った。
「でも、もっと学びますよ。どこかの名主の家とか商家さんの家に奉公に上がったりとかできそうじゃないですか」
「それはまた堅実な職を選んだねえ」
リカルドは面白そうにメリーウェザーを眺める。
「ええ」
メリーウェザーは力強く頷いた。
だってもう誰もアテにしちゃいられないから。
「そういうことなら、家の者に言いつけておこう。それに、どうだい? 今度の視察に私と一緒についてくるかい?」
リカルドは楽しそうに聞いた。
リカルドは前向きなメリーウェザーの姿勢を好ましく思っていた。
「え、いいんですか?」
メリーウェザーはパッと顔を輝かせた。
リカルド殿下と一緒!? やったー、美形とデート。じゃない、視察!
「いいよ」
リカルドはメリーウェザーがあまりに勢い込んでいるので笑った。
「すごくやる気だねえ」
なんて気持ちの前向きな令嬢なんだろう。
が、そう思いながらリカルドは、メリーウェザーの心の内を思うと不憫でならなかった。
生きる術を身に着けますと健気に言っているが、本当はここでの暮らしだって不安でいっぱいのはずだ。
リカルドはこの気の毒な令嬢を何とか守ってやれないものかと切に思った。
しかし、リカルドはいつも気にはかけてくれているようで、留守の時も朝晩に何かしらのメッセージをメリーウェザーに言付けておいてくれていた。
婚約者に殺されかけたばっかりな上にここは見知らぬ土地。だからメリーウェザーはとっても心細かったのだが、リカルドの言付けはいつもメリーウェザーに安心を与えてくれたのだった。
リカルド殿下は優しい、とメリーウェザーは思った。
そしてリカルドが邸に帰れるときは、たいていメリーウェザーに声をかけてくれた。
「メリーウェザー。今日は帰れたから一緒に夕食を摂ろう」
「は、はい!」
メリーウェザーは顔を赤くする。
自分でも変だと思う。なぜこんなにリカルド殿下の顔を見ると胸がときめくのか。
しかしメリーウェザーは胸を落ち着かせる。
いや、別に私だって、最近まで婚約者とかいたわけだし、男性と食事ってくらいどうってことないけどね……。
っていうか、つい最近まで婚約者がいたじゃない。クソみたいな男だったけど、私だってそれなりに誠実に尽くしていたはずよ。それが、裏切られたからって、こんな急に別の人にときめいていいものかしら。いいえ、それはちょっと軽薄ってものだわ。落ち着け、私。
こうしてちょっとドキドキするのは、リカルド殿下が美形だから。美形だから、美形だから!
雌の本能みたいなものよ、きっと!!!
「どうかしたか、メリーウェザー」
メリーウェザーが見つめていることに気付いたリカルドが不思議そうな顔をする。
「あ、いいえ」
メリーウェザーは慌てて答える。
リカルド殿下にときめいてしまいました、なんて言えない。
リカルド殿下の方は食事に声をかけてはくれるけど、たぶん余計な感情は持ち合わせていないんだろうと思う。
だって共にする食事の席では、いつもリカルド殿下はメリーウェザーのヒトの国での立場や状況を聞くばっかりだ。とても事務的に。
メリーウェザーは自分がクーデンベルグという公爵家の令嬢であること、国王陛下に望まれて5年間くらい王太子の婚約者であったこと。王太子に恋人ができたとかで事故死に見せかけて殺されるところだったことを説明した。
初めてそれを聞いたとき、リカルドはポカンとしていた。
クーデンベルグ公爵の娘だと!?
「クーデンベルグ公爵とはヒト族の中でもとりわけ身分の高い家だと思うが。そこのご令嬢が殺害されそうになっていたとは。しかも殺そうとしたのは王太子殿? 真実の愛を見つけたから君が邪魔に? まったく信じられない。そんな者が王太子を務めて、ヒト族の国は大丈夫なのかね」
「すみません」
メリーウェザーは自分事のように謝った。
アシェッド王太子は確かにメリーウェザーの婚約者で、その婚約者がきちんとしていないのは横にいたはずの自分の責任のようにも感じられた。
「私が王太子様をちゃんと戒められなかったので……」
「いや、すまない、メリーウェザーを責めているわけではないんだ。その王太子殿の素質の話をしている」
リカルドはそっと言った。
それから話を戻した。
「私が君と相談したいのは、今後どうやって人の国に帰るかということなんだ。帰したはいいものの、状況が変わらないまま帰しては、また殺されるだけなんじゃないかと思ってね」
「そうですね。私が生きているとばれたら、きっと今度こそ徹底的に殺されるでしょうね」
メリーウェザーはふうっとため息をついた。
「なんだその、徹底的に殺されるっていうのは」
リカルドは呆れ顔だ。
それからリカルドは深く思案した顔で呟いた。
「君のお父上と協議をして、なんとかその王太子殿にバレないようにヒトの国で暮らすというのはできる気がするのだが。しかし、とにかくその王太子殿から隠れて暮らすのなら、邸から一歩も出ないとか、身分も何もかも偽り田舎で別の人間として生きていくとか、制約はあるだろうけどね。……もちろん、クーデンベルグ公爵ともあろう君のお父上が、娘をそんなぞんざいな扱いで済ませておくとは考えにくいけれども……」
メリーウェザーは血相を変えて拒否した。
「父に何を話すんです? 殺されかけたこと? 真実の愛とやらで婚約を破棄されたこと? そんなのうちの父は黙っているタイプじゃないんです! かといって相手は王家、物証がない状態で誰も味方してくれません。父は反逆罪など着せられてしまうでしょう。父の破滅は望みません!」
リカルドは宙を仰いだ。それはそうだ。クーデンベルグ公爵の破滅は自分も望まない!
