異世界転生、アニオタオバサン令嬢

さちもん

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オ◎○ケかっ!

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オーレリィの記憶とお母様から聞いたことを整理する。

力のある言葉、祝詞や詠唱文と言うのは、
★無心<少しの祈りを込める<強い祈り、願いを込める。
★口に出す<書き記す<刻む。この順で効力は違う。
詠唱文は長ければ長いほど効力を発するけど魔物を前にちんたら唱えている暇はないから、大抵は省略詠唱が使われている。省略詠唱の他に魔法陣と言うものがある。魔法陣は詠唱を図式化したもので、詠唱よりは効果が薄れるが頭の中で魔力を使ってインプットしておけば、空中に出現させて魔法を行使できる。人によっては長い詠唱と同じくらいの効力のある魔法を発動できるらしい。
使用する人の持つ魔力の濃さで威力も多少違うけど、威力を出すために騎士様や魔法使い様達は、剣や杖に文言を刻んだり、祝詞や詠唱が書かれたり刺繍されたりした布を巻き付けたりしている。
剣や杖に刻むのも職人の腕が必要で、それが出来る職人ほど凄い人とされているし、祝詞や詠唱を刺繍できる職人も同様だけど、その中でも神聖魔法を使える巫女様や神官様はそれ以上だ。お母様とオーレリィの記憶によると、
①神聖魔法を使う神官様や巫女様がこの歌刺繍したハンカチなどの布
②神聖魔法を使えないお針子(刺繍を得意とする者)がこの歌を祈りを込めて刺繍したハンカチや布
③神聖魔法を使う神官様や巫女様が他の祈りの詠唱文を刺繍したハンカチや布
④神聖魔法を使えないお針子(刺繍を得意とする者)が祈りの詠唱文を刺繍したハンカチ
この順番で対魔物攻略に効果があるらしい。
剣や杖に込めるのも同様らしい。ただし、②は施行者の魔力が枯渇し暫く寝たきりになるらしいから行うには覚悟がいる。
巫女様方の修行の中には刺繍があるしく、一人前にならないとハンカチへの刺繍は許されていない。刺繍の得意な貴族もいるけど倒れてしまうと成れば待ったがかかるんだって。
ハンカチや布は燃えたら終わりだから剣や盾などの金属に彫るのも有効だけど、名工と呼ばれるドワーフ族の職人と神官様達の協力がなければ魔剣や神剣と呼ばれるような力を秘めた業物は作れないんだと言う知識がオーレリィの中に残っていた。
オーレリィは刺繍が得意で、この歌ではないけど暇があれば刺繍をさせられていた。けれど、祈りを込めることが上手く出来なくて殴られたな。思い出したわ……。
「それで元父母達は祈りを込めて刺繍しろってうるさかったんですね。」
自分を虐げてくる相手を思って刺繍が出来るわけないだろに。本当に狂ってる人達だったな。
そうだ、思い出した。昔……まだ、それなりに家族だと思っていた時に家族を思ってハンカチに刺繍をしたわ、初めて誉められたけど、刺繍嫌いなトイプーにギャン泣きされて刺繍を禁じられた。『サーサリィを下にみるとは何事かっ!』ってね。けれど、一時期、祈りの込められた刺繍のハンカチを持つことが貴族のステータスみたいなブームがあって、私の刺したハンカチをトイプーのものとして活用するから刺繍をしろと学園を休まされたことがあったな。
私の溢した言葉にお母様の扇がミシッとなった。


この世界にも国家同士の争いはある。
けれど、それ以上に魔物と言う驚異が存在する。前世の記憶の中の物語のような魔族と言うものは存在しない。聖女も勇者も存在するけど敵の総大将は魔王ではなく、淀みから生まれてくる魔物なんだ。魔物は人々の驚異だけど、良い素材になし、肉も旨い。けれど、ウサギサイズの魔物も結構強くて人を襲う。
私の知識で言うテイマー職もあるけど知恵のある魔物を使役するとなると裏切りとかもあるらしいから油断は出来ないんだって。
第一線で国を守ってくれている騎士様や寺院の方々には頭が下がる。
いつか大好きなアニソンがお母様の言うように人々の助けになるなら嬉しいなとは思ったよ。

目が覚めて思ったのはアニメが存在しないこと、いつか物語を忘れてしまうのかなってこと。この世界で生きていくしかない私は、アニメの物語の歌のない世界では生きられない。覚えている内に残しておきたいと思ったんだよ。
偉大なる物語に関わった方達に尊敬の念をこめて。

色んなジャンルの曲、歌詞がアニソンにはある。
民族音楽調からジャズ、ロック、ラップ。
ラップなんて歌えないや、“オ◎○ケ”とか大好きだけれども!
ハミングしながら分かるとこだけ歌うくらいだ。あれは、オバハンには超難度クラスのアニソンで作った子は天才やわって思った。
ラップってあんまし聞いたことのないジャンルだったけど、面白いし、韻を踏んでるのが分かると凄いってことしか分からん。
彼らは勿論アニソンだけではないから、他の歌は詳しくもないけど、“ぶ○ん◎ん◎ん○ん”ってのは、子供達にも大ウケで合唱してたのSNSで見た。
アニソンが市民権を得たのは随分昔だけど、新たな時代来た!と思ったんだよねぇ。
もちろん、“ぶ○ん◎ん◎ん○ん”もメロディラインのとこしか歌えん。好みは“オ◎○ケ”の方が好み。OPの“ウル◎○マン”オマージュ……最高っ!やった。

協調、規律とかを重んじる風潮の日本人は、昔から想像力は豊かで、小説、漫画やアニメを作ったり、見たりすることでの中で心を解き放っているんだと思う。
「お嬢様?その歌に歌詞はないのですか?」
オ◎○ケのメロディラインのとこを口ずさんでいたらアリーに言われた。
「この歌はね、ハッキリ覚えてないから、これでいいのよ。」
いけない、いけない。最近、家の人たは私の鼻唄に敏感すぎるのよね。また、忘れないうちにあの子に譜面に残してもらっとこ。
「お嬢様、物語に挿し絵とかあったらどうですか?」
いいねっ!挿し絵と言わず漫画に起せる人おらんかな。
アリーとの作業は同人誌作ってるようで楽しい。
同人誌やコミケ…好きだったけど、勇気がなくて、そこまでの才能はないって極親しい友達にだけ想像の世界の物語を読んでもらって感想とか聞いてたな。
ホンマに中○病やったわ。まぁ、その当時は中学生やったけれども。
でも、今回は既製の物語を私の記憶を元に甦らせて本にする。いい……いいよ、私。

此れからの私、オーレリィは、搾取されるのではなく、自分がしたいことをする。
新たにすることが増えて私は目覚めて良かったなと思った。
“ぶ○ん◎ん◎ん○ん”のサビをOPのフリで何気に踊ってたら、アリー達メイドさんが真似ていた。
普段しない動きだから、よい運動になるって言ってさ。
ちょい恥ずかしかった。
公爵家で一代ブームになってしもうた。

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