異世界転生、アニオタオバサン令嬢

さちもん

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蜃○楼かっ!

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「怯えていた私が強くなりたいと思えたのは、ビルフラン家のお母様やお父様、お兄様達のお陰です。心が解放されたから、」
アニオタとしての記憶も解放されました。オーレリィの私も泣いちゃって止まらないよ。
オバハンに成れば成る程涙腺弱くなってくってホンマやなぁ。
「私の娘は素晴らしいわ。」
ふわりと抱き締めてくれる。頬にキスをしてくれる。オーレリィそんな人はいなかった。日本人の私にもんな人いるわけない。
「歌は、オーレリィの個性ね。お母様ったら、オーレリィの歌声が聞きたいわ。」
私はお母様に説明した。
私の記憶の中にある歌は物語をなぞらえて偉人達が作られたもので、話を知らなければ意味の分からないものもあるのだと。
その昔、有名アーティストがアニソンを担当したことがあった。彼らはたぶん、アニメなんか見ない人達で、アニメの内容何か関係ないぜ的なものが主流だった時代があった。有名どころが作った歌だから、売れたけど果たしてそれでいいのかとも思った頃もありました。
でも、各種ヒットチャートを賑わせた歌は記憶に残っている。まぁ、曲とアニメ両方を覚えている人は少なそうだとも思うけど。
「まずは、寺院にあったこの歌をテーマにしたお話をしていいですか?」

多少の脚色はあったけど、お母様、メイドさん達を泣かせました。男の行動への憤りも口にされておいででした。睨まれたお父様(お話を始めると言う段階で帰宅。お母様から説明を受けて一緒に聞くことになりました。)は、私はそんな愚かなことはしない!と叫んでました。
「失って初めて気付くこともあるのよ、後悔するしかない結末は溜飲が下がるけれど、妻の立場になると悲しくて、辛いわ~。だって、愛していた夫の裏切りで国が水没したのよ?信じたくない、どうしてって、慟哭したに違いないもの。でも、恨むことは出来なかったのね。」
溜め息が混ざる。
「アリー、」
「はい、奥様。」
お母様が涙を堪えながらメモを取っていたメイドのアリーを呼ぶ。
まさか、メモってたの?
「お前は人一倍の文才と想像力の豊富な子。言いたいことは分かる?」
「はい、お嬢様の話された物語を文字に起こし、校閲し、本にします。」
アリーは本好きメイドで、我が家の図書室の司書のような仕事もしている。
「で、でもお母様?このお話は私が作ったわけではなくてですねぇ、」
著作権が、私のオリジナルじゃないのよ、本にするのは、ちと罪悪感が。
「歌と物語を一緒に発表するの。巻末か冒頭に歌詞を載せて、此れから語る物語は、歌詞を独自に解釈して作り上げたものであるって。作者は、謎として不詳としましょう。けど先程オーレリィは言っていたでしょ?物語と歌の内容が合わないものもあるって。その場合は歌は歌、物語は物語としましょう。詩集として纏めて、音程を譜面に起こしましょう。」
お母様が、やる気だ。
「オーレリィの言う“あにそん”が周知されていけば、あなたの力になるわ。お母様に任せなさい!あの馬鹿な王子と侯爵家にオーレリィの素晴らしさを知らしめてやりましょう!」
勢いを増すお母様。
ちょっぴり引き気味の私とお父様。
この世界には存在しない物語。
あんなにキラキラしてて、時に残酷で美しい世界が私の中だけで完結する?
「アリー?校閲ってどうするの?」
アリーが頭を下げる。
「お嬢様の歌の中に意味の分からないものがありました。例えば、チキュウとは?寺院に残されていた歌には、チキュウの部分は記されておらず不明文として扱われていました、そのチキュウを此方の言葉で齟齬のないものを探すのです。」
あー、“地球”は、わからんよね、英語はどうなるのかな。私が今使っている言語は英語に近い。発音も文法も。転生チートと言うやつか私の脳内は日本語で溢れてて深く考えるとバグりそう。

例えば、“B○B”と言う吸血鬼のアニメが昔あった。とても面白い伝奇バトルものだったと記憶している。
話の内容はともかく、そのEDがとても叙情的でメロディラインと英語のサビの切なさにやられた。英語のサビだったから意味も踏まえて切なくて、サビ以外の歌詞はなんだと思ったら、韓国語で全く意味が分からなかった。子供だった私は所々日本語に聞こえる(空耳)ものだから勝手に作詞して歌っていたことがある。(今思えば痛い子である。)
年を経ても忘れられず、どうしても聞きたくなって、探して訳をしてくれてるのも見たけど、意味が深すぎて私的には無理だった。勿論、今だに英語のサビは張り切って歌えるけどその他の所は今となっては訳された内容も覚えてないから、デタラメ、ハミングだ。けれど、あの物語とメロディの美しさ、切なさは忘れたくない。サビの英語は此方の言葉でも雰囲気は変わらないものに聞こえるし、ならは敬意をこめて歌詞をあの耽美なる戦いのアニメを想像して作ってやろうじゃないか!原曲は蜃気楼を英語読みしたタイトルだった。この世界に蜃気楼って気象現象があるかを調べて、作詞の才能のあるなしは……アリーの知恵も借りて不問としよう。

「この歌の持つ力があれは魔物は寄り付けないのじゃないかしら、」
考え込んでいると、お母様の言葉が聞こえた。
寺院にいる巫女様や神官様のことかしら?彼の方々は特別な力を持っていて、魔除けや浄化を行っているのは知っているけど、
「神聖騎士様達は、この歌が、刺繍されたハンカチーフを左の胸の内側に忍ばせているのよ、巫女様方の祈りの込められたハンカチーフはあるのとないのでは戦闘の生存率にも大きく差が生まれると聞くわ。」
聞いたことはあるけども……。
「それは、一種の思い込みか、巫女様方の力であって、歌のお陰だとは言えないのでは?」
アニソンだし。お母様がふふっと笑った。
「祈りの言葉は沢山あるけど、この歌の刺繍の方が効果があるって実証されているの。けれど、この歌の刺繍はかなりの魔力を要するから、ここぞと言う時にしか用意されないのよ。」
アニソンは世界を救うとは言うけど、あくまでもメルヘンの世界でのことだと思っていたけどね。

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