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とけたそのあとで
短編3本
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■抱き枕
寝苦しくて目が覚めると、後輩くんに抱き枕にされていた。
ああ、あのまま寝ちゃったのか。
身じろぎしても起きない。ぐっすりだ。
こんな風に抱きつかれて、俺は眠れない。抱き枕にされている側って、寝にくいものなんだぜ、後輩くん。
さっきまであんなにいろいろしておいて、しかも今はこの仕打ち。それで本人は可愛い顔してぐっすりとか、卑怯すぎるだろ。
柔らかい栗色の髪にそっとキスをする。眠れないけれど目を閉じた。
今度は俺が抱き枕にしてやるから、その時は寝にくいって苦しめばいい。
後輩くんのことだから、逆に嬉しく思うのかもしれない。
……俺も、嬉しくない訳じゃ、ないけどな。
■聞いてる?
「もうっ、おれの話聞いてます!?」
「んー……聞いてる」
先輩は甘い物を食べながら生返事。しかも、おれが隣にいるのに本を読みながら。
恋人の部屋に来て漫画が優先とか、それはない。
「本なんてあとでいいじゃないですか。構ってくださいよ」
「これ続き気になってるんだよ。これだけ読みたいの」
ちゅっとキスをされた。
今はキスよりも、こっちを見て欲しかった。
……でも、話聞いてる様子がまったくないのに、キスしていいですか? って聞いたあとにこれだもんなぁ。先輩は狡いなぁ……。
とりあえず、甘い紅茶でも淹れてきてあげるかな。
だからそれ読み終わったら、たっぷり構ってくださいね。
■血
勉強中、先輩が指を紙で切った。
「痛ッ!」
「平気ですか? 絆創膏……」
机から絆創膏を出して渡すと、先輩がおれの前に血で濡れた指先を差し出した。
「舐めたい? お約束だろ」
人の血なんてそんな舐めちゃいけないもんだろうけど、その赤色は酷くそそる。まるで食欲みたいに。
「もし後輩くんが吸血鬼なら、俺はきっと一滴残らず血を吸われてるんだろうな」
そう言って自分の指先を舐める先輩を見て、欲情した。
手を取って丁寧に舐めしゃぶる。
血は甘いかと思ったけど普通に錆の味。先輩のを舐める時みたいにぴちゃぴちゃと、付け根までくすぐった。
「っん……。馬鹿、そんな吸うな……」
「一滴残らず吸い付くしたいですよ。でもそんなことをしたら、貴方は死んでしまうでしょう? だから、別のとこ舐めて一滴残らず搾り取ってあげます」
「勉強は?」
「挑発したのはどっちです?」
「はは、俺かな……。ん、後輩くっ……」
とりあえずは先に、口の中を全部吸い上げた。
今から飲むものは苦いけど、おれにとってはきっと甘い。
寝苦しくて目が覚めると、後輩くんに抱き枕にされていた。
ああ、あのまま寝ちゃったのか。
身じろぎしても起きない。ぐっすりだ。
こんな風に抱きつかれて、俺は眠れない。抱き枕にされている側って、寝にくいものなんだぜ、後輩くん。
さっきまであんなにいろいろしておいて、しかも今はこの仕打ち。それで本人は可愛い顔してぐっすりとか、卑怯すぎるだろ。
柔らかい栗色の髪にそっとキスをする。眠れないけれど目を閉じた。
今度は俺が抱き枕にしてやるから、その時は寝にくいって苦しめばいい。
後輩くんのことだから、逆に嬉しく思うのかもしれない。
……俺も、嬉しくない訳じゃ、ないけどな。
■聞いてる?
「もうっ、おれの話聞いてます!?」
「んー……聞いてる」
先輩は甘い物を食べながら生返事。しかも、おれが隣にいるのに本を読みながら。
恋人の部屋に来て漫画が優先とか、それはない。
「本なんてあとでいいじゃないですか。構ってくださいよ」
「これ続き気になってるんだよ。これだけ読みたいの」
ちゅっとキスをされた。
今はキスよりも、こっちを見て欲しかった。
……でも、話聞いてる様子がまったくないのに、キスしていいですか? って聞いたあとにこれだもんなぁ。先輩は狡いなぁ……。
とりあえず、甘い紅茶でも淹れてきてあげるかな。
だからそれ読み終わったら、たっぷり構ってくださいね。
■血
勉強中、先輩が指を紙で切った。
「痛ッ!」
「平気ですか? 絆創膏……」
机から絆創膏を出して渡すと、先輩がおれの前に血で濡れた指先を差し出した。
「舐めたい? お約束だろ」
人の血なんてそんな舐めちゃいけないもんだろうけど、その赤色は酷くそそる。まるで食欲みたいに。
「もし後輩くんが吸血鬼なら、俺はきっと一滴残らず血を吸われてるんだろうな」
そう言って自分の指先を舐める先輩を見て、欲情した。
手を取って丁寧に舐めしゃぶる。
血は甘いかと思ったけど普通に錆の味。先輩のを舐める時みたいにぴちゃぴちゃと、付け根までくすぐった。
「っん……。馬鹿、そんな吸うな……」
「一滴残らず吸い付くしたいですよ。でもそんなことをしたら、貴方は死んでしまうでしょう? だから、別のとこ舐めて一滴残らず搾り取ってあげます」
「勉強は?」
「挑発したのはどっちです?」
「はは、俺かな……。ん、後輩くっ……」
とりあえずは先に、口の中を全部吸い上げた。
今から飲むものは苦いけど、おれにとってはきっと甘い。
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