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覚悟
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部屋へと、ひた走る。転びそうになりながら。息なんてすぐ上がるし、涙で前もよく見えない。速度なんて歩くほうが早いんじゃないかって感じ。それでも、走らずにはいられない。
部屋に帰ればルルがいる。いなくても待てば帰ってくる。そんな願望を心の中で何度も何度も繰り返す。
ソレに縋らなければ僕の世界は足元から崩壊してしまいそうだった。
走る途中、あの黒い歪みを何度か見かけた。増殖しているのかと思うとゾッとする。と、同時に、今の僕には甘美なお誘いにも映る。あの先に、ルルがいるかもしれないと。
飛び込みたくなる気持ちを、グッとこらえる。僕はあの中に入れば消滅してしまうんだ。そうなったら、二度とルルには会えなくなる。
今がすでにその状況なのかもしれないけれど、諦めるにはまだ早い。とにかく、部屋にさえ戻れば。
そんな僕の切な願いは、残念ながらアッサリと裏切られた。
「ルル……」
戻っても、やっぱりルルはいない。窓を開けると風鈴がちりりんと音を立てて、また泣けてきた。
さっきまで、二人でここにいたのに。幸せだったのに。
散々酷使した足は悲鳴を上げていて、もう一歩も動けそうにない。気力だけで立っていたけど、誰もいない部屋を見てそれも尽きた。
崩れ落ちた身体をそのままに、僕は窓の外をただぼんやりと眺めていた。ずっとずっと、眺めていた。陽が落ちてきても、風が止んで風鈴が鳴らなくなっても。時が止まったみたいだった。
……僕が、こんなに望んでいるのに、ルルは帰ってこない。なんだよ、僕の力って。そんなものないじゃないか。だって、ルルは……。
「ルル……ッ」
「お喚びでしょうか、ご主人様」
「え?」
思わずぽかんと口を開ける。
風鈴の向こう、夕焼けが広がる空を背景にコスプレのような服を着た、いつものルルが立っていた。
「は? え? 本物……?」
「ええ。心配をかけてしまいましたね。そろそろ食事の時間でしょうか」
「ご飯食べるために戻ってきたの!?」
「そういうわけでもないのですが……普通に」
「普通に」
「はい」
色んな感情が足元からじわじわ這い上がってきて言葉にならない。
そりゃ、嬉しいよ。もう嬉しくてたまんないけど、こんな平然と。
僕はルルが本当にそこにいるか確かめたくて、思い切り抱き締めた。
「良かった。ちゃんと実体がある」
どうやら僕が悲しみのあまり作り出した幻ではないらしい。
「どこ行ってたんだよ。すっごいすっごい心配したのに! 寂しかったのに! 僕がどれだけ泣いたと……」
ルルが僕の目元をペロリと舐める。
「腫れてます」
「ルルのせいだよ。だって、魂が消滅する、とか、言うからッ……」
「すみません。私ならば、世界の外へ弾き出されるだけで済むのです。これでも、かなり急いで戻って来たのですよ。貴方はきっと泣いているだろうと思いましたから……」
「ルル……」
僕はしゃくりあげながら、ルルの胸元に顔を埋めた。
「僕……ルルに戻ってきてほしいって心の底から強く思ったのに……全然、効果、なくて」
「それは、私がこちらへ向かっている途中だったからなのではないでしょうか」
「そ、そっか」
それに、今はこうして目の前にいるんだから僕の願いは成就したことになる。
安心した途端、お腹がぐううと凄い音を立てた。
「あっ……」
それを待ちわびていたかのように、外から入室の許可を求める声。ぐずぐずだった僕を気遣ったのか、対応はルルがしてくれた。
すぐに食事が運ばれてきて、木製のテーブルの上はご馳走でいっぱいになる。
ただ、全部和食で僕の口にはあんまりあわなさそうだ。山菜メインで味付けが薄そう。山なのに海の幸も豊富。
今はお金があるとはいえ、うちは一般的な中流家庭だったし、僕は完全にジャンク舌でお子様舌。
あと。あとさあ。お腹は空いてるんだけど、さっきの今でそんなバクバク食べらんないよ。胸いっぱいだよ。ルルがこうして目の前にいるのが、すんごい奇跡にも思えるし。
「ご主人様、召し上がらないのですか? お腹が空いていらっしゃるのでは?」
ルルはバクバク食べてんだけど。
なんだよ、もー。人の気も知らないで。僕がどれだけ……。本当。
「食べるよ。食べ終わったら、浴衣着てね」
「はい」
「一緒に温泉入ろ」
「はい」
僕が些細なお願いを口にして、ルルが短く返す。今はもうだいぶ慣れてしまったこのやりとりに酷く安心する。