物証がいる。娘の事故死で失意の中にいるクーデンベルグ公爵に、本当のことを教えてやるには……。
かといって、物証のない今、真実を告げずにただ「事故に遭った娘さんが生きていましたよ」とクーデンベルグ公爵にメリーウェザーを送り届けたら、クーデンベルグ公爵のことだから「娘が生きていたので別の女と結婚なんてあり得ない」とすぐさま王太子に直談判に行くこと間違いなし。メリーウェザーが生きていることがバレ、メリーウェザーはまたしても暗殺の危機に瀕することになる。
リカルドは頭を抱えた。
メリーウェザーは控えめにこそっと聞いた。
「父には知られずに生きていけないものでしょうか」
リカルドはうーんと唸った。
「何か特技でもあればその技術を持って仕事をなせるので、メリーウェザーも一人で生きていくことはできるかもしれないのだが」
「技術……」
メリーウェザーはえーっとと自分を振り返った。
……そして絶望する。自分には何も特技と呼べるものがなかったことに。
あーあ、自分は本当に令嬢として生まれただけのつまらない人間だったのだわ。ただ家の名前が自分を守っていた。それがなくなった今、自分の足で生きることが難しいだなんて。
メリーウェザーは急に心細さを感じた。
そして衝動的に「ここにずっといられたらいいのに」と思った。リカルド殿下の優しさに少し甘えていたい。
でも、自分はヒト族。生きる術も何も持たない弱々しい自分がいつまでも海竜族の族長に厄介になり続けるのは何だかおかしな話だ……。結婚とかすれば話は別だけど……。
と、そこまで妄想して、メリーウェザーはハッとした。
いや、いやいやいや。結婚とか何言っちゃってるの、私。ついこないだまで別の人と婚約してたじゃない。なんでこんな尻軽な発想になるの……!?
メリーウェザーはきっと目を上げた。
「私、ここで何か仕事に結びつきそうな技術を学んだりできますか?」
リカルドは驚いた顔をした。
「君はご令嬢だろう? そんな無理はしなくていいんじゃないか」
「いいえ!」
メリーウェザーはきっぱりと言った。
「やはり女とは言え、ちゃんと仕事して生きてゆけないといけないと思うの。あまりリカルド殿下にご迷惑かけられませんし」
「迷惑だなんて思っていないよ。メリーウェザーと話をするのは楽しいしね。ただ、慣れないことはするものではないと思っただけだ。名を偽ってどこか裕福な家に嫁に入る事だってできるだろう。君のその器量なら」
「き、器量!?」
メリーウェザーはピクッとなった。
「も、もしかして、私の見た目はアリですか!?」
リカルドは耳まで赤くなってタジタジッとなった。
「そ、そりゃ、君は可愛い。そんな風にアリかと聞かれると困ってしまうが」
突発的に聞いてしまって恥ずかしかったメリーウェザーだったが、『困ってしまう』との返答にずーん、とさらに落ち込んだ。
やっぱリカルド殿下のお傍にというのはナシなんだ。
では、ここはちゃんと自立せねば!
「リカルド殿下。私、こう見えて計算とか得意なんです。家の領地経営もけっこう手伝ってきたんですよ。だから少し、お商売上役に立つ勉強とかさせてもらえたら嬉しいんです」
メリーウェザーは少々寂しそうな声で、でも決意ある声で言った。
「えっ? 領地経営を手伝っていた?」
リカルドは目を丸くした。
「信じられません? ほんの少しですけどね」
ふふっとメリーウェザーは笑った。
「でも、もっと学びますよ。どこかの名主の家とか商家さんの家に奉公に上がったりとかできそうじゃないですか」
「それはまた堅実な職を選んだねえ」
リカルドは面白そうにメリーウェザーを眺める。
「ええ」
メリーウェザーは力強く頷いた。
だってもう誰もアテにしちゃいられないから。
「そういうことなら、家の者に言いつけておこう。それに、どうだい? 今度の視察に私と一緒についてくるかい?」
リカルドは楽しそうに聞いた。
リカルドは前向きなメリーウェザーの姿勢を好ましく思っていた。
「え、いいんですか?」
メリーウェザーはパッと顔を輝かせた。
リカルド殿下と一緒!? やったー、美形とデート。じゃない、視察!
