廃スペックブラザー

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番外編

ハイスペックグッズ(R18

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 前に一度、俺に挿れてみたくないのかと訊いた時、兄貴は『和彰が男相手ではないとダメな身体になったら困るから』という可愛らしい理由で断った。
 コレのどこが可愛らしいかっていうと、兄貴は俺のチンコによって、すでにダメな身体になってるってとこ。

 まあ、だから安心しきっていたわけだ。
 俺の後ろはいつまでも処女のままであると……。


 兄貴のさ、探究心を侮ってたワケだよ、俺。
 でも付き合い始めて一年をすぎて今更さ。
 しかもイベントごととか何もない日に、唐突に。

「これを和彰に使ってみたいんだが」

 どこで手に入れたのか、大量の大人のオモチャを取り出してきやがった。
 エロイ恋人なんて男からすればロマンだし? 兄貴のコレやってみたいアレやってみたいに付き合って、48手だってチャレンジした。
 それがここへ来てオモチャ。ペニバンまであんだけど。

 ……ソレ使うなら、もう自前のでよくね?

「いや、いやいや……。兄貴が使ってるとこを見せてくれるとかが、本来の使い方であって」
「どうしてだ? 僕だってお前が使ってるところが見たいぞ」
「俺には挿れないって言ったじゃん! 今更なんで、急に……!」
「この前の飲み会でそういう話になってな……。僕は意外とそういうプレイが好きそうだと言われた」
「無礼講にもほどがあるだろぉぉ! その飲み会、もう行くなよ」
「こういう話題が出るくらいは普通らしいが、違うのか?」

 兄貴は心底不思議そうに首を捻った。
 確かに間違ってはいない……。が、今まで兄貴にはそういう話題を振れないような雰囲気があった。
 俺と付き合い始めたり、ネトゲをやったりしたことで話しかけやすくなって、恋人ができたという話になって、その流れでそういう話題になったんだろう。簡単に想像がつく。
 でもうちの兄貴に下ネタ系の話題を振らないでほしい、マジで! 全部俺にシワ寄せがくるから!
 いや、他のヤツにいったらソレはソレで許されねえ。

「僕だって和彰をメチャクチャにしてやりたい時がある」
「お、おう……」
「嫌なのか?」

 草食男子でもなければ、男としてエロイ恋人を歓迎しない道理はない。
 兄貴の場合ソレが探究心寄りで、ある意味ピュアなのが気になるところだが……。
 手に持った極太バイブはピュアさの欠片もなくえげつない。

 あれを……俺に挿れる気なのか。本当に。

「お、俺が男なしではいられない身体になったら困るって言ってただろ」
「クセになったらオモチャを使えばいい。本物を知らなければ大丈夫だ」

 嘘だ。それ結局、ホンモノが欲しくなるやつー!
 大丈夫な要素がどこにもねえよ兄貴……。

「それくらいなら、まだ兄貴のを突っ込まれるほうがいい」
「弟に挿れるのは、さすがに罪悪感がな……」
「いや、コレを突っ込もうってことに罪悪感を覚えろよ! なんだよ、この太さ! 俺のケツを壊す気か!」
「これくらいでは壊れない。いつも和彰に無茶をされている僕が保証する」
「それは、まあ、悪い……。いや、でも、大体俺の無茶は兄貴が原因であって……」

 した翌日、ベッドから起き上がれなくさせてしまったことがある身としては強く出られない。
 原因が兄貴でも、そうさせたのは俺だ。

「優しくしてやる」

 そんな、滅多に見せない満面の笑顔で……!

「一方的なのはフェアじゃないしな。兄貴の言い分もわかる。でも、俺だってオモチャでよがるアンタの姿が見たい!」
「見たいのか?」
「見たい!」

 これは見せてくれる流れ。
 バックバージンを捧げるんだ。しかもオモチャに。役得がなければやってられっか。

「それに、これで自分がどうなるか、自分の身体で確かめたいと思わねえ?」
「うーん。それほどよくなかったな。マッサージでもされてる気分になってくる」
「……は?」

 ちょっとそれ、まるで、もう自分で試した……みたいな。

「つ、つ、使ったのか、コレ!」
「きちんとコンドームはかぶせたし、よく洗ったが、人が使ったモノはさすがに抵抗があるか?」
「そこじゃねーから!」

 ちくしょう、頭がいいくせに、相変わらずどっかズレてやがる。

「さすがに試してもいないものを和彰に使うのは憚られてな……」

 この大量のオモチャを、自分で全部、試した……。
 一瞬で、頭の中が兄貴のあられもない姿でいっぱいになった。

「こ、これも?」
「ああ。これはくすぐったいだけだったな。触られてるような感覚しかない。不感症かもしれない」
「それはない」
「そうだな。僕は和彰の手でないと、気持ちよくなれないんだろう」
「……ッ!」

 声にならない声を出そうとして、息苦しくなった。
 こういう時、人はどうしたらいいんだ。床を転がればいいのか?

「お、俺もそうだと思う。だからあ、こんなのは使わないで普通に……」
「そんなの、試してみないとわからないだろう?」
「……これ全部?」

 コクンッと頷いた。
 可愛いけど、内容は可愛くない。

 俺だってオモチャに興味がないわけじゃない。
 でも普通、男が用意するならオナホとかじゃねーか?
 なんでこう性感開発グッズみたいなもんばっかなんだよ。

 いや、俺のアナルを開発する気満々だからか……。

「痛くはしないから、僕に……身を任せてはくれないか?」

 切な気な顔で睫毛を震わせて、普通の男が吐けば笑ってしまうような台詞を恥ずかしげもなく囁く。
 だが、兄貴はツラのほうもとてつもなくハイスペックだ。
 こんな顔で迫られて嫌だと言えるヤツがいるだろうか。いるわけがない。俺だってイチコロだ。元々、兄弟の垣根すら越える勢いで好きなんだ。抗えるはずなんて、ない。

「や、優しくしてください……」

 気づいたらそんな、処女のようなことを言っていた。

 そして上機嫌な兄貴によってお風呂に入れられ、言葉にはできないような準備をされ。

「ここがいいところだぞ。わかるか?」
「わ、わかんねえ。気持ちわりぃ」

 指で尻の穴を念入りにほぐされた。
 兄貴の綺麗な指が俺のこんなところに、と思うと興奮しなくもない。
 確かに兄貴の言う通り、男のソレを突っ込まれるよりは、オモチャのほうがハードルは低いだろう。ホモでなくとも、アナニーやってるヤツはいるって聞くし。
 でもさあ、俺はホモじゃねーけど、兄貴とは付き合ってんだよ。なのに、初めてがコレってのはどうなんだって思うわけ。

「うーん。和彰は中ではあまり感じにくい性質なのかもな」

 しかも探究心のほうが上回っているらしく、やたら淡々としている。せめて俺のあられもない姿に興奮してほしい。

「この細いのなら、痛くないと思うから……力を抜いて」
「う、うぐ。うああああ……」

 ぬるぬるとしたものが身体の中を駆けずり回る不快感。
 俺は……俺は、兄貴にこんな所業をして……?

「ま……、待って、無理、ごめん! 謝る、謝るから!」
「何を謝るんだ?」

 兄貴が俺の頬をペロリと舐めあげる。
 自分でも気づかないうちに、どうやら泣いていたらしい。だせえ。

「これ、仕返しとかじゃねーの? 俺がなんか、無体なことしたとかで」
「普通に、いつもと違う和彰が見たいだけだったんだが……。僕こそ、すまない。そこまで嫌だとは」
「初めにすげー嫌だって言ったぞ!?」
「だが、許可した」
「それはっ……。俺が兄貴に突っ込んでる以上、フェアじゃねーかなって……」
「……そうか」

 兄貴は俺の穴から数珠が繋がったような細いバイブを取り出して、俺の手に持たせた。
 こんな細いので、あの気持ち悪さ。兄貴は偉大だ。俺のモンを受け入れて射精までする。

「僕に使ってみたかったんだろう? していいぞ」
「えっ!? いいの? 俺、ちゃんとできなかったのに……」
「それは僕の力不足だ。頑張りたいが、お前を泣かせてまですることではないと思うから」

 全然頑張ってくれなくていい。

「兄貴、俺に抱かれんの嫌?」
「まさか。お前の形にしておいて、よく言う……」

 囁くように言われ、エロすぎて萎えていたモノが一気に起き上がった。

「良かった。元気になったな。さっきまでしおれていたから心配したぞ」
「しおれもするわ。てか、人をインポのように言うな。あと、チンコに話しかけんな」

 兄貴はフフッと笑って、上目遣いに俺を見ながらそのままソレをくわえこんだ。
 視覚の暴力だ。エロイ。これだけでイキそう。

「ん……。今日は、お詫びに……和彰の好きにしてくれていいから」
「ッ……兄貴……!」

 そこから先は、もうめくるめく。
 兄貴はオモチャでは気持ちよくなれないなんて言っていたくせに散々乱れ、それが悔しくて今度は俺のでガンガンに突きまくった。
 したばかりの反省はどこへやら。




 結局ベッドへ連れ込み、第三ラウンドまで致してしまって今度こそ兄貴に報復を受けるかもしれないとヒヤヒヤした。そんな俺の不安とは裏腹に、兄貴は思いのほか満足そうにしている。

「自分でした時とこんなに違うとは、驚きだ」

 知的欲求が満たされたらしい。いや、痴的欲求と言うべきか。

「で、どうしてこんなモノを急に使おうだなんて思ったんだよ」
「和彰がコレで乱れる姿を見たかった……と、言ったはずだが」
「俺だって、兄貴が本当にそう思ってるなら、もっとこう……流された気がすんだよ。でも、なんか違うっていうか」

 もしかして、本当は。
 コレで俺にイジメてほしくて、それが照れくさくて言い出せなくてという展開なんじゃないかと。
 疑問を述べた俺に、兄貴はちょっと驚いたように目を瞬かせた。

「なんとなく、わかるものなんだな。でも、嘘は言ってない。ただ、目的が違ったというだけで」
「も、目的って……?」

 まさか、押し付けられて使用感を求められた、とか。
 それともやっぱり俺にイジメてほしくて……。

「マンネリ防止にいいと聞いて」

 兄貴とセックスをしている上であまりにも縁遠い台詞がきた。
 ……さすがに。それが目的とは、欠片も思ってなかった。
 あんなに色々、して、させておいて。

「俺たちのどこに、マンネリ的な要素があったよ! かなりの頻度で違うことしてるだろ!」
「言われてみればそうだな。ただ、初めての恋人相手だとマンネリになりがちだから、振られないように気をつけろと言われてな……」
「俺に振られたくなかったんだ?」
「いつでも覚悟はしているが、努力を怠るのは違うと思っている」

 やっぱりズレてる。そこは普通に可愛らしく頬を染めてくれたっていいだろうに。
 まあ、なんだかんだで兄貴は流されやすいから……そんな話題を聞いて不安になったんかな……。
 兄貴を振るヤツなんてそもそも絶対にいない! と言いたいところだが、引きこもりになった原因はまさに失恋によるものだ。

「あんまり、頑張らなくていいから」
「良くなかったか?」
「すげー良かったけど。でも、兄貴体力ないから、オモチャでアレソレすると、俺の出番が減るじゃん。こんなの使うくらいなら、生身の俺としたくねえ?」
「そうか。その通りだ。僕が馬鹿だった」
「兄貴頭いいのに、本当に馬鹿だよな、こういうとこ」

 軽口を叩きつつも、オモチャのほうが気持ちいいみたいな展開にならなくて良かったと、ホッとしていた。

「少しもったいないが、これは全部捨てよう」
「え?」
「なんだ。やはりとっておきたいのか?」
「いや! うん! 捨てよう!」

 よがる兄貴の姿を堪能できなくなるのは残念だが、きっと諸刃の剣。気が変わって俺に使われでもしたら、たまったもんじゃねえ。

 まあ……。本当に。兄貴と付き合っている限り、マンネリとは無縁だなと、心の底から思う俺なのだった。
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