ヒロイン系彼氏

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その後の話

参考書、実践編(R18)

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 ぼくも檜垣くんを、後ろだけでイカせてみたい……。
 貰った参考書を読みながら、毎日のようにそんなことを考える。
 その度、ぼくの中の少女漫画好きな天使さんが、エロイことばっかはよくないと耳元で囁く。

 そうだ。次こそ! ロマンチックで少女漫画みたいなシチュエーションで! 愛を囁きながらベッドインするんだ! 旅館の布団の上とかも悪くない。二人で雪景色を見ながら……。
 はあ、頑張ってバイトしてお金を貯めないと。それまでは無駄遣いなんて以ての外。

 ……でも、この本に書いてあることを、早く実践したい。
 悪魔のほうは囁きじゃなく、耳元で怒鳴り込んでくる勢いだ。
 檜垣くんだってソレを望んでるんだぞー。むしろ学校でヤるのもアリだぞーって。
 いやいや、漫画じゃないんだから、そんなリスクのあることは。

 ぼくの葛藤は続く。




「なあ、酒井。……あ、明日、うちの家族、誰もいないんだけど、泊まりに……」
「行く!!」

 そして葛藤終了。据え膳を出されたら、飛びついてしまう。それが男子高校生。どれだけ気持ちいいか、わかっているから、誘惑にはなお弱い。何も知らなかったあの頃には、もう戻れないのだ。
 いや、だって。こういう機会を逃したら、次は本当、いつになるかわからないですし……?
 天使さんも檜垣くんの家族と一緒に外出して、残るは悪魔の怒鳴り声だけ。




 週末、学校帰り、檜垣くんの家を訪れた。
 一度身体を繋げてから一週間ほど経つけれど、深いキスくらいまでしかできてない。あの時の妄想でもう何度抜いたかわからない。

 檜垣くんから貰った参考書を読んで、ぼくは自分がいかに何もしていなかったか、檜垣くんがどれだけ頑張ってくれたかを思い知った。
 だから今日は、ぼくが頑張る番だ。
 学校に持っていくのは躊躇いがあったけど、今日は自分でコンドームとかローションとか、そういうの……用意してきた。

「……お邪魔します」
「はは。誰もいないから大丈夫……」

 檜垣くんが黙り込んで、ジッとぼくを見る。熱っぽい瞳。何かを請われてるような気がして、落ち着かない。
 目を逸ら……したら、ダメだろ。そうだ、ここ、キスする場面だ。

「檜垣くん……」

 人様の玄関先で、なんて。
 でもぼくだって檜垣くん不足だったんだ。こんなに可愛らしくねだられて、抑えきれるはずない。

「ん、んっ……。酒井」

 舌が吸われる。積極的に絡めて、もっとと言うように唇を押し付けてきた。我慢していたのは、ぼくだけじゃない。それがわかって嬉しくて、もっとたくさん欲しくなる。

「こんなところでそんなにされたら、キスだけじゃ済まなくなるよ……?」

 言ってから、死ぬほど恥ずかしくなった。
 何ぼく少女漫画の男の子みたいな台詞吐いちゃってんの……。似合わないって。似合わなさすぎだって。

「あ、待って。学校から帰ってきたばかりだし、シャワー浴びたい」

 でも檜垣くんは笑わずに恥じらってくれた。優しさが染みる。

「あの……。準備、するなら。ぼくも手伝いたいんだけど」

 一応ぼくも勉強してきた。シャワーと言いながらお風呂場で檜垣くんが何をするのか、わかってるつもりだ。

「それはちょっと……」
「なんで? パートナーが手伝うのが普通らしいよ?」

 基本的にちょろいから、これで頷くかと思ったのに答えは断固としてノーだった。

「酒井には、キラキラした世界だけ見せたいんだ」

 なんとなく、予想はしてたけど。

「むしろ、ドロドロしてるのも見たい」

 檜垣くんは真っ赤になって、首を横に振った。

「逆の立場だったらって想像してみてくれ。絶対に無理!」

 してみた。これは無理。
 軽い気持ちで言ったことを死ぬほど後悔した。
 肌を重ねることに慣れてしまえば話はまた別かもしれないけど、今日は二度目。
 ただ、軽い気持ちといっても、檜垣くんのためにぼくも何かしたいと思ってのことだというのは、わかってほしいところ。
 もちろんやらしい姿が見たいというエロイ気持ちが大半だったけども……。

「じゃあ、おとなしく部屋で待ってる」
「ありがとう」

 心底ホッとした顔で、檜垣くんはバスルームへと姿を消した。
 準備はともかく、一緒にお風呂に入りたかった。
 ここは譲るけど、ベッドでは泣かせてやる、絶対。とりあえず指だけでイッてもらって、挿入してからはぼくのだけで前を触らずイッてもらう。……予定だ。
 もちろん、全部上手くいくなんて思ってない。準備段階で早速躓いたしな。
 でもぼくだって檜垣くんにヨくなってほしくて参考書がボロボロになるほど読み込んだ。その成果を君にも見せたい。身体で実感してほしい。自分がヨくなるだけじゃ、嫌なんだ。

 爪もきちんと切ってきたし、高かった温感ローションに、ゼリーつきのゴムも用意した。
 先に檜垣くんの部屋へ行って、スムーズに出せる場所に用意しておかなきゃ。

 ……つ、ついでに、一回くらい抜いておいたほうが、冷静になれるかも。さっきのキスだけで、自然にはおさまらないくらい勃ち上がっちゃってるし。
 でも無駄打ちはしたくないな。檜垣くんのナカに、全部出したい。

 ますますおさまらなくなっていくモノをなだめながら、ぼくは檜垣くんの部屋へ向かった。




 また、メイク道具増えてる気がする。散らかってる様子もなく、部屋は綺麗。勉強しやすそうな環境だ。そして、檜垣くんの匂いがする。

 一度、ここでキスした。あの時はソレより先には進まなかった。今日は……このベッドで、檜垣くんと。
 スプリングの感触を確かめるように座って、表面を撫でた。
 ふかふか。高そうな羽毛布団、汚したらまずいよな。バスタオルがあれば敷くとか、掛け布団だけクローゼットに押し込んでおくとかしないと。

 いつも檜垣くんが寝ているベッドで、セックスする。
 なんか、凄い。何がと言われても上手く説明できないけど、熱く込み上げるものがある。
 ここでいつも抜いてるのかな。お尻を慣らしたって言ってたから、指も入れたり……。
 想像しただけで、すぐ出そう。やっぱり抜いておくべきか、我慢すべきか。
 悶々としているうちに、檜垣くんが部屋に戻ってきた。
 パジャマを着てきている。少し大きめで可愛い。

「ぼくもシャワー、浴びていい?」
「酒井はそのままでいい」

 そう言いながら押し倒そうとしてくる檜垣くんを押し留める。
 積極的なのは嬉しいんだけど……。

「待って、布団をどかさないと。あと、バスタオルある? 汚れたら困るのは檜垣くんだからな?」
「あっ、そ、そうか。……酒井は冷静だな」

 ちょっと不満そうにしてる。自分だけ興奮してるみたいで嫌だったのかもしれない。

「ぼくだって結構限界だよ。ヒトサマの家で遠慮がある分、君よりは冷静でいられるだけ」

 実際気はせいてる。早く、触れたい。喘がせたい。

「それに檜垣くんは、ぼくがどれだけ……ぐちゃぐちゃにさせたいか、わかってないから。きっと大変なことになる」

 檜垣くんは頬を染めて、おとなしく布団をクローゼットへ押し込んだ。

「バスタオルは、これでいいかな」

 そしてそのまま、ぶつぶつ言いながらクローゼットを探っている。
 ぼくはその隙に用意してきたアイテムをベッドへ並べていく。悶々としていて、出すのをすっかり忘れていた。

「ちょうど、貰い物の……」

 振り返った檜垣くんが、ぼくが並べたモノを見て固まった。

「あ。こ、これ、バスタオル」

 さっきまで押せ押せだったのに、動揺してる。
 積極的なのもいいけど、やっぱりぼくは……恥じらってくれたほうが、興奮する。

「じゃ、ここ敷いて……?」
「ん……」

 敷き終わったのを確認して、檜垣くんの身体をベッドへ押し倒す。形勢逆転だ。

「シーツまで染みちゃったらゴメン」

 わざと低く、そう囁く。まずはキスから。
 ……オレンジの、味がした。

「檜垣くん」
「の、飲んできた。前に酒井、喜んでくれたから」

 こういうとこ、いじらしくて本当、たまんなくなる。

 ファーストキスの記憶、その時の感情、興奮。色んな気持ちがないまぜになって、ぼくは味を確かめるように何度もキスを繰り返した。

「すぐ脱がすのに、パジャマ着たんだ。これ、似合ってるな」

 裸でデデーンと横になられるより、こっちのほうがぼくの好み。
 一枚ずつ、薄皮を剥いでいく。……剥いたらすぐ素肌だった。ノーパンだし。

「こ、こういうのは、嫌だったか?」
「そのはず、だったんだけど。案外やらしくて、いい」

 少女漫画が好きでもなんでも、やっぱりぼくは男なんだよなあと思う一瞬。恋人がやらしいというのは、悪くない。
 檜垣くんのそこはもうすでにゆるりと勃ちあがっている。
 準備のせいなのか、キスで興奮したのかどちらだろう。

「一人で抜いてこなかったんだ」
「早く、酒井としたかったから」
「そう。イイコ」

 女の子でもあやすみたいに、こめかみにキスをして奥にローションで濡らした指を差し入れた。
 今日も、とろけてる。すぐに欲しいって言うみたいに、ひくついてる。エロくてドキドキする。早く挿れて揺すりたい。
 でも。ここで飲まれるわけにはいかない。

「すぐ、できるからもう挿れ……」
「だめ。先に一回、指だけでイカせる」

 ……何も、そんなこの世の終わりみたいな顔をしなくても。
 可愛いけど、ぼくが鬼に思えてくるだろ。
 挿れたら絶対に、余裕がなくなるってわかってる。それじゃこの前とおんなじだ。
 中に入れた指をゆっくり動かして、気持ちいいとこを探っていく。男だからちんこを触れば感じてくれるけど、ぼくとしては中だけで感じさせたい。ぼくのだけで、気持ちよくなってほしいし。
 確か、このあたり……。

「あっ!」

 びくんと、檜垣くんの身体が跳ねた。

「ここ?」
「や、待っ……嘘」

 初めてみたいな反応をされた……。

「……檜垣くん、自分でも慣らしてきたんじゃないの?」
「拡げる時に少し触ったけど、こんな……、全然、違……くてっ」

 熱い息を吐き出しながら、ぼくに縋る。指先で少し擦ると、ガクガクと震えて子供のように泣きじゃくった。
 自分で前を慰めようとするのを、ダメだよと優しく押しとどめて、ひたすらに檜垣くんのイイトコを弄り続ける。

「も、やだ……やめてくれ」
「気持ちいのに?」
「イケなくてツライ……」
「あー……」

 ツライのに、それでもぼくのいうことをきいて、手はシーツをギュッと掴んだまま。 
 前回した時は、ちんこも一緒に触ったら感じすぎるから嫌だと言ってたのに。イケないほうが、よりツライんだな。それはそうか。ずっと寸止め状態なの想像したら、気が狂いそう。

「可愛いね、檜垣くん。じゃ、触ってあげる」

 あからさまに安堵の表情を浮かべた檜垣くんに、悪戯心がわいた。

「……えっ、そ、ソコ、ちが……」
「舐めるほうがいい?」

 舌先を尖らせて、れーっと乳首を舐める。
 もちろん、前立腺を擦るのも止めない。他のことをすると指先の動きが鈍ってしまうけど、檜垣くんはすでに限界ギリギリまできているので、逆に焦らされてるように感じるかもしれない。
 唇で挟み込んだり、甘く吸い上げたり、舌先で擦ったりを繰り返す。

「あ! だ、ダメ、なんか、おかし……、身体、おかしいから」

 浅く短く息を吐いて、檜垣くんがぼくの背中に手を回した。

「ん、んんッ」

 ビクビクッと身体が震え、咥え込んだぼくの指先をきゅうっと締めつける。
 檜垣くんのモノからはとろとろゆっくり、精液が零れだしている。
 こ、これが……トコロテン……って、やつ?

「あ、嘘、オレ……。本当に、扱かなくても出るんだ……」

 檜垣くんはぼくの背中に回した手に力を込めながら、頬を擦り寄せてきた。

「はあ……。酒井。なんか、怖い」
「え、ぼくが!?」
「いや、自分が。お前にされるの、凄く嬉しいけど、だけど、自分の身体が変わっていくのは……怖いな」
「……やめる?」
「やめない」

 即答だった。でも、声は震えてた。
 ごめんな。ちゃんと責任は、とるからさ。

「でも、なあ、もういいだろ? そろそろ酒井の、挿れてくれよ」
「うーん。まだ、もうちょっと」

 今度は三本、一気に指を押し入れる。きちんと飲み込んだ。

「っ、ゆ、指でイカせるのは……一回だけって、言ったのに。嘘つき……」

 またイキそうなのかな……。可愛いなー。可愛い。イケメンで優等生の檜垣くんが、いやいや言う姿、想像以上に可愛いな。

「じゃ、ぼくの名前、呼んで」
「酒井……ッ」
「こういう時は、下の名前を呼ぶものだろ」
「ッ……、な、……」

 檜垣くんは何度も詰まったような声を出して、それから最後に絞り出すように、ぼくの名前を耳元で呼んだ。
 たったそれだけのことで、今までしていた我慢が限界を越えた。
 あっ、でも、今日は……ちゃんと、コンドーム……つけて。ローション、足して……。

「呼んだ、のにッ……直哉の、ばか……」
「ッ……」

 破壊力が大きすぎて、挿れる前に射精するかと思った。こういう時の馬鹿って、凄いクるんだ。知らなかった。
 なんとか押し込めば、この前なんて比べ物にならないくらいの熱さと柔らかさ。ぴったりきゅうきゅう吸いついてくる。

「あ、あっ、ああ……。は、入ってる……」

 ゴム越しなのに、前よりずっと気持ちいい。なんだ、この締めつけ。

「檜垣くん、気持ちいい……」
「お、オレも……、凄い」

 ゆっくりと、檜垣くんのイイトコを押すように擦ると、腕も中も甘くしがみついてくる。まとわりついて、離れない。
 こんな……、こんな、ふうになるんだ。ちゃんと、気持ちよくしてあげると。ちんこを触らなくても、こんなふうに、感じてくれるんだ。ぼくの、で。
 いつかもっと奥まで入ってみたい。ソコにぼくを刻みつけたい。

「はっ、あ……アッ、あう……。待っ、そこばっか、やめ……」
「なら、もっと……奥?」
「ひっ……! やだ、入らな、入らないから……ッ」
「本当に? ぼく、檜垣くんの奥に入ったらダメ?」
「あ、あっ、あ……ッ」

 揺さぶりながら耳朶を噛み甘く囁くと、檜垣くんは何度も声にならない喘ぎ声を漏らした。
 凄いな。麻薬みたい。腹の底まで響いてくる。ぼくのほうが、中に入られてるみたいだ。

「き……きょうは、だめ」

 呂律の回らない舌で、檜垣くんが途切れ途切れに言う。
 それって、いつか入ってもいいってこと?
 は……。そんなことまで、ぼくに許しちゃうんだ。最高。

「ここ、擦るより、もっと……凄い、らしいよ?」
「……ッ、や、イク……、だめ、も……ッ、妊娠しちゃう……ッ!」
「……は?」

 さっきとは違う衝撃が頭を貫いて、イッてしまった。
 一拍おいて、今度はジワジワと笑いが込み上げてきて……。

 まさか、セックスの直後に笑いが止まらなくなるとは。

「ひ、檜垣くんの馬鹿……ッ」
「なんで笑うんだ、オレだって勉強したのに」
「エロ本で勉強するのやめてくれよ……」

 射精のタイミングをずらされてしまったせいで不完全燃焼だ。
 檜垣くんもまだイッてないし、本当に予想外すぎる。
 大笑いしすぎてそんな空気でもなくなっちゃったけど、とりあえず檜垣くんだけでもイカせよう。

「ん……」

 抜く時の摩擦だけでも、気持ちいい。

「ごめん、檜垣くんイケなかっただろ。今、するから」
「あっ!」
「な、何?」
「酒井、コンドームつけてた……。妊娠しない」
「ゴムつけてなくても、しないから!」
「それくらいはオレも知ってる」
「むしろ知らなかったら困る」
「ただ、その。それだと、は、恥ずかしいだろ。さっきオレが言った台詞が……」
「間違いなく恥ずかしかったから、心配しなくていい」

 むしろその台詞自体が恥ずかしいのに、相変わらず檜垣くんのツボはズレている。
 とはいえ、どんな理由であろうと恋人が恥ずかしがる姿というのは悪くない。笑いすぎて鍛えられそうだった腹筋も落ち着いてきた。

「そんなに中に、出してほしかった?」

 ゆっくりと、檜垣くんの腹を撫でる。くすぐったさより快感が勝つのか、薄い胸がピクリと跳ねた。

「お腹壊しちゃうだろうから今日は出さないけど、いつかは一番奥で、出したいな」
「うん……」

 檜垣くんがぼくの手のひらに、手を重ねる。
 少し染まる目元も、濡れてしっとりした髪も、全部綺麗。
 カッコよくて頭もいいのに、なんでぼくに対してはこう馬鹿なんだろう。度々呆れてしまうけど、ぼく限定かと思えば可愛くて愛しくてしかたないんだ。

「ッ、あ……酒井」
「名前」

 指先で竿を辿って、先端で止める。焦らすようにそれ以上は動かさず、言葉をねだった。

「直哉……。オレ、オレも……する。な、舐めてみたい。直哉の」

 ……その、勉強の成果は。少し、確かめさせてもらおうかな。




 ことが済んでから、檜垣くんがぼくに一冊の本を突きつけた。
 少し拗ねたように唇を尖らせている。

「オレだって、エロ本と少女漫画の区別くらいつくぞ!」
「いや、できれば、少女漫画を参考にするのも、あんまり……」

 ……ティーンズラブだ、この本。これが檜垣くんの、今回の参考書か。
 確かにこれは、あまり漫画を読まない檜垣くんだと差がわからないだろうな、男女だし。女の子がたくさん出ていれば少女漫画だと思ってて、百合もその分類だと勘違いしていたくらいだ。

「何も参考にしなくていいから、檜垣くんの好きにして」
「でも、今まではそれで、振られていたから……」
「あー……」

 だから、こうやってやたらと少女漫画を参考にしていたのか。
 しかもそれがキッカケでオチてしまったからな、ぼくは。
 素直で思い込み激しめな檜垣くんが盲信してもおかしくない。

「ぼくは檜垣くんが何をしても好きでいるから、安心して?」
「オレも、酒井になら何されてもいい……」
「さっきは拒んだのに? 奥、入るの」
「そ、それは、ちょっと怖かったから」

 ううん。可愛いな……。

「する時は、直哉もオレのこと、名前で呼んで?」

 ぼくのほうは呼ばせたのに、照れくさくて呼んではあげなかった。
 本当は呼んでほしくて、でも本には書いてなかったから、望まなかったのかもしれない。

「耀」
「ッ……。そ、想像以上に、嬉しくて……恥ずかしいな」

 さすがに今日、これ以上する気はなかったけど。こんな可愛い反応されて、男として押さなかったら嘘じゃない?

「じゃ、奥、入らせてね?」
「えっ。き、今日って意味じゃなくて」

 拒否の言葉は唇で塞いで、とりあえずもう一戦。
 檜垣くんが石みたいに固くなってしまって残念ながらお腹の中まで暴けなかったけど、次は受け入れるからって泣きじゃくる顔が最高だったのでヨシとする。
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