「いいよ」
リカルドはメリーウェザーがあまりに勢い込んでいるので笑った。
「すごくやる気だねえ」
なんて気持ちの前向きな令嬢なんだろう。
が、そう思いながらリカルドは、メリーウェザーの心の内を思うと不憫でならなかった。
生きる術を身に着けますと健気に言っているが、本当はここでの暮らしだって不安でいっぱいのはずだ。
リカルドはこの気の毒な令嬢を何とか守ってやれないものかと切に思った。
16
あなたにおすすめの小説
白い結婚なので無効にします。持参金は全額回収いたします
鷹 綾
恋愛
「白い結婚」であることを理由に、夫から離縁を突きつけられた公爵夫人エリシア。
だが彼女は泣かなかった。
なぜなら――その結婚は、最初から“成立していなかった”から。
教会法に基づき婚姻無効を申請。持参金を全額回収し、彼女が選んだ新たな居場所は修道院だった。
それは逃避ではない。
男の支配から離れ、国家の外側に立つという戦略的選択。
やがて彼女は修道院長として、教育制度の整備、女性領主の育成、商業と医療の再編に関わり、王と王妃を外から支える存在となる。
王冠を欲さず、しかし王冠に影響を与える――白の領域。
一方、かつての夫は地位を失い、制度の中で静かに贖罪の道を歩む。
これは、愛を巡る物語ではない。
「選ばなかった未来」を守り続けた一人の女性の物語。
白は弱さではない。
白は、均衡を保つ力。
白い結婚から始まる、静かなリーガル・リベンジと国家再編の物語。
「婚約破棄して下さい」と言い続けたら、王太子の好感度がカンストしました~悪役令嬢を引退したいのに~
放浪人
恋愛
「頼むから、私をクビ(婚約破棄)にしてください!」
乙女ゲームの悪役令嬢に転生した公爵令嬢リュシア。
断罪・処刑のバッドエンドを回避するため、彼女は王太子レオンハルトに「婚約破棄」を突きつける。
しかしこの国には、婚約者が身を引こうとするほど、相手の本能を刺激して拘束力を強める《星冠の誓約》という厄介なシステムがあった!
リュシアが嫌われようと悪態をつくたび、王太子は「君は我が身を犠牲にして国を守ろうとしているのか!」とポジティブに誤解。
好感度は爆上がりし、物理的な距離はゼロになり、ついには国のシステムそのものと同化してしまい……?
書類整理と法知識を武器に、自称聖女の不正を暴き、王都の危機を救ううちに、いつの間にか「最強の王妃」として外堀も内堀も埋められていく。
逃げたい元社畜令嬢と、愛が重すぎる王太子の、すれ違い(と見せかけた)溺愛ファンタジー!
白い結婚は終わりました。――崩れない家を築くまで
しおしお
恋愛
「干渉しないでくださいませ。その代わり、私も干渉いたしません」
崩れかけた侯爵家に嫁いだ私は、夫と“白い結婚”を結んだ。
助けない。口を出さない。責任は当主が負う――それが条件。
焦りと慢心から無謀な契約を重ね、家を傾かせていく夫。
私は隣に立ちながら、ただ見ているだけ。
放置された結果、彼は初めて自分の判断と向き合うことになる。
そして――
一度崩れかけた侯爵家は、「選び直す力」を手に入れた。
無理な拡張はしない。
甘い条件には飛びつかない。
不利な契約は、きっぱり拒絶する。
やがてその姿勢は王宮にも波及し、
高利契約に歪められた制度そのものを立て直すことに――。
ざまあは派手ではない。
けれど確実。
焦らせた者も、慢心した者も、
気づけば“選ばれない側”になっている。
これは、干渉しない約束から始まる静かな逆転劇。
そして、白い結婚を終え、信頼で立つ家へと変わっていく物語。
隣に立つという選択こそが、最大のざまあでした。
『婚約破棄?結構ですわ。白い結婚で優雅に返り咲きます』
鍛高譚
恋愛
伯爵令嬢アリエルは、幼い頃から決まっていた婚約者――王都屈指の名門・レオポルド侯爵家の嫡男マックスに、ある宴で突然“つまらない女”と蔑まれ、婚約を破棄されてしまう。
だが、それで終わる彼女ではない。むしろ“白い結婚”という形式だけの夫婦関係を逆手に取り、自由な生き方を選ぼうと決意するアリエル。ところが、元婚約者のマックスが闇商人との取引に手を染めているらしい噂が浮上し、いつしか王都全体を揺るがす陰謀が渦巻き始める。
さらに、近衛騎士団長補佐を務める冷徹な青年伯爵リヒトとの出会いが、アリエルの運命を大きく動かして――。
