Cotton Candy

いちご

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第二章

三浦壮嗣の憂鬱 5

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目が覚めると腕の中に千紗が居る。
甘くて幸せな気持ちに満たされながら始まる1日。
それは日常で、ずっと続く物だと信じていた。
なのに、何故こうなったのだろうか。

大学での防災訓練の日、俺と千紗は一緒に行動していた。
校庭に集まり、消防署の方々からの貴重な体験談を聞いたり実際に訓練を見せて貰ったりした後、自分達も消火器を使って擬似消火訓練をする。
希望者限定だが地震や強風の体験も出来るらしいし、かなり本格的だ。
校庭への集合も兼ねて火災訓練をする。
校内放送でされる指示に従い静かにハンカチや手で鼻と口を覆い移動する。
開始時間になり、火災発生の放送と非常ベルが鳴った為俺と千紗は廊下に出た。
その時だった、俺達が引き離されたのは。

廊下に出たと同時に走ってきた沢山の人達。
まるで俺と千紗を引き離すのを狙ってきたかの如く向かってきた。
握っていた手が離れ、慌てて千紗の元に戻ろうとした時名前を呼ばれた。
彼女は確か2人前の元カノだ。
ハグもキスもしなかったからか振られた。
まぁ、好きじゃなかったから何も感じなかったがソッチから付き合って欲しいと言ってきたクセに別れて欲しいとか正直ムカついた。
それは他の人にも言える事だが、微塵たりとも好きになれなかった自分のせいでもあるから仕方ない気もする。
ていうか今更何だよ?
「三浦くんあのね」
話し掛けられて眉間に皺が寄った。

「別れてから気付いたの。私に何もしなかったのは大切にしてくれてたからでしょ?」
いや、全く。
好きになれなかったから出来なかっただけだ。

「今思えば凄くバカな事をしたと思うの。三浦くんを振るなんて。ねぇ、もう一度付き合って?」
はぁ?
どうせまた手を出さなかったら振るんだろ?
勝手すぎる。
「ごめん無理」
苛ついて吐き捨てると
「…っ!?」
突然何かしらの気体を吹き掛けられて
(は?……マジか)
そのまま意識を手放した。



目が覚めると、其処は全く知らない場所だった。
服は脱がされたらしく何も着ていない。
首には犬の首輪みたいなのが着けてあって、チェーンが付いていた。
で、何処かに繋がれている。
手首には手錠がされていて、ベッドの柱に留められていた。
仰向けにさせられた状態の上に乗っているのは先程話していた元カノだ。
有り得ない事に彼女は俺のを胎内に挿入して腰を動かしていた。

気持ち悪くて吐き気が治まらないのに、何故か反応しているソレ。
おかしい。
どんな状況であれ、俺の身体は千紗にしか反応しない。
なのに何故硬度があるのか。
異常な位熱い身体と有り得ない位乱れる心音と脈拍。
これは明らか異常だ。
何をされた?
一体俺は彼女に何をされたのだろうか。
理解出来ないが、反応し勝手に使われる身体は全く気持ち良さを感じず、唯々吐き気をもたらした。

気持ち悪い。
なんだ、コレ。
千紗の時と全く違う。
強い香水の匂いと体臭と汗の臭いが混ざり合い、なんとも言えない甘ったるく不快な悪臭に包まれる。
官能的で男を誘う香りなのかもしれないが、全く受け入れられない。
吐き気しかしない。

「何で?」
不思議そうに俺を見る彼女。
理由は充分に硬度があるにも関わらず達しない俺のにある。
必死に俺を絶頂に向かわそうと中を収縮させたり力を入れたりしているが、そんなん余計萎えるだけだ。
多分薬か何かで勃たせたのだろうが、勃つのとイくのは違う。
快感が伴わなければ無理だ。
諦めず頑張って腰を振る姿は滑稽でしかない。
取り敢えずこの状況をどうしようか。
恐らく媚薬と筋肉弛緩剤を投与されたのだろう。
全く力の入らない身体。
効果が切れる迄逃亡は無理そうだ。

千紗に逢いたいな。
あ~でもコレ知られたらスッゲェ怒られるな。
不可抗力とは言えコレもある意味浮気だ。
ヤバイな。嫌われたら生きていけない。
色々考えていたらゆっくり抜かれた俺の物。
ズルリ嫌な音と共に解放された。
濡れてるし最悪。
今すぐにでも洗い流したいと考えたのだが、ソレはすぐ又彼女に触られた。
どうやら無理矢理にでもイかせたいらしく、必死に手で扱かれる。
ほんっと何がしたいんだか。

正直興味ないしどうでも良いから好きにさせていたら微量だが出た液体。
その後彼女はソレを小さな瓶みたいなのに入れて鞄に直し、服を着て部屋から出て行った。

突然された謎の行動。
未だ拘束されたままだし、自分の状況が理解出来ない。
意味が分からないまま俺は翌朝迄放置された。
朝になり部屋に戻ってきた彼女は嬉しそうに、これから楽しみねと笑った。

ベッドに固定されていた手首は開放されたが、手錠と首輪は外されなかった。
尚且つ首輪の鎖はかろうじてトイレと浴室には行けるが家からは出られない長さになっていた。
電話ないし、スマホも隠されたのか見付からない。
連絡手段もないし、窓も子窓しかない為脱出は難しい。
もしかしてこれ監禁じゃね?
って、ヤバいなこの状況。
元カノは精神異常者だったのか。
ほんの少しだけ口元が千紗に似ていたから付き合ったのだが、もう少しよく見てから付き合えば良かった。

毎食豪華なのを用意されるが、一度でも薬を盛られたら全てが怪しく見える。
疑心暗鬼になった俺は未開封のペットボトルのお茶しか口にしなかった。

どうやって此処から逃げだそうか、色々考えるが考え付くのは唯1つ。
彼女を殴って鍵を手に入れる。
だが、女に手を出すのは躊躇われる。
それ以外を探すがやはり見付からない手段。
尚且つ時間さえあれば彼女は俺に迫る。
初日は薬のせいで反応したが、それ以外で反応するワケがない。
薬を飲む様に頼まれたが、誰が素直に応じるか。
全く反応しない俺のを必死に触るが、不快感しか齎さないもたらさない彼女の奉仕は一方通行だ。
時間だけが無駄に過ぎ行き、千紗に逢いたいなぁ、唯々それだけを願った。
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