食べていても頷くだけで済ませず、飲み込んでからきちんとハイって言う姿がいい。ごくたまに、戸惑いで頷くだけになる、その瞬間も可愛くていい。
……今日、温泉から上がったら、ルルとセックスしよう。
まだダメって言われるかもしれないけど、僕の心は決まった。
僕が魂を取られるより先に、ルルが僕の前からいなくなる可能性だってある。さっきも凄く怖かったし、前に悪魔の世界に戻った時も二度と帰ってこないんじゃないかって思った……。置いて逝かれるくらいなら、幸せの絶頂で死んだほうがまだマシだ。もうルルのいない世界なんて考えられない。
ようやく料理に箸をつけたけど、さっきのショックからか極度の緊張のせいか、残念ながら少しも味がしなかった。
夕食後、食休みもそこそこにルルが浴衣を身にまとう。
下着は残るとはいえ、目の前で繰り広げられるストリップショーにドキドキした。ルルの裸は凄く綺麗で何度見たって見飽きるってことがない。
旅館で貸し出される野暮ったい浴衣も、ルルが着ると天女の羽衣みたいだ。深めっていうのか、濃いめの青色をした浴衣は透き通るようなルルによく似合っている。
「むちゃくちゃ綺麗!」
「ご主人様もよくお似合いですよ」
「本当? 見惚れちゃう?」
「はい」
お世辞だってわかってても、ルルに褒めてもらえるの、すんごく嬉しい。
「ですが、今から温泉へ行くのに、先に着替えるのですか?」
「ん。うん……」
外へ出たら、また時空の歪みがあったりするかもしれない。ルルの浴衣姿を見るまでは死んでも死にきれないと思った。
「まあ、行く時も帰る時も荷物が少なくて済んでいいじゃない?」
「確かにそうですね」
少しドキドキしながら外へ出ると、幸い廊下には何もなかったし、誰もいなかった。
部屋に戻ってきた時はそれどころじゃなかったけど、そこかしこに黒いもやが転がっているような気がしてしまう。びくびくしながら通路の隅をまで見てしまう僕は、まるで黒い虫Gに怯える乙女のよう。
「時空の歪みって、そんな頻繁に出てくるものなの?」
「いいえ。多分、貴方が……」
「ぼ、僕が?」
「幸せに、なってきているからでしょうか」
「え。そうなの? じゃあ、あれルルのライバル?」
ルルが口をつぐんだ。困っているような感じ。
「僕には言えないこと?」
「どう説明していいかわからないだけです。ただ、ライバルということはありません」
僕の魂を取り合っているわけでもないのか。
……考えてもよくわかんないや。ルルが話してくれるまでは、きっとわからないだろう。
話している間に、温泉へついた。のれんをくぐった先にある脱衣場の近くの扉から、外へ行けるようになっている。
食事が終わって一息ついて、温泉へ入るにはちょうどいい時間帯だと思うんだけど、やっぱり誰もいない。貸しきりだ。
「泳げそうだね」
「泳ぐのですか?」
「……泳げないな」
「泳がないのですか?」
ルルは首を傾げながら僕の言葉を復唱している。
誰もいないから泳いでも良さそうだけど、単に僕が泳げないだけ。ということ。
まあ、貸しきりだからってはしゃいで泳ぐような年齢はとうに過ぎている。
ルルは隣で恥ずかしげもなく堂々と浴衣を脱いで髪を結っていた。白い身体に思わず喉を鳴らす。
「どうかしましたか?」
「綺麗だなって」
「初めて一緒に入るわけでもないですし、部屋でも着替える時に脱ぎましたし、もう見慣れているでしょうに」
「な、何度見たってそう思うんだよ」
それに、浴衣を脱ぐところを見たのは初めてだし。
薄い布が肌からするりと落とされる様は、なんとも言えない妖艶さだった。たまらない。誰もいなくて良かった。こんな姿を見られたら一発で襲われてる。
僕しかいないからいいけど、少しは身体を隠すとかしたほうがいいんじゃないかな。羞恥心は一応あるみたいなのに、こういうところ謎だ。
いや、温泉なら堂々としているほうが男らしいか……? 隠したってどのみち見られるだろうし。ルル相手なら僕は絶対見るし。
「外は少し、肌寒そうですね」
「ルルは寒くないだろ?」
「私は平気ですが、ご主人様が」
僕が寒くないか心配してくれてるの。ルル可愛い。優しい。
「平気! むしろ熱いくらい! それに、お湯に浸かってれば大丈夫だよ」
「ご主人様は……ずいぶんと、ポジティブになりましたね」
それは間違いなくルルのおかげだ。自分でも、恐ろしいくらい前向きになったと思う。
……前向きに死を選ぶっていうのも、まあどうかと思うんだけどさ。
「うん。ルルが傍にいてくれたら、僕はいくらだって笑顔でいられるよ」
目の前の光景も眼福だし。
でも、素っ裸のルルを前にしていたらさすがにそろそろ勃起しそうだから、早いところ温泉に浸かりたいな!
「いこ、ルル」
「はい」
外へ出ると想像よりも肌寒かった。でも、その分お湯が凄く気持ちいい。見上げれば満天の星空。これ以上ないほどいいムード。
好きな相手と二人きりで広い温泉に並んで入れる機会なんて、そうそうないと思う。
「はー……きもちー」
身体の芯から暖まる。その心地よさに熱っぽい溜め息が漏れた。
もっと色っぽい理由での溜め息なら良かったんだけど。いや、この後どうなるかは全部僕次第だ。
ルルに任せていたら、また、勃起しているようですから射精させましょうかとかムードぶち壊しな台詞を吐いてくるに違いない。
……それはそれで、興奮しなくもないんだけど。
僕はお湯の中にあるルルの手に手を重ねた。ルルは無言だ。そのまま力を込めて、きゅうと握りしめる。
「その、ルル……。温泉から上がったら、最後まで、し、したいんだけど」
「何をですか?」
これが素だから恐ろしい。
ルルに遠回しな表現が伝わらないのは百も承知だけどさ。
「ルルとセックスしたい」
「……それは」
「いや? まだ、覚悟はできない?」
「ご主人様のほうは、どうなのですか? 死んでしまうかもしれないのですよ」
「僕はもう、それでもいい。そもそも、君を喚び出した時点でその覚悟はあったんだよ」
楽しくて、死にたくなくなった瞬間に魂を抜かれるだろうこともわかっていた。不思議なもので、その時に想像したつらさよりは穏やかな心境だ。
ルルに魂を取られたら、ルルを失う悲しみを味わわずに済むからかもしれない。あとは、ルルが僕のことを考えてくれているから。
惚れた相手のために死ねるなんて、僕らしくもないカッコいい最期じゃないか。
仕事じゃない、とか言ってたから、それがルルのためになるかどうか、いまいちハッキリわかんないとこは気になるけど……。僕の魂、あんまり価値がなさそうだし。
でも、必要がないならあえて僕を葬る意味もないじゃない? そこそこ好いてくれてそうなのに。
「わかりました。私も……覚悟を決めます」
ルルが僕の頬をそっと撫でた。温泉に入っていたはずの手のひらは、いつものようにひんやりとしている。
「ルルは、僕が死んだら寂しい?」
「はい」
「本当?」
「はい。だから決めました。貴方とずっと、この世界で暮らしていきます」
「え……」
つまり僕は死ななくてもすむ? もしかしてルルの覚悟っていうのは、一生僕と生きていく覚悟……? 僕にとって、嘘みたいに都合が良すぎて逆に怖い。素直に喜べない。
「それって、ルルにとってなんか物凄いリスクがあったりするんじゃないの?」
「ない、わけではないですが……」
やっぱり、あるんだ。でも、死ぬわけではないみたいだし、ルルに甘えてしまってもいいのかな。
少なくとも、ルルは僕と一緒にいることを選んでくれたんだから。
「っていうか、涼しい顔してるけどさ、僕も普通に流しそうになったけど、それ、つまりは僕のこと好きってことだよね!?」
「はい」
い、いまいちこう、真実味がないっていうか。
「はい、じゃなくてさ、好きって言って。ルルの口からちゃんと聞きたい」
「……好きです」
ルルは僕の唇に触れるだけのキスをして、手のひらを頬から離した。さっきまでひんやりしていた頬が今は燃えるように熱い。
ルルからキスしてくれた。しかも、唇に。それに……好きだって……僕のことが好きだって、ちゃんと言葉で伝えてくれた。
「ほ、ほんとなの?」
「信じられませんか?」
「なんか、夢でも見てるみたいで」
「貴方がそう感じるなら、そうかもしれません。ですが、私の気持ちは本当です」
嬉しいはずなのに、言い知れぬ不安が胸を締め付ける。
好きだって言ってもらえたのに。ずっと傍にいてくれるなんて、プロポーズみたいなものなのに。どうしてこんな、悲しいような切ないような気持ちになるんだろう。
「ルルは、僕のどこを好きになってくれたの?」
「憎からず想っている相手と四六時中傍にいて口説かれ続けたら情もわきますし、ほだされてもおかしくはないでしょう」
「ほだされただけ? 僕自身のことは?」
「可愛いと思っていますよ」
「で、でも、ルルちょっと困ってる感じする」
「それは貴方が信じてくれないからです」
「だって……」
僕はルルの身体をぎゅうっと抱き締めた。それだけじゃ、くっついてる部分が物足りなくて膝の上に乗り上げて肩口に顔を埋める。
「ルル……」
「甘えたさんですね」
背中をよしよしと撫でられる。素肌を這う手のひらは冷たくて、人間ではない温度が僕を不安にさせる。
すぐ前にルルの綺麗な顔。引き寄せられるようにキスをする。拒まれないし、柔らかく応えてくれる。ようやく、少し実感がわいてきた。これが演技だったら、僕ショックで死んじゃう。
「ルル……」
抱き合ってたら身体が辛抱たまらない感じになって、思わず下半身を擦り付けてしまった。
「ダメですよ、ここでは。貴方が湯あたりしてしまいます」
「僕ならいいから。もうずっと君にのぼせてる」
ルルは少しだけ表情を固まらせて僕から顔を逸らすように俯いた。
「……え。笑ってる? ねえ、笑ってる!? 凄い決めたつもりだったのに酷い! せめて顔見せて!」
顔を上げたルルは、既にいつも通りの無表情だった。惜しい。
「ふふ……。すみません。あまりにも、らしくない台詞だったものですから。いえ、ある意味らしいですけれど」
確かに漫画やゲームの中ならまだしも、現実で言ったら寒いか……。引かないで笑ってくれただけマシかも。やたら恥ずかしくなってきた。
「ご、ごめん」
「お気持ちは嬉しいですが、ここではやめておきましょう」
「うん……」
元から僕には優しくて甘いルルだけど、今日はそれに加えて愛を感じる気がする。
「あのさ、さっきルルが言っていたリスクって何?」
「そうですね。私が悪魔の世界に戻れなくなります」
なんでもないことのようにサラリと言われたけれど。
「……え。ちょっ。それって結構、まずいことなんじゃないの?」
「ご主人様も、私の世界にくる覚悟ができていたではないですか。戻れる保証など、どこにもありはしないのに」
「そ、そうだけど。僕はこの世界に心残りとかないから、ルルがいるならどこでもいいし……。でも、ルルには待っている人とかが……いるよね」
ルルが、ぎこちなく微笑んだ……気がする。言葉はなかったけど、平気ですとか気にしないでくださいという意味だと思う。
「……いいの? 僕を選んでくれるの?」
「はい」
これが、ルルの……覚悟。
前みたいに具合が悪くなったらどうするんだろう。病院とか無理だよね。僕が死んだらこの世界に一人きりになっちゃうし。
「僕は本当に、ルルを縛りつけてしまってもいいのかな」
「私はそれでも、貴方と共にいたいと思いました」
「ルル……。ありがとう」
僕がゆだってきたので、会話はそこで途切れた。
ぐるぐる色んなことを考えてしまう。僕にとってはこの上なく嬉しいし、ルルの愛も感じられるのに、不安ともやもやが胸の隅っこに居座っている。
でも。ルルとしたい。愛しあいたい。ずっと一緒にいたい。自分のエゴのために、不安な気持ちをぐっと押し込めた。
部屋に帰ればルルがいる。いなくても待てば帰ってくる。そんな願望を心の中で何度も何度も繰り返す。
ソレに縋らなければ僕の世界は足元から崩壊してしまいそうだった。
走る途中、あの黒い歪みを何度か見かけた。増殖しているのかと思うとゾッとする。と、同時に、今の僕には甘美なお誘いにも映る。あの先に、ルルがいるかもしれないと。
飛び込みたくなる気持ちを、グッとこらえる。僕はあの中に入れば消滅してしまうんだ。そうなったら、二度とルルには会えなくなる。
今がすでにその状況なのかもしれないけれど、諦めるにはまだ早い。とにかく、部屋にさえ戻れば。
そんな僕の切な願いは、残念ながらアッサリと裏切られた。
「ルル……」
戻っても、やっぱりルルはいない。窓を開けると風鈴がちりりんと音を立てて、また泣けてきた。
さっきまで、二人でここにいたのに。幸せだったのに。
散々酷使した足は悲鳴を上げていて、もう一歩も動けそうにない。気力だけで立っていたけど、誰もいない部屋を見てそれも尽きた。
崩れ落ちた身体をそのままに、僕は窓の外をただぼんやりと眺めていた。ずっとずっと、眺めていた。陽が落ちてきても、風が止んで風鈴が鳴らなくなっても。時が止まったみたいだった。
……僕が、こんなに望んでいるのに、ルルは帰ってこない。なんだよ、僕の力って。そんなものないじゃないか。だって、ルルは……。
「ルル……ッ」
「お喚びでしょうか、ご主人様」
「え?」
思わずぽかんと口を開ける。
風鈴の向こう、夕焼けが広がる空を背景にコスプレのような服を着た、いつものルルが立っていた。
「は? え? 本物……?」
「ええ。心配をかけてしまいましたね。そろそろ食事の時間でしょうか」
「ご飯食べるために戻ってきたの!?」
「そういうわけでもないのですが……普通に」
「普通に」
「はい」
色んな感情が足元からじわじわ這い上がってきて言葉にならない。
そりゃ、嬉しいよ。もう嬉しくてたまんないけど、こんな平然と。
僕はルルが本当にそこにいるか確かめたくて、思い切り抱き締めた。
「良かった。ちゃんと実体がある」
どうやら僕が悲しみのあまり作り出した幻ではないらしい。
「どこ行ってたんだよ。すっごいすっごい心配したのに! 寂しかったのに! 僕がどれだけ泣いたと……」
ルルが僕の目元をペロリと舐める。
「腫れてます」
「ルルのせいだよ。だって、魂が消滅する、とか、言うからッ……」
「すみません。私ならば、世界の外へ弾き出されるだけで済むのです。これでも、かなり急いで戻って来たのですよ。貴方はきっと泣いているだろうと思いましたから……」
「ルル……」
僕はしゃくりあげながら、ルルの胸元に顔を埋めた。
「僕……ルルに戻ってきてほしいって心の底から強く思ったのに……全然、効果、なくて」
「それは、私がこちらへ向かっている途中だったからなのではないでしょうか」
「そ、そっか」
それに、今はこうして目の前にいるんだから僕の願いは成就したことになる。
安心した途端、お腹がぐううと凄い音を立てた。
「あっ……」
それを待ちわびていたかのように、外から入室の許可を求める声。ぐずぐずだった僕を気遣ったのか、対応はルルがしてくれた。
すぐに食事が運ばれてきて、木製のテーブルの上はご馳走でいっぱいになる。
ただ、全部和食で僕の口にはあんまりあわなさそうだ。山菜メインで味付けが薄そう。山なのに海の幸も豊富。
今はお金があるとはいえ、うちは一般的な中流家庭だったし、僕は完全にジャンク舌でお子様舌。
あと。あとさあ。お腹は空いてるんだけど、さっきの今でそんなバクバク食べらんないよ。胸いっぱいだよ。ルルがこうして目の前にいるのが、すんごい奇跡にも思えるし。
「ご主人様、召し上がらないのですか? お腹が空いていらっしゃるのでは?」
ルルはバクバク食べてんだけど。
なんだよ、もー。人の気も知らないで。僕がどれだけ……。本当。
「食べるよ。食べ終わったら、浴衣着てね」
「はい」
「一緒に温泉入ろ」
「はい」
僕が些細なお願いを口にして、ルルが短く返す。今はもうだいぶ慣れてしまったこのやりとりに酷く安心する。
食べていても頷くだけで済ませず、飲み込んでからきちんとハイって言う姿がいい。ごくたまに、戸惑いで頷くだけになる、その瞬間も可愛くていい。
……今日、温泉から上がったら、ルルとセックスしよう。
まだダメって言われるかもしれないけど、僕の心は決まった。
僕が魂を取られるより先に、ルルが僕の前からいなくなる可能性だってある。さっきも凄く怖かったし、前に悪魔の世界に戻った時も二度と帰ってこないんじゃないかって思った……。置いて逝かれるくらいなら、幸せの絶頂で死んだほうがまだマシだ。もうルルのいない世界なんて考えられない。
ようやく料理に箸をつけたけど、さっきのショックからか極度の緊張のせいか、残念ながら少しも味がしなかった。
夕食後、食休みもそこそこにルルが浴衣を身にまとう。
下着は残るとはいえ、目の前で繰り広げられるストリップショーにドキドキした。ルルの裸は凄く綺麗で何度見たって見飽きるってことがない。
旅館で貸し出される野暮ったい浴衣も、ルルが着ると天女の羽衣みたいだ。深めっていうのか、濃いめの青色をした浴衣は透き通るようなルルによく似合っている。
「むちゃくちゃ綺麗!」
「ご主人様もよくお似合いですよ」
「本当? 見惚れちゃう?」
「はい」
お世辞だってわかってても、ルルに褒めてもらえるの、すんごく嬉しい。
「ですが、今から温泉へ行くのに、先に着替えるのですか?」
「ん。うん……」
外へ出たら、また時空の歪みがあったりするかもしれない。ルルの浴衣姿を見るまでは死んでも死にきれないと思った。
「まあ、行く時も帰る時も荷物が少なくて済んでいいじゃない?」
「確かにそうですね」
少しドキドキしながら外へ出ると、幸い廊下には何もなかったし、誰もいなかった。
部屋に戻ってきた時はそれどころじゃなかったけど、そこかしこに黒いもやが転がっているような気がしてしまう。びくびくしながら通路の隅をまで見てしまう僕は、まるで黒い虫Gに怯える乙女のよう。
「時空の歪みって、そんな頻繁に出てくるものなの?」
「いいえ。多分、貴方が……」
「ぼ、僕が?」
「幸せに、なってきているからでしょうか」
「え。そうなの? じゃあ、あれルルのライバル?」
ルルが口をつぐんだ。困っているような感じ。
「僕には言えないこと?」
「どう説明していいかわからないだけです。ただ、ライバルということはありません」
僕の魂を取り合っているわけでもないのか。
……考えてもよくわかんないや。ルルが話してくれるまでは、きっとわからないだろう。
話している間に、温泉へついた。のれんをくぐった先にある脱衣場の近くの扉から、外へ行けるようになっている。
食事が終わって一息ついて、温泉へ入るにはちょうどいい時間帯だと思うんだけど、やっぱり誰もいない。貸しきりだ。
「泳げそうだね」
「泳ぐのですか?」
「……泳げないな」
「泳がないのですか?」
ルルは首を傾げながら僕の言葉を復唱している。
誰もいないから泳いでも良さそうだけど、単に僕が泳げないだけ。ということ。
まあ、貸しきりだからってはしゃいで泳ぐような年齢はとうに過ぎている。
ルルは隣で恥ずかしげもなく堂々と浴衣を脱いで髪を結っていた。白い身体に思わず喉を鳴らす。
「どうかしましたか?」
「綺麗だなって」
「初めて一緒に入るわけでもないですし、部屋でも着替える時に脱ぎましたし、もう見慣れているでしょうに」
「な、何度見たってそう思うんだよ」
それに、浴衣を脱ぐところを見たのは初めてだし。
薄い布が肌からするりと落とされる様は、なんとも言えない妖艶さだった。たまらない。誰もいなくて良かった。こんな姿を見られたら一発で襲われてる。
僕しかいないからいいけど、少しは身体を隠すとかしたほうがいいんじゃないかな。羞恥心は一応あるみたいなのに、こういうところ謎だ。
いや、温泉なら堂々としているほうが男らしいか……? 隠したってどのみち見られるだろうし。ルル相手なら僕は絶対見るし。
「外は少し、肌寒そうですね」
「ルルは寒くないだろ?」
「私は平気ですが、ご主人様が」
僕が寒くないか心配してくれてるの。ルル可愛い。優しい。
「平気! むしろ熱いくらい! それに、お湯に浸かってれば大丈夫だよ」
「ご主人様は……ずいぶんと、ポジティブになりましたね」
それは間違いなくルルのおかげだ。自分でも、恐ろしいくらい前向きになったと思う。
……前向きに死を選ぶっていうのも、まあどうかと思うんだけどさ。
「うん。ルルが傍にいてくれたら、僕はいくらだって笑顔でいられるよ」
目の前の光景も眼福だし。
でも、素っ裸のルルを前にしていたらさすがにそろそろ勃起しそうだから、早いところ温泉に浸かりたいな!
「いこ、ルル」
「はい」
外へ出ると想像よりも肌寒かった。でも、その分お湯が凄く気持ちいい。見上げれば満天の星空。これ以上ないほどいいムード。
好きな相手と二人きりで広い温泉に並んで入れる機会なんて、そうそうないと思う。
「はー……きもちー」
身体の芯から暖まる。その心地よさに熱っぽい溜め息が漏れた。
もっと色っぽい理由での溜め息なら良かったんだけど。いや、この後どうなるかは全部僕次第だ。
ルルに任せていたら、また、勃起しているようですから射精させましょうかとかムードぶち壊しな台詞を吐いてくるに違いない。
……それはそれで、興奮しなくもないんだけど。
僕はお湯の中にあるルルの手に手を重ねた。ルルは無言だ。そのまま力を込めて、きゅうと握りしめる。
「その、ルル……。温泉から上がったら、最後まで、し、したいんだけど」
「何をですか?」
これが素だから恐ろしい。
ルルに遠回しな表現が伝わらないのは百も承知だけどさ。
「ルルとセックスしたい」
「……それは」
「いや? まだ、覚悟はできない?」
「ご主人様のほうは、どうなのですか? 死んでしまうかもしれないのですよ」
「僕はもう、それでもいい。そもそも、君を喚び出した時点でその覚悟はあったんだよ」
楽しくて、死にたくなくなった瞬間に魂を抜かれるだろうこともわかっていた。不思議なもので、その時に想像したつらさよりは穏やかな心境だ。
ルルに魂を取られたら、ルルを失う悲しみを味わわずに済むからかもしれない。あとは、ルルが僕のことを考えてくれているから。
惚れた相手のために死ねるなんて、僕らしくもないカッコいい最期じゃないか。
仕事じゃない、とか言ってたから、それがルルのためになるかどうか、いまいちハッキリわかんないとこは気になるけど……。僕の魂、あんまり価値がなさそうだし。
でも、必要がないならあえて僕を葬る意味もないじゃない? そこそこ好いてくれてそうなのに。
「わかりました。私も……覚悟を決めます」
ルルが僕の頬をそっと撫でた。温泉に入っていたはずの手のひらは、いつものようにひんやりとしている。
「ルルは、僕が死んだら寂しい?」
「はい」
「本当?」
「はい。だから決めました。貴方とずっと、この世界で暮らしていきます」
「え……」
つまり僕は死ななくてもすむ? もしかしてルルの覚悟っていうのは、一生僕と生きていく覚悟……? 僕にとって、嘘みたいに都合が良すぎて逆に怖い。素直に喜べない。
「それって、ルルにとってなんか物凄いリスクがあったりするんじゃないの?」
「ない、わけではないですが……」
やっぱり、あるんだ。でも、死ぬわけではないみたいだし、ルルに甘えてしまってもいいのかな。
少なくとも、ルルは僕と一緒にいることを選んでくれたんだから。
「っていうか、涼しい顔してるけどさ、僕も普通に流しそうになったけど、それ、つまりは僕のこと好きってことだよね!?」
「はい」
い、いまいちこう、真実味がないっていうか。
「はい、じゃなくてさ、好きって言って。ルルの口からちゃんと聞きたい」
「……好きです」
ルルは僕の唇に触れるだけのキスをして、手のひらを頬から離した。さっきまでひんやりしていた頬が今は燃えるように熱い。
ルルからキスしてくれた。しかも、唇に。それに……好きだって……僕のことが好きだって、ちゃんと言葉で伝えてくれた。
「ほ、ほんとなの?」
「信じられませんか?」
「なんか、夢でも見てるみたいで」
「貴方がそう感じるなら、そうかもしれません。ですが、私の気持ちは本当です」
嬉しいはずなのに、言い知れぬ不安が胸を締め付ける。
好きだって言ってもらえたのに。ずっと傍にいてくれるなんて、プロポーズみたいなものなのに。どうしてこんな、悲しいような切ないような気持ちになるんだろう。
「ルルは、僕のどこを好きになってくれたの?」
「憎からず想っている相手と四六時中傍にいて口説かれ続けたら情もわきますし、ほだされてもおかしくはないでしょう」
「ほだされただけ? 僕自身のことは?」
「可愛いと思っていますよ」
「で、でも、ルルちょっと困ってる感じする」
「それは貴方が信じてくれないからです」
「だって……」
僕はルルの身体をぎゅうっと抱き締めた。それだけじゃ、くっついてる部分が物足りなくて膝の上に乗り上げて肩口に顔を埋める。
「ルル……」
「甘えたさんですね」
背中をよしよしと撫でられる。素肌を這う手のひらは冷たくて、人間ではない温度が僕を不安にさせる。
すぐ前にルルの綺麗な顔。引き寄せられるようにキスをする。拒まれないし、柔らかく応えてくれる。ようやく、少し実感がわいてきた。これが演技だったら、僕ショックで死んじゃう。
「ルル……」
抱き合ってたら身体が辛抱たまらない感じになって、思わず下半身を擦り付けてしまった。
「ダメですよ、ここでは。貴方が湯あたりしてしまいます」
「僕ならいいから。もうずっと君にのぼせてる」
ルルは少しだけ表情を固まらせて僕から顔を逸らすように俯いた。
「……え。笑ってる? ねえ、笑ってる!? 凄い決めたつもりだったのに酷い! せめて顔見せて!」
顔を上げたルルは、既にいつも通りの無表情だった。惜しい。
「ふふ……。すみません。あまりにも、らしくない台詞だったものですから。いえ、ある意味らしいですけれど」
確かに漫画やゲームの中ならまだしも、現実で言ったら寒いか……。引かないで笑ってくれただけマシかも。やたら恥ずかしくなってきた。
「ご、ごめん」
「お気持ちは嬉しいですが、ここではやめておきましょう」
「うん……」
元から僕には優しくて甘いルルだけど、今日はそれに加えて愛を感じる気がする。
「あのさ、さっきルルが言っていたリスクって何?」
「そうですね。私が悪魔の世界に戻れなくなります」
なんでもないことのようにサラリと言われたけれど。
「……え。ちょっ。それって結構、まずいことなんじゃないの?」
「ご主人様も、私の世界にくる覚悟ができていたではないですか。戻れる保証など、どこにもありはしないのに」
「そ、そうだけど。僕はこの世界に心残りとかないから、ルルがいるならどこでもいいし……。でも、ルルには待っている人とかが……いるよね」
ルルが、ぎこちなく微笑んだ……気がする。言葉はなかったけど、平気ですとか気にしないでくださいという意味だと思う。
「……いいの? 僕を選んでくれるの?」
「はい」
これが、ルルの……覚悟。
前みたいに具合が悪くなったらどうするんだろう。病院とか無理だよね。僕が死んだらこの世界に一人きりになっちゃうし。
「僕は本当に、ルルを縛りつけてしまってもいいのかな」
「私はそれでも、貴方と共にいたいと思いました」
「ルル……。ありがとう」
僕がゆだってきたので、会話はそこで途切れた。
ぐるぐる色んなことを考えてしまう。僕にとってはこの上なく嬉しいし、ルルの愛も感じられるのに、不安ともやもやが胸の隅っこに居座っている。
でも。ルルとしたい。愛しあいたい。ずっと一緒にいたい。自分のエゴのために、不安な気持ちをぐっと押し込めた。
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