「貴族社会の窮屈さなんて、もうたくさん!」
破談から始まるざまぁ展開×白い結婚の爽快ファンタジー・ロマンス、開幕です。
婚約破棄された人たらし悪役令嬢ですが、 最強で過保護な兄たちと義姉に溺愛されています
由香
ファンタジー
婚約破棄のその日、
悪役令嬢リリアーナは――弁明すら、しなかった。
王太子と“聖女”に断罪され、すべてを失った彼女。
だがその裏で、王国最強と名高い三人の兄と、
冷静沈着な義姉が、静かに動き始めていた。
再検証によって暴かれる“聖女の嘘”。
広場で語られる真実。
そして、無自覚に人を惹きつけてしまう
リリアーナの優しさが、次々と味方を増やしていく――。
これは、
悪役令嬢として断罪された少女が、
「誰かの物語の脇役」ではなく、
自分自身の人生を取り戻す物語。
過保護すぎる兄たちと義姉に溺愛されながら、
彼女は静かに、そして確実に幸せへ向かっていく。
『婚約破棄された悪役令嬢ですが、嫁ぎ先で“連れ子三人”の母になりました ~三人の「ママ」が聞けるまで、私は絶対に逃げません~』
放浪人
恋愛
「母はいりません」と拒絶された悪役令嬢が、最強の“ママ”になるまでの物語。
「君のような可愛げのない女は、王妃にふさわしくない」
身に覚えのない罪で婚約破棄され、“悪役令嬢”の汚名を着せられたクラリス。 彼女が新たに嫁いだのは、北方の辺境を守る「氷の公爵」ことレオンハルト・フォン・グレイフだった。
冷え切った屋敷で彼女を待っていたのは、無表情な夫と、心に傷を負った三人の連れ子たち。 「僕たちに、母はいりません」 初対面で突きつけられた三つの拒絶。しかし、クラリスは諦めなかった。
「称号はいりません。私が欲しいのは――あなたたち三人の『ママ』になれる日だけです」
得意の生活魔法『灯(ともしび)』で凍えた部屋を温め、『鎮(しずめ)』の歌で夜泣きを癒やし、家政手腕で荒れた食卓を立て直す。 クラリスの献身的な愛情は、頑なだった子供たちの心を解きほぐし、やがて不器用な夫の氷の心さえも熱く溶かしていく。
これは、不遇な悪役令嬢が「最強の母」となり、家族を脅かす元婚約者や魔獣たちを華麗に撃退し、最愛の家族から「ママ」と呼ばれるその日までを綴った物語。
もう私、好きなようにさせていただきますね? 〜とりあえず、元婚約者はコテンパン〜
野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
「婚約破棄ですね、はいどうぞ」
婚約者から、婚約破棄を言い渡されたので、そういう対応を致しました。
もう面倒だし、食い下がる事も辞めたのですが、まぁ家族が許してくれたから全ては大団円ですね。
……え? いまさら何ですか? 殿下。
そんな虫のいいお話に、まさか私が「はい分かりました」と頷くとは思っていませんよね?
もう私の、使い潰されるだけの生活からは解放されたのです。
だって私はもう貴方の婚約者ではありませんから。
これはそうやって、自らが得た自由の為に戦う令嬢の物語。
※本作はそれぞれ違うタイプのざまぁをお届けする、『野菜の夏休みざまぁ』作品、4作の内の1作です。
他作品は検索画面で『野菜の夏休みざまぁ』と打つとヒット致します。
【完結】婚約破棄されましたが、私は【おでん屋台】で美味しい愛を手に入れたので幸せです
ともボン
恋愛
ランドルフ王国の第一王太子カーズ・ランドルフとの婚約記念の夜。
男爵令嬢カレン・バードレンは、貴族たちのパーティーでカーズから婚約破棄された。
理由は「より強い〈結界姫〉であり最愛の女性が現れたから」という理不尽なものだった。
やがてカレンは実家からも勘当され、一夜にして地位も家族も失って孤独に死を待つだけの身になる。
そんなカレンが最後の晩餐に選んだのは、早死にした最愛の叔父から何度も連れられた【おでん屋台】だった。
カレンは異国の料理に舌鼓みを打っていると、銀髪の美青年――カイトが店内にふらりと入ってきた。
そして、このカイトとの出会いがカレンの運命を変える。
一方、カレンと婚約破棄したことでランドルフ王国はとんでもない目に……。
これはすべてを失った男爵令嬢が、【おでん屋台】によって一夜にしてすべてを手に入れる美味しい恋の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる